2020年06月20日

「君が好きだから」井上美珠

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美佳は29歳。
翻訳家兼小説家です。
現在独身ですのでやはり30歳を前にしてちょっと焦っています。
そんなところに突如お見合いの話が持ち上がります。
相手の紫峰は少し年上で長身でかっこよく、職業はSP。
自分とはまったく不釣り合いな相手だと思っていたのですが、なんと即プロポーズされます。
あっという間に結婚となるのですが・・・・。
このエタニティシリーズには珍しく、最初から結婚しているという設定です。
普通は出逢って付き合ってやがて結婚でハッピーエンド。
番外編としていまだラブラブな新婚生活が描かれていたりするんですけどね。
これはもういきなり夫婦。
それまでのいきさつは紹介されてますけど。
美人でもなくスタイルもよくない主人公に、なぜかカッコイイ男性がベタボレで。
まあ女性の理想を作品内で実現しておられます。
ちょっと話の作り方が雑だなとは思いましたが、主人公の美佳も夫の紫峰もひたすら相手に懸命で、細かいことはどうでもいいかと。(笑)
読んでいてそんな気分になってしまいました。
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2020年05月27日

「末裔」絲山秋子

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富井省三が帰宅するとドアに鍵穴がなかった。
そんなバカな。
しかしないものはない。
家の脇を通って裏に出るにも粗大ゴミが押し込まれ、隣からゴミ屋敷といわれるような状態。
とても通り抜けられません。
妻に先立たれ、息子は結婚して家庭を持ち、娘は家を出て消息不明。
つまり省三は一人暮らしで、中から開けてくれる者もいません。
家を閉め出されてしまい、町を彷徨うことになります。
謎の占い師と出会い、しゃべる犬と出会い、夢と現実のあいだを行き来し、やがて省三は現在誰も住んでいないはずの鎌倉の亡き伯父宅にたどり着きます・・・・。
いままで読んできたこの作者の作品とはちょっと雰囲気が違いますね。
かなりシュールです。
笙野頼子のような筒井康隆のような。
省三に起こっていることは夢なのか現実なのか。
これが横軸だとしたら、自分の人生や家族の人生、そして町や家の歴史や記憶といったものが縦軸となるのでしょうか。
この縦横さがなんとも私にとっては体の具合が悪い時に見る悪夢のような雰囲気を感じさせるのですね。
ノスタルジーな雰囲気もあるのですが、先が見えている人生に対しての冷ややかな諦めも感じますし、開き直りも感じます。
私にとってはちょっと難しかったですけど。
ラベル:小説
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2020年03月20日

「切羽へ」井上荒野

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どことは書かれていませんが、南方にある炭鉱で栄えた離島。
そこでセイは小学校の養護教諭をしています。
夫の陽介は画家。
親しくしている老婆のしずかさんや無邪気な子供たちに囲まれ、地味ながらも平穏な日々です。
同僚の女教師月江は本土から定期的に愛人がやってくるような奔放な女性ですが。
そんな島に石和という男性教師が赴任してきます。
なぜか石和の存在が気になるセイ。
そんなセイの戸惑う心理を気づかぬふりで黙って見守る陽介。
月江は石和とデキてしまい、愛人の妻が乗り込んできて騒ぎとなり、しずかさんは亡くなり、セイの心も乱れます・・・・。
タイトルの「切羽」というのは炭鉱や鉱山の現場、掘進方向における掘削面のことだそうで、この作品では主人公がこのようなセリフを口にします。
「トンネルを掘っていくいちばん先を、切羽と言うとよ。トンネルが繋がってしまえば、切羽はなくなってしまうとばってん、掘り続けている間は、いつも、いちばん先が、切羽」。
昔セイの母親がトンネルの先で綺麗な十字架を拾い、父親がどうやってこのようなものを見つけてくるのかと訊いたときに、「切羽まで歩いていくとたい」と。
う~ん、「掘り続けている間は、いつも、いちばん先が、切羽」、「切羽まで歩いていくとたい」、この言葉に私はなんともやられましたね。
切羽というのはトンネルの先端なわけで。
掘っている間は目の前のそれがすべて。
でも貫通してしまうとそれはあっけなく崩壊して、その先になにがあるのかわからない。
しかしひたすら切羽を先に進めていく・・・・。
今回もやはり静けさの中に不穏な怖さを感じました。
いや、怖さじゃないですかね。
逆に温かな優しさかも。
それはセイの夫である陽介です。
彼は明らかにセイが石和に惹かれているのを感じている。
しかしなにも言わない。
じっと見守っている。
大きいですね。
でもちょっと怖い。(笑)
ラベル:小説
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2020年02月15日

