2019年04月21日

「ブランドのデザイン」川島蓉子

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ブランドとは何か。
企業そのものであったり、その企業が販売している商品であったり。
この本ではロングセラー・ブランドを題材に、ブランドとデザインのかかわりをまとめておられます。
実際のメーカーや商品を例に挙げておられるので、読者としても具体的でわかりやすい。
紹介されているのはサントリーの「伊右衛門」、「ウーロン茶」、キユーピー「キユーピーマヨネーズ」、「キユーピーハーフ」、資生堂「マジョリカ マジョルカ」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、
無印良品。
それらの開発に関わった人たちに取材し、その商品が生まれたいきさつやコンセプト、開発の過程などが細かく紹介されています。
その他いろんなブランドも例に挙げ、緻密に検証を固めておられますね。
もちろん「ブランドのデザイン」というからには、商品そのもののデザインからポスターやテレビでのCFについても検証。
やはり消費者にいちばん訴えかけるのはここですからね。
いい商品であるということを伝えるためにはやはりデザインであり、そこからくるイメージは重要です。
巻末ではクリエーター・インタビューということで、コピーライターやデザイナーへのインタビューがあります。
歴史あるブランドやロングセラーといわれる商品には、やはり確固とした志があるのですね。
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2019年04月11日

「夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」カズオ・イシグロ

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音楽をテーマにした5編を収録した短編集です。
タイトル的には「夜想曲」というのが表題作になるのでしょうか。
才能はあるのに醜男のせいで仕事に恵まれない無名のサックス奏者。
妻にも去られてしまいます。
整形手術を受け、有名人御用達のホテルに“入院”し、隣室の有名女優と仲良くなりホテル内を散策するのですが・・・・。
これはコメディタッチの作品ですね。
雰囲気があるのは最初の「老歌手」でしょうか。
昔、一世を風靡した歌手が妻を伴ってベネチアを訪れています。
しかし現在は鳴かず飛ばずです。
妻との関係も冷めているようです。
主人公のギタリストは老歌手に雇われ、ゴンドラで老歌手が妻に捧げる歌の伴奏を依頼されます・・・・。
どの作品も夫婦関係を描いています。
といっても直接的ではない。
一人称で書かれる主人公を通してです。
そして音楽の才能ある主人公たちの苦悩といいますか。
才能あっても見た目で日の目を見ない、過去に栄光を受けても今は落ちぶれ、など。
全体的に黄昏の雰囲気がありますね。
カズオ・イシグロの作品は非常に読みやすいのがいいです。
もちろん英語がわからない私は翻訳で読むしかないのですが、原文がそうなのか翻訳がいいのか、いわゆる“翻訳臭”がないのがいい。
ラベル:海外小説
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2019年04月01日

「銀河鉄道の父」門井慶喜

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詩人で童話作家の宮沢賢治。
彼はいかにして詩人・作家になったのか。
賢治は岩手県で質屋を営む政次郎の長男として生まれました。
その政次郎は賢治にとっては祖父である喜助に「質屋に学問は必要ない」と言われ、きっぱりと進学をあきらめた過去があります。
喜助はやはり孫の賢治にもそれを求めるのですが、政次郎は賢治に好きな道を歩ませます。
しかし賢治の言動は奇異です。
そんなちょっと変わり者の息子を見守る父政次郎の視点から描かれた、親子と家族の小説です・・・・。
まず思ったのは、なんとぬるい父親か、ということですね。
明治の男とはもっと子供に厳しくガツンと威厳のあるものだと思っていましたが、政次郎の賢治に対する言動はまるで過保護です。
親バカです。
せっせと資金援助もしてやります。
また賢治もそれに甘えてスネをかじっています。
どうしようもない息子といってもいいでしょう。
しかし賢治を見る政次郎はあくまで優しい。
賢治が晩年床に臥せた際には、眠れないという賢治にまるで幼児にするようにトントンと胸をたたいて歌まで歌ってあげています。
40歳前の男に、です。
個人的には非常によくわかります。
いくつになっても親からすれば子供は子供ですから。
30歳になろうが40歳になろうが。
しかしそれにしても、との思いがありますね。
しかも明治の男が。
ですが毅然としたところもあり、妹のトシの臨終に際してもそうなのですが、もうだめだとなると巻紙と小筆を用意し、遺言を書きとるから言い置くことがあるなら言いなさい、と言ってのけたりします。
子供に対してこれは言えませんよ、普通。
まあ過保護と書きましたものの、しかしそれは息子に対する父親の深い愛であるのは確かです。
どこまでが事実かはわかりませんが、このような父親、家族だったからこそ詩人・童話作家の宮沢賢治が誕生したのでしょう。
なんやかんや書きましたが、政次郎の賢治に対する愛、そして賢治の政次郎に対する愛、そして家族の愛、これらに感動したのは間違いありません。
しかしどうも素直に評価できない・・・・。
ラベル:小説
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2019年02月02日

「成功する人は生姜焼き定食が好きだ」笠井奈津子

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う~ん、この本はいったいなんと言ったらいいんでしょうか。(笑)
著者は栄養士であり、食事カウンセラーやフードアナリストなどをしておられるとのこと。
ビジネスマンを対象として企業研修などもしておられるそうです。
栄養学の本として読めば書いておられることはなるほどなと思う内容です。
アドバイスにしても、例えば『ラーメンはやめなくていい。「悪をなくすのではなく善を増やす」』というふうに、「ラーメンはあまり体に良くないのでお勧めできません」的なことはおっしゃらないんですよね。
夜中のインスタントラーメン、食べるのならせめて野菜を入れましょう、お酢をひと回しかけましょうとアドバイスされます。
マイナス思考ではなくプラス思考といいますか、ふむふむと思わされます。
これはこれでひとつの見識でしょう。
しかしどうも素直にふむふむと読めないのは、タイトルからわかるように食事のアドバイスにビジネスや恋愛を絡めておられるからなのかなと思ったりします。
するのですが、やはりこれまた間違ったことは書いておられないんですよね。
ざっくり言いますと、食事に気を使っている人は健康である → 健康であればバリバリ仕事ができる → 仕事ができる男は出世する、女性にモテる。
なるほど、と。
私からしてみればですが、ベクトルは正しい。
しかし微妙にズレてるんじゃないか、という気がするんですよね。
今まで周りにいませんでしたか?
「この人普通なんだけど、でもなんだかちょっと違う」という人が。
そんな読後感の本です。(笑)
ラベル:グルメ本
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2019年01月13日

「天才 勝新太郎」春日太一

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勝新太郎といえば私にとっては座頭市ですね。
逆に言えばそれしか知らないのですが。(笑)
しかし本人もこの役には相当入り込んでいて、自分でも勝新太郎なのか座頭市なのかわからなくなるほどだったようです。
そして制作の現場は脚本なんてあってないようなもの。
すべてその場その場の勝のひらめきで話を作っていったとのこと。
スタッフはたまったものではありません。
かなり壮絶な現場だったようですね。
自分で納得できない演技は絶対にやらない。
黒澤明監督と喧嘩して「影武者」を降りたのは有名な話。
そんな勝の役者として、そして制作者としての生き様が描かれています。
豪快で奔放なイメージの勝ですが、それを演じていた部分もあったようですね。
実際は人懐っこく繊細な人柄だったようです。
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