2020年09月25日

「喧嘩猿」木内一裕

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時代は幕末。
ペリーの黒船が来航した頃のこと。
といいましてもこの小説の内容にはそのような幕末感はないのですが。
主人公は森の石松。
清水の次郎長の子分として有名な人物ですが、この小説はそれ以前の少年時代の石松の物語です。
黒駒の勝蔵という人物に左目をつぶされ池田鬼神丸という名刀も持っていかれた石松は、傷も癒えぬうちに故郷を飛び出し後を追います。
旅の途中で武居の吃安というやくざと出会い、いよいよ勝蔵のもとへ・・・・。
やはり読ませてくれましたね、木内一裕。
これは作者にとって7作目の作品であり、初の時代小説。
解説によりますと昔の講談本を手本にされているとのことで、昔の字体を使った漢字が多用されており、また文体も同じく。
なので最初は見た目のページの字面にちょっと引きまして、だいじょうぶかなと読み始めたのですが。
なんのなんの。
逆にこの文字使い文体あっての作品です。
ぐいぐいと引き込まれました。
石松をはじめとして、吃安にしろ勝蔵にしろ、その他の人物にしろ、実に迫力があります。
石松の無鉄砲な魅力がいいですね。
他の登場人物にしても。
いやしかしこの作者、このようなジャンルでも存分に才能を発揮しておられます。
小説家としてまったく評価されていないのが不思議でなりません。
ラベル:時代小説
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2020年09月23日

「名画は嘘をつく」木村泰司

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名画にはどんな「嘘」が秘められているのか。
「モナリザ」は世界で一番美しい肖像画といわれているが実は・・・・。
ムンクの「叫び」は誰が何に向かって叫んでいるのか・・・・などなど。
名画に対して多くの人たちがしているであろう勘違いについて、著者が真実を明らかにします。
ってなんだかすごく大層なことのようですが、読んでみてそれほどでもなかったなと思ってしまいました。(笑)
いや、実はもっとすごい真実が隠されているのだと勝手にこちらが期待していただけなのですが。
「モナリザ」にしても、そもそも誰が世界一美しいなんて言ってんのって話です。
レンブラントの「夜警」も実は夜ではなく昼の場面だといわれても、へぇそうなのと。
ターナーの「戦艦テメレール号」は夕陽に見えるが実は朝陽だとか。
はあ、そうですかと。
えっ、と驚くほどのことではありません。
ただそうやって解説されないとわからないことではあるので、なるほどと感心はしますが。
まあ絵画版雑学の本といったところでしょうか。
当然のことながらオールカラー。
文庫本ではありますが、画集としても楽しめます。
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2020年08月17日

「そばと私」季刊「新そば」編

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『季刊 新そば』という雑誌に掲載された67編(人)のエッセイ集です。
古いところでは昭和41年、新しいところでは平成25年。
およそ半世紀に渡っています。
筆者はあいうえお順に紹介されており、まずは赤塚不二夫
続いて秋山徳蔵
浅野忠信なんて人もいれば淡谷のり子も。
作家では大岡昇平がいますし、永井龍男古井由吉、水上勉など。
芸人では立川談志桂米朝
芸能界では池部良石井好子、菅原文太も。
なるほど、そばが似合いそうな人たちです。
丹波哲郎なんて人も登場しておられましたが、いや、丹波センセイにおかれましてはそばのような庶民的なものについて語るというのはどうもミスマッチです。
この人にはやはり大霊界というようなスケールの大きいものについて語っていただきたい。
椋鳩十なんかも書いておられますが、このようなことについて語る人だったんですねぇ。
って、こんな調子で紹介していたらきりがないですね。(笑)
しかし蕎麦ってなんでみな一家言あるんでしょうか。
うどんはここまで五月蠅く語らないですよね。
店主も蕎麦好きが高じて脱サラなんかして。
作務衣なんか着てね。
都会ではダメだとかいって有名な産地に引っ越したり。
また客もそれを追っかけたり。
まったくお腹が膨れないのにいい値段したり。
ツユは先っちょにちょっとつけるだけだとか。
なんだか蕎麦の魅力というのは江戸っ子の粋やストイックさ、スノッブさを抜きに語れないのではと思ってしまうのは偏見でしょうか。
「死ぬ前に一度つゆをたっぷりつけて蕎麦を食べたかった」なんて皮肉もあるくらいで。
でもわんこそばなんてのもありますしね。
立ち食いそばなんてのもあります
これらはもちろん通が食べる蕎麦とは別物ですが。
もちろん本書ではそれらについて語っておられる人もいらっしゃいます。
駅ホームのそば、駅前にある立ち食いそば。
そういうのが自分にとっては美味しいと。
でもそれらのそばって蕎麦粉より小麦粉のほうが多かったりするんですよね。
そばってなんぞや?
なんだか、ちょっと収拾つかなくなってきたのでこのへんで。(笑)
ラベル:グルメ本
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2020年06月22日

