2016年05月15日

「ラーメン屋の行列を横目にまぼろしの味を求めて歩く」勝見洋一

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タイトルの通り「まぼろしの味」をテーマに書かれた食エッセイです。

「この世から完全に絶滅してしまったもの」、「作り方がわからなくなってしまったもの」が「まぼろしの味」の度合いとしては最高位でしょうが、以前とは味が変わってしまったものを「まぼろしの味」というのならばゴマンとあると。

青臭かった昔のトマト、曲がって形は不揃いでも味の濃いキュウリなど。

とまあ、やはりそこにはノスタルジーが入り込みますね。

子供時代の給食とか。

脱脂粉乳、鯨の竜田揚げ・・・・。

さてタイトルにある「ラーメン屋」とはどういうことなのか。

これもやはり昔のラーメンと比較して昨今(この本の出版は2009年)のラーメンに苦言を呈しておられます。

ガイドブックが薦める店を周ってみたものの、そのひどさに嘆いておられるんですね。

『赤坂の裏手にある博多で有名な東京出店』の店とか、『TVチャンピオンラーメン職人王選手権優勝者』の店とか、『日暮里の豚骨と宗太節、サバ節、煮干の魚介系スープ』の店とか。

どうやら昔の東京ラーメンの味は「まぼろしの味」となってしまったようです。

著者の勝見洋一氏はグルメとして知られる人で、フランスにおいてミシュランの審査員をしたこともあるそうで、NHK「男の食彩」のキャスターもしておられました。

中国料理にも造詣が深く、「中国料理の迷宮」でサントリー学芸賞も受賞しておられます。

その他、料理についての著書多数。

世界中でいろんなものを食べてきた著者からすれば、店主をカリスマ視するような傾向も含め昨今のラーメンブームは嘆かわしいことなのでしょう。

「まぼろしの味」イコール「昔ながらの本物の味」とも言えるわけで、そういう意味では現在のジャンクな味がはびこる世の中ますます「まぼろしの味」というのは増えていきそうです。

この本ではそのようなB級グルメだけではなく、日本各地、中国、フランス、イタリアなどの料理についても言及しておられます。

ラベル:グルメ本
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2016年03月18日

「ホルモン奉行」角岡信彦

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ホルモン。

美味しいですねぇ。

酒のアテとしては確実に正肉よりも上に君臨します。

でもワインという感じではないですね。

やはりビールか焼酎でしょうか。

さて、この本ではそんなホルモンを食文化としていろんな面から紹介しておられます。

ただ単に焼肉好きの人があちこち焼肉屋に行ってあんなの食べたこんなの食べたというような内容ではありません。

しかし決して堅苦しい内容ではなく、実にあっけらかんと楽しく読めます。

まずは部落や在日朝鮮人の歴史から入り、取材しておられます。

ホルモンを語る上でやはりこれは避けて通れませんしね。

なので部落のホルモン料理である『ころ炊き』や『ドロ』などといった料理も紹介しておられ、私などはそんな料理があるなど初めて知りました。

そして最近大阪でよくみかける『かすうどん』に使われる油かすの製作現場を取材したり、牛や豚に限らず馬肉でつくる『さいぼし』を取材したり。

海外にまで足を延ばしておられます。

BSE騒動に怒ったりも。

非常にバラエティに富んだ内容です。

著者のホルモンにかける愛着がひしひしと伝わってくるこの一冊、ホルモン好きはぜひ読むべし。

ラベル:グルメ本
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2016年01月04日

「ママ・グランデの葬儀」ガルシア・マルケス

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9編を収めた中・短編集。

架空の地マコンド王国の絶対君主、ママ・グランデが病に伏し逝去する混乱を描いた表題作。 

それよりも私は最初の「大佐に手紙はこない」に読み応えを感じました。

ボリューム的に中編ということもあるかもしれませんが。

喘息の妻を抱え、15年間恩給を待ち続ける大佐の話です。

毎日の食事にも困る生活をしながら、息子が残した売ればそこそこのお金になる軍鶏を手放すことをしない大佐。

今日こそ恩給が届くだろうと金曜日になると郵便船を出迎えに行きますが、毎回肩透かしです。

最後の言葉が強烈ですね。

たまりかねた妻が大佐の襟をつかみ烈しくゆさぶって言います。

「言ってちょうだい、あたしたちはなにを食べればいいの?」

大佐は言います。

「糞でも食うさ」

う~ん、なんともドライで思いっきり突き放したこの感覚・・・・。

とはいっても、私はこの作家の魅力がいまだに理解できていません。

この作品集も初めて読んだのは25年くらい前だと思いますが、前回読んだときよりは少し楽しめたものの、やはり玉砕といった感じですかね。(笑)

ラベル:海外小説
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2015年07月15日

「続・にっぽん蔵々紀行」勝谷誠彦

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タイトル通り「にっぽん蔵々紀行」の続編です。

いろんな日本酒の蔵を巡る旅ですが、あしかけ8年とのこと。

お疲れ様でございました。

今回は日本酒だけではなく焼酎の蔵も訪ねておられます。

鹿児島県は日本で唯一日本酒の蔵がないんですね。

そして沖縄に日本酒の蔵があるということも初めて知りました。

最近はあまり日本酒の人気がないようですが、それはやはり質のよくない酒が出回っているせいでしょう。

ちゃんとした美味しい日本酒は目を見張りますもんね。

ラベル:グルメ本
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2015年07月03日

「雁屋哲の美味しんぼ列島」雁屋哲

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著者はグルメ漫画「美味しんぼ」の原作者です。

この本の前半はNHKの「にっぽん列島朝いちばん」という番組で著者がリポーターとして取材したことを「ウィークス」という雑誌向けにまとめたものだとのこと。

その後番組は終了し「ウィークス」誌に不定期連載したものを追加。

後半は「ペントハウス」誌に連載したオーストラリア編です。

そして巻末では香港の事情に詳しい山口文憲氏と香港の食について対談しておられます。

内容としましては日本各地の本物の味を訪ねて歩くというもの。

生産者への訪問です。

利尻の昆布や海の幸、仙台のソーセージ業者、東京の下町の豆腐屋などなど。

昔ながらの本物の材料と調理法で作った食品はやはり美味しいし体にもいいのだと。

もっともだと思います。

ですが現在はほとんどがまがい物です。

ソーセージやかまぼこなどの原材料表示を見るとほんとに大丈夫なのかなと思いますもんね。

味や体に与える影響よりも効率や利益を優先した食品があふれかえっているわけです。

著者も「美味しんぼ列島どころか悲観列島、絶望列島ではないかと思えるほどだ」と嘆いておられます。

そんな中にあってこの本で紹介されているようないまだに本物の食品にこだわる生産者がいます。

頭が下がりますね。

ラベル:グルメ本
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