2020年01月16日

「かけら」青山七恵

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3編収録の短編集。
桐子は写真教室に通う女子大生。
家族5人でさくらんぼ狩りツアーに行く予定だったのですが、兄の小さい娘が熱を出し、心配した母が行かないと言い、兄も行かないと言い出します。
結局は桐子と父の2人で出かけることになります。
父と2人きりという状況がどうも気詰まりです。
しかし一緒に行動しているあいだ、桐子は父の今まで見たことのなかった顔を目にします・・・・。
他の2編もそうなのですが、共通して底辺に流れているのは所詮自分以外の人間のことなんてその正体はわからないということですね。
わからないのだけど、だからこそ(?)気になってぎこちなく意識してしまう。
父と娘であっても知らない部分はたくさんあるわけです。
「欅の部屋」は婚約者がいる男性が同じマンションに住む元カノの心境が理解できず、結婚を控えていながらも心を乱されるというような話です。
付き合っていた時に彼女がこのマンションに引っ越してきたのですが、いきなり一方的に別れを告げ、しかしいまだに同じマンションに住み続けています。
どうやら彼から乗り換えた相手とは破局したようですが。
もしかしてまだ自分のことを・・・・などとうぬぼれた気持ちを持ってしまったりもします。
「山猫」は西表島に住む叔母の娘が東京の大学に進学したいということで、東京を案内してあげてほしいと頼まれ、しばらく新婚家庭に寝泊まりさせることになります。
しかし表情もなく口数の少ないその少女は何を考えているのかわからない。
自分と夫とでは態度も違います。
彼女の言動が不快に感じ、声を荒げてしまったりもします。
人間、つい他人に自分が思い込んでいるイメージを求めがちですが、決してそんなわけはないのですね。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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