「猟師になりたい!」北尾トロ

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いままでいろんなことにチャレンジしてこられた著者ですが、今回はなんと猟師に。
長年東京で暮らしてこられたのですが、家族3人で長野県松本市に引っ越し。
編集者から「せっかく長野で暮らすようになったのだから、ここでなければできない取材をしませんか?」と持ち掛けられます。
「猟師へのインタビュー」と。
しかし猟師のことなど何も知りません。
まともなインタビューもできず失礼になるのは目に見えています。
いったんは断ったものの、待てよと。
話が聞きたいのなら、内容を理解したいのなら、自分が猟師になればいい。
思いついた著者は妻に宣言します。
「猟師になろうと思う」
妻は笑いながらおっしゃったそうです。
「いいかもね」
なんとまあ理解があるといいますか屈託がないといいますか。(笑)
というわけで、まずは狩猟免許試験です・・・・。
いつもながらの好奇心と行動力には恐れ入ります。
猟師になるにはどうすればいいのか。
そこから始まります。
免許を取得し、銃を購入したものの。
で、それからどうすればいいのか。
さっぱりわかりません。
右往左往しながらの試行錯誤が続きます・・・・。
しかし猟師ですか。
鉄砲で動物を撃つわけですよね。
なかなか思い切らないとできないでしょう。
幸いにも著者はいい先輩に恵まれます。
そして猟についていろんなことを学びます。
それは決して技術的なことだけではなくて。
猟というのは動物の命を奪うわけですから、仕留めた獲物は必ず無駄にすることなく食べる。
感謝の念をもって命をいただくわけです。
猟師は皆そのような心掛けを持っておられるといいます。
ただ単に鉄砲撃つのが面白いから、動物を殺すのが楽しいから、あとは知らんぷりなんてことではありません。
この本の中では結局著者は一匹も仕留められませんでしたけど。(笑)
2シーズン目を書いた本も出されているようなので、また見かけたら購入したいと思います。
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2020年04月23日

「食は広州に在り」邱永漢

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食在廣州。
食は広州に在り。
中国料理といえばフランス料理と並んで世界の料理の双璧なわけですが、中でも広州は食べ物の種類が多く、それがみな旨いとのこと。
大きくいえばいわゆる広東料理ですね。
庶民的なところでは飲茶や朝粥が有名ですが、高級な料理になりますと紅焼排翅なんてのがありますね。
フカヒレの姿煮です。
これもまあピンキリですけど。
さて、著者は食通で知られた邱永漢。
金儲けの神様とも呼ばれた人で、さぞかし美食に舌鼓を打ってこられたことでしょう。
ご本人は本書の中でも謙遜しておられますが。
そんな著者が中国料理の美味について語り尽くしておられます。
この本、「あまカラ」という関西の食についての小冊子に連載されていたそうですが、それが昭和29年とのこと。
う~ん、そんな時代にこのような内容の濃い食随筆を書いておられたんですねぇ。
そういえばいろんな作家たちの食随筆をまとめた『「あまカラ」妙1~3』をもう何年も前に購入して積ん読状態でした。
近々読んでみます。
ラベル:グルメ本
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