2018年03月08日

「空の剣 男谷精一郎の孤独」高橋三千綱

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男谷精一郎は十五歳。
地獄道場といわれる「兵原草蘆」に内弟子として住み込んでいます。
一年経てば残っている者は数名という厳しい実戦稽古で知られる道場で修業を積んで四年。
しかし閉鎖に伴い師の平山子龍から破門を言い渡されます。
張りを失った精一郎は武者修行という名目の下、二歳の時に家を出ていった顔も知らない母親が住むという秩父を目指して旅に出ます・・・・。
男谷精一郎というのは実在の人物だそうですが、剣豪としてはほとんど知名度がないですね。
しかし作者の高橋氏がいろんな剣豪に興味を持つ中で印象に残ったのが、中村一心斎と男谷精一郎だったそうです。
男谷精一郎について書かれた小説はほとんどなく、氏が筆を執ったこの作品が唯一の本格的な“男谷精一郎もの”となるのかもしれません。
内容は主人公が十五歳ということで青春小説ともなっています。
このあたりは氏が得意とするところでしょう。
芥川賞を受賞した「九月の空」も剣道少年の青春小説でした。
旅の途中でいろいろなことを経験し、人と出会い、少年が成長していく物語でもあります。
何人かの女性との出会いもあるのですが、そのあたりはさらりと流し、甘い内容となるのを避けておられるようです。
女性に対してのほのかで淡い想いが爽やかです。
作者は他にも「右京之介助太刀始末」シリーズなどの時代小説を書いておられますが、それらに比べるととぼけた感じも控えめです。
これもやはり男谷精一郎への思い入れ故ということでしょうか。
ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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