2017年04月18日

「亡食の時代」産経新聞「食」取材班

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本書はまず冒頭で日本の食卓がおかしくなっていると指摘します。
「飽食の時代」が食文化を破壊し、食への感謝の気持ちを奪い去ってしまったと。
そしていまや「亡食の時代」になろうとしていると・・・・。
現在の日本の「食」に異常さを感じている人は多数いるんじゃないでしょうか。
いや、いてほしい。(笑)
この本でも紹介されていますが、ある小学生の朝ごはんがガムであるとか。
それに比べたら味覚破壊や添加物が指摘されるファストフードやインスタント食品のほうがまだ食事らしい。
しかしそういう人たちに多いのがおにぎりを食べながらジュースを飲むとか。
これはもう当たり前に見かけますね。
ファミリーレストランでも料理を食べながらドリンクバーのジュースを飲んでます。
カップラーメンにマヨネーズをぶっかける人までいるようです。
組み合わせの異常さということでは学校給食なんかも問題視されていますね。
ごはんに牛乳に雑煮とか。ホットケーキにおかゆとか、牛乳に焼き鳥に焼きそばとか。
味覚も無茶苦茶なら組み合わせのセンスも無茶苦茶です。
知識においても、料理教室に通う二十歳を過ぎた“大人”が自宅で米や野菜を洗うのに洗剤を使ったとか。
きくらげは海に泳いでいるとか。
魚は切り身でしか見たことがない子供とか。
もういやはや・・・・。
大量に廃棄される食材や料理も気になるところです。
なんとコンビニでは毎月いくら以上の廃棄ロスを出せなんて本部からの指示があるとか。
つねに新しい商品を置くほうが利益が上がるからだそうです。
呆れてものが言えません。
食事の時に「いただきます」、「ごちそうさま」なんて手を合わせている人は、外食なんかでは100人に1人いるかいないかじゃないですかね。
ほとんど見かけることがありません。
家庭でもどこまで躾されているやら。
そして食品の偽装問題もあります・・・・。
まさしく飽食が日本人を狂わせたとしか思えません。
しかし最終章では「再生への胎動」ということで、危機感を持った自治体や学校、企業、個人などの食の再興への活動が紹介されています。
ラベル:グルメ本
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2017年03月19日

「戦場でメシを食う」佐藤和孝

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著者はアフガニスタンやボスニア・ヘルツェゴビナ、イラクなどを取材してきたジャーナリストです。
死と隣り合わせのそんな紛争地で、人々は何をどのように食べているのか。
市民やゲリラ、そしてもちろん現地で取材する著者自身も。
本書は戦場という過酷な土地の食糧事情(だけではありませんが)を伝えるルポタージュであり、どんな状況でも腹は減り食わずにはいられない人間のやるせなさを指摘した本でもあります。
いずれにしてもその食事の状況というのはグルメなどという言葉とは程遠いものであり、食うために命を懸けていたりするんですよね。
食わずには生きていけない→ゲリラとして組織に入れば食事が付いてくる→命を懸けてメシにありつく、という構図です。
今の日本ではまず考えられない話ですね。
こういうシビアな実態を改めて知りますと、ほんと平和な国で飽食の中食べることについて好き放題言っているのが情けなくなってきます。
物を食べて生きていくということはもっと重いものであるべきだと。
自己嫌悪ですね。
食事や食糧というものについて、もっと真摯な気持ちを持たなければ・・・・。
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2017年02月01日

「少女には向かない職業」桜庭一樹

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大西茜は13歳の中学2年生。
山口県下関の沖合にある島に住んでいます。
父親は5歳の時に亡くなり、現在は義父と母親との3人暮らし。
いつも不機嫌な母親とはしっくりいっていません。
義父は仕事もせず毎日酔っぱらっているアル中です。
留守中に小遣いを盗まれたり大事にしていたゲームのデータを壊されたり、暴力をふるわれたり。
夏休みに入り、地味なクラスメートの宮乃下静香と親しくなった茜は、静香の立てた計画でそんなろくでもない義父を殺すことに・・・・。
読む前はちょっとオタクなラノベかなと。
ま、そういう雰囲気もあるのですが、いや、でもじゅうぶんに読まされましたね。
2人組の少女が殺人を計画し実行するという話なわけですが、女子中学生の家庭や友達に対しての脆くて不安な気持ちもしっかりと描かれています。
まだ自分ひとりでは生きていけない少女の大人に対する怒りや恐怖や絶望感。
ひりひりするような痛みを感じます。
そして秘めた残虐性。
「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」にもそのようなものがありましたね。
こういう話を淡々と書くのがこの作者のすごいところでしょうか。
ラベル:小説
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2016年12月27日

「誰が「本」を殺すのか(上・下)」佐野眞一

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本が売れないと言われはじめてもうどれくらいになるんでしょう。
販売額の下降は20年くらい前からですね。
そして出版社が倒産し、書店が閉店に追い込まれ。
そのわりには毎日200点もの新刊が出ているといいます。
いったいどうなっているんでしょう。
売れないのを補うためにせっせと新刊を出す。
もちろん次から次に出てくるので、このあいだまでの新刊はあっという間に書店から姿を消す。
悪循環です。
いったい誰がこのようにしてしまったのか。
誰が本を殺したのか。
出版社、編集者、取次ぎ、流通、書店、図書館、新古書店、電子出版、書評、読者・・・・。
業界の川上から川下まで貫いて著者が検証します。
私は直接この業界に関わっているわけではないので、本が売れないといわれても実感はありません。
販売額が前年比何パーセント減などの報道を読んだり、町の書店が無くなっていくのを見てそうなんだなと思ったりするくらいでしょうか。
たしかに自分の周りを見ても熱心に本を読んでいる人はほとんどいませんね。
電車に乗っても向かいの6人がけの座席全員が熱心にスマホをいじっていたりします。
おまえらは倣え右で餌をつつくブロイラーかと。(笑)
なので本を開いている人なんか見かけるとその姿が新鮮に思えますね。
この本では単行本時の内容を〈捜査編〉、文庫版で追加した章を〈検死編〉として検証しています。
本はこの先どうなっていくのか。
盛り返していくのか絶滅するのか。
さて・・・・。
ラベル:本・書店
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2016年10月24日

「あのころの未来 星新一の預言」最相葉月

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SFというジャンルで1000編以上ものショートショート作品を残した星新一

その作品には今からすれば未来を預言していたかのような内容が多々ありました。

ネット社会やらクローン技術やら。

そんな星作品を科学をテーマに執筆してこられたノンフィクションライターの著者が取り上げ、現在の状況と照らし合わせて書かれたエッセイです。

星新一の作品は私もほとんど読んだと思います。

でも内容はたいがい忘れてますけど。(笑)

この本を読んで改めて提示されますと、なるほど現在を予知していたかのような内容があったりしますね。

もちろん感心はするのですが、しかし何十年後かにはこのようになっているだろうというのは素人でも空想しますし、現状の科学を延長すればある程度の予想はつくでしょう。

未来はああなっているだろう、こうなっているだろうだけではなく、それを原稿用紙20枚ほどの中で世界を創り上げたのが星新一のすごいところ。

きっちりと未来へのメッセージを込めておられます。

本人が意図していたのかどうかは知りませんが。

メッセージというよりも皮肉といいますか警告と受け取っていいかもしれません。

本書では紹介されていませんけども、例えば私の好きな『おーい でてこい』という作品。

地面にぽっかり開いた大きな穴を発見した村人。

動物の巣かなと「おーい、でてこい」と声をかけるが反応がない。

小石を投げ込んでみるがやはり反応がない。

どうやらこの穴には底がないらしい。

やがてあちこちから人がやって来てその穴にごみは放り込む、犯罪の証拠品は放り込む、死体まで放り込む。

これは便利だとやりたい放題です。

それから時代が進んで未来。

空から「おーい、でてこーい」という声が聞こえます。

その後小石が降ってきて・・・・。

そこで話が終わっていたはずですが、その後どうなるかは明らかです。

面白くも怖い話です。

ごみ問題ですよね。

天に向かって唾を吐くといいますか、その場で自分はよくても後になってしっぺ返しが来ますよと。

この本ではいろんな事例に照らし合わせておられます。

さすがに最相葉月、その検証は専門的です。(笑)

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