父親が失踪した家族。
残されたのは14歳の次男、17歳の長女、27歳の長男、42歳の母親、73歳の祖父。
次男は熱中していた陸上部を辞めて高校にも進学しないと言い出すし、長女は夜遅くまで帰ってこない。
長男は父親代わりに家計を支えるため必死に働きます。
母は酒浸りのアル中状態、祖父はボケ進行中。
家族バラバラといいますか、崩壊に向かっています。
家庭の大黒柱に家出された家庭はどのようになっていくのか・・・・。
求心力(?)を失った家庭のその後を、各人物の視点で描いています。
つまりそれぞれはそれぞれの事情を抱えているんだということですが。
これは書き方としてはありふれていますね。
ですがこの小説はただ家族を描いているだけでなく、それぞれの世代を描くことによって戦中戦後、バブル時代、その後、現在を描いておられます。
ここに作者のメッセージがあるように思えます。
大げさに言えば一家族を描きながら日本の歴史や価値観を描いている。
でもいまいち読み終えてぐっとくるものがありませんでした。
デビュー作がインパクトあったので、よけいにそう思ったのかもしれません。
ラベル:小説