2020年10月15日

「左目に映る星」奥田亜希子

CIMG3715.JPG

都内の文具メーカーに勤める26歳の早季子。
つねに孤独を感じ、人間は所詮独りなんだと達観したような日々を過ごしています。
なので男性に対しても恋愛感情を持てません。
小学校で同級生だった吉住君が唯一の理解者だったのですが、彼も中学生になってから変わってしまい心が離れてしまいました。
しかし早季子の心の中にはずっと小学生時代の吉住君が住み着いています。
そんな早季子がある日の合コンで、早季子や吉住君と同じ『片目だけ瞑る癖』を持つ宮内という男の話を耳にします。
宮内を紹介してもらい会ってみる早季子。
アイドルオタクの宮内との奇妙な付き合いが始まるのですが・・・・。
他人とは冷めた気持ちで距離を取ってしまう早季子と、アイドルの追っかけをしている宮内は対照的です。
なぜ宮内はそんなに熱くなれるのか。
当然早季子とは話が合いません。
ですが少しずつ早季子の心はほぐれていきます。
あらすじを追えばけっこうベタな話なんですよね。
思い切って心を解き放ち、過去と決別するラストとか。
でもプロセスがじっくりと描かれているから読ませる話にはなっています。
ただ美しく終わってはいますが、この後早季子が宮内と付き合うことになっても絶対うまくいかんだろなぁ。
ソッコー別れるに3000点。
さらに倍。(笑)
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『お』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月07日

「死者の奢り・飼育」大江健三郎

CIMG3710.JPG

医学部大講堂の地下にある死体処理室で死体の運搬のアルバイトをすることになった学生。
古い水槽から新しい水槽に死体を移動させる仕事なのですが、すべてを移動し終わったあとに助教授がやってきて、その仕事は徒労だったことを知らされます・・・・。(死者の奢り)
山中に墜落した飛行機の黒人兵を捕虜にし、地下室で“飼う”ことになった村。
やがて村の子供と黒人兵のあいだに友情が芽生えるのですが・・・・。(飼育)
その他4編収録。
どれもなんらかの閉鎖的な状況が舞台となっています。
米国兵との関わりも描かれています。
このあたりは時代を感じさせますね。
生と死というテーマもありましょうか。
「死者の奢り」では死体を扱う女子学生は妊娠していますし。
私的にはデビュー作ともいえる「死者の奢り」や芥川賞受賞作の「飼育」よりも、他の収録作に惹かれました。
療養所での出来事を描いた「他人の足」。
米兵に日本人が侮辱される「人間の羊」。
これは米兵の行為よりもそれを傍観していた日本人を痛烈に皮肉っているわけで。
「戦いの今日」というのも、これは作者の意図とは違うかもしれませんが、私は団塊の世代連中がやっていたバカな運動の嘲笑として読みました。
ところで、死体管理のアルバイトというのは昔から都市伝説的に語り継がれているのですが、本当にあるんですかね?
この本によりますと、やはり眉唾のようですが。(笑)
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『お』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月06日

「オタクの迷い道」岡田斗司夫

CIMG3698.JPG

「テレビブロス」に連載されたコラムを単行本化、そして文庫化したのがこの本です。
文庫だけの語り下ろし対談も2本追加。
内容はといいますと濃いというよりはマニアック。
オタクといえばマンガ・アニメを思い浮かべますが、この本の内容ももちろんそれらをベースにしつつ、コミケ、フィギュア、映画など多岐(?)に渡っています。
といってもその視線はあくまでオタク。
これ多分一般の人が読んでも途中で投げ出すんじゃないでしょうか。
コラムのテーマも行き当たりばったり的で思いのままに書いているという感じですしね。(笑)
でもまあそれが趣味を同じくする連中が集まった時の与太話的で面白くもあるのですが。
対談はパート1が唐沢俊一、パート2が宮脇修一。
唐沢氏は言わずと知れた・・・・えーっと、言わずと知れた・・・・肩書なんでしたっけ?
サブカルの評論家ということで。
宮脇氏は海洋堂というフィギュアなどの模型を製作する会社の専務(当時)。
そんなお二人との対談ですから、これまたやはりオタクな内容です。
オタクというのも言われ始めた当時は身なりも構わずいかにもという人たちでしたが、まあ今もそうなんですが、でもずいぶんと市民権を得ました。
コスプレの女性なんてアイドル並みの扱いだったりしますしね。
マンガ・アニメというジャンルに限らずオタクという言葉が他のジャンルにも使われるようになり、特定のジャンルに専門的な知識を持つ人として敬意を持たれたりもしています。
これはまあオタクという扱いがいろんなジャンルに広がり、濃度が薄まってきたのだと思います。
でもやはりオタクのコアはマンガ・アニメでしょう。
行くところに行けば昔ながらのオタクがまったく健在なのを確認できます。(笑)
ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『お』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月04日

「ズボラ人間の料理術」奥薗壽子


CIMG3681.JPG

過去にもこの著者の本は紹介させていただいています。
自称『ナマクラ流ズボラ派家庭料理研究家』であると。
ズボラなんて名乗っておられますが、出汁はインスタントなんて使わずきっちり昆布やかつおを使われますし、冷凍食品なんて使われませんよと。
今回もまったく同じ紹介になるんですけども。
手抜きじゃないんですよね、この人の料理。
必要ない手間は省きましょうということなんです。
で、昔から言われている「このようにしなければならない」なんてのに疑問を持たれます。
実はしなくてもたいして変わらないことが多かったりする。
これは確か小林カツ代さんも書いておられました。
そんなの省いていいんですと。
これは私もまったく賛成です。
それなりの店で出す料理ならこだわらなければならないかもしれない。
でも家庭の主婦が日常の料理でなんでそこまでこだわらなあかんのかと。
出汁に使うかつお節は絞ってもいいんですよ。
昆布は煮込んでいいんです。
それが家庭料理です。
私も他の料理研究家や料理人のレシピはいろいろなるほどと参考にさせていただいています。
でも毎日の家庭料理にありがたいのは本書のようなレシピなんですよね。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『お』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月08日

「ビターシュガー 虹色天気雨2」大島真寿美

CIMG3669.JPG

「虹色天気雨」の続編です。
あれから数年後の話。
四十路を迎えた市子、まり、奈津は中学高校時代からの付き合いです。
市子の家にまりの元カレだった旭が居候することになります。
やむを得ない事情があったわけですが、それが奈津の娘である美月に知られ、やがて奈津やまりにも知られ・・・・。
えっと、前作はどんな話だったかさっぱり覚えておらず(笑)、過去に書いた感想文を読み返したのですが。
ふむふむ、女の友情の前に男は必要ないというような内容だったようです。
今回もやはり男よりも結局は女3人の絆なのかなと。
まりが恋愛して結婚を意識するのがちょっと変化といえましょうか。
一方、奈津はずっと別居だった夫の憲吾と離婚を成立させます。
市子は語り手ですので、男とどうこうということに関してはニュートラルな立場となっています。
奈津やまりの言動を通じて、女性が40代となっての恋愛についてはどうなのよと。
そんな問いかけがあります。
ですがやはりこれは恋愛に関してはふりかけという味付けであって、主食は女性の友情と生き様ですよね。
ただ私はこれ第2弾として、ちょっと収集つかなくなったのではという印象を受けました。
もし第3弾を出されるのなら、ぎゅっと締めて収集して出していただきたいですね。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『お』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする