2020年07月20日

「輝ける闇」開高健

CIMG3675.JPG

舞台はヴェトナム。
語り手の「私」は日本人で、なんやらアメリカの軍隊と行動を共にしているようです。
どうやら私は作家であり、取材ということで記者として同行しておられるようですね。
さて、その私はヴェトナムで軍隊と行動を共にし、何を見たのか・・・・。
もちろんあのヴェトナム戦争です。
いうまでもなく「私」は作者です。
なのでルポタージュ形式の小説ともいえますね。
作家としていよいよこれからという時期に、戦時中のヴェトナムに飛び込んでの取材。
それがこの小説です。
サントリーの「やってみなはれ」の精神ではありませんが、さすがにこれは・・・・。
戦地のヴェトナムではありますが、あくまで取材している記者という立場なので、けっこうのんびりとしておられたりもします。
ですがラスト、周りのいろいろなことにも影響され、軍のけっこう無茶な作戦に同行するんですね。
この命からがらの、恥も外聞も捨てての、必死の逃避がものすごい迫力で迫ってきます。
200人の大隊が17人になっていたなんて記述はぞっとします。
いまさらですが、なにをやっていたんだアメリカ、ですよね。
しかし作者もよく食らいついたなと。
もちろんそんな状況に巻き込まれての泣き言も書かれています。
そりゃそうでしょ。
実際に泥に顔を埋め込むほどの銃撃なんてされたら、ションベンちびりますし、日頃のプライドなんてないですよ。
この作品についてですが、小説としては淡々としていてルポタージュっぽいし、かといってルポとしては心情が描かれていて小説っぽい。
そういう意味ではどっちつかずな気もしました。
とはいえ、それはあくまで私自身の感想で、この作品の評価に物申すものではありません。
でも。
こんな小説書く作家、現在にいますか?
もちろん時代もあるでしょうけど。
戦場に飛び込んで命張って、その事実を身に染ませて消化して。
書く。
開高健、あっぱれ。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください