2020年08月08日

「鴨川食堂 おかわり」柏井壽

CIMG3683.JPG

京都は東本願寺近くにある『鴨川食堂』。
看板もないその食堂は“思い出の味を探します”ということで、客の頭に残るほんの少しの記憶を手掛かりにして調査し、料理を再現します・・・・。
タイトルに「おかわり」とあるようにシリーズ第2弾です。
相変わらず娘は料理を再現するためのなんの役にも立ってませんし、客に対してけっこう失礼なことを言ったりもするのですが、まあこれはこういう役どころなんでしょう。(笑)
今回登場する料理は、海苔弁、ハンバーグ、クリスマスケーキ、焼飯、中華そば、天丼。
ちょっとほろりとさせられる話もあり、前作に比べて話がやや人情的になったかなという印象を持ちました。
めんどくさいので前作を読み返してはいませんけども。(笑)
このあともまだまだシリーズは続いています。
楽しみに追いかけてみましょう。
ラベル:グルメ本 小説
posted by たろちゃん at 04:18| Comment(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月20日

「輝ける闇」開高健

CIMG3675.JPG

舞台はヴェトナム。
語り手の「私」は日本人で、なんやらアメリカの軍隊と行動を共にしているようです。
どうやら私は作家であり、取材ということで記者として同行しておられるようですね。
さて、その私はヴェトナムで軍隊と行動を共にし、何を見たのか・・・・。
もちろんあのヴェトナム戦争です。
いうまでもなく「私」は作者です。
なのでルポタージュ形式の小説ともいえますね。
作家としていよいよこれからという時期に、戦時中のヴェトナムに飛び込んでの取材。
それがこの小説です。
サントリーの「やってみなはれ」の精神ではありませんが、さすがにこれは・・・・。
戦地のヴェトナムではありますが、あくまで取材している記者という立場なので、けっこうのんびりとしておられたりもします。
ですがラスト、周りのいろいろなことにも影響され、軍のけっこう無茶な作戦に同行するんですね。
この命からがらの、恥も外聞も捨てての、必死の逃避がものすごい迫力で迫ってきます。
200人の大隊が17人になっていたなんて記述はぞっとします。
いまさらですが、なにをやっていたんだアメリカ、ですよね。
しかし作者もよく食らいついたなと。
もちろんそんな状況に巻き込まれての泣き言も書かれています。
そりゃそうでしょ。
実際に泥に顔を埋め込むほどの銃撃なんてされたら、ションベンちびりますし、日頃のプライドなんてないですよ。
この作品についてですが、小説としては淡々としていてルポタージュっぽいし、かといってルポとしては心情が描かれていて小説っぽい。
そういう意味ではどっちつかずな気もしました。
とはいえ、それはあくまで私自身の感想で、この作品の評価に物申すものではありません。
でも。
こんな小説書く作家、現在にいますか?
もちろん時代もあるでしょうけど。
戦場に飛び込んで命張って、その事実を身に染ませて消化して。
書く。
開高健、あっぱれ。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月24日

「巷の美食家」開高健

CIMG3615.JPG

美食家として知られた作家、開高健の食エッセイ集。
私は美食家というよりも、むしろ大食家というイメージのほうが強いですけども。
必ずしも高級な料理や珍味をもてはやし、庶民的な食べ物を下に見るということはありませんでした。
とにかくなんでも食べてやろうという食に対する好奇心の人でしたね。
この本の中でも「大震災来たりなば」として、皆で非常食としての缶詰食べ比べなどということをやっておられます。
めしの缶詰に大和煮の缶詰の汁をぶっかけて「イケル!」と叫んでみたり。
鯨のコロの美味しさについて語っておられるあたりはさすがに大阪人でしょうか。
といっても鯨も今や貴重品ですが。
サエズリや尾の身なんて庶民の口には入りません。
手作りハンバーグを作る文章があるのですが、牛と豚のひき肉を生焼けで食べるという記述があるのですが、さすがにこれはいただけません。
たとえ牛100%でもひき肉はきっちり火を通して食べなければ。
などと思いながら読んでしまうのは野暮というものでしょうね。(笑)
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 03:03| Comment(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月08日

「“食の安全”はどこまで信用できるのか 現場から見た品質管理の真実」河岸宏和

CIMG3607.JPG

食についてはちょくちょく異物混入で商品回収などのニュースが流れます。
そして何年かに1回大きな事件がどかーんと。
なぜこのようなことが起きるのか。
そりゃ100%完璧というわけにはいかないでしょうけど。
でも公になっているのなんてごく一部なんですよね。
この本にも書かれています。
メーカーにとって『他社の事件は「他山の石」ではなく「対岸の火事」』だと。
『そんなことで捕まってんなよ』と。
飲食関係でバイトしたことのある人ならたいがい一つや二つ、衛生面安全面で「こんなのでいいのかなぁ」と思ったことがあるんじゃないですかね。
よく「厨房を見たらその店で食べる気を失くす」なんてことが言われますけど、私の体験上これは事実です。
もちろんすべての店がそうではないでしょう。
しかし多数の店が当てはまります。
賞味期限なんかでも、某デパートの某店など、賞味期限のシール貼り替えは毎朝の日課でしたしね。
まあ今ほどうるさくない時代ではありましたが。
この本の著者はいろんなジャンルの食品の品質管理に携わってきた人です。
なので食品業界内部の事情を知るプロ。
メーカーの杜撰さだけではなく、法的な杜撰さも指摘しておられます。
そして中国の野菜を危険視し日本産なら安心というイメージが我々消費者には確かにありますが、本当にそうなのかと法的な面や流通の仕組みなどを解説して啓蒙しておられます。
そうですね、単純に中国産はみな危険、国産ならすべて安心なんてなんの根拠もない思い込みです。
またコンビニ弁当というと添加物の塊でいかにも体に悪そうなイメージがあります。
しかし著者は「コンビニの食品はかなり安全だ」といいます。
添加物に関してはたしかにいろいろ使用されているのですが、それについての表示義務がある。
賞味期限にしても。
しかし街中の対面販売の店にはそれがない。
手作り弁当なんて言いつつ結局は業務用の詰め合わせなんてのはよくありますが、それらの期限についても表示義務がないから期限切れの商品を使っていてもわからない。
温度管理にしてもコンビニは工場から売り場まで徹底した管理がされています。
よくオフィス街でお昼時に弁当を売り出すパラソル弁当なんてありますが、真夏なんか大丈夫なのかと思いますもんね。
台に並べた弁当に直射日光当たりまくりなんてのもありますから。
真夏に野外の常温で並べられている弁当よりは、コンビニで適温で陳列されているほうがそりゃずっと安全でしょう。
まあ結局は著者もあとがきに書いておられるように、中国産も日本産も関係なく、やるべきことをしっかりとやれば安全性は保たれるし、杜撰なら問題になると。
そしてそれを判断するには、消費者ももっと賢くならなければなりませんし、こだわりをもって真剣に考えなければならないということでしょう。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月26日

「熱中ラジオ 丘の上の綺羅星」嘉門タツオ

CIMG3586.JPG

大阪は千里の丘の上にあった毎日放送(MBS)。
そこからは『ヤングタウン』、通称ヤンタンというラジオ番組が発信されていました。
(今も番組はありますが)
当時の中・高・大学生から絶大に支持され、またこの番組から数々のスターが生まれました。
桂三枝(現・文枝)、笑福亭仁鶴、笑福亭鶴光、谷村新司、明石家さんま、紳助・竜介・・・・。
そんなヤンタンを聴いて育った世代に嘉門タツオがいました。
当時金曜日を担当していたのが笑福亭鶴光。
オールナイトニッポンにも登場して、飛ぶ鳥を落とす勢いでした。
そんな鶴光にタツオはゲリラ的に鶴光をつかまえ、弟子入り志願し入門します。
芸名は笑福亭笑光。
内弟子生活の始まりです。
そしてなんやかんやありつつ、なんとヤンタンのメンバーに大抜擢。
メインは原田伸郎、アシスタントはヤンタンファンなら忘れられないあのアニメ声の大津びわ子。
タツオは笑福亭笑光として順調なスタートを切るのですが・・・・。
当時は深夜のラジオがすごく盛り上がっていた時代でした。
現在のようにインターネットなんてありません。
ビデオやテレビゲームなんてのもなく、一部の若者の深夜の楽しみといえばラジオでした。
受験生が勉強しながらというのもパターンでしたね。
私もヤンタンはよく聴きました。
好きだったのは金曜日の谷村新司、ばんばひろふみ、佐藤良子。
その当時はこの日が一番人気でした。
サニーこと桂三枝が司会していたのは土曜日。
ここで私は初めて明石家さんま、紳助・竜介を知りました。
さんまはチャッピーなんて名乗ってましたね。
まだ貧乏だったような話をしておられました。
紳助・竜介の漫才は抜群に面白かった。
まだどちらもブレイクする前だったので、さんまにしろ紳竜にしろテレビでは観たことがなく、声だけでどんな人だろうと思いながら聴いていました。
懐かしい・・・・。
それはともかく本の内容に戻りまして、笑光は師匠の奥さんとぶつかり合うようになり、言うことも聞かなくなってやがて破門。
傷心したタツオはあちこち旅に出かけます。
そんな中で、いまさら落語には戻れない、でも歌で笑わせることならできるのではないかと開眼します。
ヤンタンのプロデューサーだった渡邊一雄氏の世話になり、またヤンタンでデビューし憧れの存在だった金森幸介氏の歌に励まされ、タツオは再デビューを果たします。
これは実話であり、嘉門タツオの自伝小説です。
ラストにはぐっとくるものがありました。
しかし人生というものは本当にどうなるかわからないものですね。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする