2019年11月23日

「33年後のなんとなく、クリスタル」田中康夫

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1980年に発表された小説、「なんとなく、クリスタル」
当時はずいぶんと話題になりました。
それから33年。
大学生だった登場人物たちも今は50代。
ヤスオは主人公だった由利と再会し、当時の記憶と現在が入り交じります・・・・。
この小説の主人公ヤスオというのはもちろん作者の田中康夫氏です。
どこまでが実話かはわかりませんが、長野県知事時代のことなどもきっちりと記述しておられます。
知事以外にも参議院議員、衆議院議員、などを経歴してこられたわけですが、しかしこの小説の肩の力の抜け感はどうよ、と思いますね。
ことさらそれを誇示するわけでなく、あくまでもさらり淡々と書いておられます。
もちろんそれがテーマの小説ではありませんので当然ですけども。
あくまでただの経歴です。
今、目の前の快楽を享受する若者たちを描いた前作と、そのスタンスはなんら変わりないように思えます。
と言いましてもこの国の未来を憂う気持ちはひしひしと伝わってきますが。
前作は中身がないだなんだの評価も飛び交いましたが(私もそう思ってました)、今から思えばさりげないけどとんでもなくしっかりきっちりと日本の現在と未来を書いておられたんですよね。
最後に日本の出生率のデータが記されているのですが、私など当時はその唐突な提示に「なんじゃこりゃ」と思ったものです。
とんでもない。
今後の日本の未来をビシッと突き付けておられたわけです。
本作のラストはヤスオが黄昏時の光に向かい歩み出すシーンで終わります。
「微力だけど無力じゃない」という言葉が作中に何度か出てきます。
それぞれが自分の生き方で歩んでいく。
その結果・・・・まだ希望はありますよね。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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