2020年01月12日

「あのひとは蜘蛛を潰せない」彩瀬まる

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28歳の梨枝は24時間営業のドラッグストアの店長。
躾に厳しい母のもとで実家暮らしです。
男性経験もなかった梨枝ですが、ある日入ってきた大学生と付き合い始めます。
それがきっかけでしょうか、母に反発し、いよいよ一人暮らしを始めます。
しかし母から離れてみて、自分はいかに母の躾を叩き込まれていたか、ことあるごとに気付かされます。
失踪した中年店員の柳原、彼氏の三葉君、来店するたびにバファリンを買っていく鎮痛剤依存症の“バファリン女”、義姉で幼馴染みの雪ちゃん、いろんな人たちと関わりながら梨枝もひたすら毎日を過ごしていきます・・・・。
梨枝の現状というのがなんといいますか非常に宙ぶらりんなんですね。
ドラッグストアの店長といっても、あちこち主力でない店に回されています。
自分に自信がないので、売り場のレイアウトなども部下に意見を聞かないと不安で独断による決定ができません。
家庭でも28歳という年齢でいまだ母親の呪縛から抜けられていない。
夜勤から帰ってきてもきっちりと栄養のバランスを考えた朝食が用意されています。
家の中はつねに母により掃除が行き届いています。
一人暮らしをしたいと母親に伝えたときは、あんた一人で何ができるのかと罵倒されます。
それでも飛び出して一人暮らしを始める。
うんうん、そんなもんです。
今までできなかった、していなかったことでもいずれはしていかなければしょうがない。
人間関係にしても、立ち向かっていかなければしょうがない。
いろんな人に対して、いろんな状況に対して。
そんな梨枝の成長の物語といえば大げさですね。
少しずつ変化していく日々です。
タイトルの「蜘蛛を潰せない」というのは失踪した柳原さんのエピソード。
深夜の仕事中、レジカウンターに現れた小さな蜘蛛に戸惑う柳原さん。
梨枝がティッシュにくるんで店の外に放ちます。
そんな柳原さんがある日、若い女と失踪する。
柳原さんは最初の章に出てくるだけです。
蜘蛛は最後の章にも出てきます。
平気で蜘蛛を潰せるアルバイトの小林君の前に。
ですが梨枝は「潰さないで」と蜘蛛を外に逃がしてやります。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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