2017年02月23日

「中国で、呑んだ! 喰った! キゼツした!」江口まゆみ

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通訳やコーディネーターを一切介さず、丸腰で現地の人の中に入って、酒を飲んでくる。
これが著者の取材のモットーだそうです。
しかも中国の奥地にまで出かけていくのですからハンパではありません。
少数民族の多い南部へと旅立ち、言葉が通じないながらも身振り手振りで現地の人に地酒を所望し、一緒に飲んで酔っぱらう。
実に豪快ではないですか。
土地柄ということもあるのでしょうか、読んでいますと皆さん快く受け入れてくださっているようです。
やはり酒は人をつなぐのでしょうか。(笑)
よく飲み屋なんかで初めて会った見ず知らずの人と仲良くなって盛り上がったりしますもんね。
それの国際版といいますか冒険版といいますか。
私など小心者で出不精なのでこんな行動はぜったいに無理です。
ちなみにこの本で紹介されている白酒の高級酒『五粮液』は、著者が日本に紹介したとのこと。
しかし知名度アップとともに値段が高騰してしまったとか。
本書で紹介せず、隠れた中国の銘酒としておいたほうがよかったかもと、ちょっと後悔しておられたり。
そう、こういうことってありますよね。
紹介するとハイエナのように一気にたかってくる人たち。(笑)
一般には知られていなかったお気に入りの店なんかも、ネットで紹介したとたんわやくちゃにされます。
土足で踏み込んでくるような連中の多いこと。
私も何度もそういう経験がありますね。
それはともかく、この著者、現地の人に交じってよくもまあ飲んで食べたことよ。
あっぱれ。
ラベル:グルメ本
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2017年01月12日

「給食のおにいさん」遠藤彩見

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佐々目宗は調理師。
数々の料理コンテストで優勝しているほどの腕前です。
しかし我の強さが災いし勤めていた店と揉めて辞め、その後もレストランやビストロなどいろんな店を渡り歩いてきましたが、やはり居場所がありません。
それならばと自分で小さなビストロを開きましたが、店を火事で失ってしまいました。
もう店に勤める気にはなれず、インターネットで臨時給食調理員の募集を見つけます。
というわけで、小学校の給食調理場で働くことになった宗ですが・・・・。
腕に覚えのある料理人が小学校の給食を作る立場になって・・・・という内容です。
展開としてはまったく予想通り。
プライドのある料理人が最初は学校給食を馬鹿にしていたものの、実はそんな生易しいものではなかったという話ですね。
で、だんだんと給食という仕事に目覚め始めると。
もちろんそこには子供たちとのコミュニケーションが存在します。
給食に関わる子供たちとのいろいろな問題をクリアしていく、という内容です。
ここがこの作品の読ませどころとなります。
元カノが今や有名店のシェフになっていたりという対比もあったりして、主人公のコンプレックスや焦燥感なども描かれています。
素直に楽しめる小説でしたね。
大まかには設定そのままのストレートな内容ですが、しかしその中でいろいろと心に滲みるものもありました。
シリーズとして続編も出ていますので、追いかけていきたいと思います。
ラベル:小説 グルメ本
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2016年11月17日

「私も燃えている」円地文子

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女子大を出、教授の下で共同翻訳の仕事などもしている千晶は病院のひとり娘。
両親は若い外科医である宇津木を養子に迎え、跡を継がせたい思いがあります。
千晶も宇津木に好感は持っているものの、いまいち積極的ではありません。
そんな千晶の前に現れたのが原子物理学を研究している香取です。
真面目な宇津木とは正反対に博打や女遊びもする香取に千晶は惹かれます。
自分を望んでくれている宇津木に悪いと思いつつ。
しかし香取は千晶の叔母で小説家の宇女子と親しくなってしまいます。
香取への思い、宇女子への嫉妬、宇津木への罪悪感に苦しむ千晶。
いっぽう、宇女子は独身ではあるものの結婚歴があり、香取よりも十歳以上年上。
ですが叔母として千晶の恋愛を暖かく見守りつつも、香取への思いを抑えることができません。
女性二人の恋愛の行方は・・・・。
この作品は昭和34年に約1年にわたって新聞に連載された小説とのこと。
560ページほどの長編です。
やはりまずは連載期間ありきだったのでしょうか、私にはちょっと延ばしすぎかなと。
最初は千晶に視点を据えた物語かなと思ったのですが作者の感情は宇女子に込められているようで、ちょっとどっちつかずな印象がそのように思わせたのかもしれません。
しかしこれだけの長編ですし女二人の恋愛を描いているわけですから、その配分が二人にまたがるのは当然のことでしょうけど。
私はやはり若い千晶よりも宇女子に肩入れしたいですね。
中年になったといえども若い魅力のある男に惹かれ、その気持ちに正直に行動し、それを小説という仕事に生かしつつ自身も妖艶に美しくなっていく。
いいじゃないですか。
やはりいくつになっても燃えていませんと。(笑)
ラベル:小説
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2016年07月28日

「崩食と放食 NHK日本人の食生活調査から」NHK放送文化研究所世論調査部[編]

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現在の日本人の食生活の実態はどのようになっているのか。

「豊食のなかの崩食」、「飽食のなかの放食」、「趣食と守食」、「崩食と放食の連鎖」、「共食と孤食」。

NHKが全国の3600人から調査した結果を、章ごとにそれぞれのテーマで公開し分析しています。

食生活は豊かになりましたが1日3食きちっととらず時間もばらばらな乱れた崩食。

世界中から食べ物が集まる中での無頓着で放任状態な放食。

趣味として楽しんで料理する人もいれば家族のため義務的に家事として料理する人もいる守食。

家族揃って食べる食事もあればひとりで孤独に食べる食事もあります。

なんでもかんでも昔ながらがいいというわけではないでしょうが、しかしちゃんとした素材で手作りした料理を家族揃って食べ、食事できることへの感謝の心を持ち、食べ残して捨てたりなどせず、などという当たり前のことを言い出すと、やはり現在の食生活は乱れていると言わざるを得ません。

まさしくタイトルの「崩食と放食」ですよね。

年齢による結果を見ますと、やはり若い年代ほど食生活は浮ついたものになっています。

食事の回数や内容、ファストフードやインスタントに対する抵抗のなさ、栄養についての考えなど。

時代によるライフスタイルの変化といえばそうなんでしょうけども、しかしこんな食生活をしていたらいずれとんでもないしっぺ返しが来るでしょうね。

自身の体はもちろん、食の世界全体についても。

それは間違いないと思います。

少しずつでも自覚を持って改めていきませんとね、日本人。

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2016年05月01日

「週刊ブックレビュー 20周年記念 ブックガイド」

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「週刊ブックレビュー」という書評番組をNHKのBSでやっていたそうですね。

私はテレビはほとんど観ませんのでそのへんは疎く、知ったときには終わってました。(笑)

しかし20年も続いていたとは。

で、それを基にブックガイドという体裁で出版されたのがこの本です。

これはもう読書好きを自認する人ならば楽しまずにはいられない一冊でしょう。

司会を務めておられた児玉清氏への追悼、歴代の司会者の対談、いろんな作家へのインタビュー、各年間のベスト10など。

じっくりと丁寧に読ませていただきました。

しかしやっぱり読書っていいなぁと思いましたね。

ギャンブルなんかに比べるとお金もかからず健全ですし。

フィクションならば頭の中で世界が広がり、ノンフィクションならば教養となります。

しみじみと味わい深い行為だと思います。

巻頭に太田光氏へのインタビューがあるのですが、児玉清氏の番組でのエピソードを紹介しておられるんですよね。

それによりますと、『そういえば〈ブックレビュー〉を見ていて笑っちゃったエピソードで、番組のオープニングだったかで、児玉さんが、「このあいだ、公園で傘をさしてベンチで本を読んでいたんですけど・・・・」って言うのね。おかしいでしょ? なんでわざわざそこで本を?って。どんだけ本好きなんだよって。あの人はもう桁外れだったんだろうね。』と。

これ、すごいエピソードですよね。

雨の中、公園のベンチで傘をさしてまで読書するって。(笑)

児玉氏は読書好きとして知られた方でした。

「寝ても覚めても本の虫」という本も出しておられます。

本に対する愛着がひしひしと感じられ、お勧めの一冊です。

児玉氏は亡くなられましたし番組は終了しました。

でもまた志を引き継いだ番組ができるといいですね。

ラベル:書評・作家
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