2020年05月01日

「張形と江戸をんな」田中優子

CIMG3633.JPG

張形。
若い人には通じないんじゃないでしょうか。(笑)
今でいうディルドですね。
一般的にディルドやバイブというと男性が女性に使うというイメージがあります。
しかし著者は「そうした意識の背景には女性に性欲はなく受身で、自慰もしないという『西欧近代的な性神話』が影を落としている」といいます。
で、いろんな春画を紹介し、分析しておられるんですね。
春画の世界において、初期には女性は積極的に自らの性欲の解消に張形を使っていると。
しかしだんだんこの世界でも、張形は男性が女性を攻める道具に変わっていっていると。
張形という文化を通して、江戸時代の女性の性欲や性文化を解き明かそうという試みです・・・・。
まず『女性に性欲はなく受身で、自慰もしない』なんて、これ何十年前の感覚なんでしょうか。(笑)
この本が出版されたのは2004年。
今から16年前。
とはいえ、すでに女性の性欲なんてオープンになっていましたよ。
ネットでどれだけの女性がそれを披露していたか。
なのでこの時代にこんな問題提起をしても「はぁ?」という感じです。
思いっきりズレてます。
たしかにそういう時代があったのは事実。
『女はオナニーなんかしない』。
そう思われていた時代もありました。
そんな時代にこの本を出していれば画期的だったかもしれません。
『西欧近代的な性神話』なんて主張しても「なに言ってんの、この人」で終いです。
今読みますとそういうズレはあるのですが、しかし春画を通して張形文化や当時の性文化を分析しておられるのは一読する価値があります。
ただこれも描いているのはすべて男性の絵師です。
実際に見て描いたわけではなく、男性による想像の世界です。
奥女中の実態なんて見られるわけないですからね。
もちろん著者はそのことについて触れておられますが。
江戸時代というのは思いのほか性についてはオープンで、皆楽しんでいたようです。
しかし、他の女性が大勢いる前で張形を使用している絵が多々あるのですが、ここまでオープンだったのかと。
著者はあとがきで「『男性の眼』『事実ではない』という二つの既成概念をまず取り払った」と書いておられます。
それはいいのですが、だからといって描かれていることをそのまま真に受けていいものかと。
独自の持論を展開するぶんにはいいですが、その二つの既成概念はある程度話の飛躍のストッパーになっていると思うんですけどね。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください