2018年05月09日

「舟を編む」三浦しをん

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玄武書房では新しい辞書を出版する企画があります。
しかし編集者の荒木は定年間近。
なんとしてもこの志を受け継ぐ有能な人材を確保せねばなりません。
そこで白羽の矢が立ったのは営業部に勤務する馬締光也27歳。
辞書向きの人材ということで、辞書編集部に引き抜かれます。
そこから馬締の『大渡海』という新しい辞書の出版のための苦闘が始まります。
定年を間近にした荒木、先輩の西岡、30数年荒木と一緒に辞書を作ってきた監修の松本先生、新人の女性社員岸部。
何年もの年月をかけ、馬締たちはひたすら『大渡海』の完成に向けて突き進みます・・・・。
編集者を主人公にした小説やマンガというのは過去にもありましたが、たいがい文学だったりマンガだったり。
または女性誌でのキャリアウーマンだったり。
辞書編集部なんて前代未聞では?
よくもまあこのような地味な(失礼)部署に目を付けられ、作品にされましたね。
それだけにというとなんですけれども決して華やかな内容ではないのですが、実に味わい深く読ませてくれます。
出版業界というよりも辞書業界を描いたお仕事小説でもあります。
なので普段当たり前のように利用している辞書にこれだけの苦労があるのかと、改めて考えさせられた次第です。
作者の取材がお見事ですね。
もちろんそれを十二分に活かして話を作られたストーリーテラーのセンスもですが。
辞書の編集というと地味で堅苦しい話になってしまうでしょうが、そこはお約束とはいえ若い女性社員の配置や香具矢という美しい女性と馬締との恋愛話も用意されており、そのあたりはしっかりとエンターテイメントもしておられます。
言葉の海という茫漠とした大海原を渡るにふさわしい舟を編む。
タイトルもお見事。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『み』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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