2017年07月23日

「極みのローカルグルメ旅」柏井壽

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この本は食通に向けて書かれたものではありません。
かといってB級グルメマニア向けに書かれたわけでもなく。
その土地に行かなければ味わうことのできないローカルグルメを紹介した本です。
いいですねぇ、ローカルグルメ。
どの土地に行っても同じような料理が蔓延る昨今。
地方の名物とかいいながらも簡単に取り寄せたりできてしまいます。
ではなく、やはりその土地に足を運ばなければ食べられない料理があっていいはずです。
いや、なくてはなりません。
地元の人だけが知る味、店。
そういうのがあってこそ旅もまた楽しみになるというものです。
じゃあ旅行になんて行けない人はそういう料理を味わえないではないか、という意見もありましょう。
うむ。
それならば諦めればいいのです。
無理なら潔く諦めるというのも肝心です。
なんでもかんでも手に入るという考えが現代人の自惚れであり、物に対する有難みを失くしているのです。
どうしても諦められなければ執念でお金と時間を作って食べに行けばいいのです。
さてローカルグルメですが、こういうのって当然高級な懐石料理やフランス料理ではなくB級グルメ的なんですよね。
高級になるほどローカル色といいますか地元べっちゃり感がなくなるといいますか。
洗練とともにローカルな泥臭さがそぎ落とされてしまうんでしょうね。
この本で紹介されている店や料理はほとんどB級グルメ的です。
市役所の地下食堂のカレーなんてのも紹介されています。
やっぱり気取らなく昔から地元の人に愛されている料理というのはいいものですね。
ラベル:グルメ本
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2017年06月03日

「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ

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キャシー・Hは介護人です。
『提供者』の世話をしています。
そんなキャシーが過ごした『ヘールシャム』という施設での思い出。
さて、介護人とはなんなのか。
提供者とは?
ヘールシャムというのはなんのための施設なのか。
キャシーの回想とともにそれらが明らかになっていきます・・・・。
翻訳物ですが、まったくそうは思わせない文体です。
作者の文体がそうなのか、訳者がそのように訳しておられるのかは私にはわかりませんけども。
なので翻訳物が苦手な人でも読みやすい。
テーマとしてはけっこうエグイといいますか残酷ともいえるわけですが、ですます調の抑えた筆致で淡々と話が進んでいきます。
ミステリーとも近未来なSFとも読めますね。
ノスタルジックな青春小説とも読めるでしょう。
ジェットコースターのように大きなうねりがあるわけではありませんので、エンターテイメントとして読んだ場合やや物足りなさを感じるかもしれません。
ですが、このテーマを直接ドーンと提示して「さあ、どうだ」と問いかけられるよりも、じわりじわりと身近なことのように染み入る怖さがあります。
いや、怖さではなく悲しみでしょうか、やるせなさでしょうか。
ボリュームは430ページほど。
やや冗長かなという気もするのですが、この枚数で丁寧にキャシーの回想を積み重ねているからこその完成度ともいえます。
地味ではありますが、読ませる小説です。
ラベル:海外小説
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2017年04月02日

「絶対味覚」川越達也

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料理を作るにはどうすればいいか。
普通の料理本ならばレシピが書かれているわけですね。
肉何グラム、だし汁何カップ、醤油大さじ何杯・・・・。
しかしこの本にはそのようなレシピは書かれていません。
作りたい料理の味を記憶して、そこから遡ってレシピを分析しなさいと。
ま、これは改めて言われるまでもなく、料理好きで外食好きな人ならたいがい皆やっていることだと思います。
あの店で食べた料理の味を家で再現してみよう、と。
あの店のハンバーグはとてもふっくらしていた。
この店は肉汁溢れる仕上がりだな。
じゃあ、こねるときにこうすればいいんじゃないか。
ああすればこの食感に近づくかも。
ソースにあの調味料を使えば近い味が出せるはず・・・・。
まったく店と同じ材料は揃えられませんから、生クリームの代わりに牛乳でいけるかなとか、ワインビネガーなんて買ってもそんなに使うものじゃないから酢と白ワインでなんちゃってみるか、とか考えたりもします。
それが料理の楽しさでもあるわけで。
ただまあやはり最低限の知識というのは必要で、それがあってこそだとは思いますけど。
ところでこの著者、いっときはテレビに出まくってましたが最近は見かけなくなったようで。
店も閉められたようですね。
「世の中の人から、僕の存在を忘れてもらいたい」などとおっしゃっているとか。
なんじゃそりゃ。(笑)
ラベル:グルメ本
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2017年02月09日

「ロックンロール・ウイドー」カール・ハイアセン

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主人公のジャックは新聞社の死亡欄担当記者。
昔売れていたロック歌手ジミーが死亡するのですが、ジャックはその死を不審に思います。
ジミーの妹ジャネットやジミーの妻で歌手のクリオを取材するのですが、どうもクリオの言動が怪しい。
さて、ジミー死亡の真実は・・・・。
この作者の作品はこれで3冊目。
以前に読んだ2作に比べるとコメディ度は薄いですね。
「復讐はお好き?」なんかはけっこう笑えましたけども。
まあコメディ小説ではありませんからそんなことを求めてもいけないんでしょうけど。
しかしミステリーとしてもどうなのかなぁ。
意外性があるわけでなく、決まったレールの上を進んでいくような展開ですし。
500ページを超える長さですが、そんなに枚数が必要な内容とも思えませんでした。
退屈はしませんでしたがワクワク感もありませんでしたね。
ラベル:海外小説
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2017年01月20日

「二匹」鹿島田真希

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「青春。青く未熟な春と書く。」
こんなクサイ書出しで始まります。
その後の言い回しやセリフのやりとりも昔のコバルト小説を読んでいるよう。
かなりイタく恥ずかしいです。
内容も私にとっては実にクサく白々しいものでした。
ですがこの小説がそれだけで終わっていない理由が「二匹」なんですね。
「二人」ではなく「二匹」。
ここがポイント。(笑)
主人公ら二人を二匹と扱うことによって、この小説は平凡から非凡に昇華しています。
不条理的なノリですが、逆にいえばリアリティのないやりとり。
なのでこれは普通に高校生の青春小説として読むと大きく期待をはずすことになりますのでご注意。
解説を読みましたら笙野頼子氏らが絶賛したようですが、私はちょっとどうも。
このノリには白けてしまいます。
ラベル:小説
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