2018年07月12日

「小さいおうち」中島京子

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時代は昭和初期。
赤い屋根の小さなおうちで女中をしていたタキ。
タキは若くて綺麗な時子奥様を慕っていました。
そしてかわいらしかった恭一ぼっちゃん。
幸せな日々でした。
しかし主人の会社の部下で家に出入りする板倉という青年に、タキは時子が惹かれているような気配を感じます。
そしていよいよ戦争が激しくなってきて・・・・。
タキが晩年に過去の記憶をノートに綴っていくという形式で書かれています。
そのノートを時々盗み読む甥の次男坊の健史。
盗み読むといっても内容について意見しているのでこっそりというわけでもないんですけどね。
タキもまたわざと読ませているようなところもあります。
過去の話をメインにタキと健史の現在のやりとりが挟み込まれるわけですが、これは戦争経験者と学校で教わって知識としてしか戦争を知らない未経験者の二つの視線となっています。
戦争の時代はそんなに暗かったのか。
毎日が悲惨だったのか。
もちろん戦争なんてあってはいけなかった事なのですが、しかしそんな中で過ごした人たちの青春はなんの楽しみもない真っ暗なものだったのか。
そんな問いかけがあります。
時子と板倉の気持ちの行方は。
そしてタキが時子に抱いていた思いは女中から奥様への単なる憧れだけだったのか。
最終章ではそのあたりについて余韻を残すラストとなっています。
じんわりと心に染み入る作品でした。
タキと健史のやりとりがちょっと芝居じみていて白々しい気がしましたが。(笑)
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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