2020年05月27日

「末裔」絲山秋子

CIMG3647.JPG

富井省三が帰宅するとドアに鍵穴がなかった。
そんなバカな。
しかしないものはない。
家の脇を通って裏に出るにも粗大ゴミが押し込まれ、隣からゴミ屋敷といわれるような状態。
とても通り抜けられません。
妻に先立たれ、息子は結婚して家庭を持ち、娘は家を出て消息不明。
つまり省三は一人暮らしで、中から開けてくれる者もいません。
家を閉め出されてしまい、町を彷徨うことになります。
謎の占い師と出会い、しゃべる犬と出会い、夢と現実のあいだを行き来し、やがて省三は現在誰も住んでいないはずの鎌倉の亡き伯父宅にたどり着きます・・・・。
いままで読んできたこの作者の作品とはちょっと雰囲気が違いますね。
かなりシュールです。
笙野頼子のような筒井康隆のような。
省三に起こっていることは夢なのか現実なのか。
これが横軸だとしたら、自分の人生や家族の人生、そして町や家の歴史や記憶といったものが縦軸となるのでしょうか。
この縦横さがなんとも私にとっては体の具合が悪い時に見る悪夢のような雰囲気を感じさせるのですね。
ノスタルジーな雰囲気もあるのですが、先が見えている人生に対しての冷ややかな諦めも感じますし、開き直りも感じます。
私にとってはちょっと難しかったですけど。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください