2020年01月14日

「跳べ、ジョー! B・Bの魂が見てるぞ」川上健一

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スポーツをテーマにした8つの短編です。
テニス、野球、ボクシング、ラグビー、アイスホッケー、バスケットボール。
表題作はバスケットボールです。
身長175cmしかない黒人のジョー。
しかしひたすらダンクシュートにこだわります。
白人への捌け口をバスケットリングにぶつけるかのように・・・・。
私がいちばんよかったと思ったのは「熱いトライ」です。
タイトルからわかるようにラグビーをテーマにしています。
ワントライも上げることができずラグビーの試合中に亡くなった父親の遺志を息子が受け継ぎます。
ベタな話ではあるのですが、それでも読んでいて感情移入してしまいました。
試合の描写が実に熱い。
ただ表題作もそうなんですけど、一人称で書かれている作品の文章がちょっと気取りすぎで鼻につきます。
まあデビュー作品集ということで、それもまた初々しさでしょうか。
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2019年12月01日

「京都の中華」姜尚美

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京都の中華というのはどうも独特らしい。
品書きはごく普通なのですが、味付けが穏やか。
にんにくや香辛料、油などは控えめ。
これは祇園などの花街でお座敷に匂いを持ち込むのを嫌った結果だそうです。
盛り付けもやはりどこか落ち着いた佇まいがあるようで。
表紙の写真は酢豚ですが、ピーマンの緑やらニンジンの赤やらがありません。
実にシンプル。
使っている酢もまったりしていて、ちょっと甘いのだとか。
ダシにも和食のように昆布を使っている店もあるようです。
店構えにも風情があり、中には庭のある和室でいただける店もあったりします。
さすがの京都でしょうか。
といいましても、もちろん京都のすべての中華屋がそんな独特なわけではないでしょう。
他府県に比べたら一部の地域にそのような店が多いというだけで、ほとんどは他の土地の街中華と変わらないのではと思います。
なんといっても『餃子の王将』の本拠地でもありますから。(笑)
ラーメンでもあの『天下一品』は京都発祥ですし、『新福菜館』なんて真っ黒なスープは京都版ブラックラーメンです。
この店のラーメンには「見た目ほどしょっぱくない」というお約束な形容がついて回るのですが、いや、じゅうぶんしょっぱいですって。(笑)
京都というとどうしても京料理の繊細なイメージがありますけども、庶民レベルではけっこうどぎつかったりするんですよね。
話が逸れました。
いや、だからこそこの本で紹介されている店は貴重であり、京都独特の中華として紹介に値するわけです。
京都の中華に限らずですけど、こういう個性ある昔ながらの店がどんどん無くなってきています。
昔はどこにでもあったごく普通の大衆食堂も今はほとんど見かけることもなく、あれば貴重なレトロ扱いです。
他の街に比べると京都はまだ多少ゆっくりと時間が流れているように思いますし、昔ながらの良さというものを引き継いでいこうという気構えがあるように勝手に思っています。
ここに紹介されている店が末永く営業されますよう。
ラベル:グルメ本
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2019年09月24日

