2019年07月14日

「1行バカ売れ」川上徹也

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たった1行の言葉(キャッチコピー)が大ヒットを生む。
この本では現役のコピーライターが実際の例を取り上げて説明しておられます。
本来なら商品がよければ売れるべきなんですよね。
紛い物ではない本物の商品。
それだけでじゅうぶんなはずなんです。
それ以上の魅力や価値なんてあるはずがない。
しかし現代はいろんな物が出回っているので誠意を込めて作った本物の商品もそれらに埋もれてしまい、消費者のもとに届かない。
なんとか届かせようとすればやはり宣伝に力を入れることになるわけで、この上手い下手で売れ行きが大きく左右されるんですね。
読んでいてなるほどと思います。
やはりコピーには傾向というかコツがあります。
それも惜しげなく著者は公開しておられます。
でもねぇ。
達者なコピーや宣伝のおかげでくだらない商品がヒットしてしまうこともあるわけで。
もちろんそんなのは一時的なブームで終わるでしょうけど。
別にこの本は本物の商品を支持しましょうというコンセプトではなく、あくまで売れるためのコピーを考えましょうということですから、それでもいいのですが。
そのあたり著者も書いてはおられます。
『言葉だけでバカ売れしてしまったものは、やはり長く続かない場合が多いのです。』
でも私が嫌なのは、それでも取りあえず売れれば勝ち的に戦略的な宣伝で中身のない商品を売る人たちがいるわけですし、何よりもそれに乗せられ(騙され)てしまう消費者が多いことです。
もちろん私も例外ではありません。
商品の本質よりも魅力的な宣伝やコピーに釣られて物を買う。
なんと愚かしいことでしょう。
私はそういう気持ちでこの本を読みました。


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2019年05月25日

「落語と私」桂米朝

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人間国宝だった故・桂米朝が中学生高校生向けに書いた落語の入門書です。
いや、解説書というべきか。
もともとは昭和50年にポプラ社から出たものを、少し手を入れて昭和61年に文春文庫から出したのがこの本です。
なので落語の歴史、漫談とどう違うのか、東京と上方の違いは、落語史上にはどのような人たちがいたのか、などなど、非常にわかりやすく書かれています。
桂米朝といえば大きな名前でしたもんねぇ。
上方の落語を立て直した功績はあまりにも大きい。
この人がいなかったら今の上方落語はなかったかもしれません。
落語もまたさすがに面白い。
ちょくちょくネットで動画を観るのですが、はんなりした話し方に円熟の味わいがありますね。
弟子である桂枝雀の大きなアクションの落語も大好きですが。
最近はお笑いといえば漫才からスタートしてバラエティタレントというのが王道のようになっていますが、落語という芸にもっと目を向け評価するべきでしょう。
例えば小説やマンガ、映画といった創作に携わる場合、勉強になるのは漫才よりも絶対に落語です。
漫才しか知らない漫才師よりも落語を知っている漫才師のほうが絶対に面白い。
と思う。(笑)
さて、今からまた米朝さんの落語を聴くとしますか。
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2019年05月05日

「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」神田桂一 菊池良

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くだらないことを真剣に書く面白さというのがあります。
この本がまさにそれ。
タイトルからわかるように文豪たち(だけではありませんが)の文章を真似て焼きそばの作り方が書かれています。
文豪ということでは志賀直哉、三島由紀夫、谷崎潤一郎、芥川龍之介、ドストエフスキー、シェイクスピアなど。
現代の人なら村上春樹、星野源、石野卓球、池上彰、デーブ・スペクター、などなど。
計100人です。
ただこれはものまねと一緒で、元の人物や文章を知らないと上手いのか似ているのかわからないという問題がありますけども。
わからなくてもバカバカしくて笑ってしまいますけどね。
ネットでも検索すればいろんな人たちの文章を読むことができます。
私は徳大寺有恒バージョンが好きなのですが、残念ながらこの本には収録されていません。
ちなみに表紙の絵は田中圭一。
「もし手塚治虫が太宰治を描いたら・・・を田中圭一が描いたら」です。
その他、「もし本宮ひろ志が夏目漱石を描いたら・・・を田中圭一が描いたら」とか「もし鳥山明が芥川龍之介を描いたら・・・を田中圭一が描いたら」なども収録されており、こちらも笑えます。
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2019年04月21日

「ブランドのデザイン」川島蓉子

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ブランドとは何か。
企業そのものであったり、その企業が販売している商品であったり。
この本ではロングセラー・ブランドを題材に、ブランドとデザインのかかわりをまとめておられます。
実際のメーカーや商品を例に挙げておられるので、読者としても具体的でわかりやすい。
紹介されているのはサントリーの「伊右衛門」、「ウーロン茶」、キユーピー「キユーピーマヨネーズ」、「キユーピーハーフ」、資生堂「マジョリカ マジョルカ」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、
無印良品。
それらの開発に関わった人たちに取材し、その商品が生まれたいきさつやコンセプト、開発の過程などが細かく紹介されています。
その他いろんなブランドも例に挙げ、緻密に検証を固めておられますね。
もちろん「ブランドのデザイン」というからには、商品そのもののデザインからポスターやテレビでのCFについても検証。
やはり消費者にいちばん訴えかけるのはここですからね。
いい商品であるということを伝えるためにはやはりデザインであり、そこからくるイメージは重要です。
巻末ではクリエーター・インタビューということで、コピーライターやデザイナーへのインタビューがあります。
歴史あるブランドやロングセラーといわれる商品には、やはり確固とした志があるのですね。
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2019年04月11日

「夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」カズオ・イシグロ

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音楽をテーマにした5編を収録した短編集です。
タイトル的には「夜想曲」というのが表題作になるのでしょうか。
才能はあるのに醜男のせいで仕事に恵まれない無名のサックス奏者。
妻にも去られてしまいます。
整形手術を受け、有名人御用達のホテルに“入院”し、隣室の有名女優と仲良くなりホテル内を散策するのですが・・・・。
これはコメディタッチの作品ですね。
雰囲気があるのは最初の「老歌手」でしょうか。
昔、一世を風靡した歌手が妻を伴ってベネチアを訪れています。
しかし現在は鳴かず飛ばずです。
妻との関係も冷めているようです。
主人公のギタリストは老歌手に雇われ、ゴンドラで老歌手が妻に捧げる歌の伴奏を依頼されます・・・・。
どの作品も夫婦関係を描いています。
といっても直接的ではない。
一人称で書かれる主人公を通してです。
そして音楽の才能ある主人公たちの苦悩といいますか。
才能あっても見た目で日の目を見ない、過去に栄光を受けても今は落ちぶれ、など。
全体的に黄昏の雰囲気がありますね。
カズオ・イシグロの作品は非常に読みやすいのがいいです。
もちろん英語がわからない私は翻訳で読むしかないのですが、原文がそうなのか翻訳がいいのか、いわゆる“翻訳臭”がないのがいい。
ラベル:海外小説
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