2020年06月22日

「猟師になりたい!」北尾トロ

CIMG3660.JPG

いままでいろんなことにチャレンジしてこられた著者ですが、今回はなんと猟師に。
長年東京で暮らしてこられたのですが、家族3人で長野県松本市に引っ越し。
編集者から「せっかく長野で暮らすようになったのだから、ここでなければできない取材をしませんか?」と持ち掛けられます。
「猟師へのインタビュー」と。
しかし猟師のことなど何も知りません。
まともなインタビューもできず失礼になるのは目に見えています。
いったんは断ったものの、待てよと。
話が聞きたいのなら、内容を理解したいのなら、自分が猟師になればいい。
思いついた著者は妻に宣言します。
「猟師になろうと思う」
妻は笑いながらおっしゃったそうです。
「いいかもね」
なんとまあ理解があるといいますか屈託がないといいますか。(笑)
というわけで、まずは狩猟免許試験です・・・・。
いつもながらの好奇心と行動力には恐れ入ります。
猟師になるにはどうすればいいのか。
そこから始まります。
免許を取得し、銃を購入したものの。
で、それからどうすればいいのか。
さっぱりわかりません。
右往左往しながらの試行錯誤が続きます・・・・。
しかし猟師ですか。
鉄砲で動物を撃つわけですよね。
なかなか思い切らないとできないでしょう。
幸いにも著者はいい先輩に恵まれます。
そして猟についていろんなことを学びます。
それは決して技術的なことだけではなくて。
猟というのは動物の命を奪うわけですから、仕留めた獲物は必ず無駄にすることなく食べる。
感謝の念をもって命をいただくわけです。
猟師は皆そのような心掛けを持っておられるといいます。
ただ単に鉄砲撃つのが面白いから、動物を殺すのが楽しいから、あとは知らんぷりなんてことではありません。
この本の中では結局著者は一匹も仕留められませんでしたけど。(笑)
2シーズン目を書いた本も出されているようなので、また見かけたら購入したいと思います。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月23日

「食は広州に在り」邱永漢

CIMG3630.JPG

食在廣州。
食は広州に在り。
中国料理といえばフランス料理と並んで世界の料理の双璧なわけですが、中でも広州は食べ物の種類が多く、それがみな旨いとのこと。
大きくいえばいわゆる広東料理ですね。
庶民的なところでは飲茶や朝粥が有名ですが、高級な料理になりますと紅焼排翅なんてのがありますね。
フカヒレの姿煮です。
これもまあピンキリですけど。
さて、著者は食通で知られた邱永漢。
金儲けの神様とも呼ばれた人で、さぞかし美食に舌鼓を打ってこられたことでしょう。
ご本人は本書の中でも謙遜しておられますが。
そんな著者が中国料理の美味について語り尽くしておられます。
この本、「あまカラ」という関西の食についての小冊子に連載されていたそうですが、それが昭和29年とのこと。
う~ん、そんな時代にこのような内容の濃い食随筆を書いておられたんですねぇ。
そういえばいろんな作家たちの食随筆をまとめた『「あまカラ」妙1~3』をもう何年も前に購入して積ん読状態でした。
近々読んでみます。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月09日

「はたらくわたし」岸本葉子

CIMG3623.JPG

『働く意味って、何だろう。何のために、働くのだろう。』
そんなことは考えないで働き始めたという著者。
でも学生時代にそんなことを真剣に考える人なんてほとんどいないんじゃないですかね。
夢を抱いて就職する人たちは大勢いても。
たいがい就職して「こりゃ学生のときのようにお気楽に過ごせる世界じゃないな」と気付いたり、「思っていたのと全然違う。もっと華やかな世界を思っていたのに」とか。
『楽しくなければ仕事でない、という、うたい文句を聞くことがあります。私はそうは思いません。』と著者は書いておられます。
私もまったくその通りだと思います。
『楽しくなければ仕事でない』なんてのは理想論です。
毎日仕事していて楽しくて仕方がないなんて人は、よほどラクして濡れ手に粟で稼ぎまくり笑いが止まらない人か、頭の中がお花畑の人でしょう。
明日のことを考えたら眠れなかったり、胃が痛くなったり。
こんなことをあと何十年も続けていかないといけないのかと鬱になったり。
今日辞めよう、明日辞めようと、ひたすら思い続けたり。
そんなのが現実でしょう。
とにかく働いてお金を稼ぐというのは大変なことです。
しかしまったく嫌なことばかりではなく、もちろん喜びもあります。
著者は全力を尽くした仕事をして『ああ、この仕事をしていてよかった、と心から感じる瞬間がある。』とも書いておられます。
ここなんでしょうね。
この喜びがあればある程度の辛さは我慢できる。
なにもなければ、こんな仕事やってられるかとなる。
感じ方は人それぞれでしょうけど。
さて、著者はエッセイスト。
テレビ出演や講演などもしておられます。
なので物書きであり、メディアへの露出もあるお仕事の人です。
そんな著者の生活が日記形式で語られています。
生真面目な著者の性格が知れます。
私などはまったくその通りだと思いながら読みましたね。
多数の著作があり名も知られた人ではありますが、驕ることなくつねに自身を省みておられます。
このあたりがもう30年以上もこの世界でやってこられた理由のひとつではないでしょうか。
このような仕事を目指しておられる方ならご一読を。
しかしタイトルが「はたらくわたし」とひらがななのが微笑ましく著者らしいですね。
これが「働く私」だと硬くて台無しです。
ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月10日

「本棚探偵 最後の挨拶」喜国雅彦

CIMG3608.JPG

シリーズ第4弾。
今回も古本を求めて東へ西へ、あるいは他人の蔵書を整理するために奔走しておられます。
いやまあ古本マニアというのは恐ろしい。
例えば日下三蔵氏の年末大片付けの章では、“部屋”ではなく“家”が本で埋まってしまっています。
まともに寝るスペースさえなく、本の隙間でどうにか寝ているというありさま。
いくつか写真が掲載されていますが、そりゃもう凄まじい。
そんな日下氏には、なぜ何冊も何冊も同じ本を買ってしまうのか訊かれたときの答えに「売っていたからです」という名セリフがあります。
何者をも寄せ付けない有無を言わせない至高の一言ですね。(笑)
ちなみに著者は本棚まで手作りしてきっちりと整理しないと気が済まないタイプのようですが。
今回のメイン企画ともいえるのが、講談社のPR誌である「IN★POCKET」に連載された綾辻行人氏の「暗黒館の殺人」という作品を製本して私家版を作るという話。
これも写真入りで数章にわたってその過程を紹介しておられます。
本棚といい製本といい、凝るタイプなんですよねぇ。
今回でシリーズはいちおう完結のようです。
本作が第68回日本推理作家協会賞<評論その他の部門>を受賞されたということでめでたしめでたし。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月06日

「化学探偵Mr.キュリー3」喜多喜久

CIMG3606.JPG

シリーズ第3弾。
短編4編。
呪いの藁人形がベランダに投げ込まれるたびに体調を崩す大学院生。
やはりこれは藁人形の呪いなのか、犯人は誰なのか・・・・。(化学探偵と呪いの藁人形)
深夜ガスマスクをつけて大学の実験室でなにやら実験している大学生。
近々外国の国王が日本を訪れ、この大学の施設を見学する予定です。
もしかしてテロ・・・・。(化学探偵と真夜中の住人)
癌を患った犬を救いたい一心で、治療薬を開発しようとする小学生。
そんな小学生を襲い薬を奪ったのは・・・・。(化学探偵と化学少年の奮闘)
サークルの飲み会で自慢の鍋を振る舞ったものの、皆が意識朦朧となる事態に。
鍋には毒が盛られていたのか・・・・。(化学探偵と見えない毒)
大学を舞台に起こるさまざまな事件。
どれも化学的な原因が盛り込まれています。
なのでそれを解決するのが四宮大学理学部化学科の准教授Mr.キュリーこと沖野春彦。
そしていつもそんな事件を沖野のもとに持ち込むのが庶務課に勤める新人職員の七瀬舞衣。
迷コンビです。
マンネリではあります。
探偵とそれをアシストする素人の女性助手。
パターンですよね。
まあこの作品の場合作者が薬学の専門家ということもあって、その知識を生かした話作りが個性と言えます。
ですが内容的には特にどうということもなく別にもう次作は読まなくてもいいかなとも思うのですが、つい読んでしまうのは沖野と七瀬の迷コンビの魅力のせいでしょうか。
この巻では沖野が最後に七瀬に対して告白めいたセリフを口にしたりしていますしね。
今後も二人の成り行きを見守ることにしましょうか・・・・。(笑)
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする