2020年03月30日

3月の一冊

今月は14冊読みました。

・「グルメの食法」玉村豊男
・「若冲」澤田瞳子
・「化学探偵Mr.キュリー3」喜多喜久
・「“食の安全”はどこまで信用できるのか 現場から見た品質管理の真実」河岸宏和
・「本棚探偵 最後の挨拶」喜国雅彦
・「サイン会はいかが? 成風堂書店事件メモ」大崎梢
・「大衆食堂」野沢一馬
・「過剰な二人」林真理子 見城徹
・「好き好き大好き超愛してる。」舞城王太郎
・「切羽へ」井上荒野
・「知っておきたい 日本の名字 名字の歴史は日本の歴史」監修:森岡浩
・「巷の美食家」開高健
・「牛乳アンタッチャブル」戸梶圭太
・「銀座バイブル ナンバーワンホステスはどこに目をつけるのか」向谷匡史

「グルメの食法」、各国料理についての解説、著者の見解が書かれています。
なるほどと思うことも多数。
「若冲」、江戸時代の絵師、伊藤若冲の半生。
作者なりの大胆な脚色で描かれています。
「化学探偵Mr.キュリー3」、化学を題材にしたミステリー短編集です。
内容的には可もなく不可もなくといったところ。
「“食の安全”はどこまで信用できるのか 現場から見た品質管理の真実」、現場をよく知る著者が業界の実態を明かして読者を啓蒙しておられます。
こういう類の本は頻繁に刊行されていますが、だからといって業界も消費者も大きく変わる気配はなく・・・・。
「本棚探偵 最後の挨拶」、シリーズ最終(?)となりました。
しかし著者のキクニさん、本業のマンガも面白いがエッセイもなかなか。
「サイン会はいかが? 成風堂書店事件メモ」、書店を舞台としたミステリー。
ミステリーとしてはちょっとどうかなという部分があるのですが、書店小説としては「書店ガール」よりもこちらのほうが先なんですよね。
「大衆食堂」、ファーストフードやファミリーレストラン、牛丼チェーンなどに押され、どんどん姿を消していく大衆食堂。
その魅力を伝える貴重な一冊です。
「過剰な二人」、個性も我もキツイ(笑)お二人の往復書簡的エッセイ。
作家の考え編集者の考えが共鳴します。
「好き好き大好き超愛してる。」、純愛の恋愛短編集(?)なんですかね。
読み終えてトータルでどう受け止めればいいのかよくわかりませんでした。
「切羽へ」、都会ではなく出来事がすぐに全体に伝わるような小さな島での話。
そんなシチュエーションでのちょっと危なく静かな男と女の機微。
「知っておきたい 日本の名字 名字の歴史は日本の歴史」、日本にはたくさんの名字がありますが、その由来はなんなのか。
誰もが考えたことのあるそんな疑問を解説した一冊です。
「巷の美食家」、美食家で大食家でもあった行動する作家の食エッセイ。
グルメを気取ったチャラい若造とは造詣が違います。
「牛乳アンタッチャブル」、雪印食中毒事件の対応を茶化した小説として途中までは面白く読んだんですけど。
でもそこから逸脱できなかったですね。
「銀座バイブル ナンバーワンホステスはどこに目をつけるのか」、内容が本当かどうか私にはわかりませんが。
でも自分の知らない世界の裏事情を知る楽しさがありました。

それでは今月の一冊の決定を。
「若冲」は読んでいて結構手応えありました。
でもあとになって印象が薄れてきたのは若冲のキャラの弱さか、物語のピントの弱さか。
「切羽へ」は染み入るものがありましたが、強く推すに至らず。
ということで、単純に読み物として楽しめた「銀座バイブル ナンバーワンホステスはどこに目をつけるのか」を今月の一冊に選びたいと思います。

CIMG3617.JPG

ラベル:今月の一冊
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月25日

「夢を食った男たち 「スター誕生」と歌謡曲黄金時代の70年代」阿久悠

CIMG3601.JPG

歌謡曲の全盛期といえば70年代。
そのブームを築いたひとつのきっかけとして『スター誕生』という番組がありました。
ここからデビューした歌手は実に多い。
森昌子、桜田淳子、山口百恵、岩崎宏美、ピンク・レディー、柏原芳恵、小泉今日子、中森明菜・・・・。
ビッグネームがずらりです。
もちろん消えていった人もいるわけですが。
そもそもはナベプロこと渡辺プロダクションがこの業界で半分以上のシェアを占め、その影響力は絶大でした。
そんなナベプロと日本テレビがある事情から絶縁戦争状態となり、ナベプロのタレントは使えなくなりました。
こうなると自前でタレントを育てなくてはなりません。
ナベプロとの戦争に勝つ。
そんな目標もあり生まれたのが『スター誕生』でした・・・・。
著者の阿久悠氏は審査員として番組にも登場していましたが、企画の段階からこの番組に関わっています。
まさかこのような化け物番組になるとは思いもよらなかったようで。
ピンク・レディーのエピソードなんてのもそれを象徴しているように思えます。
あまり期待もされず、まさかあんなに売れるとは誰も思わなかったようです。
普通期待の新人は、だいたい5月までにはデビューさせるとのこと。
新人賞を狙うには知名度やレコードの売り上げも考え、これくらいにはデビューさせないと間に合わない。
ところがピンク・レディーのデビューは8月だったそうです。
「大して期待されていなかったことが、この発売日の設定でもわかる」と著者は書いています。
実は同じ決勝大会でスカウトされた清水由貴子が大いに期待されていたのですね。
彼女は決勝大会前から一人勝ちが予想されていました。
本命があって対抗も大穴もいないとさえいわれていたようです。
そんな清水由貴子のデビューは翌年の3月。
期待の新人定番通りのデビュー予定です。
さて8月デビューのピンク・レディー、デビュー曲は『ペッパー警部』。
作詞・阿久悠、作曲・都倉俊一。
これが売れた。
発売1か月後には街のあちこちで子供たちが振り付けをまねて歌うほどのブームとなり、一気にスターへと駆け上がります。
こうなると翌年3月にデビューした本命であるはずの清水由貴子などぶっ飛んでしまいました。
「ピンク・レディーの猛威に吹き飛ばされる前に世に出ていたら、『お元気ですか』という曲は、もっと売れたはず」と著者。
他の世界でも蓋を開けてみなければわからないというのはありますよね。
プロ野球でもドラフト1位の選手が必ずしも活躍するわけではありません。
ハンカチなんたらという人のように。
逆にイチローなんかはドラフト4位でしたが、その後は世界のイチローです。
いやしかし、『スター誕生』という番組、芸能界に大きな影響をもたらしました。
そして作詞家である著者の阿久悠氏もまた一時代を築いた人です。
時代や人が上手く噛み合い、歴史は変わり、作られていくのですね。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月24日

