2020年03月24日

「巷の美食家」開高健

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美食家として知られた作家、開高健の食エッセイ集。
私は美食家というよりも、むしろ大食家というイメージのほうが強いですけども。
必ずしも高級な料理や珍味をもてはやし、庶民的な食べ物を下に見るということはありませんでした。
とにかくなんでも食べてやろうという食に対する好奇心の人でしたね。
この本の中でも「大震災来たりなば」として、皆で非常食としての缶詰食べ比べなどということをやっておられます。
めしの缶詰に大和煮の缶詰の汁をぶっかけて「イケル!」と叫んでみたり。
鯨のコロの美味しさについて語っておられるあたりはさすがに大阪人でしょうか。
といっても鯨も今や貴重品ですが。
サエズリや尾の身なんて庶民の口には入りません。
手作りハンバーグを作る文章があるのですが、牛と豚のひき肉を生焼けで食べるという記述があるのですが、さすがにこれはいただけません。
たとえ牛100%でもひき肉はきっちり火を通して食べなければ。
などと思いながら読んでしまうのは野暮というものでしょうね。(笑)
ラベル:グルメ本
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2020年03月08日

「“食の安全”はどこまで信用できるのか 現場から見た品質管理の真実」河岸宏和

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食についてはちょくちょく異物混入で商品回収などのニュースが流れます。
そして何年かに1回大きな事件がどかーんと。
なぜこのようなことが起きるのか。
そりゃ100%完璧というわけにはいかないでしょうけど。
でも公になっているのなんてごく一部なんですよね。
この本にも書かれています。
メーカーにとって『他社の事件は「他山の石」ではなく「対岸の火事」』だと。
『そんなことで捕まってんなよ』と。
飲食関係でバイトしたことのある人ならたいがい一つや二つ、衛生面安全面で「こんなのでいいのかなぁ」と思ったことがあるんじゃないですかね。
よく「厨房を見たらその店で食べる気を失くす」なんてことが言われますけど、私の体験上これは事実です。
もちろんすべての店がそうではないでしょう。
しかし多数の店が当てはまります。
賞味期限なんかでも、某デパートの某店など、賞味期限のシール貼り替えは毎朝の日課でしたしね。
まあ今ほどうるさくない時代ではありましたが。
この本の著者はいろんなジャンルの食品の品質管理に携わってきた人です。
なので食品業界内部の事情を知るプロ。
メーカーの杜撰さだけではなく、法的な杜撰さも指摘しておられます。
そして中国の野菜を危険視し日本産なら安心というイメージが我々消費者には確かにありますが、本当にそうなのかと法的な面や流通の仕組みなどを解説して啓蒙しておられます。
そうですね、単純に中国産はみな危険、国産ならすべて安心なんてなんの根拠もない思い込みです。
またコンビニ弁当というと添加物の塊でいかにも体に悪そうなイメージがあります。
しかし著者は「コンビニの食品はかなり安全だ」といいます。
添加物に関してはたしかにいろいろ使用されているのですが、それについての表示義務がある。
賞味期限にしても。
しかし街中の対面販売の店にはそれがない。
手作り弁当なんて言いつつ結局は業務用の詰め合わせなんてのはよくありますが、それらの期限についても表示義務がないから期限切れの商品を使っていてもわからない。
温度管理にしてもコンビニは工場から売り場まで徹底した管理がされています。
よくオフィス街でお昼時に弁当を売り出すパラソル弁当なんてありますが、真夏なんか大丈夫なのかと思いますもんね。
台に並べた弁当に直射日光当たりまくりなんてのもありますから。
真夏に野外の常温で並べられている弁当よりは、コンビニで適温で陳列されているほうがそりゃずっと安全でしょう。
まあ結局は著者もあとがきに書いておられるように、中国産も日本産も関係なく、やるべきことをしっかりとやれば安全性は保たれるし、杜撰なら問題になると。
そしてそれを判断するには、消費者ももっと賢くならなければなりませんし、こだわりをもって真剣に考えなければならないということでしょう。
ラベル:グルメ本
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2020年01月26日

「熱中ラジオ 丘の上の綺羅星」嘉門タツオ

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大阪は千里の丘の上にあった毎日放送(MBS)。
そこからは『ヤングタウン』、通称ヤンタンというラジオ番組が発信されていました。
(今も番組はありますが)
当時の中・高・大学生から絶大に支持され、またこの番組から数々のスターが生まれました。
桂三枝(現・文枝)、笑福亭仁鶴、笑福亭鶴光、谷村新司、明石家さんま、紳助・竜介・・・・。
そんなヤンタンを聴いて育った世代に嘉門タツオがいました。
当時金曜日を担当していたのが笑福亭鶴光。
オールナイトニッポンにも登場して、飛ぶ鳥を落とす勢いでした。
そんな鶴光にタツオはゲリラ的に鶴光をつかまえ、弟子入り志願し入門します。
芸名は笑福亭笑光。
内弟子生活の始まりです。
そしてなんやかんやありつつ、なんとヤンタンのメンバーに大抜擢。
メインは原田伸郎、アシスタントはヤンタンファンなら忘れられないあのアニメ声の大津びわ子。
タツオは笑福亭笑光として順調なスタートを切るのですが・・・・。
当時は深夜のラジオがすごく盛り上がっていた時代でした。
現在のようにインターネットなんてありません。
ビデオやテレビゲームなんてのもなく、一部の若者の深夜の楽しみといえばラジオでした。
受験生が勉強しながらというのもパターンでしたね。
私もヤンタンはよく聴きました。
好きだったのは金曜日の谷村新司、ばんばひろふみ、佐藤良子。
その当時はこの日が一番人気でした。
サニーこと桂三枝が司会していたのは土曜日。
ここで私は初めて明石家さんま、紳助・竜介を知りました。
さんまはチャッピーなんて名乗ってましたね。
まだ貧乏だったような話をしておられました。
紳助・竜介の漫才は抜群に面白かった。
まだどちらもブレイクする前だったので、さんまにしろ紳竜にしろテレビでは観たことがなく、声だけでどんな人だろうと思いながら聴いていました。
懐かしい・・・・。
それはともかく本の内容に戻りまして、笑光は師匠の奥さんとぶつかり合うようになり、言うことも聞かなくなってやがて破門。
傷心したタツオはあちこち旅に出かけます。
そんな中で、いまさら落語には戻れない、でも歌で笑わせることならできるのではないかと開眼します。
ヤンタンのプロデューサーだった渡邊一雄氏の世話になり、またヤンタンでデビューし憧れの存在だった金森幸介氏の歌に励まされ、タツオは再デビューを果たします。
これは実話であり、嘉門タツオの自伝小説です。
ラストにはぐっとくるものがありました。
しかし人生というものは本当にどうなるかわからないものですね。
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2020年01月14日

「跳べ、ジョー! B・Bの魂が見てるぞ」川上健一

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スポーツをテーマにした8つの短編です。
テニス、野球、ボクシング、ラグビー、アイスホッケー、バスケットボール。
表題作はバスケットボールです。
身長175cmしかない黒人のジョー。
しかしひたすらダンクシュートにこだわります。
白人への捌け口をバスケットリングにぶつけるかのように・・・・。
私がいちばんよかったと思ったのは「熱いトライ」です。
タイトルからわかるようにラグビーをテーマにしています。
ワントライも上げることができずラグビーの試合中に亡くなった父親の遺志を息子が受け継ぎます。
ベタな話ではあるのですが、それでも読んでいて感情移入してしまいました。
試合の描写が実に熱い。
ただ表題作もそうなんですけど、一人称で書かれている作品の文章がちょっと気取りすぎで鼻につきます。
まあデビュー作品集ということで、それもまた初々しさでしょうか。
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2019年12月01日

「京都の中華」姜尚美

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京都の中華というのはどうも独特らしい。
品書きはごく普通なのですが、味付けが穏やか。
にんにくや香辛料、油などは控えめ。
これは祇園などの花街でお座敷に匂いを持ち込むのを嫌った結果だそうです。
盛り付けもやはりどこか落ち着いた佇まいがあるようで。
表紙の写真は酢豚ですが、ピーマンの緑やらニンジンの赤やらがありません。
実にシンプル。
使っている酢もまったりしていて、ちょっと甘いのだとか。
ダシにも和食のように昆布を使っている店もあるようです。
店構えにも風情があり、中には庭のある和室でいただける店もあったりします。
さすがの京都でしょうか。
といいましても、もちろん京都のすべての中華屋がそんな独特なわけではないでしょう。
他府県に比べたら一部の地域にそのような店が多いというだけで、ほとんどは他の土地の街中華と変わらないのではと思います。
なんといっても『餃子の王将』の本拠地でもありますから。(笑)
ラーメンでもあの『天下一品』は京都発祥ですし、『新福菜館』なんて真っ黒なスープは京都版ブラックラーメンです。
この店のラーメンには「見た目ほどしょっぱくない」というお約束な形容がついて回るのですが、いや、じゅうぶんしょっぱいですって。(笑)
京都というとどうしても京料理の繊細なイメージがありますけども、庶民レベルではけっこうどぎつかったりするんですよね。
話が逸れました。
いや、だからこそこの本で紹介されている店は貴重であり、京都独特の中華として紹介に値するわけです。
京都の中華に限らずですけど、こういう個性ある昔ながらの店がどんどん無くなってきています。
昔はどこにでもあったごく普通の大衆食堂も今はほとんど見かけることもなく、あれば貴重なレトロ扱いです。
他の街に比べると京都はまだ多少ゆっくりと時間が流れているように思いますし、昔ながらの良さというものを引き継いでいこうという気構えがあるように勝手に思っています。
ここに紹介されている店が末永く営業されますよう。
ラベル:グルメ本
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