2020年09月08日

「男の銘柄」円地文子

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里枝は結婚して4年になります。
夫の志村は女子高の教師。
あまりうだつの上がらないタイプの男です。
だからというわけではないのですが、里枝はいろんな男と情事を重ねます。
中学の同級生だった富永、売れっ子の商業デザイナーの花輪、その弟子の小森。
志村に内緒で株をやっている里枝は、それらの男たちを株の銘柄になぞらえて評価しています。
夫は安定資産株、花輪は大型レジャー株、というふうに。
夫の志村もまた若い女に手を出し、その女に乗せられて株にも手を出します。
やがてその情事やら株やらがしっぺ返しのように2人にのしかかってきます・・・・。
男たちを株の銘柄に見立てている設定が面白いですね。
ぱっと見、地味で夫に尽くすタイプの里枝が実は魔性の女。
サドもマゾもこなします。
見た目が美人なだけという女性よりも、肌を合わせて忘れられないという女性のほうが男はのめり込むんですね。
これは女性にしても同じかも。
この作品は昭和36年に「週刊文春」に連載された作品だそうです。
当時としてはけっこう刺激的な内容だったんじゃないでしょうか。
これまでの円地作品と比べても性に関しての表現がかなり大胆です。
現代の概念と変わらないかもしれません。
「女坂」の耐えに耐えた主人公に比べ、この作品の里枝の奔放なことよ。
これもまた円地文学。
ラベル:小説
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2020年05月25日

「ニッポン全国酒紀行 酔っぱライター飲み倒れの旅」江口まゆみ

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酔っぱライターを自称する著者が日本の酒に腰を据え、全国を取材したのがこの本です。
以前に著者は「中国で、呑んだ!喰った!キゼツした!」という本を上梓されました。
凄まじい酔っぱらい本でした。
今回は日本。
世界中の酒を飲みまくり酒造りの現場も見てこられた著者ですが、日本では「飲むばかりでなにもやってないじゃないか」と。
というわけで、酒造りの現場を求めてあちこち旅立ちます・・・・。
取材しておられるのはホッピーの製造元だったり陶陶酒だったりデンキブランだったり。
酒飲みを自認する皆さんならこれらの酒はもちろんご存じでしょうね?
著者は取材し、ご自身でも工程を体験しておられます。
もちろん日本酒や焼酎、泡盛などの酒蔵も。
そしてバーテンダー、ソムリエ、きき酒。
一日入門ですが、これらも体験しておられます。
なかなか徹底的です。
酒飲みとして性根が座っていますね。
話題の酒を飲んであーだこーだ言う人は実に多い。
しかしその気に入った酒がどのように造られているのか、どんな人が造っているのか。
そこまで考える人なんてなかなかいません。
ましてや醸造元まで出向いて自ら仕込みを体験したいなんて人がどれだけいるでしょう。
ほとんどいませんね。
まあライターだからそれも仕事の内といえばそうなんでしょうけど。
ラベル:グルメ本
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2019年09月10日

「給食のおにいさん 卒業」遠藤彩見

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もう一度自分の店を持つ。
しっかりと自分の気持ちに向き合った佐々目宗は都心にあるホテルのメインキッチンでバイトを始めます。
しかし昼間はいままで通り学校で給食のおにいさんです。
大変な中、相変わらずいろんな子供が問題を抱えていたり、給食の調理場の雰囲気が悪くなったり、へらへらした新人が入ってきたり。
宗はそれぞれの問題を解決できるのか・・・・。
シリーズ第3弾。
いよいよ宗が本格的に動き始めます。
学校の給食調理場を卒業し、正社員としてホテルのメインダイニングで働くことが決まります。
そうなると“給食のおにいさん”ではなくなってしまうではないですか。
シリーズが終わってしまう!?
いえいえ、このあとも「受験」、「浪人」と続きます。
まだまだ給食からは離れられないようで。(笑)
ラベル:小説 グルメ本
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2019年09月02日

「南の肌」円地文子

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貧困な天草島原の大勢の娘たちは幼くして女衒に騙され、南の国へ売られていきます。
もちろん体を売るなどとは知らされずに。
いい暮らしを夢見たおていもその中のひとり。
しかし香港に向かう船のいちばん底に荷物のように詰め込まれます。
そんな中でおていはあるイギリス人と出会います・・・・。
悲惨な状況ながらも逞しく強く生きていく女たちを描いています。
中には行方不明になったり無残な最期を遂げる女もいますが。
そのような時代であったとはいえ、あまりにも理不尽です。
珍しく作者が地の文で意見しておられます。
土地柄や時代の背景があったとはいえ、女性としてやはり納得できるものではありませんしね。
この作品はフィクションではありますが、日本が南洋を開拓していった歴史の陰にこのような女性たちもいたということです。
ラベル:小説
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2018年09月10日

「キッチンが走る! フランス・イタリア料理篇」NHK「キッチンが走る」制作班[編]

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NHKの人気番組(?)の書籍化です。
キッチン付きのワゴンでタレントの杉浦太陽と料理人が各地を巡り、その土地の素材で料理を作るという内容の番組です。
私はほとんどテレビは観ないのでこのような番組があるのは知らなかったのですが。
いい企画ですね。
スタジオではなく直接現地で生産者と飛び込み(?)で知り合い、その土地ならではの未知の素材と出会い、刺激された料理人がその素材を存分に活かした料理を作る。
そして生産者たちに自分たちが作った素材がこのような料理になりましたよと食べていただく。
さすがの名シェフの料理に生産者も感動されたようです。
当然そこには人のつながりというものが発生します。
登場するシェフはフランス・イタリア料理篇ということで、三國清三坂井宏行、小枝絵麻、神保佳永、工藤敏之、佐志原佑樹の各氏。
しかしさすがに名のあるプロの料理人ですね。
その土地を訪問し、初めて出会う素材をきっちりと料理に仕上げておられる。
しかも生産者たちを唸らせておられるのですからたいしたものです。
それらを描写する文章が想いを伝えようとし過ぎてちょっとキモかったりもするのですが、まあそれもやはりNHKなのかなと。(笑)
いや、実に丁寧なんですよ。
残念ながら現在はもうこの番組はやっておられないようですね。
日本も豊かになりましてグルメだなんだと食について語る人が多くなりました。
そのような本や番組も。
だからこそといいますか、あの店がいい、この料理が美味しい、話題の店に行ってきました~、の時代ではないですよね。
やはり素材の生産者がおられてこその料理です。
そこまで遡って、ただ食べるだけの立場の我々も生産の現場にまで関心を持たなくてはいけないんじゃないでしょうか。
素材を知る、それを生み出すための苦労を知る。
改めてそんな思いを持ちました。
ラベル:グルメ本
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