2017年10月09日

「本棚探偵の生還」喜国雅彦

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シリーズ第3弾。
いよいよ本棚探偵が海外に進出です。
アジア最大のブックフェアのため台湾へ。
そしてホームズファンの聖地、ロンドンはベイカーストリートへ。
もちろん国内でも大活躍(?)です。
友人の引っ越しに古本目当てで手伝いに行く。
本棚まで作ってあげる・・・・。
「冒険」「回想」ときて今回は「生還」。
古本&ミステリーファンの喜怒哀楽が実に馬鹿馬鹿しくも生き生きと書かれています。
私はここまでマニアではありませんが、しかしお目当ての古本を探し当てた時の喜びというのはたまらない達成感があります。
特に著者が追い求めておられるのは希少本ですしね。
他人の本棚が気になるというのもよくわかります。
たまに著名人のインタビュー写真なんかでバックに本棚が移っていれば、目を皿のようにしてその背表紙をチェックしますし。(笑)
440ページほどのボリュームをたっぷりと楽しませていただきました。
古本やミステリーファンでなくとも本好きにはお勧めなシリーズです。
ラベル:本・書店
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2017年04月06日

「漂砂のうたう」木内昇

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御一新から十年。
もともとは武士だった定九郎ですが、現在は根津遊郭の美仙楼という店で客引きをしています。
龍造という妓夫太郎に使われ、遣手のばあさんにつつかれるような毎日。
出世の見込みもありません。
自分より格下の仲どんと呼ばれる雑用係の嘉吉にも追い越されそうです。
やたらと定九郎につきまとう噺家の弟子であるポン太という謎の男や、美仙楼で一番人気の花魁小野菊などさまざまな人物と関わりながら、先行きの見えない不安と虚ろな日々を過ごしています・・・・。
江戸から明治に時代が変わり混沌としている時期、武士という身分を失った定九郎が翻弄される様が描かれています。
周りの人物たちの配置がいいですね。
ひたすら美仙楼を守り続ける龍造、ずる賢く油断のならない嘉吉、得体のしれない神出鬼没のポン太、凛として気高く自分を持ち続ける小野菊。
それぞれが目まぐるしく変化していく時代の中を自分なりに精一杯生きています。
どうにも生き方の定まらない定九郎と対照的に、ひたすら一点を見続けるような生き様の小野菊がやはり魅力でしょう。
武士から遊郭の客引きへ堕ちた定九郎、苦界に身を沈めた小野菊。
どちらも身分が堕ちた立場ではありますが、しかし二人が日々見つめているものは明らかに違います。
時代の波に飲まれながらも泳ぎ続ける、いろんな人たちの人間模様が描かれたいい小説でした。
ラベル:時代小説
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2017年02月15日

「キッド」木内一裕

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ちっぽけなビリヤード場を経営する二十歳の麒一。
近所のたばこ屋の女子中学生から助けを求める電話を受けます。
駆けつけてみると男の死体がありました。
家を出たろくでもない父親が帰ってきて暴力をふるい、家の権利書を持っていこうとしたのです。
その家は中学生の女の子、29歳の姉、お婆さんの3人暮らし。
姉は留守をしており、抵抗したお婆さんと女の子は思わず父親を刺し殺してしまったのでした。
どうしていいかわからず女の子は麒一に電話してきたのです。
母親代わりに家計を支えてきた姉は結婚を控えており、ようやく手に入れた幸せの絶頂にいます。
こんな事件が知れたら破談になるのは確実です。
これ以上自分たちのために姉の人生を犠牲にし、狂わせるわけにはいかない。
脅える2人に男気を見せる麒一はその死体を処理することを引き受けるのですが、話は意外な方向に展開していきます・・・・。
いやぁ、面白かった。
二転三転するスピーディーな展開、持続する緊迫感にドキドキハラハラ。
二十歳の若者がヤクザ相手にという現実離れした内容ではありますが、細かなところをきっちりとリアリティで抑えてあるのはさすが。
存分に楽しめるエンターテイメントでした。
この作者の本を読むのはこれで4冊目。
やっぱり木内一裕はええわ。(笑)
ラベル:小説
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2017年02月11日