「最終増補版 餃子の王将社長射殺事件」一橋文哉

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2013年、『餃子の王将』の社長が射殺されるというショッキングな事件がありました。
いまだに事件は解決していません。
犯人は誰なのか、どのような理由なのか・・・・。
事件から6年以上ですか。
もう話題にもならなくなりました。
『餃子の王将』という大きな会社の社長が射殺されるだなんて、どのような事情があったのでしょう。
本書を読みますと、いろんな理由や犯人が推測されます。
中国への進出。
暴力団、中国マフィアも絡んでいます。
複雑な事情があるのですが、これといって決め手はありません。
いまだに犯人はわかりませんし、わからない以上その動機も不明です。
この本が文庫化されて最終章が追加されたのは平成28年。
その時点で「迷宮入りの匂いが漂い始める中、水面下の深いところで何かが動き出す兆候が窺える」とあります。
しかしそれから3年。
やはり事件は解決していません。
なんなんでしょうか。
非常に不気味で怖い事件ですね。
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2020年02月07日

「変わる家族 変わる食卓 真実に破壊されるマーケティング常識」岩村暢子

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1960年以降に生まれた、子供を持つ主婦を対象に食卓のアンケートを実施。
3段階に分けたアンケートです。
まずは筆記。
食事作りや食生活について。
第2段階では1日3食分、1週間連続で毎日の食卓の記録と写真を提出してもらいます。
そして第3段階では第1段階と第2段階の結果を突き合わせて分析し、面接で詳細を問います。
予想通り最初のアンケートと実態は思いっきりかけ離れています。
アンケートではできるだけ手作りしている、野菜をたっぷりと取り入れているなど聞こえのいい回答なのですが、実態はほとんどコンビニなどの出来合いや冷凍食品、ファーストフード、そして野菜なんてごくわずか。
というか、その前に料理自体していない。
以前に読んだ著作も同じ内容なのですが、もうほんと読んでいてこれほど腹が立ってストレスが溜まる本もないでしょう。(笑)
主婦たちの言い訳の口の減らなさといったら。
仕事で遅くなったので夕食はコンビニのお惣菜で済ませた、って短時間パートで夕方4時上がりだったりします。
昼間は忙しかったので夕食を作る時間がなかった、ってママ友とランチでだべってただけだったりします。
わたしは朝が弱い人なので朝食は作りませんとか。
主人も子供も勝手に好きなものを食べてますとか。
料理を作るにしても栄養とかバランスとかまったく考えていない。
そもそも母親に料理を教わっていないので作れない。
それをまったく悪びれない。
なんなんでしょうか、この人たちは。
まさしく“豊かな国ニッポン”の弊害ですよね。
これを読みますと、食生活に限らずですが、アンケートなどというものはなんのアテにもならないということに気づかされます。
アンケートの回答なんて上辺だけの体裁のいい理想論です。
実態はまったく別。
なのでメーカーがアンケートを信用して商品開発なんかすると、とんでもない失敗をしてしまったりするんですね。
上辺の回答を鵜呑みにしてはいけません。
さて、著者はあとがきに書いておられます。
これは現在の主婦の実態を暴いて糾弾する本ではないと。
そう、著者は決してそのような主婦たちを批判しておられません。
しかし耳が痛いというか胸が痛いというか、心当たりのある人たちからは批判の声があるようです。
こいつらどこまでふてぶてしいのか。(笑)
しかし食糧面でも健康面でも、このしっぺ返しは必ずやってきます。
間違いなしに。
ラベル:グルメ本
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