2017年10月29日

「愛情の系譜」円地文子

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藍子はアメリカで社会福祉の勉強をし、帰国して初めて務めた少年鑑別所の仕事から離れ、現在は国際社会福祉協会の渉外課に席を置いています。
暮らしは母と妹の女世帯です。
立花という恋人がいるのですが、結婚を考えている藍子に対していまいち態度が煮え切りません。
仕事では鑑別所を出て工場で働いている良晴という少年の面倒を見たりしています。
ある日、アメリカで同じ職場にいたミス・リーが日本に来ることになり、藍子は北海道の雄阿寒岳を案内することになります。
そこで母からは死んだと聞かされていた父親と偶然出会います。
母と父が分かれる際、母は刃物を手にして父を殺そうとした事実を知るのですが・・・・。
藍子は知的で冷静なタイプの女性。
そんな藍子にも父を殺そうとした母の激しい血が流れているのでしょうか。
恋人の立花は藍子と付き合いつつも別の女性と結婚話を進めています。
分別のある振る舞いをする藍子ですが、さすがにたまりかね、母と同じような行動を起こしてしまうのです。
男女の愛の前では理知的な女性もつい我を忘れてしまうのか。
また面倒を見ていた良晴もせっかく更生したものの、大きな罪を犯してしまいます。
そのような人間の弱さ、脆さ、業のようなものがなんともやるせないですね。
しかし藍子も良晴もそれらの険しい道を乗り越え、今後の人生を歩んでいくことが示唆されるようなラストです。
ラベル:小説
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2017年09月19日

「宇宙戦争」H・G・ウェルズ

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時代は20世紀の初め。
舞台はイギリス。
ある日流れ星がウォーキングという町に落下します。
しかしそれは隕石ではなく巨大な円筒でした。
人々が集まる中その円筒のふたが開き、現れたのは火星人です。
火星人は熱線で人々を焼き払います。
その後も円筒がやって来て熱線や毒ガスで殺戮を繰り返し、住民をパニックに陥れます・・・・。
宇宙人が地球を攻めてくるという思いっきりベタな設定のSF小説です。
当時アメリカでラジオドラマとして放送され、現実と勘違いした人たちが溢れてパニックになったというのは有名な話ですね。
SFの古典的名作ではありますが、さすがに今読むとちょっとつらいか。
『火星人』というだけで現在では苦笑ものでしょう。
地球人を上回る知的生命体がいたとして、友好的なコンタクトもなくいきなり攻撃を仕掛けてくるというのもちょっと強引。
だからこそのストーリーではあるのですが。
まあ同じ地球人同士でも北朝鮮のような話の通じない人種もいますけどね。(笑)
宇宙人を迎え撃つ人間側の武器も大砲だったりしますし、これもいまのSFアニメなどに慣れた現代人にはのどかすぎます。
なによりタイトル(邦題)がなぜ「宇宙戦争」なのか。
宇宙という大きなタイトルの割には舞台がイギリスの片隅だけとスケールが小さく、これがしょぼ感を増しています。
原題は「The War of the Worlds」です。
せめて全世界を巻き込むくらいのスケールがありませんと。
しかし当時としてはじゅうぶんな大作だったんでしょうね。
ラベル:海外小説
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2017年08月16日

「江口寿史の正直日記」江口寿史

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マンガ家江口寿史の日記です。
「正直日記」は1999年~2002年。
「編集長日記」は1994年~1996年。
そして「金沢日記」の3部仕立てです。
厚さ約4センチ。
辞書のように分厚い。
ページ数は約550ページほど。
「正直日記」の内容はなにがどうってわけでもなく、日記ですからただひたすら著者の日常を書いているわけで。
しかしこれが面白いんですね。
そこらのオッサンではなくやはり江口寿史の日常ですから。
当然横のつながりでいろんなマンガ家の名前が出てきます。
行きつけの店で飲んでいると泉晴紀や久住昌之とり・みきといった人たちが居たり、ぶらりとやって来たり。
そのような内輪ネタが読んでいて楽しい。
意外といしかわじゅんがあまり出てこなかったな。
「編集長日記」は著者が「COMIC CUE」というマンガ誌の編集長になり、その経過を書いた日記です。
豪華なメンバーに原稿を依頼し、取り立て、苦労する様が書かれています。
「金沢日記」はマンガで描かれており、付録のような感じですね。
13年ぶりにマンガ家として復活した山上たつひこの復帰作「中春こまわり君」のアシスタントとして、著者、泉晴紀、田村信の3氏が金沢の山上氏の下に参上する話。
どれも楽しく読ませていただきました。
しかし江口氏の日記がなぜ河出書房新社から・・・・?
ラベル:漫画本
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2017年03月29日

「大衆食堂パラダイス」遠藤哲夫

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大衆食堂って最近ほとんど見かけなくなりましたね。
地域にもよるんでしょうけど。
お昼ごはんをやっている店でも食堂ではなく夜の店が昼はランチやってますという形式がほとんどです。
もしくは中華や、うどん・そばなどそれぞれの専門店。
大衆食堂の洋風化したのがファミリーレストランということになるんでしょうか。
定食に特化した店としては「大戸屋」や「やよい軒」、「街かど屋」などがありますが、大衆食堂の雰囲気はないですね。
チェーン店ではありますが、「まいどおおきに食堂」なんかがいちばん正統に大衆食堂の流れを受け継いでいるのかもしれません。
自分でいろいろとおかずを選ぶというスタイルですね。
さて、本書では昔ながらの大衆食堂を数多く紹介し、著者の思いや大衆食堂の変遷などについて語られています。
白黒ですが写真も多数掲載されています。
やはり外観がいいですね。
暖簾や外壁にしっかりと「大衆食堂」と書かれています。
年季の入った暖簾や看板、テント、色褪せたウィンドウのサンプル。
店内には壁にずらりと貼られたお品書き。
鄙びた雰囲気ながらも飯時にはおっさん連中がわんさと押しかけ、ガッツリとメシを食っていく。
いいじゃないですか。
小洒落た店よりも私はこのような店のほうがいい。
カフェめしなんて食った気がしませんもんね。
昔懐かしよき日本という気がします。
著者が熱く語る気持ちもよくわかります。
うんうん。(笑)
ラベル:グルメ本
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2017年03月03日

「枝元なほみの料理がピッとうまくなる」枝元なほみ

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人気料理研究家のレシピ&エッセイです。
レシピでは料理のちょっとしたコツですね。
ひとつの料理からレパートリーを増やす方法、甘辛い和風味なら酒・みりん・醤油が1:1:1とか。
酢の物の味つけの割合とか。
ま、ひとつのパターンを覚えておくと何かと応用が利きます。
エッセイでは著者がどのようにして料理研究家になったのかということが書かれています。
他の料理研究家もそうなんですけど、はなっから料理研究家になろうとしてなった人って意外といません。
現在の若い人たちは最初から目指しているというパターンが多いでしょうけど、栗原はるみにしろ有元葉子にしろ、ふとしたきっかけで料理の腕を買われて仕事を依頼されるようになったというのが多いですね。
この本の著者も劇団のまかないをやりーの、飲食店をやりーのしているうちにこの業界の手伝いをするようになり・・・・というパターン。
才能(キャラ)のある人は自然とそのように導かれていくということでしょうか。
最終章は文庫版のためにということで、単行本から8年後の活動を書いておられます。
農業やビッグイシューへの参加について。
そして食育についても綴られています。
ラベル:グルメ本
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