2017年10月05日

「現代日本の小説」尾崎真理子

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現代文学といえばちょっと堅苦しい。
現代文学の前に近代文学なんてのがあったりします。
なんだか電車の『今度』、『次』みたいなものでどっちがどないやねんとツッコミを入れたくもなりますが。(笑)
ちなみに私の住む大阪では『先発』、『次発』とはっきりしております。
さて、この本のタイトルは「現代日本の小説」。
つまり現代の日本の小説を取り上げておられるわけですが。
じゃあどこからが現代なのかというとまたややこしくなりますのでその問題は置いときまして、この本では1987年、よしもとばななの登場でスタートしておられます。
そして村上春樹。
デビューではありませんが「ノルウェーの森」がこの年なんですね。
俵万智の「サラダ記念日」も同じく。
第1章はほぼ“ばなな&春樹”。
第2章はひたすら村上春樹。
第3章で芥川賞最大の“事件”としまして、19歳・20歳で受賞した綿矢りさ金原ひとみを取り上げておられます。
その後第4章では原稿の手書きからワープロ(パソコン)への移行、それが単なる手書きからキーボードに移ったというだけでなく、それがどのように小説に変化をもたらしたのかの検証。
たしかにワープロ→パソコンの登場は小説の世界にも大きな影響を与えています。
それを上手く作品に取り込んでいる作家もいらっしゃいますね。
ここでは笙野頼子なんかが取り上げられています。
例えば「レストレス・ドリーム」などまさにそれでしょう。
最終的には佐藤友哉舞城王太郎、清涼院流水らの名前が出てきます。
「キッチン」や「ノルウェーの森」からわずか20年でこれほどの変化があったと結んでおられます。
そうか。
改めて指摘されるとなるほど様変わりしましたね。
ケータイ小説なんてのもありましたけども、今後どのような形で新しい作家が出てくるのか。
私個人としましてはがっつりと骨太な作家の登場を期待します。
ラベル:書評・作家
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2017年09月05日

「サブカルで食う 就職せずに好きなことだけやって生きていく方法」大槻ケンヂ

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サブカルでメシを食っていくにはどうしたらいいか。
誰しも好きなことをしながら食べていければ万々歳なわけですが、なかなかそうはいきません。
ましてやサブカルなんて何やってんだかよくわからない、得体のしれない、フリーターの延長のような存在。
いわゆる“ギョーカイ”の人なんだろうけども、いろんなことに手を出しているうちになんだか名前が売れて、でもどう考えてもそれだけでメシ食っていけるか? というような肩書きの人たち。
著者の本業はロックミュージシャンですが、音楽以外にもいろいろと活動しておられ、世間からはサプカルな人と見られているようです。
そんな著者は小学生の頃からどのような生活を送ってきたのか。
中学時代は、高校時代は。
どのようにデビューのきっかけをつかんだのか。
自らの経験を語りつつ、サブカル世界の実態を書いておられます。
ま、俺はネクタイ締めてスーツ着て毎朝満員電車に乗って決まった時間に出勤してなんて人生はまっぴらだ、という人がこのような道へ進んでいくんでしょうね。
目指すというよりも気が付いたらそのような立場になっていたみたいな。
なんだか好きなことやってラクそうでお金稼げていいな、なんて思われがちですが、当然そんなボロい商売があるわけはなく。
やはり努力はいりますし運も必要。
そしてなんだかんだいいつつもセンスといいますか才能といいますか。
走り続けていくにはそれは必須でしょう。
平凡にサラリーマンやっているほうが道のりとしては簡単でしょうね。
ラベル:エッセイ
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2017年08月28日

