2021年02月25日

「十兵衛両断」荒山徹

CIMG3771.JPG

柳生宗矩の屋敷に二人の朝鮮人が来訪します。
ひとりは過去に使節団として来日したときに知り合った人物、孫文彧です。
もうひとりは訳官の柳三巌。
どのような目的で自分を訪ねてきたのか。
宗矩は孫文彧の真意を測りかねます。
子息の十兵衛に引き合わせ願いたいという孫文彧。
宗矩は十兵衛をその場に呼びます。
しかしこれが間違いの元でした。
なんと十兵衛はノッカラノウムという妖術によって魂を乗っ取られてしまうのです。
十兵衛の体に柳三巌の魂、そして柳三巌の体に十兵衛の魂。
剣の達人十兵衛の体を奪った目的は何か。
そして貧弱な体を残された十兵衛と柳生家の運命は。
そこには恐るべ陰謀が・・・・。
短編集です。
すべてに柳生が登場するので、まあ連作ではあります。
しかし荒山センセイ、やってくれますねぇ。
二人の柳生十兵衛ですか。
しかも妖術ノッカラノウム。
この「十兵衛両断」のラストははっきりとした書き方をされていません。
そのあたりちょっと不満ではありましたが、まあこういう含みのあるラストもいいかと思っていたところ。
最後に収録されている「剣法正宗遡源」にて衝撃の真実が。
どっひゃ~っ! て感じですね。(笑)
いやもう、この破壊力。
参りました。
ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月23日

「ミーツ・ガール」朝香式

CIMG3754.JPG

激デブ激臭の女サトミにアパートに居座られてしまったワタベ。
毎日のようにコンビニにマンガ肉を買いに行かされてます。
いわゆるパシリです。
もちろん代金はワタベ持ち。
せっかく彼女ができたのにこれでは部屋に連れ込めません。
意を決したワタベは3か月も居座ったサトミをようやく力ずくで追い出すことに成功します。
そして10年後、サトミがバーの店長としてブログに写真が載っていると大学時代の友人に教えられるワタベ。
確認してみるとたしかにそれはサトミでした。
まったく姿を変えて・・・・。
う~ん、ちょっと無理があるんじゃないですか、サトミのキャラの変化に。
いくらなんでもルックスはまだしも性格はそうは変わらんでしょう。
100歩譲って最初の「マンガ肉と僕」だけならまあいい。
このあと4編の短編があるのですが、いわゆる連作形式ですね。
R-18文学賞を受賞した40ページ弱の「マンガ肉と僕」だけでは本になりませんから、書き下ろしたんでしょうけど。
でもこれがキャラ変したサトミを柱に据えてるからずっと無理を引きずってるんですよね。
最初の「マンガ肉と僕」のサトミじゃないだろ、これ、と。
タイトルも「マンガ肉と僕」ではアレなんで「ミーツ・ガール」としたのでしょうが、全体の内容に合ってないでしょう。
とにかく最初のサトミのキャラが浮いてしまっていて、収拾不可です。
無理に連作にしなくてもよかったんじゃないでしょうか。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月27日

「料理は女の義務ですか」阿古真理

CIMG3746.JPG

「料理は女の義務ですか」
なかなか挑発的なタイトルです。
たしかにいまだ料理は女性がするもの、という風潮はありますよね。
これについては当然いろんな意見や考えがあります。
で、著者は「料理とは何か」というところから始められてるんですけども・・・・。
問題提起はまったくいいです。
論ずるに値します。
でもこの本、タイトルと内容が合ってます?
タイトルを主題とするならば、あまりにも余計なことを書き過ぎです。
スープの歴史だの保存食がどうだの、食文化を検証する上ではなるほどと思いますが、「料理は女の義務ですか」の助走としてはあまり意味ないと思います。
それらで土台を固めたつもりなのかもしれませんが。
結局料理を通してジェンダーな問題を提起したかったんでしょうけど、それなら余計なことに頁を割かず、はなっからその問題をぶつければいい。
紹介されている料理の歴史はタイトルとはなんの関係もない。
料理史としては貴重だと思いますけども、文献からの紹介の羅列です。
んで、例えば土井義晴の「一汁一菜でよいという提案」という本について著者は言います。
和食の基本形を踏襲しているのがだめなんだとか。
右傾化の思想を連想させるとのこと。
大丈夫ですか、この人。(笑)
料理が女の義務なのかどうか、それについては非常に論じる価値のあるテーマです。
なら回りくどくなく真正面から取り組んでいただきたい。
「料理は女の義務ですか」という挑発的なタイトルの割にはまったくそれにふさわしくない内容の本でした。
イタかったというのが正直な印象です。
話の切り口を間違えましたね。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月13日

