2020年11月11日

「カモイクッキング くらしと料理を10倍楽しむ」鴨居羊子

CIMG3728.JPG

著者である鴨居羊子の名前を聞いても今の人は知らない人が多いでしょうね。
「チュニック」という女性下着ブランドの創始者です。
ズロースといわれるような地味な下着しかなかった時代にカラフルなデザインの下着を売り出し、一躍時代の寵児となりました。
スキャンティなんてのも彼女の命名です。
今はスキャンティなんて言葉も聞きませんが。(笑)
そんな著者は下着デザインだけではなく絵や文章にも才能を発揮しました。
本書は食についてのエッセイです。
まず最初に「私は食べることは好きだが、いわゆる食通でも味通でもない」と書いておられます。
これ、作家なんかが食について語るときに必ずといっていいほど持ち出す枕詞です。(笑)
しかし世間で食通として名が通っていることにまんざらでもない雰囲気がうかがえるんですよね。
でも本書はほんとにそういう通ぶったところがありません。
昔懐かしい食についてのエピソードだとか、ごく身近な料理について語られています。
食の世界も贅沢をいえばきりがありませんが、食を楽しむということでは必ずしも高級な店や食材でなくてもいいんですよね。
身近な食材や料理で食を楽しむ。
これがごく当たり前のことだと思います。
それを実践しておられるんですね。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月13日

「雪国」川端康成

CIMG3714.JPG

雪国の温泉宿を訪れた無為徒食の島村。
そこで出会ったのが駒子という芸者です。
なんだかんだ不満を言いながらも島村に惹かれる駒子。
そんな駒子の気持ちをわかっていながら冷めた気持ちで距離を置こうとする島村。
二人の行く末は・・・・。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」という冒頭の文章はあまりにも有名ですね。
川端の代表作です。
う~ん、駒子がなぜ島村にそこまで惹かれるのかがわからないんですよねぇ。
それありきで話が成立しているわけで、そこに納得できない以上話に入り込めません。
島村ってそんなに魅力ある男か?
そんなことにいちいち突っ込んでたら他の小説でも同じじゃないかということになるんでしょうけど。
まあそれはそれとして、田舎の芸者の激しい情熱が経済的にも余裕がありふらりとこの土地を訪れる妻子持ちの男に向けられるわけで、男は男でそんな女の気持ちを知りつつまた自分も惹かれつつ一線を引くんですよね。
なんといいますか、自分の気持ちに正直に行動しぶつかってくる駒子に、島村はびびってるわけで。
でも島村の距離を置く冷ややかさも男として理解できます。
なので駒子の気持ちが悲しい。
これ、雪国という舞台がすべてなんじゃないかと思いました。
寒さ冷たさがカチッと作品を固めている。
「南国」という舞台とタイトルならこうは締まらなかったでしょう。(笑)
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月08日

「鴨川食堂 おかわり」柏井壽

CIMG3683.JPG

京都は東本願寺近くにある『鴨川食堂』。
看板もないその食堂は“思い出の味を探します”ということで、客の頭に残るほんの少しの記憶を手掛かりにして調査し、料理を再現します・・・・。
タイトルに「おかわり」とあるようにシリーズ第2弾です。
相変わらず娘は料理を再現するためのなんの役にも立ってませんし、客に対してけっこう失礼なことを言ったりもするのですが、まあこれはこういう役どころなんでしょう。(笑)
今回登場する料理は、海苔弁、ハンバーグ、クリスマスケーキ、焼飯、中華そば、天丼。
ちょっとほろりとさせられる話もあり、前作に比べて話がやや人情的になったかなという印象を持ちました。
めんどくさいので前作を読み返してはいませんけども。(笑)
このあともまだまだシリーズは続いています。
楽しみに追いかけてみましょう。
ラベル:小説 グルメ本
posted by たろちゃん at 04:18| Comment(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月20日

「輝ける闇」開高健

CIMG3675.JPG

舞台はヴェトナム。
語り手の「私」は日本人で、なんやらアメリカの軍隊と行動を共にしているようです。
どうやら私は作家であり、取材ということで記者として同行しておられるようですね。
さて、その私はヴェトナムで軍隊と行動を共にし、何を見たのか・・・・。
もちろんあのヴェトナム戦争です。
いうまでもなく「私」は作者です。
なのでルポタージュ形式の小説ともいえますね。
作家としていよいよこれからという時期に、戦時中のヴェトナムに飛び込んでの取材。
それがこの小説です。
サントリーの「やってみなはれ」の精神ではありませんが、さすがにこれは・・・・。
戦地のヴェトナムではありますが、あくまで取材している記者という立場なので、けっこうのんびりとしておられたりもします。
ですがラスト、周りのいろいろなことにも影響され、軍のけっこう無茶な作戦に同行するんですね。
この命からがらの、恥も外聞も捨てての、必死の逃避がものすごい迫力で迫ってきます。
200人の大隊が17人になっていたなんて記述はぞっとします。
いまさらですが、なにをやっていたんだアメリカ、ですよね。
しかし作者もよく食らいついたなと。
もちろんそんな状況に巻き込まれての泣き言も書かれています。
そりゃそうでしょ。
実際に泥に顔を埋め込むほどの銃撃なんてされたら、ションベンちびりますし、日頃のプライドなんてないですよ。
この作品についてですが、小説としては淡々としていてルポタージュっぽいし、かといってルポとしては心情が描かれていて小説っぽい。
そういう意味ではどっちつかずな気もしました。
とはいえ、それはあくまで私自身の感想で、この作品の評価に物申すものではありません。
でも。
こんな小説書く作家、現在にいますか?
もちろん時代もあるでしょうけど。
戦場に飛び込んで命張って、その事実を身に染ませて消化して。
書く。
開高健、あっぱれ。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月24日

「巷の美食家」開高健

CIMG3615.JPG

美食家として知られた作家、開高健の食エッセイ集。
私は美食家というよりも、むしろ大食家というイメージのほうが強いですけども。
必ずしも高級な料理や珍味をもてはやし、庶民的な食べ物を下に見るということはありませんでした。
とにかくなんでも食べてやろうという食に対する好奇心の人でしたね。
この本の中でも「大震災来たりなば」として、皆で非常食としての缶詰食べ比べなどということをやっておられます。
めしの缶詰に大和煮の缶詰の汁をぶっかけて「イケル!」と叫んでみたり。
鯨のコロの美味しさについて語っておられるあたりはさすがに大阪人でしょうか。
といっても鯨も今や貴重品ですが。
サエズリや尾の身なんて庶民の口には入りません。
手作りハンバーグを作る文章があるのですが、牛と豚のひき肉を生焼けで食べるという記述があるのですが、さすがにこれはいただけません。
たとえ牛100%でもひき肉はきっちり火を通して食べなければ。
などと思いながら読んでしまうのは野暮というものでしょうね。(笑)
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 03:03| Comment(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする