2019年11月19日

「東京・地震・たんぽぽ」豊島ミホ

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東京で震度6強の大地震が発生。
被災したさまざまな人たちを描いた連作短編集です。
東京で大地震というとSFやパニック小説を想像しがちですが、作者は豊島ミホ。
もちろんそのような話にはなりません。
極限状況でありながら、しかしそれぞれの人にとってはあくまで日常なんですね。
ヒーローやヒロインが活躍するようなドラマなんかではないわけです。
例えば最初の話に出てくる主人公。
地学科の大学院に進んだ友人が何気なく言います。
「十六日に東京に大地震が来るらしい」
重要機密だが、政府関係者にはもう伝わっているらしい。
その間、田舎に帰ったらと友人はアドバイスします。
まさかと思いながらも、まあ話に乗ってみてもいいかと帰省する主人公。
実際に大地震はやって来て東京は壊滅状態。
結果的に自分は友人を東京に残して逃げてきたことになります。
愕然とする主人公。
だからといって彼が突然ヒーローになりなにか大活躍するわけではありません。
現実としてただ受け入れるしかないわけです。
子供と公園にいて生き埋めになってしまった主婦の話も痛々しくつらい。
ただ淡々とした一犠牲者です。
その他、このような状況の中でも人々は日常をこなしていかなければならないんだなという話です。
つらい現実を受け入れつつ。
へたなパニック小説なんかよりも、よほど被災の辛さや痛みを感じさせる小説集だと思います。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『と』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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