2021年02月27日

「新・世界三大料理 和食はなぜ世界料理たりうるのか」著 神山典士 監修 中村勝宏 山本豊 辻芳樹

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世界の三大料理とは何か、という問いがよくあります。
フランス料理、中国料理はたいがいの人が思いつくとして、さてあとひとつは何だろうとなります。
自分の国の料理を挙げておけば問題ないなんていわれたりもしますが、一般的にはトルコ料理が定説となっています。
しかしこれは料理の洗練度ではなく、地理的文明的な側面から名前が挙がっているようです。
では正味料理の洗練度といいますか完成度でいえばどこの料理なのか。
私は日本料理だと思っています。
日本人だからそう思うのかもしれませんが。
しかし日本料理はフランス料理にも大きな影響を与えていますし、現在世界中から注目され人気の料理です。
で、この本ではフランス料理、中国料理、そして日本料理、それぞれの専門家に取材や監修を依頼し、それぞれの料理の本質に迫っています・・・・。
この本を読みますとそれぞれの料理の特徴がよくわかりますね。
調理法はもちろん、出汁の取り方(引き方)にしろ料理用語にしろ、なるほど当然のことながら各国の風土や文化が根底にあるわけです。
非常に面白い。
で、この本のタイトルは「新・世界三大料理」。
サブタイトルは「和食はなぜ世界料理たりうるのか」なんですよね。
ここに疑問。
つまり「新・世界三大料理」はフランス料理、中国料理、トルコ料理ではなく、フランス料理、中国料理、日本料理なんだと著者は前提にしておられるわけです。
私もまったく異論ないです。
ですが、この本の中で「だから日本料理こそが三大料理である」とビシッと決めつけた記述はありません。
もちろん日本料理の良さは紹介されています。
フランス料理のように味を乗せていく構成ではなく、素材の良さをいかに引き出すか引き算の美学であると。
まさしく。
これはもう日本人の味覚、美学でしょう。
この感性は世界に誇っていいと思います。
私など優越感に浸るくらいです。(一庶民ですが)
しかし、繰り返しますが「だから新・世界三大料理は日本料理なのだ」という決定打に欠ける印象です。
なのでこのサブタイトルに私は抵抗があります。
「和食はなぜ世界料理たりうるのか」ではなく、「和食ははたして世界料理たりうるのか」が正解なんではないかと思いました。
ラベル:グルメ本
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2021年02月16日

「アイコイ! お見合い相手は非日常(アイドル)!?」伽月るーこ

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タイトルは「非日常」に「アイドル」とルビが振ってあります。
学生時代は王子様と呼ばれるような存在だった中条白雪。
いわゆる女の園でのアイドルですね。
宝塚の男役みたいなものです。
でも本人はもっと女の子らしくしたい。
そんなことを思っていた矢先、あるきっかけで人気アイドルの桜井鷹澄とお見合いをすることに。
大企業の会長である祖父に就職祝いは何がいいと訊かれ、思わず「非日常」と答えた白雪。
そうかそうかと祖父は桜井鷹澄とのお見合いを設定します。
まさに非日常です。
鷹澄のマネージャーをするということで付き合いが始まるのですが・・・・。
なるほど、人気アイドルと婚約者になるなんて、まさに女性の妄想炸裂な設定ですね。(笑)
いや、否定はしません。
現実にはあり得ないそういうのをあたりまえのように読ませてくれるのがこのエタニティ文庫ですから。
ただ最初の出会い方がちょっと。
いくらなんでもコンサートが始まる前に会場の前をそのアイドルがうろついているなんてありえないでしょ。
そういう設定にするならそれなりの説明がありませんと。
アイドルの彼氏というか婚約者を前に、白雪がだんだんと惹かれていく過程はまあいいですかね。
男前キャラだった白雪がだんだんと女になっていくという。
エッチ度は低めです。
最後に満を持してそういうシーンが登場します。
これもまた引っぱっていていいんじゃないでしょうか。(笑)
鷹澄が白雪になんでそんなに惹かれるかというのがいまいちよくわかりませんでしたが、それにケチをつけたら話が成り立ちませんので。
でもじゅうぶんに楽しめましたね。
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2021年02月10日

「さいはて紀行」金原みわ

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この本はいろんなジャンルの「さいはて」を取材しています。
でも「さいはて」とはどこにあるのだろう。
著者は自問自答します。
自分にとっては「さいはて」でも、当事者やその周りの人にとっては日常だったりするんですよね。
なので結局は自分のすぐそばにあったりするんじゃないか。
自分にとって異質であっても、その人にとってそれが幸せならばそれでいいじゃないか。
そんな思いを持ちつつ、いろんな「さいはて」の紹介です・・・・。
なんともローカルでチープでカルトな内容ですね。
いや、これは誉め言葉ですよ。
このようなローカルでチープなモチーフに興味を持ち、取材し、文章を書く。
好きでないとできません。
淀川河川敷のホームレスの家とか。
私が大阪在住のせいもあるのでしょうが、ほんとローカルだなと思います。
キリスト看板の取材もあっぱれですね。
最近私はほとんど見ないんですけど、以前は『死後さばきにあう』というような看板をよく見かけました。
著者はそれらの看板に興味を持っておられ、その看板を作っている本拠地の宮城県まで行かれるのですね。
行くか。(笑)
でもそこでの体験は読んでいる私にもちょっとした感動を与えてくれました。
ストリップ劇場で老嬢にディルドを突っ込んで潮を吹かせてみたり。
するか。(笑)
しかしそれぞれのルポに人の生活とか人生の悲哀とかいったものが込められています。
そこをちゃんと書いておられるので単なる覗き見的な内容ではないんですよね。
かといって老練なライターの決まった文章じゃない。
やや素人っぽい初々しさがあって、それがローカルな雰囲気によく合っていました。
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2020年11月11日

「カモイクッキング くらしと料理を10倍楽しむ」鴨居羊子

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著者である鴨居羊子の名前を聞いても今の人は知らない人が多いでしょうね。
「チュニック」という女性下着ブランドの創始者です。
ズロースといわれるような地味な下着しかなかった時代にカラフルなデザインの下着を売り出し、一躍時代の寵児となりました。
スキャンティなんてのも彼女の命名です。
今はスキャンティなんて言葉も聞きませんが。(笑)
そんな著者は下着デザインだけではなく絵や文章にも才能を発揮しました。
本書は食についてのエッセイです。
まず最初に「私は食べることは好きだが、いわゆる食通でも味通でもない」と書いておられます。
これ、作家なんかが食について語るときに必ずといっていいほど持ち出す枕詞です。(笑)
しかし世間で食通として名が通っていることにまんざらでもない雰囲気がうかがえるんですよね。
でも本書はほんとにそういう通ぶったところがありません。
昔懐かしい食についてのエピソードだとか、ごく身近な料理について語られています。
食の世界も贅沢をいえばきりがありませんが、食を楽しむということでは必ずしも高級な店や食材でなくてもいいんですよね。
身近な食材や料理で食を楽しむ。
これがごく当たり前のことだと思います。
それを実践しておられるんですね。
ラベル:グルメ本
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2020年10月13日

「雪国」川端康成

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雪国の温泉宿を訪れた無為徒食の島村。
そこで出会ったのが駒子という芸者です。
なんだかんだ不満を言いながらも島村に惹かれる駒子。
そんな駒子の気持ちをわかっていながら冷めた気持ちで距離を置こうとする島村。
二人の行く末は・・・・。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」という冒頭の文章はあまりにも有名ですね。
川端の代表作です。
う~ん、駒子がなぜ島村にそこまで惹かれるのかがわからないんですよねぇ。
それありきで話が成立しているわけで、そこに納得できない以上話に入り込めません。
島村ってそんなに魅力ある男か?
そんなことにいちいち突っ込んでたら他の小説でも同じじゃないかということになるんでしょうけど。
まあそれはそれとして、田舎の芸者の激しい情熱が経済的にも余裕がありふらりとこの土地を訪れる妻子持ちの男に向けられるわけで、男は男でそんな女の気持ちを知りつつまた自分も惹かれつつ一線を引くんですよね。
なんといいますか、自分の気持ちに正直に行動しぶつかってくる駒子に、島村はびびってるわけで。
でも島村の距離を置く冷ややかさも男として理解できます。
なので駒子の気持ちが悲しい。
これ、雪国という舞台がすべてなんじゃないかと思いました。
寒さ冷たさがカチッと作品を固めている。
「南国」という舞台とタイトルならこうは締まらなかったでしょう。(笑)
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