2019年10月10日

「銀翼のイカロス」池井戸潤

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出向させられていた先から東京中央銀行第二営業部次長に復帰した半沢直樹。
その第二営業部が頭取の意向もあり、ある会社を任されます。
破綻寸前の帝国航空です。
審査部が扱っていたはずの帝国航空をなぜ第二営業部が。
しかも頭取が直々に半沢を指名です。
政権交代した新政権はタスクフォースという再建機関を立ち上げ、帝国航空再建のため東京中央銀行に500億円もの借金を棒引きにしろと要求してきます。
そんな無茶な話を飲めるわけがありません。
半沢は拒否しますが、銀行内上層部にはこれを受け入れるよう圧力をかけてくる人物がいます。
常務の紀本です。
半沢はこの窮地をどのように凌ぐのか。
そしていったいこの件にはどのような裏があるのか・・・・。
半沢直樹シリーズ第4弾。
銀行に復帰した半沢にいきなりの試練です。
まあパターンはいつも一緒なんですけどね。
半沢が煮え湯を飲まされた顧客や上司に起死回生の一発をかまして留飲を下げるという。
ですがそれをどう読ませるかが話なわけで、そこをぐいぐい読ませるのがこの半沢直樹シリーズであり池井戸潤という作家なわけです。
一気に読ませますね。
半沢を始め、それぞれのキャラがいい。
脇を固める渡真利や近藤といった同期の友人たち。
今回半沢の片腕となる部下の田島。
上層部と半沢の間に立ち、苦渋しつつも半沢を見守る上司の内藤部長。
そして銀行のトップである中野渡の心情にも今回は触れられています。
で、あのオネエキャラ金融庁の黒崎も登場し、半沢との対決があります。
でも、あの嫌味な黒崎が実はちょっといいヤツだったりして。
やっぱりこのシリーズは面白い。
もう5年も新作が出ていませんが、これで最終なのかなぁ。
ラベル:小説
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2019年08月21日

「この本、おもしろいよ!」岩波書店編集部 編

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各界のいろんな人がお薦めの本を紹介しておられます。
岩波ジュニア新書ということで、対象は中学・高校生あたりですね。
執筆しておられるのは、作家ではあさのあつこ、豊島ミホ
タレントでは中江有里、音楽家では五嶋龍など。
紹介されている本も青春小説やライトノベル、海外小説、純文学や古典などいろいろ。
ジュニア向けとは言えども本好きな大人にもじゅうぶん参考になる内容です。
書評というような大げさなものではなく、堅苦しくなく読みやすいのもいいですね。
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2019年07月20日

「天才シェフの絶対温度 「HAJIME」米田肇の物語」石川拓治

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開店から1年5か月の史上最速でミシュラン三ツ星を獲得したというレストラン、「HAJIME」。
シェフは米田肇。
米田はどのように料理と出会い、そして最高峰にたどり着いたのか。
天才シェフの経歴を辿るノンフィクションです。
私も今までいろんな料理人について書かれた本を読んできましたけど、このシェフの経歴というのはそれらとは全く異質ですね。
大卒でサラリーマンをやり、それを辞めて料理学校に進んでおられます。
その後はもちろん各店で修行となりますが、先輩たちはみな年下。
そんな中でやってこられたのですね。
また料理一筋というわけではなく、正道会館で空手もやっておられ、かなりの腕前だったようです。
そんな武闘派ではありますが、料理に関してのこだわりは病的なほど。
まあ本場フランスでも三ツ星シェフとなればそれも当然なのですが。
私もこの店がある大阪在住ですが、訪問したことはありません。
というか、もうここ何年もフランス料理とは遠ざかっております。(笑)
写真などで料理を見た印象ではミシェル・ブラスの影響を感じましたけども。
とにかく料理に渾身の思いを込めておられるというのはこの本を読んでひしひしと伝わりました。
機会があればこの天才シェフの料理、ぜひ味わってみたいものです。
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2019年07月06日

「黒白 剣客商売 番外編(上・下) 」池波正太郎

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御前試合で秋山小兵衛に敗れた小野派一刀流の道場を構える波切八郎。
なんとしても小兵衛のような剣客と真剣での勝負をしたい。
八郎は小兵衛に真剣勝負を申し入れ、小兵衛は2年後にと約束をします。
しかし八郎は辻斬りをしていた弟子を成敗したため自分にはもう人に教える資格はないと出奔し、それをきっかけに身を持ち崩し、人斬りが商売のようになってしまいます。
こんなことでは秋山小兵衛の前に姿を現すことはできない。
勝負の約束を破るなど剣客として許されることではありません。
よほどの事情があってのことだろうと小兵衛は察するのですが。
やがて八郎と小兵衛は思わぬ形で交わることになります・・・・。
シリーズ番外編です。
旧版と新装版なので表紙がちぐはぐですが。(笑)
上下巻合わせて1000ページ以上になるのでシリーズ最長編ですね。
やはりこれだけの枚数のせいか八郎と小兵衛の二人の視線で書かれており、やや落ち着きがない気がしないでもない。
物語は小兵衛が三十代前半の頃と若いのですが、あまり本編の小兵衛と変わらない気がします。
すでに老けているんですね。(笑)
波切八郎のキャラがいい。
小兵衛と対峙する立場ではありますが、決して悪人ではなく、善人であるがゆえの悲劇といいますか。
根を詰めず、もう少し大らかな生き方ができなかったものかと思います。
だからこそドラマになっているのですが。
相変わらず作者が作品の中にしゃしゃり出てきて現代の話をするのだけはどうも白けてしまいます。
ラベル:時代小説
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2019年07月04日

「食べもの屋の昭和 伝えたい味と記憶」岩崎信也

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元号が令和になりまして、平成を挟んでその向こうの昭和というと、昔な時代という印象がますます強くなりました。
この本では老舗といわれる食べもの屋を取材することにより、昭和の前半あたりまでの様子を聞き取れるかという試みをしておられます。
出版されたのが平成20年。
昭和が終わって20年ということです。
その当時の店主に店の歴史を訊き、覚えておられる限りの昔の話を聞いておられます。
昭和というのは歴史的にも戦中戦後、高度経済成長などがあり、目まぐるしく文化が変動していった時代でした。
なので昭和という時代を経験している人たちにとっては独特の思い入れやノスタルジーがあるんですよね。
今後数十年経って振り返っても、平成という時代にはそのような特別感は無いように思います。
さて、この本で紹介されている食べもの屋は29店。
東京では天ぷらの「てん茂」、そばの「池の端藪蕎麦」、うなぎの「野田岩」、どじょうの「伊せき」など。
私の住む関西では小鯛雀鮨の「すし萬」、すっぽんの「大市」などが紹介されています。
老舗といわれる名店の重みがずっしりと伝わります。
しかしただ単に店の歴史を知るだけではなく、当時の食文化、風俗を知ることができるのが貴重です。
それでもやはり時が流れるにつれ、取材に応じられた店主は亡くなられたりしていますし、惜しまれながら閉店してしまった店もあります。
ますます昭和という時代がノスタルジックに、幻になっていくような気がしてしまいます。
サブタイトルに「伝えたい味と記憶」とありますように、ほんと残していきたいですよねぇ。
ラベル:グルメ本
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