2019年11月08日

「恋歌」朝井まかて

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師の中島歌子が病に臥せ、留守宅の書類の整理を依頼された三宅花圃。
そこで花圃は歌子の手記を見つけます。
手記には歌子の壮絶な知られざる過去が記されていました・・・・。
中島歌子という人は樋口一葉の師として知られた歌人です。
花圃はその弟子で小説家。
物語はただ歌子が過去を語るのではなく、弟子が師の半生を読むという形式です。
時代は幕末の江戸。
商家の娘として育った歌子ですが、水戸藩士である林忠左衛門以徳の家に嫁ぎます。
尊王攘夷を掲げて活動する以徳ですが、やがて水戸藩で内乱が起き、歌子も投獄されてしまいます。
それでもひたすら行方の知れない以徳を思い続ける歌子。
波乱の人生です。
明治生まれのちゃらちゃらした若い娘たちに自分たちがどれだけ苦労してきたか、今の時代を作ってきたのは誰なのかというのを語って聞かせるという、いつの時代にもあるテーマでもあります。
この国をよくしようと命を賭けた男たちがいたのだと。
それを支え耐え忍んできた女たちがいたのだと。
静かに、しかし力強く訴えます。
弟子の樋口一葉に比べるとさほど一般に名前の知られていない中島歌子。
そんな人物に光を当てた佳作です。
ラベル:時代小説
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2019年10月14日

「ホセ・ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領」アンドレス・ダンサ/エルネスト・トゥルボブィッツ 

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ウルグアイの第40代大統領ホセ・ムヒカ。
給料の7割を寄付し、その質素な生活ぶりから『世界でいちばん貧しい大統領』と呼ばれていました。
元ゲリラで何年も投獄されていたという異色の大統領でもあります。
注目を浴びたのは2012年6月、ブラジルのリオデジャネイロでのスピーチ。
人間の欲、自国の利益しか考えない各国のエゴな政治などを指摘批判し、一躍世界的な注目を浴びました。
自国での政治では、例えば目立つところでは大麻の合法化なんてのがありますね。
われわれ日本人の感覚では「えっ」と思いますけど。
かなりざっくりといえば、麻薬密売者の仕事を奪ってしまうということです。
麻薬密売が違法であるからこそ、密売者たちが暗躍し生き延び、大きな影響力を持つようになってしまっている。
そして莫大な金が動きます。
これを合法化してしまえば密売組織は商売として成立しなくなります。
また麻薬中毒者をコントロールできるようにもなるだろうと。
現実はどうなんでしょう、思惑通りにはいっていないような記事も読んだ記憶がありますが。
ま、あまり政治や思想について語るのは好きではないので深くは触れませんが、しかし日本にウジャウジャいる口先だけクリーンな政治家たちとはまったく人物が違います。
先生と呼ばれてふんぞり返って、何が庶民のことをわかるものですか。
とは言いつつも、平和で飢餓もなく過ごせている日本の現状に私は感謝していますけどね。
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2019年07月16日

「石膏の家」青柳友子

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ミステリー短編集です。
フラメンコのギタリストである若い男がステージの自分をじっと見つめていた歳上の女に声をかけます。
ステージが終わった後は女の家へ。
女は大学教授を引退したという父親と広い家に2人暮らしです。
「なんでも好きなことをして暮らすがいい。私に遠慮は要らない」が口癖の父。
若い男と女は男女の関係になり、ギターのレッスンという名目で男が女の家に通うようになるのですが・・・・。(石膏の家)
いかにも古臭く簡単にネタバレする内容でした。(笑)
まあ40年近く前の作品なんで古さを感じるのは当然なんですけど、内容が薄っぺらいので古臭く感じてしまうのですね。
個人的には一番最後に収録されている「きれいな若い男」というミステリー色のない作品がよかったです。
作者は元々一般小説を書いておられたようですが推理小説に移行され、そちらの作家として知られています。
本職(?)のミステリーよりもその要素がない作品に惹かれるのは、私があまりミステリーが好きではないせいなのか単なる天邪鬼なのか。(笑)
ラベル:小説
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2019年05月21日

「三匹のおっさん ふたたび」有川浩

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シリーズ第2弾です。
三匹のおっさんは町内の私設自警団。
剣道のキヨ、柔道のシゲ、頭脳派のノリ。
還暦は過ぎたものの、まだまだジジイ扱いされてはたまりません。
さて今回はどのような活躍を見せてくれるのか・・・・。
第一話は清田家(キヨ)の嫁である貴子が主役。
この作品の登場人物ではあるものの、三匹のおっさんの活躍とはほぼ無関係。
第二話は書店での万引き中学生を扱っています。
この被害が書店にとってバカにならないというのは知られた話で、作者としても他人事ではありません。
個人書店が経営に苦しんでおられる昨今、作家としてメッセージを込められました。
第三話ではキヨの孫である祐希とその彼女でノリの娘である早苗の話。
ノリに再婚の話が持ち上がり、受験を控えた早苗が動揺し、祐希との仲が揺らいでしまいます。
第四話はイタズラでごみを不法投棄する中学生をこらしめる話。
第五話は町内の祭りを復活させるという内容ですが、これはシゲから居酒屋を受け継いだ息子の康生が活躍します。
第六話は三匹のおっさんの偽物(?)が登場。
なるほど、こういう話もあってしかるべきですね。
そして最後に「好きだと言えずに初恋は、」というボーナス・トラックが付いています。
「三匹のおっさん」とはまったく無関係な話です。
しかしこれがいい。
タイトルから連想できるでしょうが、甘く切ない話です。
なんだか記憶にあるような気がしつつ読み進めたのですが、これ「植物図鑑」の番外編となっているのですね。
う~ん、こう来たか。
ただ、なんでこの本に収録したのかよくわからないのですが。
単に収録先がなかったんですかね。
これも含めて今回はバラエティがある内容といえます。
主役が貴子さんだったり、祐希と早苗の話だったり、康生が尽力する話だったり。
さすがにそれぞれ独立した話として上手いのですが、三匹のおっさんの話としてはそのぶんちょっと物足りない気もします。
活躍も中学生のガキ相手だったりですし。
今後第3弾はあるのでしょうか。
あれば読んでみたいです。
ラベル:小説
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2019年04月07日

「叙々苑 「焼肉革命」」新井泰道

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著者は高級焼肉店として知られる『叙々苑』の創業者です。
2016年に創業40周年を迎えられたとのこと。
現在(2016年)は全国に直営店60店を構え、正社員数864名、総従業員数2550名、総売り上げ204億円。
立派なものです。
そんな創業者が自身の半生と店の歴史について語ります・・・・。
なんだか自費出版レベルの本ですね。
しょぼい・・・・。(笑)
いや、もちろん著者の経歴がそうだというわけではなく、内容の構成といいますか、作りが。
ただまあ内容も芸能人に支持されているとかなんとか、ちょっと鼻につく部分はありますけども。
読みやすくていいんですけどね。
でもちょっと軽すぎるんじゃないかという気がしました。
ラベル:グルメ本
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