2019年07月04日

「食べもの屋の昭和 伝えたい味と記憶」岩崎信也

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元号が令和になりまして、平成を挟んでその向こうの昭和というと、昔な時代という印象がますます強くなりました。
この本では老舗といわれる食べもの屋を取材することにより、昭和の前半あたりまでの様子を聞き取れるかという試みをしておられます。
出版されたのが平成20年。
昭和が終わって20年ということです。
その当時の店主に店の歴史を訊き、覚えておられる限りの昔の話を聞いておられます。
昭和というのは歴史的にも戦中戦後、高度経済成長などがあり、目まぐるしく文化が変動していった時代でした。
なので昭和という時代を経験している人たちにとっては独特の思い入れやノスタルジーがあるんですよね。
今後数十年経って振り返っても、平成という時代にはそのような特別感は無いように思います。
さて、この本で紹介されている食べもの屋は29店。
東京では天ぷらの「てん茂」、そばの「池の端藪蕎麦」、うなぎの「野田岩」、どじょうの「伊せき」など。
私の住む関西では小鯛雀鮨の「すし萬」、すっぽんの「大市」などが紹介されています。
老舗といわれる名店の重みがずっしりと伝わります。
しかしただ単に店の歴史を知るだけではなく、当時の食文化、風俗を知ることができるのが貴重です。
それでもやはり時が流れるにつれ、取材に応じられた店主は亡くなられたりしていますし、惜しまれながら閉店してしまった店もあります。
ますます昭和という時代がノスタルジックに、幻になっていくような気がしてしまいます。
サブタイトルに「伝えたい味と記憶」とありますように、ほんと残していきたいですよねぇ。
ラベル:グルメ本
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2019年06月22日

「美人の時代」井上章一

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美人と不美人、どちらがトクか。
これはもう当然美人なわけですね。
まだ女性が社会進出していなかったころ、結婚して家庭に入るのが女の幸せと思われていました。
ヘタに高学歴なんかだったりするとせっかくの器量が台無しになって嫁に行き遅れてしまう。
なので勉強なんかしなくていいと。
しかし不美人は結婚が難しいので、勉強して仕事を身につけたほうがいい。
というわけで、いわゆるキャリアウーマンというのは不美人が多かったわけです。
器量はよくなくとも仕事が武器になりました。
ところが現在のように女性が社会進出する時代になりますと当然美人もわんさかと溢れてくるわけでして、そうなるとやはり不美人のキャリアウーマンよりも美人のキャリアウーマンのほうが注目されることになります。
フェミニストからすればふざけるなということになるでしょうが、やはりこれは厳然たる事実でしょう。
さて、女性の顔に怪我をさせた場合、美人と不美人では賠償額に差が出るのでしょうか。
美人と不美人では弁護士の攻め方も変わってくるのか。
裁判官の心証は。
著者は弁護士にインタビューします。
その答えは・・・・。
ラベル:エッセイ
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2019年06月06日

「世界一周ひとりメシ in JAPAN 」イシコ

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前作で世界一周の旅に出かけ、あちこちの国でひとりメシをした著者。
それ以来日本を出ておられないとのことです。
しかし日本にはいろんな国の人が住んでおられ、自国の料理を出す店を経営しておられる方も多数いらっしゃいます。
それならばそれらの店を巡ることにより、日本国内で世界一周気分を味わえるのではないか。
そう思いついた著者はさっそく世界一周に出かけたのでした。(日本だけどね)
周った国(店)は20か国です。
お隣の韓国や中国、イラン、トルコ、ナイジェリア。
ロシア、ブラジル、カンボジア、などなど。
どの店もその国の人が経営しておられ、現地の雰囲気がプンプン。
店内だけででも現地の食堂の疑似体験ができたようですね。
ひとりメシができないという人も多い中、このような店にはなかなか飛び込めるものではありません。
しかし海外でひとりメシしてきた著者ですから、それに比べたらなんだかんだいっても国内ですからね。
とはいえ、店に飛び込む勇気も必要ですが、出された料理に対応できる舌と胃袋も必要です。
出されてこりゃ食えんというわけにはいきませんし。
むしろそちらのほうがすごいことかと。
ミャンマー料理店では竹蟲なんて蛾の幼虫を炒めた料理なんかも食べておられます。
まあそのようないかにも現地な料理を食べてこその“世界一周”でしょうけど。
ラベル:グルメ本
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2019年04月19日

「男は旗」稲見一良

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スエーデンの大富豪のプライベート・ヨットとして建造され、かつては“七つの海の白い女王”と謳われたシリウス号。
現在は繋留され、ホテルとして第二の人生を過ごしています。
しかし経営は思わしくなく、下品な大資本の商事会社が買収を企み、この船に隠されているという宝の地図を狙ったギャングにも目をつけられます。
いよいよ買収というその日、キャプテンの安楽さんを始め、精鋭のクルーたちは秘かにシリウス号を出港させます。
古地図に記された宝島を求めて・・・・。
今まで読んできた稲見作品とはちょっと雰囲気が違うなと。
ややファンタジーなタッチの冒険小説です。
個性ある面々が助け合い、絆で結ばれ、夢を追いかける。
しかし決して甘っちょろくはなく、ハードボイルドな締りがあります。
ただ枚数的に少ない気がしました。
できればもっと多い枚数でガッツリどっしり読みたかった気がします。
ラベル:小説
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2019年03月18日

「妻の超然」絲山秋子

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ブランド物の派手なパンツを穿いて帰ってくる夫の文麿。
洗濯カゴに入ったそれを見て妻の理津子は考えます。
洗ったものか、どうしたものか。
捨ててもいいのではないか。
吝嗇な夫が自分でこんなパンツを買うはずもなく明らかに愛人に買ってもらったものなのですが、そんなのを平気で洗濯カゴに放り込んで妻が気付かないとでも思っているのか。
もし女が乗り込んできたとしても、こんな男どうぞお持ち帰りくださいとくれてやってもいいのだが・・・・。(妻の超然)
九州男児なのに酒が飲めない僕。
あまり人付き合いが好きではない僕ですが、話の合う彼女ができます。
しかし彼女は酒好きです。
飲めないながらも付き合ってきましたが、NPO活動を強要されるようになって・・・・。(下戸の超然)
首に腫瘍ができた作家の「おまえ」。
入院、手術という経過の中で、自分を見つめ、文学を見つめ、「おまえ」は考えます・・・・。(作家の超然)
タイトル通りどの主人公も超然と構えています。
それはなんといいますか、どの主人公も自分の世界観を持っているのですね。
ある意味傲慢といってもいいかもしれません。
しかしラストで感じられる主人公たちのそれぞれの考えには相違があります。
それは結果的に再生であったり、信念であったり、希望であったり。
はて、超然というのはなんなのか。
孤高の意志であるのか。
私も超然と毎日を過ごしたいなと思いますが、なかなかそうもいきません。(笑)
ラベル:小説
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