「あのころ、私たちはおとなだった」アン・タイラー

CIMG3740.JPG

自宅をパーティーなどの宴会場として経営しているレベッカ。
夫に先立たれ、現在は自身が経営者としてやりくりしています。
何年もそんな生活をしてきましたが、中年になり、ふとそんな人生はもしかしたら間違っていたのではないかと思い始めます。
かつて付き合っていたウィルという同年代の恋人がいながら、突如出会ったジョーという3人もの子連れの年上の男と電撃的に結婚。
もちろんウィルを捨てて。
そして今の生活があります。
しかしなんで自分はこんなとこで宴会場を盛り上げたりしているのだろうという疑問にかられるわけです。
昔の分岐点に戻ったら人生をやり直せるのではないか。
レベッカは思い切って昔の恋人ウィルに電話をかけます・・・・。
宴会場を経営しているレベッカは大家族です。
といっても同居しているのは義父のポピーだけですが。(たぶんそうだったと思う 笑)
しかし義理の娘3人や実の娘、それらの夫たち、義弟、実母や叔母、出入りの業者などなど、家にはいろんな人たちが出入りします。
これらの人たちが直接的間接的にいろんなことを言う。
義父のポピーはボケてるし。
日々のパーティーの予約をこなしつつ、家族たちが醸すドタバタ感を舞台にレベッカの日々が描かれています。
そんな中でかつての恋人と再会し、この男性と人生をやり直せるのではと思いつつ自宅に招いて家族に紹介もするのですが。
早くに夫を亡くし、ひたすら家業を守るために働いてきた女の人生とは何だったのかという問いかけがありまして、もし別の男と一緒になっていたらという妄想があります。
なので昔の恋人に電話して会ったりもするわけですが。
これがあまり重くならずに書かれているのが作者の個性なんでしょうか。
義父のボケっぷりがユーモラス。
個性のキッツイ娘たちもまた主人公のレベッカをニュートラルな立場にしています。
ウィルはお気の毒。
レベッカが周りの人たちに振り回されているような内容ですが、実際レベッカも相当周りを振り回してますよ。(笑)

↑今読み返してみましたが、書いてること支離滅裂ですね。
最近ちょっとだめですわ。(笑)
ラベル:海外小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月08日

「東スポ黄金伝説。」赤神信

CIMG3738.JPG

スポーツ新聞の中でも独特の個性といいますか編集方針でファンをつかんでいる東京スポーツ新聞。
著者はそんな新聞社に昭和40年代前半に入社しました。
東スポが現在に至るまで、どのような経緯があったのか。
どのような記者たちがいたのか。
現場を体験した著者によるノンフィクションです。
いやもう、荒唐無稽といいますか。
社長からしてとんでもない人物なのですが。
編集方針がすごいですね。
例えば三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地に乗り込み割腹自殺したとき。
他紙はもちろん1面三島です。
東スポはどうしたか。
『馬場流血の大惨事』だったそうです。
三島の割腹よりもプロレスのジャイアント馬場の流血。(笑)
そんな新聞社ですから個性豊かな社員たちばかりだったようで。
芥川賞作家の高橋三千綱が社員だったころのエピソードも紹介されています。
まさしくこの時期に芥川賞を受賞したようで。
まだ売れてなかった頃のツービート(北野武)なんかも関わってるんですね。
その後社長の死去などもあり世代交代し、見出しのハッタリがウリになってきます。
『ネッシー出産』。
あちこちから問い合わせがあったそうです。(笑)
マドンナが泊まった部屋のごみ箱にボラギなんとかという薬を発見し、翌日の見出しは『マドンナ痔』。
その他、『人面魚危篤』、『フセイン、インキン大作戦』、『タイソンの母親、性病』、『落合家チンポ丸出し』、『クリントン宇宙人と握手』。
試写を観てジャッキー・チェンが映画内で暴力団に撃たれるシーンがあったので、『ジャッキー・チェン暗殺さる』。
もうね、掴めばオッケーみたいな。
でもこういう新聞があってもいいですよね。
一服の清涼剤です。(笑)
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする