2020年01月26日

「熱中ラジオ 丘の上の綺羅星」嘉門タツオ

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大阪は千里の丘の上にあった毎日放送(MBS)。
そこからは『ヤングタウン』、通称ヤンタンというラジオ番組が発信されていました。
(今も番組はありますが)
当時の中・高・大学生から絶大に支持され、またこの番組から数々のスターが生まれました。
桂三枝(現・文枝)、笑福亭仁鶴、笑福亭鶴光、谷村新司、明石家さんま、紳助・竜介・・・・。
そんなヤンタンを聴いて育った世代に嘉門タツオがいました。
当時金曜日を担当していたのが笑福亭鶴光。
オールナイトニッポンにも登場して、飛ぶ鳥を落とす勢いでした。
そんな鶴光にタツオはゲリラ的に鶴光をつかまえ、弟子入り志願し入門します。
芸名は笑福亭笑光。
内弟子生活の始まりです。
そしてなんやかんやありつつ、なんとヤンタンのメンバーに大抜擢。
メインは原田伸郎、アシスタントはヤンタンファンなら忘れられないあのアニメ声の大津びわ子。
タツオは笑福亭笑光として順調なスタートを切るのですが・・・・。
当時は深夜のラジオがすごく盛り上がっていた時代でした。
現在のようにインターネットなんてありません。
ビデオやテレビゲームなんてのもなく、一部の若者の深夜の楽しみといえばラジオでした。
受験生が勉強しながらというのもパターンでしたね。
私もヤンタンはよく聴きました。
好きだったのは金曜日の谷村新司、ばんばひろふみ、佐藤良子。
その当時はこの日が一番人気でした。
サニーこと桂三枝が司会していたのは土曜日。
ここで私は初めて明石家さんま、紳助・竜介を知りました。
さんまはチャッピーなんて名乗ってましたね。
まだ貧乏だったような話をしておられました。
紳助・竜介の漫才は抜群に面白かった。
まだどちらもブレイクする前だったので、さんまにしろ紳竜にしろテレビでは観たことがなく、声だけでどんな人だろうと思いながら聴いていました。
懐かしい・・・・。
それはともかく本の内容に戻りまして、笑光は師匠の奥さんとぶつかり合うようになり、言うことも聞かなくなってやがて破門。
傷心したタツオはあちこち旅に出かけます。
そんな中で、いまさら落語には戻れない、でも歌で笑わせることならできるのではないかと開眼します。
ヤンタンのプロデューサーだった渡邊一雄氏の世話になり、またヤンタンでデビューし憧れの存在だった金森幸介氏の歌に励まされ、タツオは再デビューを果たします。
これは実話であり、嘉門タツオの自伝小説です。
ラストにはぐっとくるものがありました。
しかし人生というものは本当にどうなるかわからないものですね。
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2020年01月14日

「跳べ、ジョー! B・Bの魂が見てるぞ」川上健一

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スポーツをテーマにした8つの短編です。
テニス、野球、ボクシング、ラグビー、アイスホッケー、バスケットボール。
表題作はバスケットボールです。
身長175cmしかない黒人のジョー。
しかしひたすらダンクシュートにこだわります。
白人への捌け口をバスケットリングにぶつけるかのように・・・・。
私がいちばんよかったと思ったのは「熱いトライ」です。
タイトルからわかるようにラグビーをテーマにしています。
ワントライも上げることができずラグビーの試合中に亡くなった父親の遺志を息子が受け継ぎます。
ベタな話ではあるのですが、それでも読んでいて感情移入してしまいました。
試合の描写が実に熱い。
ただ表題作もそうなんですけど、一人称で書かれている作品の文章がちょっと気取りすぎで鼻につきます。
まあデビュー作品集ということで、それもまた初々しさでしょうか。
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2019年12月01日

「京都の中華」姜尚美

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京都の中華というのはどうも独特らしい。
品書きはごく普通なのですが、味付けが穏やか。
にんにくや香辛料、油などは控えめ。
これは祇園などの花街でお座敷に匂いを持ち込むのを嫌った結果だそうです。
盛り付けもやはりどこか落ち着いた佇まいがあるようで。
表紙の写真は酢豚ですが、ピーマンの緑やらニンジンの赤やらがありません。
実にシンプル。
使っている酢もまったりしていて、ちょっと甘いのだとか。
ダシにも和食のように昆布を使っている店もあるようです。
店構えにも風情があり、中には庭のある和室でいただける店もあったりします。
さすがの京都でしょうか。
といいましても、もちろん京都のすべての中華屋がそんな独特なわけではないでしょう。
他府県に比べたら一部の地域にそのような店が多いというだけで、ほとんどは他の土地の街中華と変わらないのではと思います。
なんといっても『餃子の王将』の本拠地でもありますから。(笑)
ラーメンでもあの『天下一品』は京都発祥ですし、『新福菜館』なんて真っ黒なスープは京都版ブラックラーメンです。
この店のラーメンには「見た目ほどしょっぱくない」というお約束な形容がついて回るのですが、いや、じゅうぶんしょっぱいですって。(笑)
京都というとどうしても京料理の繊細なイメージがありますけども、庶民レベルではけっこうどぎつかったりするんですよね。
話が逸れました。
いや、だからこそこの本で紹介されている店は貴重であり、京都独特の中華として紹介に値するわけです。
京都の中華に限らずですけど、こういう個性ある昔ながらの店がどんどん無くなってきています。
昔はどこにでもあったごく普通の大衆食堂も今はほとんど見かけることもなく、あれば貴重なレトロ扱いです。
他の街に比べると京都はまだ多少ゆっくりと時間が流れているように思いますし、昔ながらの良さというものを引き継いでいこうという気構えがあるように勝手に思っています。
ここに紹介されている店が末永く営業されますよう。
ラベル:グルメ本
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2019年09月24日

「テレビ料理人列伝」河村明子

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1957年にスタートし、半世紀以上も続いている料理番組、NHK「きょうの料理」。
いろんな料理研究家たちが出演してきました。
著者は20年以上ディレクターとしてこの番組に携わってこられた人物です。
テキストを読み、いろんな関係者に取材し、当時番組に講師として出演していた人たちとはどのような人物だったのかを本書で伝えておられます。
出演者に関しましてはまさに錚々たるメンバーといっていいでしょう。
初期の人たちでは、近藤とし子、江上トミ、飯田深雪、土井勝、など。
その後、辰巳浜子、柳原敏雄、阿部なを、など。
料理人としては辻嘉一村上信夫、小野正吉、陳建民、など。
これらの人たちがスタッフと一緒にどのように料理を作り番組を作ってきたか。
料理する講師だけでなく、番組を作る人たちの収録での苦労が掲載されています。
特に初期は生放送でしたし、スタジオも撮影技術も現在とは比べ物にならないお粗末なレベルです。
そんな中でいかに苦労して番組を収録したのか。
食糧事情も現在に比べたらずっと貧困でした。
そんな中、いかに美味しく、栄養も考えつつ、手に入る材料で、料理を考えたのか。
日本の食事情や家庭料理の変遷も知ることができて実に興味深いです。
現在は料理人や料理研究家という職業が大変人気あるようです。
とても結構なことだと思うのですが、ぜひそれらを目指している若い人たちには、昔のこのような人たちの仕事を知っていただきたいですね。
今のように料理する人が脚光を浴びるようなことが考えられなかった時代に、それでも一生懸命真剣に料理というものを一般に伝えようとしていた人たちがいたことを。
ラベル:グルメ本
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2019年07月14日

「1行バカ売れ」川上徹也

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たった1行の言葉(キャッチコピー)が大ヒットを生む。
この本では現役のコピーライターが実際の例を取り上げて説明しておられます。
本来なら商品がよければ売れるべきなんですよね。
紛い物ではない本物の商品。
それだけでじゅうぶんなはずなんです。
それ以上の魅力や価値なんてあるはずがない。
しかし現代はいろんな物が出回っているので誠意を込めて作った本物の商品もそれらに埋もれてしまい、消費者のもとに届かない。
なんとか届かせようとすればやはり宣伝に力を入れることになるわけで、この上手い下手で売れ行きが大きく左右されるんですね。
読んでいてなるほどと思います。
やはりコピーには傾向というかコツがあります。
それも惜しげなく著者は公開しておられます。
でもねぇ。
達者なコピーや宣伝のおかげでくだらない商品がヒットしてしまうこともあるわけで。
もちろんそんなのは一時的なブームで終わるでしょうけど。
別にこの本は本物の商品を支持しましょうというコンセプトではなく、あくまで売れるためのコピーを考えましょうということですから、それでもいいのですが。
そのあたり著者も書いてはおられます。
『言葉だけでバカ売れしてしまったものは、やはり長く続かない場合が多いのです。』
でも私が嫌なのは、それでも取りあえず売れれば勝ち的に戦略的な宣伝で中身のない商品を売る人たちがいるわけですし、何よりもそれに乗せられ(騙され)てしまう消費者が多いことです。
もちろん私も例外ではありません。
商品の本質よりも魅力的な宣伝やコピーに釣られて物を買う。
なんと愚かしいことでしょう。
私はそういう気持ちでこの本を読みました。


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