2019年05月19日

「キムラ食堂のメニュー」木村衣有子

CIMG3459.JPG

著者がいろんなところに書いた食エッセイを集めた一冊です。
食堂巡りだったり喫茶店だったり。
はたまた日頃の料理だったり酒場のことだったり。
ほのぼのとした日常的な雰囲気を感じさせます。
内容の半分ほどは畑日記です。
東京都足立区で「農業体験型農園」というのを3年間やっておられたそうで。
アドバイスを受けながら野菜を育てる日々が綴られています。
やはり虫というのは付き物で、苦労しておられますね。
畑の手入れも。
これを読んでいますと本職の農家の人たちのご苦労はさぞかしと思われます。
しかしこうやって自分で作った野菜を収穫し、食べる喜びはなんともいえないでしょうね。
実際に土をいじって虫を潰して汗もかいて、食べるだけでなくそのような経験も必要だなぁと感じた次第です。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月13日

「指名ナンバーワン嬢が明かす テレフォンセックス裏物語」菊池美佳子

CIMG3440.JPG

元テレフォンセックス嬢だった著者の体験記です。
現在はネットがありますからこのような電話を利用しての性風俗も下火になりましたが。
しかしライブチャットなどと違い相手の姿がわからないぶん妄想は肥大しますし、安心して自分の本来の性癖を晒すことができます。
著者が相手にしてきたこの本に登場する男性たちの性癖といったら。
爆笑ものですね。
といっても本人たちはいたって真剣なんでしょうけど。
保険外交員と客といったシチュエーションに興奮したり、アイドルとマネージャーなんてシチュエーションに萌えてみたり。
絶叫マニアなんてのもいて、女性が色気のある声ではなくオッサンのような声で絶叫することに興奮したり。
死体マニアもいれば男体盛りされたい人もいます。
アイロン台とセックスする人なんてのもいたりして、ほんとに性癖というのは様々ですね。
これも電話という相手の顔が見えないからこそできるプレイでしょう。
この本を読みますと自分の性癖なんてじゅうぶんノーマルだなと思えてきます。(笑)
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月10日

「藤十郎の恋・恩讐の彼方に」菊池寛

CIMG3409.JPG

表題作の2編他8編収録の短編集。
坂田藤十郎は元禄時代の京の歌舞伎役者です。
名人の名を欲しいままにしています。
ある日、江戸から中村七三郎というこれまた名優が上ってきます。
最初はあまり評判の良くなかった七三郎ですが、あっという間に人気となり藤十郎を凌ぐほどとなります。
人々は藤十郎の芸にマンネリ感を持ち始め、藤十郎もまた自分の芸に自信を持ちつつも行き詰まりを感じていました。
藤十郎は現状を打破しようと近松門左衛門に狂言を書いてもらうのですが、その内容というのが命がけの不義の恋です。
女遊びはそれなりにしてきた藤十郎ですが、他人の女房に手を出したことはありません。
そんな自分がこの役を演じることができるのか。
内容は斬新だがいつもの藤十郎と変わらないなどと酷評されるのではないか。
焦燥にかられます。
そんな藤十郎が取った行動は・・・・。(藤十郎の恋)
「恩讐の彼方に」は主人を殺害した若武士市九郎が逃亡し、その後も生きていくために何人もの人間を殺めることを繰り返すのですが、やがて悔恨に苛まれ得度します。
そして了海と法名を呼ばれ諸人救済のため旅に出るですが、旅先で難所に遭遇し、この難所を取り除くことにより千万の命を救うことになるだろうとここに骨を埋める覚悟をします。
村人から狂人扱いされながらも、来る日も来る日もひたすら岩盤を掘り続ける市九郎。
そして20年。
父親の仇を討つために10年近く放浪の旅を続けてきた実之助がようやく市九郎を探し当ててやって来ます。
市九郎に会った実之助は・・・・。
どの話も教訓を含んでいるといいますか。
う~む、と考えさせられますね。
これまで「真珠夫人」「貞操問答」「無憂華夫人」と読んできましたが、それらとはまったく作風が違い幅広さを感じました。
いずれにせよ菊池寛の作品は面白い。
ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月11日

「新選組 幕末の青嵐」木内昇

CIMG3395.JPG

新選組。
どのような存在であったのか、いまさら説明するまでもありませんが。
この作品ではその新選組のいろんな人物にスポットを当てて語られています。
ひとりの人物を主役に据えて書かれるのに比べるとやや散漫な印象はあります。
ですがその分それぞれの人物を主観的に見ることができます。
読んでいまして魅力なのはやはり土方歳三ですね。
小説ですからもちろん脚色もありますし作者の思い入れもあるでしょうが、しかしそれを度外視しても魅力ある人物だといえるでしょう。
そして沖田総司。
この飄々とした純真無垢な人柄もまたいい。
剣客としてあまり活躍できなかったのは残念なことですが。
最初は視点がころころ変わるのに違和感を持ちましたが、慣れればどっふりと浸ることができました。
500ページ以上の長編ですが、最後は読み終えるのが惜しかったくらい。
昔、日本にこのような男たちがいたのだなぁと、しみじみ感慨に耽りました。
ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月28日

「デッドボール」木内一裕

CIMG3240.JPG

5ヶ月ほど前に交通事故に遭い、職を失い将来の希望も失った23歳のノボル。
ひと月近くの入院と長いリハビリを経て職探しを始めたものの、いまだ仕事は見つかりません。
なんとか彼女の助けを借りながら細々とやっていこうと思っていた矢先、その彼女にもフラれます。
そんなどん底な状況でかかってきた1本の電話。
中学の先輩の紹介で知り合った危険な人物からです。
持ちかけられた話は報酬1000万円の仕事。
完璧な計画のもと、誘拐の手伝いをするというものです。
仕事もないが借金はあるノボル、背に腹は代えられずたった一度だけということで引き受けることにしたのですが・・・・。
やはり木内作品、ストーリーは一筋縄ではいきません。
誘拐のつもりが殺人犯になっていたりします。
そしてスピード感のある展開で話が二転三転し、思わぬ方向に進んだりどんでん返しがあったり。
登場人物たちがまたいい。
悪人になり切れない気真面目さのあるノボル、雇い主の佐藤(仮名)。
頭が切れて冷ややかな佐藤ですが、伊坂幸太郎作品に出てきそうなキャラです。
そしてちょっと頭がイッてる弁護士の成宮、その愛人のマナミ。
魅力のあるキャラがそろっています。
最後はハッピーエンドというわけではありませんが、決してアンハッピーというわけでもない。
ラスト2ページのエピローグはじわっと温かい。
タイトルも味わい深い。
「いいか、デッドボールってのは終わりじゃない。これから塁に進めるんだぞ」
佐藤のセリフです。
なるほどと思いました。
やはりはずれがありませんね、木内一裕。
佐藤を主人公にした続編を読んでみたい気がしました。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする