東京電力という一流会社のOLが夜は売春婦として毎夜ホテル街に立っていました。
そして無人のアパートの一室で殺害されました。
当時は大きな話題になりましたね。
やはりなんといっても被害者がエリートだったというのが大きいです。
当時の彼女の肩書は企画部経済調査室副長。
なぜそんなエリートが売春などやっていたのか。
あるネパール人が犯人として逮捕されるのですが、証拠があまりにも不十分です。
しかし警察は強引に逮捕します。
著者は徹底した取材をし、被告人の無罪を主張します。
その通り、一審では無罪判決となりました。
ここまでを追ったのが「東電OL殺人事件」です。
これはその後を追った話であり、また前作を読んで感銘した読者たちに取材したりもしておられます。
一審で無罪になったものの、検察側は高裁に控訴します。
そして逆転有罪になってしまうのですね。
無期懲役。
不十分で説得力のない証拠にもかかわらず。
その後この裁判に関わった判事が少女買春で逮捕されます。
これについてもきっちりと取材。
この裁判で有罪を下した判事はどのような人物だったのかと。
それにしても司法なんていい加減なものですね。
裁判は客観的で公平なんてのは幻想です。
警察や検察、そして裁判に関わる者たちのさじ加減でどうにでもなる。
もし自分がこの被告人のような立場になったらと思うと、恐ろしくてなりません。
で、この事件といいますか、著者が記した「東電OL殺人事件」についての読者の反応はどうだったのか。
多数の手紙が寄こされたそうですが、ほとんど女性だったとか。
被害者に同感できるというんですね。
もしかしたらそれは自分かもしれないと。
この息詰まった世の中、そのような堕落願望、破滅願望のようなものは誰もが持っているのかもしれません。
男性はやはり性的好奇心で読んだ人が多いようです。
さて、前作本作と読みまして。
思いましたのは、やはり被害者の心の闇ですね。
そして被害者に自分を重ね合わせる女性たちの闇を思います。
マスコミの反応にも不満を覚えます。
そして司法の闇。
こんな判決がまかり通っていいのか。
ジャーナリストの筆で真実を書いていただき、ぜひともこのような理不尽に対抗していただきたいと無力な私は思います。
ラベル:ノンフィクション