2021年04月08日

「ケッヘル(上・下)」中山可穂

CIMG3788.JPG
CIMG3789.JPG

人妻の千秋と狂おしいほどの恋愛に落ちた伽椰。
どちらも夫のある身でありながら駆け落ちして二人で暮らし始めます。
しかし伽椰を愛するあまり千秋は手錠で二人をつなぐなど、常軌を逸し始めます。
さすがに耐えきれなくなった伽椰は隙を見て逃げ出し、逃亡。
千秋の夫辰巳直道はいま勢いに乗っている野心的な政治家で、妻に逃げられたなどとんでもないスキャンダルです。
妻を連れ去った伽椰にプライドを傷つけられ、見つけたらただではおかないと行方を追っています。
また捨てられた千秋も伽椰を恨んでいるはずです。
特に直道の怒りは相当なもので、日本にいては危険だと伽椰は海外に逃亡します。
そしてフランス北部のカレーで出会ったのが遠松鍵人という旅行会社を経営する人物。
鍵人はもはや旅費も尽きて日本に帰るしかない伽椰に、住むところと自分の会社での仕事を与えます。
日本に戻るのは危険だと思いつつも言葉に甘え、帰国して鍵人の旅行会社で働くことにします。
しかしその旅行会社はモーツァルティアンと呼ばれるモーツァルトを愛する人しか会員になれない特殊な会社でした。
伽椰はいきなりの任務で柳井という初老の紳士とウィーンに同行することになります。
それが悪夢のような日々の幕開けでした・・・・。
文庫本上下巻で1000ページ弱。
原稿1500枚の大作です。
またえらいのを書かれましたね、中山可穂さん。
もちろん女性同士の恋愛が描かれています。
主人公の伽椰と千秋、そして途中から出てくる安藤アンナ。
ただ今回はミステリーといいますか、サスペンスの要素が強い。
連続殺人事件ですよ。(笑)
そしてタイトルであるケッヘル。
これはケッヘルという人がモーツァルトの作品を整理するときに各作品に付けた番号です。
このケッヘルというのが登場人物の行動に大きく影響しています。
作者もこのこじつけ(笑)にはけっこう頭を使われたのではないかと。
伽椰の現状と鍵人の過去が章ごとに交互に書かれています。
そしてそれがだんだんとリンクしてきて。
ただやはりね、殺人の根拠としていくらなんでもとの思いがあります。
ミステリー作品としてはありなんでしょうけど、こちらは中山可穂の作品にそんなの求めてないですから。
こういう血なまぐさいやりとりは控えていただいて、やはり激しい恋愛にもっと重点を置いて書いていただきたかった。
でもそういう要素があってこそのこの作品であり、このボリュームなんですけどね。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください