2019年10月28日

「スイッチ」さとうさくら

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苫子は26歳。
就職活動で落ち続け、現在はフリーター。
友達も彼氏もおらず、いまだ処女。
コミュニケーションが苦手でファミレスのバイトもクビになってしまいます。
なんとか清掃会社にバイトで入り、そこでいろんな人と出会います。
苫子の教育を担当した主婦の中島さん、後輩の元キャバクラ嬢の瑠夏、苫子が清掃しているビルに会社がある短大時代同じ専攻だった結衣。
たまたま仕事帰りに目について立ち寄った喫茶店のマスター、サル男。
いろんな人と関わりながら、苫子の日常が変わってきます・・・・。
これが作者のデビュー作。
以前に「携帯を盗み読む女」というのを読みまして、これがイマイチでした。
ですがこのデビュー作は思いのほかよかった。
最後までじっくりと読まされました。
それぞれの登場人物にいろんな事情があり、苫子がそれに巻き込まれながらも性格的に近づけず距離を置いた付き合いだったりします。
そのあたりをじっくりと描いていますね。
タイトルのスイッチですが、これは人に皆首の後ろにでも小さなスイッチがあり、そのスイッチを押すとその人物がこの世から消える。
そんなスイッチがあればいいのに、という苫子の願望です。
苫子の性格といいますか世の中から浮いていると思っている心理を表しているとは思いますが、タイトルにするほど効果的なアイテムになっているのかなと思いました。
ラベル:小説
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2019年05月27日

「5」佐藤正午

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津田伸一は小説家。
ネットで女性を引っかけては遊んでいる女たらしです。
中真智子という人妻とも不倫中ですが、別れを切り出されます。
原因は真智子が夫婦で行ったバリ島旅行で夫の志郎が知り合った手袋をした石橋という女性。
たまたま彼女と手を触れた志郎に変化が訪れます。
それまで真智子と体を合わせるのが苦痛でしかなかったのですが、人が違ったように真智子を求めるようになります。
夫婦生活が戻り子供を授かることを考え伸一に別れを告げる真智子。
そして伸一のサイン会に志郎が訪れて、話がじわりじわりと展開していきます・・・・。
小説家津田伸一の放蕩さには、男女の愛についての冷めた目があります。
「必ず冷めるもののことをスープと呼び愛と呼ぶ」
「真理だ」
「その真理がくつがえるんです」
石橋との出会いで不思議な能力を授かり、真智子との愛を取り戻したかに見える志郎。
その行く末は。
そして女遍歴を重ねる伸一は果たして順風満帆な小説家生活を送れるのか。
いろんな人間が交錯し、物語を綴っていきます。
660ページ、渾身の長編です。
ラベル:小説
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2019年05月23日

「オリーブの罠」酒井順子

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昔、「オリーブ」というファッション雑誌がありました。
私も現役でちょくちょく見ておりました。
(男性ですけど興味ありました。ちなみに「non-no」も購読してましたね。モデルの長谷川ミキさんが好きでした。 笑)
2003年で休刊となったようですね。
そうか、いつのまにかなくなっていたのか。
もともとは「ポパイ」の増刊ということでスタートしました。
「ポパイ」といえばお洒落でアメリカナイズされた、当時では先端のシティボーイ(死語)のバイブルのような雑誌でした。
その妹分として登場したのが「オリーブ」です。
著者はまさに「オリーブ」に影響を受けた世代。
影響どころかマーガレット酒井という名前でデビューし、連載までしておられました。
ちなみにその当時の編集者が泉麻人氏
いまや伝説ともいえる雑誌だったわけですが、読者であり執筆者でもあった著者が、「オリーブ」とはなんだったのか、と振り返り分析しておられます。
カリフォルニア、サーフィンといったアメリカンなイメージでスタートしたはずが、突如リニューアルしてフランスのリセエンヌを目指せとなります。
ファッションだけでなく、生活までも。
それが大きく支持されてオリーブ少女なんてのもあちこちに出没したわけですが。
しかし時代は流れます。
ヤンキーだのギャルだのが台頭してきまして、時代にそぐわなくなってきます。
そしていよいよ休刊。
ファッションの世界なんてほんとに時代を映すいちばん最先端ですもんね。
時代を作ったファッション誌といえども、それだけに同じコンセプトでは続けられないでしょう。
アメリカンからフレンチに変え、まさかギャルまではいけませんもんね。
さて、本書ではまさに著者が読者として、連載の執筆者として見続けてきた「オリーブ」が書かれています。
「オリーブの罠」とはなんだったのか。
あ、この本と一緒に「ユーミンの罪」も読まれましたら、当時の女性なら涙かと。(笑)
ラベル:エッセイ
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2019年01月03日

「東電OL殺人事件」佐野眞一

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平成9年、東京電力に勤めるOLが何者かによりアパートの一室で絞殺されました。
この事件が異様に注目されたのは、彼女が当時企画部経済調査室副長というエリートだったこと。
そしてなにより昼はOL、夜は売春婦としてホテル街に立っていたということです。
年収が1000万円近くあったといわれるエリートOLがなぜ売春などしていたのか。
犯人として逮捕されたのは事件があったアパートの隣に住むネパール人。
しかし彼を犯人とするにはあまりにも証拠が弱いにもかかわらず、警察ははなっから彼を犯人だと決めつけて逮捕しています。
真犯人は誰なのか。
エリートOLはなぜ毎晩ホテル街に立ち客を取り続けたのか・・・・。
まず、被害者女性の心の闇といいますか、なぜ売春などしていたのかそれがまったくわからないですね。
社会的な立場もあり、年収も十分です。
にもかかわらず、仕事後に毎晩最終電車の時間まで立ち続け、何人も客を取ったといいます。
安い時は2千円、3千円という金額で。
常連客の話によると決してセックスが好きなわけではなかったようです。
そして真犯人は誰なのかということ。
逮捕されたネパール人については判決が二転三転していますが、最終的には平成24年に無罪が確定しました。
なぜ検察は執拗に彼を犯人に仕立てようとしたのか。
それにしても恐ろしい話です。
まったく聞く耳を持たず不十分な証拠で逮捕した警察、そして執拗に追い詰めた検察。
ネパール人の彼は外国でこのような冤罪をかけられて、どれほど不安で恐ろしく悔しく悲しかったことでしょう。
無罪になったものの、それまでの時間は返ってきませんし精神的苦痛は甚大なものがあります。
この本では著者はひたすら被告無罪の確信を持ち、30回にわたる公判を傍聴し、被告に何度も面会し、丁寧に事件を追っています。
しかし20年以上経った今でも被害者の心や真犯人が闇のままなすっきりとしない事件です。
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2018年12月21日

「窓際OL 会社はいつもてんやわんや」斎藤由香

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窓際OLが書くエッセイ、シリーズ第2弾です。
一流企業に勤める著者が赤裸々に社内の実態を暴露します。
しかし会社の許可も得ず(?)社長を始めとして上司のことをここまでボロクソに書いていいのでしょうか。(笑)
どこまでが本当の話かわからないのですが(すべて実話のように思う)、こんな会社が本当にあるのでしょうか。
いや、あるのはあるんですね。
だってあの『サントリー』ですから。
そこで健康食品事業部に配属され、『マカ』を宣伝して売りに売りまくったのが著者なのです。
作家、一流企業の社長、政治家にまで『マカ』を送りつけての“布教活動”。
傍若無人、大胆不敵。
実に痛快です。
ちなみに著者は祖父が斎藤茂吉、祖母は斎藤輝子、父が北杜夫、叔父が斎藤茂太。
そのような血統もありまして、交友や活動も幅広い。
そしてこのような本を出す著者のような社員を笑って許容している『サントリー』という会社。
これがなによりもすごい。
さすが「やってみなはれ」の精神ですね。(笑)
ラベル:エッセイ
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