2018年05月03日

「給食のおにいさん 進級」遠藤彩見

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元レストランのシェフだった佐々目宗。
勤めていた店と揉めて辞め、その後何軒も渡り歩くが長続きせず、それならと自分で店を開くも火事で喪失。
現在は小学校で臨時給食調理員として働いています。
最初は学校給食というものを小馬鹿にしていた佐々目ですが、少しずつ考え方も変わりやりがいを感じてきた昨今です。
そんな日々の中、保護者に給食を食べてもらう『給食試食会』に出席した佐々目。
給食時に落ち着いて食事をしようとしない子供たち、そんなマナーの悪さをまったくなんとも思っていない保護者たちという現状を目の当たりにし、佐々目は保護者たちにキレてしまいます。
正論を言って何が悪いと言う佐々目に対し、責任者の毛利は保護者たちに謝れと言います。
「よくそれで、自分の店を出したいなんて言いましたね」と嫌味も。
食事のマナー、給食を利用した陰湿ないじめ、頑なに給食を食べようとしない子供。
学校でのいろんな問題に直面しつつ、自身の料理人としての現状についても焦りを感じる佐々目ですが・・・・。
シリーズ第2弾です。
前作からさほど大きな動きはありませんが、佐々目の給食調理員としての成長(?)や、子供たちとのコミュニケーション、しかしこんなことをしていたら再びシェフとして復活することができないのではないかという焦燥感がじわりと描かれています。
元彼女がマスコミにも登場するスターシェフという設定も脇を固めていますね。
今後佐々目は給食のおにいさんを続けていくのか、もう一度シェフへの道に進むのか。
そのあたりの葛藤が学校でのエピソードを絡めつつどのように描かれていくのかということですが、まだまだシリーズは続きます。
楽しみに読ませていただきましょう。
ラベル:小説 グルメ本
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2018年04月03日

「ヘタウマな愛」蛭子能収

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漫画家で現在はタレントでもある蛭子能収のエッセイです。
亡くなった前妻への思いが綴られています。
地元長崎の高校を卒業して看板屋に就職。
その頃よく行く画材屋さんにいたのが奥さんとなる人でした。
蛭子さんは上京し、1年後東京で再会。
同棲を経て結婚。
その後、漫画家デビューや芸能界デビュー、賭け麻雀で逮捕などいろんなことがありましたが、ずっと傍で支えてくれたのが奥さんでした・・・・。
そんな愛しい奥さんを亡くしてしまうんですね。
いかに自分は女房を愛していたかということがひたすら繰り返し綴られています。
奥さんが初めての女性であり、浮気もしたことがなし。
読んでいますと実に素朴といいますか、芸能人夫婦にありがちな派手なイメージはまったくありません。
生まれ変わっても女房と一緒になりたいとも書いておられます。
しかしそれほど愛していた奥さんを亡くして寂しいがゆえに、その寂しさに耐えられないがゆえに、再婚したいと。
これもまた正直な思いでしょう。
蛭子さんらしいなと。
ラベル:エッセイ
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2017年11月14日

「江戸川乱歩傑作選」江戸川乱歩

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乱歩の初期に発表された代表的な9編を収めた短編集です。
収録作は「二銭銅貨」、「二癈人」、「D坂の殺人事件」、「心理試験」、「赤い部屋」、「屋根裏の散歩者」、「人間椅子」、「鏡地獄」、「芋虫」。
よく知られた作品がずらりと並んでいますね。
もう何十年も前に読んで以来の再読ですが、細かな部分は忘れており、どれもまた楽しめました。
私が特によかったのは「人間椅子」と「芋虫」ですかね。
特に「芋虫」なんて自分がこのようになってしまったら気が狂うだろうと思います。
いや、狂えば幸せでしょう。
何もわからなくなるんですから。
でも正常な精神状態でこれはつらすぎます。
気が狂うといえば「鏡地獄」の主人公は最後に気が狂ってしまうんですね。
鏡張りの球体の中に入った主人公は何を見たのか。
たしかに360度鏡張りの世界というのはどのように見えるのか、考えると頭がおかしくなりそうです。(笑)
でもネットの動画で見ることができました。
さて・・・・。
ま、こういうのはやはり科学的に実証するよりも、小説の中の世界に浸っているほうがいいですね。
ラベル:小説
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2017年10月29日

「愛情の系譜」円地文子

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藍子はアメリカで社会福祉の勉強をし、帰国して初めて務めた少年鑑別所の仕事から離れ、現在は国際社会福祉協会の渉外課に席を置いています。
暮らしは母と妹の女世帯です。
立花という恋人がいるのですが、結婚を考えている藍子に対していまいち態度が煮え切りません。
仕事では鑑別所を出て工場で働いている良晴という少年の面倒を見たりしています。
ある日、アメリカで同じ職場にいたミス・リーが日本に来ることになり、藍子は北海道の雄阿寒岳を案内することになります。
そこで母からは死んだと聞かされていた父親と偶然出会います。
母と父が分かれる際、母は刃物を手にして父を殺そうとした事実を知るのですが・・・・。
藍子は知的で冷静なタイプの女性。
そんな藍子にも父を殺そうとした母の激しい血が流れているのでしょうか。
恋人の立花は藍子と付き合いつつも別の女性と結婚話を進めています。
分別のある振る舞いをする藍子ですが、さすがにたまりかね、母と同じような行動を起こしてしまうのです。
男女の愛の前では理知的な女性もつい我を忘れてしまうのか。
また面倒を見ていた良晴もせっかく更生したものの、大きな罪を犯してしまいます。
そのような人間の弱さ、脆さ、業のようなものがなんともやるせないですね。
しかし藍子も良晴もそれらの険しい道を乗り越え、今後の人生を歩んでいくことが示唆されるようなラストです。
ラベル:小説
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2017年09月19日

「宇宙戦争」H・G・ウェルズ

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時代は20世紀の初め。
舞台はイギリス。
ある日流れ星がウォーキングという町に落下します。
しかしそれは隕石ではなく巨大な円筒でした。
人々が集まる中その円筒のふたが開き、現れたのは火星人です。
火星人は熱線で人々を焼き払います。
その後も円筒がやって来て熱線や毒ガスで殺戮を繰り返し、住民をパニックに陥れます・・・・。
宇宙人が地球を攻めてくるという思いっきりベタな設定のSF小説です。
当時アメリカでラジオドラマとして放送され、現実と勘違いした人たちが溢れてパニックになったというのは有名な話ですね。
SFの古典的名作ではありますが、さすがに今読むとちょっとつらいか。
『火星人』というだけで現在では苦笑ものでしょう。
地球人を上回る知的生命体がいたとして、友好的なコンタクトもなくいきなり攻撃を仕掛けてくるというのもちょっと強引。
だからこそのストーリーではあるのですが。
まあ同じ地球人同士でも北朝鮮のような話の通じない人種もいますけどね。(笑)
宇宙人を迎え撃つ人間側の武器も大砲だったりしますし、これもいまのSFアニメなどに慣れた現代人にはのどかすぎます。
なによりタイトル(邦題)がなぜ「宇宙戦争」なのか。
宇宙という大きなタイトルの割には舞台がイギリスの片隅だけとスケールが小さく、これがしょぼ感を増しています。
原題は「The War of the Worlds」です。
せめて全世界を巻き込むくらいのスケールがありませんと。
しかし当時としてはじゅうぶんな大作だったんでしょうね。
ラベル:海外小説
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