2019年08月03日

「夫のちんぽが入らない」こだま

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大学進学のため、北海道の田舎から東北のとある地方都市にやってきた私。
同じアパートに住む男性と交際することになり、交わることになるのですが。
しかし入らない。
ちんぽが入らないのです。
そんな問題を抱えつつも二人は夫婦に。
しかし夫婦になってもやはりちんぽは入らない。
これからの夫婦生活はいったいどうなるのか・・・・。
読む前はタイトルのインパクトだけで売れた本なんじゃないかなんて思っていたのですが。
いや、そんな軽い内容ではありませんでした。
まずは作者の文章がしっかりとしています。
言い回しにユーモアがあり、深刻な話なんですけど笑ってしまう箇所も多数。
ですが内容は実にシビアです。
これは作者の実生活を書いた私小説とのことですが、「夫のちんぽが入らない」というそれが「私」の価値や存在さえも否定されてしまうようなプレッシャーなんですよね。
中学校の教師を始める私ですが、問題のあるクラスを抱えノイローゼのようになってしまいます。
夫婦生活でも悩みを抱え、職場でも悩みを抱え。
逃れようのない慟哭のような告白小説でもあります。
決してタイトルだけの作品ではありません。
しかし今後作家としてどうなのでしょう。
この後エッセイで第34回講談社エッセイ賞を受賞しておられるようですが。
小説第2作でどのようなものをお書きになるのか。
難しいとは思いますが楽しみでもあります。
ラベル:小説
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2019年08月01日

「おとめの流儀。」小嶋陽太郎

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中学生になったさと子が入部したのはなぎなた部。
しかし部員は2年生の朝子さんのみ。
1週間以内に部員が5人にならないと廃部になってしまいます。
しかしなんとかそんな危機を乗り越え、ようやくスタート。
部長の朝子さんが宣言したなぎなた部の目標は全国大会優勝などではなく、打倒剣道部・・・・。
剣道と違いマイナーななぎなたを取り上げているのがいいですね。
しかもなぜか部の目標は剣道部を倒すことって。
話は部活だけでなく、さと子のいなくなった父親探しというサイドストーリーもあります。
中学生女子の友情や努力、成長の物語です。
とても爽やかな清々しい小説でした。
ただラストが唐突というかあっけない気がしましたけど。
ラベル:小説
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2019年07月10日

「グレイシー一族に柔術を教えた男 不敗の格闘王 前田光世伝」神山典士

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柔術というと格闘技ファンならグレイシー柔術を思い浮かべるのではないかと思います。
もちろん元々は日本の武道ですが、いまや日本よりもあちらのほうが本家という感もあります。
そのグレイシー一族たちに柔術を伝えたのが前田光世という柔道家です。
この本ではそんな前田の半生が書かれています。
世界を転戦し、最終的にはブラジルのアマゾンこそが自分の後半生を賭ける地だと63歳で亡くなるまでこの地で過ごしました。
前田が世界を渡り歩いたのはもちろん柔道を広げるためですが、後半生ではブラジルに移民する日本人のために全力を注ぎました。
むしろこの本では格闘家としての前田よりも、移民たちの私設領事としての前田の印象のほうが強い気がします。
なので格闘技本として読むとやや肩透かしかもしれません。
もちろん世界各地での異種格闘技戦について書かれてはいますが、試合の内容を詳しく描写しているわけではありません。
しかし前田が柔道の普及のために残した功績や、海外に移民した日本人たちに与えた勇気や希望といったものがよく伝わる内容です。
格闘家としてだけではなく、人間としてもスケールの大きな人だったんですね。
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2019年05月03日

「自分史上最多ごはん」小石原はるか

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今までの人生の中でいちばん多く食べたごはんはなにか。
ただし自宅ではなく、特定の店の特定のメニューということで。
75人のさまざまなジャンルの人たちがそれに答えておられます。
すべてカラー写真でその料理を紹介。
何十年も通って100回以上は食べているという回答もザラです。
よく食べ歩いた軒数を自慢している人がいますけども、それってどうなんだろうと思いますね。
そりゃ最初はいろんな店を食べ歩かないと自分好みの店というのは見つからないでしょうけど、1軒とは言いませんが数軒のお気に入りの店を見つけたらあとはひたすらそこに通うほうがいいと思います。
1000軒の店を食べ歩いたというよりも同じ店に1000回は通っているというほうがよほどカッコイイ。
その店のメニューはいろいろと食べているけども、やはりこの店といえばこれみたいなのをひたすら食べ込む。
ガイドブックに紹介されている店や料理を追いかけるよりもよほど通じゃないですか。
飲食店でやたら料理や店内の写真をパシャパシャ撮る下品な人がよくいますけども、それはあちこち初めての店に行くからであって、同じ店にひたすら通っていたらそんなことはしないはずです。
そういう人は本当に食べることが好きなのではなく、いろんな店に行くのが目的であり、写真をネットで公開するのが目的の人なのでしょう。
この本で紹介されている人や店や料理をここですべては紹介できませんが、意外といいますか当然といいますか、ミシュラン三ツ星のような高級店を自慢げに語っている人はいません。
そりゃそういう店に何百回も通ってられないというのもあるでしょうし、またそういう類の店ではないでしょう。
やはり店も料理も自分にとって日常の範囲でないと何十年も何百回も通えませんよね。
ラベル:グルメ本
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2019年03月22日

「キアズマ」近藤史恵

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大学に入ったばかりの岸田正樹。
自転車部のメンバーとトラブルを起こしてしまったのをきっかけに、自転車部に入部することになってしまいます。
最初は興味もなく仕方なしにだったのですが、すぐにロードレースの魅力に惹かれのめり込んでいきます。
ですがみるみる頭角を現した正樹とエースで1年先輩の櫻井がやや険悪な雰囲気になり・・・・。
この作者には「サクリファイス」「エデン」「サヴァイヴ」というロードレース3部作があるのですが、それらはプロの世界を描いています。
こちらは大学の自転車部というアマチュアの世界です。
(3部作と繋がりはありませんが、途中にちょこっと3部作に登場するチーム・オッジの赤城が出てきます)
ロードバイクにはまったく縁も興味もなかった正樹がその魅力に目覚めていく過程がとてもいい。
そしてレースの描写は相変わらず迫真です。
しかしただ単にロードレースの小説というだけではなく、正樹や櫻井にはそれぞれ重い過去があり、それを背負っていかなければならない宿命のようなものを持っています。
これがドラマに厚みを加えているんですね。
この作者によるロードレース作品をもっと読みたい。
と思っていたらシリーズ最新作「スティグマータ」が出ていたんですね。
ぜひ読ませていただきます。
ラベル:小説
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