2018年09月10日

「キッチンが走る! フランス・イタリア料理篇」NHK「キッチンが走る」制作班[編]

CIMG3334_LI.jpg

NHKの人気番組(?)の書籍化です。
キッチン付きのワゴンでタレントの杉浦太陽と料理人が各地を巡り、その土地の素材で料理を作るという内容の番組です。
私はほとんどテレビは観ないのでこのような番組があるのは知らなかったのですが。
いい企画ですね。
スタジオではなく直接現地で生産者と飛び込み(?)で知り合い、その土地ならではの未知の素材と出会い、刺激された料理人がその素材を存分に活かした料理を作る。
そして生産者たちに自分たちが作った素材がこのような料理になりましたよと食べていただく。
さすがの名シェフの料理に生産者も感動されたようです。
当然そこには人のつながりというものが発生します。
登場するシェフはフランス・イタリア料理篇ということで、三國清三坂井宏行、小枝絵麻、神保佳永、工藤敏之、佐志原佑樹の各氏。
しかしさすがに名のあるプロの料理人ですね。
その土地を訪問し、初めて出会う素材をきっちりと料理に仕上げておられる。
しかも生産者たちを唸らせておられるのですからたいしたものです。
それらを描写する文章が想いを伝えようとし過ぎてちょっとキモかったりもするのですが、まあそれもやはりNHKなのかなと。(笑)
いや、実に丁寧なんですよ。
残念ながら現在はもうこの番組はやっておられないようですね。
日本も豊かになりましてグルメだなんだと食について語る人が多くなりました。
そのような本や番組も。
だからこそといいますか、あの店がいい、この料理が美味しい、話題の店に行ってきました~、の時代ではないですよね。
やはり素材の生産者がおられてこその料理です。
そこまで遡って、ただ食べるだけの立場の我々も生産の現場にまで関心を持たなくてはいけないんじゃないでしょうか。
素材を知る、それを生み出すための苦労を知る。
改めてそんな思いを持ちました。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『え』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月18日

「花散里」円地文子

CIMG3288.JPG

俳人の立川喜和、実業家の朝吹頼子、舞踏家の鹿野艶子。
そろそろ老齢に差し掛かろうという三人の女性。
それぞれの生き様、恋愛を描いています。
頼子は息子の家庭教師をしている大学生に惹かれています。
艶子は舞踏をやっていましたがパトロンができてから現役を引退しました。
そのパトロンの息子を養子にするべく預かるのですが、息子も艶子も男女としてお互いを見てしまいます。
喜和がいちばんニュートラルな存在ですね。
既婚者であり、不倫な恋愛はしません。
基本的な視点は喜和に置かれています。
なので頼子と艶子の恋愛といいますか性愛といいますか、それが強調されるのですね。
作者は決してその二人の女性を批判していません。
というか、平凡ともいえる喜和の視線を通して、むしろもっと自由に恋愛するべしと主張しているかのように思えます。
それは二人の生き様を見た喜和の思いにも表れています。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『え』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月03日

「給食のおにいさん 進級」遠藤彩見

CIMG3262.JPG

元レストランのシェフだった佐々目宗。
勤めていた店と揉めて辞め、その後何軒も渡り歩くが長続きせず、それならと自分で店を開くも火事で喪失。
現在は小学校で臨時給食調理員として働いています。
最初は学校給食というものを小馬鹿にしていた佐々目ですが、少しずつ考え方も変わりやりがいを感じてきた昨今です。
そんな日々の中、保護者に給食を食べてもらう『給食試食会』に出席した佐々目。
給食時に落ち着いて食事をしようとしない子供たち、そんなマナーの悪さをまったくなんとも思っていない保護者たちという現状を目の当たりにし、佐々目は保護者たちにキレてしまいます。
正論を言って何が悪いと言う佐々目に対し、責任者の毛利は保護者たちに謝れと言います。
「よくそれで、自分の店を出したいなんて言いましたね」と嫌味も。
食事のマナー、給食を利用した陰湿ないじめ、頑なに給食を食べようとしない子供。
学校でのいろんな問題に直面しつつ、自身の料理人としての現状についても焦りを感じる佐々目ですが・・・・。
シリーズ第2弾です。
前作からさほど大きな動きはありませんが、佐々目の給食調理員としての成長(?)や、子供たちとのコミュニケーション、しかしこんなことをしていたら再びシェフとして復活することができないのではないかという焦燥感がじわりと描かれています。
元彼女がマスコミにも登場するスターシェフという設定も脇を固めていますね。
今後佐々目は給食のおにいさんを続けていくのか、もう一度シェフへの道に進むのか。
そのあたりの葛藤が学校でのエピソードを絡めつつどのように描かれていくのかということですが、まだまだシリーズは続きます。
楽しみに読ませていただきましょう。
ラベル:小説 グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『え』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月03日

「ヘタウマな愛」蛭子能収

CIMG3242.JPG

漫画家で現在はタレントでもある蛭子能収のエッセイです。
亡くなった前妻への思いが綴られています。
地元長崎の高校を卒業して看板屋に就職。
その頃よく行く画材屋さんにいたのが奥さんとなる人でした。
蛭子さんは上京し、1年後東京で再会。
同棲を経て結婚。
その後、漫画家デビューや芸能界デビュー、賭け麻雀で逮捕などいろんなことがありましたが、ずっと傍で支えてくれたのが奥さんでした・・・・。
そんな愛しい奥さんを亡くしてしまうんですね。
いかに自分は女房を愛していたかということがひたすら繰り返し綴られています。
奥さんが初めての女性であり、浮気もしたことがなし。
読んでいますと実に素朴といいますか、芸能人夫婦にありがちな派手なイメージはまったくありません。
生まれ変わっても女房と一緒になりたいとも書いておられます。
しかしそれほど愛していた奥さんを亡くして寂しいがゆえに、その寂しさに耐えられないがゆえに、再婚したいと。
これもまた正直な思いでしょう。
蛭子さんらしいなと。
ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『え』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月14日

「江戸川乱歩傑作選」江戸川乱歩

CIMG3144.JPG

乱歩の初期に発表された代表的な9編を収めた短編集です。
収録作は「二銭銅貨」、「二癈人」、「D坂の殺人事件」、「心理試験」、「赤い部屋」、「屋根裏の散歩者」、「人間椅子」、「鏡地獄」、「芋虫」。
よく知られた作品がずらりと並んでいますね。
もう何十年も前に読んで以来の再読ですが、細かな部分は忘れており、どれもまた楽しめました。
私が特によかったのは「人間椅子」と「芋虫」ですかね。
特に「芋虫」なんて自分がこのようになってしまったら気が狂うだろうと思います。
いや、狂えば幸せでしょう。
何もわからなくなるんですから。
でも正常な精神状態でこれはつらすぎます。
気が狂うといえば「鏡地獄」の主人公は最後に気が狂ってしまうんですね。
鏡張りの球体の中に入った主人公は何を見たのか。
たしかに360度鏡張りの世界というのはどのように見えるのか、考えると頭がおかしくなりそうです。(笑)
でもネットの動画で見ることができました。
さて・・・・。
ま、こういうのはやはり科学的に実証するよりも、小説の中の世界に浸っているほうがいいですね。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『え』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする