2016年04月23日

「テッカ場」北尾トロ

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理性を失くし、欲望全開になるような場所。

そんな場所を著者は“テッカ場”と名付け、人々の理性のリミッターが振り切れる瞬間を見たいと色々な場所に出かけます。

オークションやフリーマーケット、撮影会、バーゲンセールなど・・・・。

う~ん、狙いは面白いと思うのですが、さほど“テッカ場”ではないような気が。(笑)

競走馬のオークションや不良債権の競売物件など一般的にはあまり知られていないモチーフは興味深いのですが、理性を失くすというほどでは・・・・。

たしかに西洋人形のオークションでオバサンがムキになってどんどん値段が釣り上がっていくのは理性を失くしているのかもしれませんけども。

バーゲンセールもそうですけど、女性が殺到する様は修羅場ではありますが、なんだかちょっと違うなという気がします。

なので個人的には著者の意図ではなく、自分には縁のないさまざまな世界を覗き見るという感覚で読みました。

それにしても著者の北尾さんはいろんなことに首を突っ込んでおられますねぇ。(笑)

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2016年03月08日

「ちょっと今から仕事やめてくる」北川恵海

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中堅の印刷関係企業に勤める隆。

上司にボロクソ言われ、夜遅くの残業や休日出勤は当たり前。

心身ともに疲れ果て鬱状態になった隆は、無意識のうちにふと駅のホームで飛び込みそうになります。

とっさに腕をつかんでそれを引き止めたのがヤマモトという男。

小学生のときに大阪に引っ越していった同級生だというのですが、隆には覚えがありません。

しかし大阪人のノリで強引に飲みに誘われ、なんだかよくわからないながらも久しぶりに楽しいと思える時間を過ごします。

その後ヤマモトと付き合いが始まり何かと生活に張りが出てくるのですが、実は同級生だったヤマモトは海外に留学中であることがわかります。

ではアイツはいったい何者なのかとヤマモトのフルネームでネット検索してみると、3年前に自殺した男であったことが判明します・・・・。

鬱病を患っている人が今すごく多いようですね。

有名人の自殺などもときおりニュースで見ます。

そしてサラリーマンも。

ブラック企業なんて言葉も生まれていますが、そんな中で心身を衰弱させてしまう人たちがいます。

この作品ではまさしくそういうのを取り上げているわけですが、やはり日々の中にどこか救いがありませんとね。

隆の場合ヤマモトの存在が精神を上向きにさせてくれるのですが、どうもこのふたりの付き合いというか距離に違和感がありました。

男同士の友情とはいえ、ちょっとベタつき過ぎやろと。(笑)

女性の主要キャラが登場せず隆とヤマモトでひたすら話が進んでいくあたり、ちょっとBL的でもありますね。

ヤマモトを女性ではなく男性のキャラに設定したのは、やはり女性作家だなと思いました。

女性から見た男同士の友情という気がします。

しかし男女かかわらず主人公のように行き詰っている人たちが読めば、昨日までとは違った視点を得ることができるかもしれません。

最後の章が蛇足のようにも思えますが。

ラベル:小説
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2015年09月27日

「枕もとに靴 ああ無情の泥酔日記」北大路公子

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朝起きたら記録的な二日酔い。

そして枕もとに靴。

酒飲みを自認する人ならば、たいがいこのようなわけのわからないエピソードを持っていることと思います。

この本も「枕もとに靴」をタイトルにし、サブタイトルが「ああ無情の泥酔日記」。

さてどのような酒の失敗エピソードを紹介してくれているのかと読んでみたのですが・・・・。

残念ながらこの内容のどこが泥酔日記なのかと。

もちろん酔っぱらってのエピソードもありますが、ぜんぜん関係ない話が多数。

はいはいはいとスルーしたくなる創作話も。

サブタイトルに「泥酔日記」と付けるからには徹底的に泥酔してほしかった。

酒でのエピソードに特化してほしかったと思います。

というわけで私にとっては肩透かしな内容でした。

ラベル:エッセイ
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2015年09月21日

「ほんわか! 本についてわからないこと、ねほりはほり!」北尾トロ

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本の周辺についてのいろいろを書いた企画的な内容です。

本好きはモテるのかを検証してみたり。

読み終えてゴミに出された本の行方を調べるべく張り込みをしたり。

チリ紙交換なんてこともやっておられます。

官能小説のタイトルはどのようにして付けられるのかとか、車内吊りの広告の製作現場を取材したりとか。

なるほど本にまつわるいろんな裏話や雑学的なことを知ることができました。

ただ第3章のラブレターの項なんかはどうでもいいように思いますけどね。

第4章のお遍路さんなんかも。

たしかに本をきっかけにしているのですが、行動自体は本と関係ありませんし。

なのでそのあたりちょっと散漫な印象を受けました。

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2015年08月08日

「茗荷谷の猫」木内昇

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短編9編収録です。

江戸時代から始まり昭和の戦後あたりまででしょうか、時代をまたいでの短編集です。

どれも主人公はごく普通の庶民です。

桜の新種を作り出す男、万人が幸せになるための黒焼きを造り続ける男、役人を夫に持つ画家の女、その夫は妻に内緒で役人を辞め浪曲の小屋の呼び子をしており、などなど・・・・。

それぞれ独立した話ではあるのですが、さりげなく過去の登場人物が話に出てきます。

この作品集を読みますと、当たり前のことですが人それぞれ人生があるというのを噛み締める思いがします。

自分にとってまったく知らない人物にも人生があり、そのようないろんな人の人生が自分に関わっているということを、そうやって日々を積み重ねて人は生活しているんだということを、さりげなくじんわりと提示しています。

大部分の人は歴史に残るような功績を残すわけでなし、生涯を終えます。

しかし間違いなくその人の存在は誰かに関わり、未来へとつながっているのです。

そんなことを改めて思い知らされる実に味わい深い一冊でした。

ラベル:小説
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