「ごはんの力 素人庖丁記4」嵐山光三郎

CIMG3585.JPG

素人庖丁記シリーズ第4弾。
今回は「ごはんの力」ということですが、特にごはんに特化している内容ではなく。
表題作ではなんといっても炊きたての新米のうまさについて語っておられます。
米のブランド、とぎ方、炊き方。
そこから著者のチャーハンの作り方とかに話が移行するのですが、このあとごはんピザ、ごはんのたこ焼きなどという話になり、いつもながら食欲をそそられません。(笑)
この著者が紹介するレシピはたいがい食欲をウンザリさせるのですが、本気なのかネタなのか。
どちらもなのでしょうけど。
真っ当な食べ物の話を期待して読みますと「ふざけんな」となりますが、でもシニカルに本質を突いていたりして苦笑しながらも頷いたりします。
創作料理を超えて、グルメブームを嘲笑しておられる意図があります。
でもたしかに、そんな気取った食べ方よりも、ぶっちゃけこうしたほうが美味しいやんけ、みたいなことはありますよね。
誰も言いませんが、この著者はしっかりと言います。(笑)
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月18日

「増補版 ディズニーランドの経済学」粟田房穂 高成田享

CIMG3580.JPG

1983年に開業した東京ディズニーランド。
もう今年で37年になりますか。
しかし長く続いていますね。
2018年にはディズニーシーと合わせてですが、過去最高の入園者数を記録したとか。
まさに遊園地の中では独り勝ちの感さえあります。
アメリカ生まれのディズニーランドがなぜここまで日本に受け入れられたのか。
ハード面ソフト面、様々な角度からそれを分析しています。
この本が最初に出たのが1984年。
開業の翌年ですね。
あとがきには「この成功がいつまで続くだろうか」と書いたそうですが、40年近くも独走しているわけです。
著者もこれはさすがに予想外だったようですね。
まるで生命体のように姿を変化させていくとは思ってもみなかったと。
そう、このような施設はつねに進化し続けていないと飽きられてしまいます。
あの手この手を打ち出して客を呼び込んでいます。
アトラクションの追加、そしてディズニーシーを立ち上げ、東京ディズニーリゾートとして進化しています。
さて、10年後20年後はどのようになっているのでしょう。
少子化がどのように影響するのかも懸念ですね。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月16日

「かけら」青山七恵

CIMG3578.JPG

3編収録の短編集。
桐子は写真教室に通う女子大生。
家族5人でさくらんぼ狩りツアーに行く予定だったのですが、兄の小さい娘が熱を出し、心配した母が行かないと言い、兄も行かないと言い出します。
結局は桐子と父の2人で出かけることになります。
父と2人きりという状況がどうも気詰まりです。
しかし一緒に行動しているあいだ、桐子は父の今まで見たことのなかった顔を目にします・・・・。
他の2編もそうなのですが、共通して底辺に流れているのは所詮自分以外の人間のことなんてその正体はわからないということですね。
わからないのだけど、だからこそ(?)気になってぎこちなく意識してしまう。
父と娘であっても知らない部分はたくさんあるわけです。
「欅の部屋」は婚約者がいる男性が同じマンションに住む元カノの心境が理解できず、結婚を控えていながらも心を乱されるというような話です。
付き合っていた時に彼女がこのマンションに引っ越してきたのですが、いきなり一方的に別れを告げ、しかしいまだに同じマンションに住み続けています。
どうやら彼から乗り換えた相手とは破局したようですが。
もしかしてまだ自分のことを・・・・などとうぬぼれた気持ちを持ってしまったりもします。
「山猫」は西表島に住む叔母の娘が東京の大学に進学したいということで、東京を案内してあげてほしいと頼まれ、しばらく新婚家庭に寝泊まりさせることになります。
しかし表情もなく口数の少ないその少女は何を考えているのかわからない。
自分と夫とでは態度も違います。
彼女の言動が不快に感じ、声を荒げてしまったりもします。
人間、つい他人に自分が思い込んでいるイメージを求めがちですが、決してそんなわけはないのですね。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする