2019年03月18日

「妻の超然」絲山秋子

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ブランド物の派手なパンツを穿いて帰ってくる夫の文麿。
洗濯カゴに入ったそれを見て妻の理津子は考えます。
洗ったものか、どうしたものか。
捨ててもいいのではないか。
吝嗇な夫が自分でこんなパンツを買うはずもなく明らかに愛人に買ってもらったものなのですが、そんなのを平気で洗濯カゴに放り込んで妻が気付かないとでも思っているのか。
もし女が乗り込んできたとしても、こんな男どうぞお持ち帰りくださいとくれてやってもいいのだが・・・・。(妻の超然)
九州男児なのに酒が飲めない僕。
あまり人付き合いが好きではない僕ですが、話の合う彼女ができます。
しかし彼女は酒好きです。
飲めないながらも付き合ってきましたが、NPO活動を強要されるようになって・・・・。(下戸の超然)
首に腫瘍ができた作家の「おまえ」。
入院、手術という経過の中で、自分を見つめ、文学を見つめ、「おまえ」は考えます・・・・。(作家の超然)
タイトル通りどの主人公も超然と構えています。
それはなんといいますか、どの主人公も自分の世界観を持っているのですね。
ある意味傲慢といってもいいかもしれません。
しかしラストで感じられる主人公たちのそれぞれの考えには相違があります。
それは結果的に再生であったり、信念であったり、希望であったり。
はて、超然というのはなんなのか。
孤高の意志であるのか。
私も超然と毎日を過ごしたいなと思いますが、なかなかそうもいきません。(笑)
ラベル:小説
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2019年02月26日

「シマコの週刊!?宝石」岩井志麻子

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今は無き『週刊宝石』。
えっ、廃刊してたの?
この本を読むまで知りませんでした。(笑)
今はあまり書店に行くこともなく(ブックオフばかり)、行ったとしても雑誌売り場には近寄りませんから。
そうですか、無くなってましたか。
高校生時代に『週刊宝石』を愛読していたという著者が、その編集部の残党とともに『小説宝石』の中で復活を企画しつつ連載したのがこの本です。
昔は私もよく立ち読みしていましたよ。
そう、この本でもメインのネタとして取り上げられている「処女探し」、「オッパイ見せて」という企画。
今からすれば馬鹿馬鹿しいというか可愛げがあるというか、しかし当時の男性連中はこの企画にウハウハしていたのですね。
そんな企画の裏話が読めて実に面白い。
エロ雑誌ではなかったのですが、一般誌の体裁を保ちつつエロ企画で楽しませてくれた週刊誌でした。
ですがネットでこれほどエロが蔓延しますと、この程度ではさすがに読者を引っ張り切れなかったのか。
もちろんエロだけではなくちゃんとした記事も掲載していたのですが。
まあこれも時代でしょう。
こういう週刊誌があったという回顧録的な一冊でしょうか。
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2019年01月17日

「果つる底なき」池井戸潤

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銀行員、伊木の同僚である坂本が急死します。
アレルギーのためのショック死だとのことです。
坂本の車の中に何者かがアシナガバチを忍ばせ、それに刺されてのアナフィラキシーショックによるものです。
警察はこれを殺人と見ます。
実は死んだ坂本の妻は伊木のかつての恋人でした。
伊木の元を訪れた刑事は遠回しに伊木に疑いをかけてきます。
坂本はなぜ死なねばならなかったのか。
これは殺人なのか。
坂本は死ぬ直前、伊木に「これは貸しだからな」という謎の言葉を残していました。
その言葉はいったい何を意味するのか。
真相を探るべく、坂本のパソコンから死ぬ直前までの仕事を調べるうちに、伊木はいろんな不審に突きあたります・・・・。
半沢直樹シリーズ下町ロケットシリーズなどで人気の池井戸潤氏のデビュー作です。
第44回江戸川乱歩賞受賞作。
作者は元銀行員ということで、実にその経験と知識を活かした作品となっていますね。
といっても私はそちら方面はちんぷんかんぷんですけども。(笑)
しかし些細な部分でもその経験によるリアリティからくる周到さが土台をがっちりと固めてるなという印象を持ちます。
不正やいびつに膨れ上がった組織、それを利用して肥え太っている卑しい人物たちに抵抗する正義感。
デビュー作からその姿勢は明快です。
ラストはちょっとバタバタと強引に風呂敷を畳んだ感を持ちましたが、このあたりは謎解きミステリーの宿命ですかね。(笑)
ラベル:小説
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2019年01月05日

