2020年01月08日

「評論家入門 清貧でもいいから物書きになりたい人に」小谷野敦

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世の中いろんな評論家がいますよね。
なにか事件があるとそれに見合ったジャンルの評論家がすかさずテレビに登場します。
戦争が起これば軍事評論家、飛行機事故があれば航空評論家とか。
他にもいろんな評論家がいます。
料理評論家、美術評論家、野球評論家、などなど。
さて、この本でいう評論家とは主に文藝に対しての評論家ですかね。
あとは社会学とか心理学とか、これも文藝評論の流れという感じで。
まあ評論家なんて自分で名乗ればとりあえずは今日からなれるんですけどね。
しかし世間に認められるにはある程度の実績がなければなりません。
やはりまずは著書でしょうか。
本を出しませんとね。
しかしこれがなかなか。
出したからといって売れるわけでなし。
というわけで、サブタイトルにもありますように「清貧でもいいから物書きになりたい人に」となるわけです。
著者の実体験を踏まえ、評論というものについていろんな角度から考察しておられるのですが、これらを飲み込んで、なおかつ評論家、物書きになりたいか。
たぶんそれでもなりたいという人はかなりの数いると思います。
貧乏でもいいから文章を書いてなんとか生計が立てられるのならそれでもいい、と。
でも現実はそんなに甘くないです。
生計を立てられるほどの収入を得ることさえ相当難しいです。
大学教授みたいに本職があって、サブの肩書でなんたら評論家ならいいですけどね。
まったくのフリーで評論家の看板をあげて生活するのはよほどの人でないと。
評論家じゃないですけど、人気作家の伊坂幸太郎氏
サラリーマンをしておられたのですが、小説1本でやっていこうと会社を辞めたとき担当の編集者から「なんで辞めたんですか」と心配されたそうです。
つまり小説を書いて食べていけるなんてほんの一握りの人だけなんですね。
あの伊坂幸太郎でさえ担当編集者は今後の生活(収入)を危惧したわけです。
ましてや評論家なんて。
それでも物書きになりたい人は、ぜひ本書をお読みください。(笑)
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2019年12月05日

「名人 志ん生、そして志ん朝」小林信彦

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2001年10月1日、古今亭志ん朝死去。
この報に著者は10代で父親を亡くしたとき以上に衝撃を受けたといいます。
そんな著者が志ん朝、その父親である志ん生と、二代にわたる名人について語ります・・・・。
志ん朝が亡くなったときは東京落語も終わったという人もいたくらいで。
まさしく巨星墜つの感でしたね。
文学でいえば中上健次が死去したときのような喪失感でしょうか。
本の内容に関しましては、それまで著者が書いてこられた志ん生や志ん朝についての集積です。
思い入れがひしひしと感じられます。
それだけではなく、東京落語の変遷として読むこともできるでしょう。
本の内容とは関係ないのですが、私もいちばん好きな落語家はとなりますと、やはり志ん朝ですね。
私は大阪の人間ですが、あの粋な江戸言葉にシビレます。
口調はチャキチャキでありながら、はんなりとした色気もある。
上手く説明はできませんが(説明なんか不要でしょうが)、まさに名人と言うにふさわしい人だったと思います。
もしあと10年20年生きておられたら、どんな落語を聴かせてくれたのか。
いまさら言ったところで詮無い話ですが。
上方では桂枝雀が好きでした。
今も好きですが。
この人の死も早すぎましたね。
現役の落語家では東京落語の柳家喬太郎がいい。
新作落語が面白く、古典もきっちりと演じられる実力派。
桂枝雀以上に落語の枠を突き抜けています。
話が逸れました。
でもやはり東京落語の正統派といいますか、志ん朝、いいなぁ。
しょっちゅうネットで拝聴しております。
あ、志ん生につきましては語るほど知らないので失礼。
それを言うと落語自体、たいして知らないのですが・・・・。
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2019年11月21日

「酒に謎あり」小泉武夫

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この地球上、酒を持たない民族はほとんどいないそうです。
そう考えると不思議な気がしますね。
大昔の文化の交流がなかった時代にも、地球のこちら側とあちら側で酒という飲み物が発生していたということですから。
どこかに発生源があり広まったわけではなく、自然と各地で誕生したんですね。
最初は偶然の発酵によるものだったはずですが、人間はそれを見逃さなかった。
つまりそれほど酒というのは人間にとって魅力ある飲み物だということです。
人種に関係なく。
で、当然その土地に応じた酒が発展していくわけです。
日本なら米を使った酒、フランスなら葡萄とか。
そんな風に人間と酒は大昔から切っても切れない関係なわけですが、この本では『味覚人飛行物体』、『鋼鉄の胃袋』、『発酵仮面』など様々な異名を持つ小泉センセイが、酒の歴史を縦軸に世界各国の酒を横軸に、縦横無尽に酒について検証しておられます。
身近な存在でありながら意外と知られていない酒についての話。
例えば『酒』という言葉はどこから来たのか、といういきなりなストレートパンチでこの本は始まります。
酒飲みを自負する人でもほとんどが答えられないでしょう。
なるほど、まさに「酒に謎あり」です。
ラベル:グルメ本
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2019年08月03日

「夫のちんぽが入らない」こだま

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大学進学のため、北海道の田舎から東北のとある地方都市にやってきた私。
同じアパートに住む男性と交際することになり、交わることになるのですが。
しかし入らない。
ちんぽが入らないのです。
そんな問題を抱えつつも二人は夫婦に。
しかし夫婦になってもやはりちんぽは入らない。
これからの夫婦生活はいったいどうなるのか・・・・。
読む前はタイトルのインパクトだけで売れた本なんじゃないかなんて思っていたのですが。
いや、そんな軽い内容ではありませんでした。
まずは作者の文章がしっかりとしています。
言い回しにユーモアがあり、深刻な話なんですけど笑ってしまう箇所も多数。
ですが内容は実にシビアです。
これは作者の実生活を書いた私小説とのことですが、「夫のちんぽが入らない」というそれが「私」の価値や存在さえも否定されてしまうようなプレッシャーなんですよね。
中学校の教師を始める私ですが、問題のあるクラスを抱えノイローゼのようになってしまいます。
夫婦生活でも悩みを抱え、職場でも悩みを抱え。
逃れようのない慟哭のような告白小説でもあります。
決してタイトルだけの作品ではありません。
しかし今後作家としてどうなのでしょう。
この後エッセイで第34回講談社エッセイ賞を受賞しておられるようですが。
小説第2作でどのようなものをお書きになるのか。
難しいとは思いますが楽しみでもあります。
ラベル:小説
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2019年08月01日

「おとめの流儀。」小嶋陽太郎

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中学生になったさと子が入部したのはなぎなた部。
しかし部員は2年生の朝子さんのみ。
1週間以内に部員が5人にならないと廃部になってしまいます。
しかしなんとかそんな危機を乗り越え、ようやくスタート。
部長の朝子さんが宣言したなぎなた部の目標は全国大会優勝などではなく、打倒剣道部・・・・。
剣道と違いマイナーななぎなたを取り上げているのがいいですね。
しかもなぜか部の目標は剣道部を倒すことって。
話は部活だけでなく、さと子のいなくなった父親探しというサイドストーリーもあります。
中学生女子の友情や努力、成長の物語です。
とても爽やかな清々しい小説でした。
ただラストが唐突というかあっけない気がしましたけど。
ラベル:小説
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