「テレビ料理人列伝」河村明子

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1957年にスタートし、半世紀以上も続いている料理番組、NHK「きょうの料理」。
いろんな料理研究家たちが出演してきました。
著者は20年以上ディレクターとしてこの番組に携わってこられた人物です。
テキストを読み、いろんな関係者に取材し、当時番組に講師として出演していた人たちとはどのような人物だったのかを本書で伝えておられます。
出演者に関しましてはまさに錚々たるメンバーといっていいでしょう。
初期の人たちでは、近藤とし子、江上トミ、飯田深雪、土井勝、など。
その後、辰巳浜子、柳原敏雄、阿部なを、など。
料理人としては辻嘉一村上信夫、小野正吉、陳建民、など。
これらの人たちがスタッフと一緒にどのように料理を作り番組を作ってきたか。
料理する講師だけでなく、番組を作る人たちの収録での苦労が掲載されています。
特に初期は生放送でしたし、スタジオも撮影技術も現在とは比べ物にならないお粗末なレベルです。
そんな中でいかに苦労して番組を収録したのか。
食糧事情も現在に比べたらずっと貧困でした。
そんな中、いかに美味しく、栄養も考えつつ、手に入る材料で、料理を考えたのか。
日本の食事情や家庭料理の変遷も知ることができて実に興味深いです。
現在は料理人や料理研究家という職業が大変人気あるようです。
とても結構なことだと思うのですが、ぜひそれらを目指している若い人たちには、昔のこのような人たちの仕事を知っていただきたいですね。
今のように料理する人が脚光を浴びるようなことが考えられなかった時代に、それでも一生懸命真剣に料理というものを一般に伝えようとしていた人たちがいたことを。
ラベル:グルメ本
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2019年07月14日

「1行バカ売れ」川上徹也

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たった1行の言葉(キャッチコピー)が大ヒットを生む。
この本では現役のコピーライターが実際の例を取り上げて説明しておられます。
本来なら商品がよければ売れるべきなんですよね。
紛い物ではない本物の商品。
それだけでじゅうぶんなはずなんです。
それ以上の魅力や価値なんてあるはずがない。
しかし現代はいろんな物が出回っているので誠意を込めて作った本物の商品もそれらに埋もれてしまい、消費者のもとに届かない。
なんとか届かせようとすればやはり宣伝に力を入れることになるわけで、この上手い下手で売れ行きが大きく左右されるんですね。
読んでいてなるほどと思います。
やはりコピーには傾向というかコツがあります。
それも惜しげなく著者は公開しておられます。
でもねぇ。
達者なコピーや宣伝のおかげでくだらない商品がヒットしてしまうこともあるわけで。
もちろんそんなのは一時的なブームで終わるでしょうけど。
別にこの本は本物の商品を支持しましょうというコンセプトではなく、あくまで売れるためのコピーを考えましょうということですから、それでもいいのですが。
そのあたり著者も書いてはおられます。
『言葉だけでバカ売れしてしまったものは、やはり長く続かない場合が多いのです。』
でも私が嫌なのは、それでも取りあえず売れれば勝ち的に戦略的な宣伝で中身のない商品を売る人たちがいるわけですし、何よりもそれに乗せられ(騙され)てしまう消費者が多いことです。
もちろん私も例外ではありません。
商品の本質よりも魅力的な宣伝やコピーに釣られて物を買う。
なんと愚かしいことでしょう。
私はそういう気持ちでこの本を読みました。


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2019年05月25日

「落語と私」桂米朝

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人間国宝だった故・桂米朝が中学生高校生向けに書いた落語の入門書です。
いや、解説書というべきか。
もともとは昭和50年にポプラ社から出たものを、少し手を入れて昭和61年に文春文庫から出したのがこの本です。
なので落語の歴史、漫談とどう違うのか、東京と上方の違いは、落語史上にはどのような人たちがいたのか、などなど、非常にわかりやすく書かれています。
桂米朝といえば大きな名前でしたもんねぇ。
上方の落語を立て直した功績はあまりにも大きい。
この人がいなかったら今の上方落語はなかったかもしれません。
落語もまたさすがに面白い。
ちょくちょくネットで動画を観るのですが、はんなりした話し方に円熟の味わいがありますね。
弟子である桂枝雀の大きなアクションの落語も大好きですが。
最近はお笑いといえば漫才からスタートしてバラエティタレントというのが王道のようになっていますが、落語という芸にもっと目を向け評価するべきでしょう。
例えば小説やマンガ、映画といった創作に携わる場合、勉強になるのは漫才よりも絶対に落語です。
漫才しか知らない漫才師よりも落語を知っている漫才師のほうが絶対に面白い。
と思う。(笑)
さて、今からまた米朝さんの落語を聴くとしますか。
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