「モダンタイムス(上・下)」伊坂幸太郎

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渡辺拓海はシステムエンジニア。
ブログラムのシステムを改良する仕事を任されます。
ごく簡単な仕事のはずなのですが、なぜか優秀なエンジニアである先輩の五反田正臣がこの仕事から逃げ出したというのです。
渡辺は後輩の大石倉之助と共に仕事場に出向き、もう一人よその会社のプログラマーである工藤と仕事を進めます。
どうやら出会い系ウェブサイトのようなのですが、しかしプログラムにはやたら不明な点があります。
発注元に問い合わせようにも連絡先さえわかりません。
やがて関係者たちを不幸が襲うのですが、どうやらある言葉を組み合わせて検索したのが原因らしいと判明します。
いったいそのプログラムには何が隠されているのか。
裏にはどのような人物や組織が存在しているのか・・・・。
なかなか奥行きのある作品ですね。
なんのためのシステムなのかという謎を大きな軸にして、5年前の中学校銃乱射事件や政治家なども関わってきます。
そして渡辺の妻である佳代子や不倫相手の桜井ゆかりも何者かわからない。
謎だらけのまま話は進んでいきます。
ラストに向かってだんだんと謎が収束されていくわけですが、他の伊坂作品と比べるとその収束感はタイトではありません。
というか、ビシッと収束できるテーマではありませんから。
この作品は「魔王」の続編といいますか、その後の世界を描いています。
といっても「魔王」を読んでいなくてもなんら問題はありませんが。
私が今まで読んだ伊坂作品の中ではこれがいちばん読み応えがあり、よかったと思います。
ラベル:小説
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2019年01月01日

「マンガ家アシスタント物語」イエス小池

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マンガ家・ジョージ秋山氏のアシスタントを務めて32年。(当時)
いつかは独立して自分もマンガ家にという夢を持ちながらも長大な年月が流れていました。
年齢もいつのまにやら54歳。
32年間のアシスタント生活とはどのようなものだったのか・・・・。
マンガ家のアシスタントというと弟子のようでもあり、それはそれで職業のようでもあり。
まあアシスタントをやっている人というのはほとんどがデビュー → 連載を目指していることでしょう。
しかしこれがなかなか。
気持ちがあっても作品を仕上げない人が多いようで。
自分の作品を描く時間がないというのもありますし、あってもそのうちそのうちとダラダラ先延ばしにしてしまったりします。
著者もけっこうそのクチだったようです。(笑)
私もアシスタントの経験がありますし、デビューもして同時進行でちょっとした連載も持っていました。
数年やりましたが結局鳴かず飛ばずでしたけどね。(笑)
この本はアシスタント物語ということですが、マンガ制作の内容にはあまり触れられていません。
なのでアシスタントの仕事というよりも、アシスタントの生活といった趣ですね。
割り切ってプロのアシスタントとしてやっていくのならともかく、ずっとデビューや独立を意識しておられるところがどうにもやるせない。
結局はデビューもして何作か掲載されたものの、現在はアシスタントも引退され、タイに移住されたようです。
デビューして連載を持って作品がヒットして、なんてほんの一握りの人だけです。
そのほんの一握りの人でさえ「あの人は今」状態になるのがこの世界。
ましてや何十年も続けるなんて奇跡のような世界です。
これはブログを書籍化したものですが、そのせいか(?)一冊の本としてはややまとまりがないというか散漫な印象がありました。
でもアシスタントを考えておられる人たちには何かと参考になると思います。
ラベル:漫画本
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