2019年02月26日

「シマコの週刊!?宝石」岩井志麻子

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今は無き『週刊宝石』。
えっ、廃刊してたの?
この本を読むまで知りませんでした。(笑)
今はあまり書店に行くこともなく(ブックオフばかり)、行ったとしても雑誌売り場には近寄りませんから。
そうですか、無くなってましたか。
高校生時代に『週刊宝石』を愛読していたという著者が、その編集部の残党とともに『小説宝石』の中で復活を企画しつつ連載したのがこの本です。
昔は私もよく立ち読みしていましたよ。
そう、この本でもメインのネタとして取り上げられている「処女探し」、「オッパイ見せて」という企画。
今からすれば馬鹿馬鹿しいというか可愛げがあるというか、しかし当時の男性連中はこの企画にウハウハしていたのですね。
そんな企画の裏話が読めて実に面白い。
エロ雑誌ではなかったのですが、一般誌の体裁を保ちつつエロ企画で楽しませてくれた週刊誌でした。
ですがネットでこれほどエロが蔓延しますと、この程度ではさすがに読者を引っ張り切れなかったのか。
もちろんエロだけではなくちゃんとした記事も掲載していたのですが。
まあこれも時代でしょう。
こういう週刊誌があったという回顧録的な一冊でしょうか。
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2019年01月17日

「果つる底なき」池井戸潤

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銀行員、伊木の同僚である坂本が急死します。
アレルギーのためのショック死だとのことです。
坂本の車の中に何者かがアシナガバチを忍ばせ、それに刺されてのアナフィラキシーショックによるものです。
警察はこれを殺人と見ます。
実は死んだ坂本の妻は伊木のかつての恋人でした。
伊木の元を訪れた刑事は遠回しに伊木に疑いをかけてきます。
坂本はなぜ死なねばならなかったのか。
これは殺人なのか。
坂本は死ぬ直前、伊木に「これは貸しだからな」という謎の言葉を残していました。
その言葉はいったい何を意味するのか。
真相を探るべく、坂本のパソコンから死ぬ直前までの仕事を調べるうちに、伊木はいろんな不審に突きあたります・・・・。
半沢直樹シリーズ下町ロケットシリーズなどで人気の池井戸潤氏のデビュー作です。
第44回江戸川乱歩賞受賞作。
作者は元銀行員ということで、実にその経験と知識を活かした作品となっていますね。
といっても私はそちら方面はちんぷんかんぷんですけども。(笑)
しかし些細な部分でもその経験によるリアリティからくる周到さが土台をがっちりと固めてるなという印象を持ちます。
不正やいびつに膨れ上がった組織、それを利用して肥え太っている卑しい人物たちに抵抗する正義感。
デビュー作からその姿勢は明快です。
ラストはちょっとバタバタと強引に風呂敷を畳んだ感を持ちましたが、このあたりは謎解きミステリーの宿命ですかね。(笑)
ラベル:小説
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2019年01月05日

「モダンタイムス(上・下)」伊坂幸太郎

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渡辺拓海はシステムエンジニア。
ブログラムのシステムを改良する仕事を任されます。
ごく簡単な仕事のはずなのですが、なぜか優秀なエンジニアである先輩の五反田正臣がこの仕事から逃げ出したというのです。
渡辺は後輩の大石倉之助と共に仕事場に出向き、もう一人よその会社のプログラマーである工藤と仕事を進めます。
どうやら出会い系ウェブサイトのようなのですが、しかしプログラムにはやたら不明な点があります。
発注元に問い合わせようにも連絡先さえわかりません。
やがて関係者たちを不幸が襲うのですが、どうやらある言葉を組み合わせて検索したのが原因らしいと判明します。
いったいそのプログラムには何が隠されているのか。
裏にはどのような人物や組織が存在しているのか・・・・。
なかなか奥行きのある作品ですね。
なんのためのシステムなのかという謎を大きな軸にして、5年前の中学校銃乱射事件や政治家なども関わってきます。
そして渡辺の妻である佳代子や不倫相手の桜井ゆかりも何者かわからない。
謎だらけのまま話は進んでいきます。
ラストに向かってだんだんと謎が収束されていくわけですが、他の伊坂作品と比べるとその収束感はタイトではありません。
というか、ビシッと収束できるテーマではありませんから。
この作品は「魔王」の続編といいますか、その後の世界を描いています。
といっても「魔王」を読んでいなくてもなんら問題はありませんが。
私が今まで読んだ伊坂作品の中ではこれがいちばん読み応えがあり、よかったと思います。
ラベル:小説
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2019年01月01日

「マンガ家アシスタント物語」イエス小池

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マンガ家・ジョージ秋山氏のアシスタントを務めて32年。(当時)
いつかは独立して自分もマンガ家にという夢を持ちながらも長大な年月が流れていました。
年齢もいつのまにやら54歳。
32年間のアシスタント生活とはどのようなものだったのか・・・・。
マンガ家のアシスタントというと弟子のようでもあり、それはそれで職業のようでもあり。
まあアシスタントをやっている人というのはほとんどがデビュー → 連載を目指していることでしょう。
しかしこれがなかなか。
気持ちがあっても作品を仕上げない人が多いようで。
自分の作品を描く時間がないというのもありますし、あってもそのうちそのうちとダラダラ先延ばしにしてしまったりします。
著者もけっこうそのクチだったようです。(笑)
私もアシスタントの経験がありますし、デビューもして同時進行でちょっとした連載も持っていました。
数年やりましたが結局鳴かず飛ばずでしたけどね。(笑)
この本はアシスタント物語ということですが、マンガ制作の内容にはあまり触れられていません。
なのでアシスタントの仕事というよりも、アシスタントの生活といった趣ですね。
割り切ってプロのアシスタントとしてやっていくのならともかく、ずっとデビューや独立を意識しておられるところがどうにもやるせない。
結局はデビューもして何作か掲載されたものの、現在はアシスタントも引退され、タイに移住されたようです。
デビューして連載を持って作品がヒットして、なんてほんの一握りの人だけです。
そのほんの一握りの人でさえ「あの人は今」状態になるのがこの世界。
ましてや何十年も続けるなんて奇跡のような世界です。
これはブログを書籍化したものですが、そのせいか(?)一冊の本としてはややまとまりがないというか散漫な印象がありました。
でもアシスタントを考えておられる人たちには何かと参考になると思います。
ラベル:漫画本
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2018年10月16日

「猟銃・闘牛」井上靖

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日本猟人倶楽部という機関誌に一編の詩を掲載した主人公。
それをきっかけにある男性の読者から手紙をもらいます。
13年間不倫をしていたその男性に届いた3通の手紙が主人公に送られてきたのです。
手紙の送り主は妻、愛人、愛人の娘です。
その手紙を紹介することによって男と女の愛憎が浮かび上がります・・・・。(猟銃)
新聞社に勤める主人公が社運を賭けたイベントとして、球場で闘牛を開催することにします。
イベントの成功に向けて奔走する主人公。
それを傍で見る愛人。
社運を賭けた大きなイベントにも関わらず、そこには寂しく冷めた雰囲気が漂っています・・・・。(闘牛)
他、一編。
いずれもトーンは暗い。
「猟銃」は周りの女性からの手紙で不倫の関係を描いているわけですが、しかしなんでわざわざ他人にそんな自分宛ての女からの手紙を送りつけるかなと。(笑)
それを言っては話にならないのですが。
「闘牛」は決してハッピーエンドではありません。
そこがいい。
主人公の仕事や愛人に対して熱いように思えてどこか冷めている虚無感といいますか、寂しさといいますか。
そのあたりにスパイスを感じました。
この作家の作品は初めて読んだのですが、意外と大衆小説的な印象を持ちましたね。
ラベル:小説
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