2019年08月15日

「観光」ラッタウット・ラープチャルーンサップ

CIMG3503.JPG

母の最近の行動がどうもおかしい。
バスルームで倒れた母を息子は病院に連れて行きます。
網膜剥離。
相当悪化しており、いまとなっては手遅れで、失明は免れません。
まだなんとか目は見えるものの、見えなくなるのは時間の問題です。
息子は景色の美しいリゾート地へ母と旅行に出かけます・・・・。(観光)
短編集です。
どれも人生の一部分を切り取ったような、さりげない内容です。
淡々とした文章がそう思わせるのでしょうか。
しかし内容は濃い。
表題作「観光」の母と息子のやりとり。
母を思う息子、息子を思う母、ぐっときますね。
最後に収録されている「闘鶏師」はボリューム的に3分の1を占めています。
それだけに他の作品のようなさりげなさはなく、真正面から書いてるなという気がしました。
闘鶏に入れ込んだ男の誇り、破滅。
それを娘の視線から描いているのが切ない。
必ずしも真っ当な考えやそのような人間が世の中で勝利するわけではないんですよね。
悔しいことですが。
さて、この作家、訳者によりますと現在行方不明で連絡が取れないとのこと。
なんとまあ。
カズオ・イシグロのように大きな作家になれる器の人なのに。
ぜひとも復帰していただきたいものです。
ラベル:海外小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『ら』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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