「寿司屋のカラクリ」大久保一彦

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寿司屋といいましてもいろいろとありまして。
銀座にあるような高級店、近所の大衆店、回転寿司。
そんないろいろな寿司屋の裏側はどうなっているのかと。
その裏側を「カラクリ」として紹介しているわけですが、別に業界の裏話を暴露しているというような内容ではありません。
ありませんが、まあ業界の人たちにとってはそんなことまでばらしてくれるなよという内容かもしれません。
かといってそれだけの内容ではなく、寿司屋を楽しむためのガイドもしておられます。
回転寿司から高級寿司、海外の寿司事情。
しっかりと網羅しておられます。
魚というのは肉に比べて難しいですよね。
それを商売にするとすれば。
なのでそのあたりの事情がいつも新鮮で最高のネタをという寿司屋の敷居を高くさせていると思います。
ですがこの本を読みますと、高級な値段を取る店にはそれなりの理由があるというのがわかります。
いまさらですけどね。
それよりも、突き詰めていきますとどうしても現在の日本の漁業というところに話がいきます。
結局そこだと思います。
特に天然や近海物にこだわる高級店でその影響は大でしょう。
現在高級店で扱っておられるネタというのは、本来あたりまえのネタのはずなんですよね。
それが今や貴重品となりバカのような高額な金額でやり取りされている。
どう考えてもおかしい。
しかし経済や商売というのはそういうものです。
自身の味覚や価値観を持たず、そのような経済や商売の事情に惑わされる人は多い。
自称食通も溢れています。
ですけど漁業のことまで考えている“食通”はどれほどいるんでしょうかねぇ。
あ、なんだか全然本の内容と違う話になってしまいました。(笑)
この本の内容に関しましては私は必ずしも納得できるものではありません。
ですがまあフードコンサルタントという飲食のプロが書いておられるので、経験に基づくその内容は貴重なものでしょう。
ラベル:グルメ本
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2017年07月01日

「将棋ボーイズ」小山田桐子

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歩(あゆむ)と名付けられた少年の名前の由来は将棋の『歩』です。
将棋好きのおじいちゃんが名付け親。
『歩』も大出世して『金』になるんだと。
そんな歩が高校に入学して選んだのが将棋部。
もちろんそこにはいろんな人物がいます。
中でも抜群の才能を持つ倉持。
そのような将棋部の中で、歩はどのように成長していくのか・・・・。
というストーリーだと思って読み始めたのですが、まあたしかにそりゃそうですけども。
どうも構成がまず過ぎるんじゃないでしょうか。
章が歩と倉持の視線で交互に語られます。
初心者の歩と経験者の倉持との対比を描こうとされたのでしょう。
ですが、あまりにも中途半端です。
まずは視点を歩か倉持に統一せいよと。
わざわざプロローグで歩の独白を書いています。
当然そうなると歩の視点で基本を通すべきではないかと思うのですが、章ごとに視点が変わり、むしろ作者の思い入れは倉持でしょうか。
結局エピローグもなく最終章は倉持で終わり。
プロローグがあるのにエピローグは無し?
歩で始めたのなら歩で終わっていただきたかった。
歩のおじいちゃんは結局どうなったんでしょう?
将棋の対局については棋譜も図面もありません。
これは将棋を知らない人にも読める小説としていいと思います。
そういうのを挿入した小説もありますが、読者を限定しますしね。
ですがそのようなハードがないのであれば、対局中の心理描写などのソフトをもっとじっくり読ませてほしかったと思います。
手に汗握るような緊迫感のあるやりとり。
そういうのもない。
とにかく中途半端な印象の小説でした。
ラベル:小説
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2017年03月23日

「晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ(出張編)」大崎梢

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杏子は駅ビル6階にある「成風堂」で働く書店員。
長野県の書店で働く元同僚の美保から手紙が届きます。
今自分が勤めている老舗書店「まるう堂」に幽霊が出ると。
解決するためにこっちに来てほしいと頼まれ、杏子はアルバイトの多絵を連れて長野へ赴きます。
どうやら幽霊騒ぎは27年前の流行作家が弟子に殺された事件と関係があるようなのですが。
杏子と多絵は幽霊事件を解決することができるのか・・・・。
シリーズ第2弾です。
今回は長編。
杏子と多絵という女性の素人探偵コンビが事件を解決するという話なわけですが、う~ん、幽霊事件ですか。
赤川次郎のユーモアミステリーを思わせますが、出来がねぇ・・・・。
これは前作でも思ったのですが、どうもあちこちが甘いんですよね。
作者の中では渾身の仕込みなのかもしれませんが、読む側にとっては苦笑してしまうといったレベル。
女性の素人探偵コンビと幽霊事件という組み合わせがすでにそれなわけですが、ミステリとしてもゆるゆるです。
本格書店ミステリとありますが、これ本格なんですか?
はて、ミステリファンはこれを読んで納得できるんでしょうか。
ラベル:小説 本・書店
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