「ブラ男の気持ちがわかるかい?」北尾トロ

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ブラジャーというのは男性には一生縁のないものです。
パンツなら形は違えど男性も着用しますが、オッパイのない男性にブラジャーは不要。
しかし愛用する男性が増えているとか。
著者はさっそくコスプレショップに行き、男性用ブラを購入します・・・・。
シリーズと言えるでしょうか。
いろいろとバカなことを(失礼)実行してみる「キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか」、「キミはヒマラヤ下着の凄すぎる実力を知っているか」の流れですね。
身が引き締まるという理由でブラを愛用する男性がいるとのことですが、それならなにもブラでなくともいいわけで。
襷(たすき)のようなものでもいいわけです。
あるいは晒(さらし)とか。
やはりそこには倒錯した性癖が底辺にあると思うのですが、どうでしょうか。
さて、著者がブラを着用した結果。
ホックを留めてもらった妻に笑われ、3歳の娘に「キモチワルイ」と言われ。
街に出、電車に乗ったものの、圧迫感に耐えられなくなりチクチクムズムズせり上がってきて気持ち悪い。
やがては痛みさえ感じるようになり。
帰りは駅から家まで走り、引きちぎるようにブラをはずしたとか。
ご苦労様です。(笑)
その他、150キロの剛速球をバントできるか挑戦してみたり、ゴルフ接待とはどのような気分なのかと接待を受けてみたり、ひとりカラオケで絶唱してみたり。
相変わらずの好奇心とバイタリティです。
ところでこの本、単行本時のタイトルは「全力でスローボールを投げる」だったのですが、文庫化するにあたって改題。
文庫版のほうがストレートに内容を表現していますが、単行本時のほうが秀逸でよかったな。
「全力でスローボールを投げる」は現在著者のブログのタイトルとなっています。
ラベル:エッセイ
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2017年02月03日

「少女マンガ家ぐらし」北原菜里子

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マンガ家が書く本といえば、本業のマンガを除きまして大きく2種類あります。
まずは「マンガ家入門」といった類いの本ですね。
マンガを描くためのノウハウが書かれた技術書です。
原稿用紙のサイズはB4です、用紙にはケント紙、画用紙、模造紙などがあります、ペン先にはかぶらペン、Gペン、丸ペンなどがあります、といった道具の紹介。
そしてコマ割り、構図、効果線、スクリーントーンの使い方云々・・・・。
こういう本はたいがい大御所ですね。
石ノ森章太郎の本が有名ですが、手塚治虫藤子不二雄なんかも出しておられます。
そしてもうひとつはエッセイ。
これもやはり大御所が多い。
なので時代は昭和、トキワ荘が必ず出てきたりきます。(笑)
地元の田舎でマンガに出会い、マンガ家を目指して上京。
四畳半のアパートでひたすらマンガを描いていた云々・・・・。
マンガにかけた青春期といったところ。
自伝ですね。
で本書なのですが、そのどちらでもありどちらでもなく、ちょっと今までになかったかなといった内容です。
タイトルの通り、少女マンガ家はどのような暮らしをしているのかと。
技術的な指南もあり自伝的な内容でもあるのですが、もっと具体的日常的にマンガ家というのは普段どのような生活をしているのかといったようなことが書かれています。
もちろんそれはマンガに関わる範囲内でのことですけど。
大先生のお話を伺うというよりも、友人のマンガ家に話を聞くという感じでしょうか。
なので現在マンガ家を目指しておられる人には、けっこういい刺激になり勉強にもなるように思います。
憧れの存在がぐっと身近に感じられるといいますか。
この本が出版されたのは1993年。
私はこの著者のお名前を知らなかったのですが、さほど大きな作品を残したわけでもなく、現在は活動しておられないようですね。
しかしこのような本を書いた人でも、10年後20年後にはどのようになっているのかわからない。
そういう世界です。
この本プラスその後の消息を含め、まさにマンガ家ぐらしがどういうものかを物語っているのではないかと。
ラベル:漫画本
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