2020年01月28日

「新野新の味ばなし あの人・この人 トーク50人」新野新

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まず著者の新野新という名前が懐かしい。
一時はよくテレビにも出ておられましたし、やはり関西の人間にとってはラジオ番組「ぬかるみの世界」でしょう。
ちょっとカマっぽいキャラクターでお馴染みでした。
さて本書はインタビュー集です。
朝日放送出版の「料理手帖」誌に連載していたのをまとめたようで。
「料理手帖」というのは知らなかったのですが、名前からして当然料理誌でしょうね。
なので各界の著名人に食にちなんだインタビューをするという企画だったのでしょう。
ほんといろんな人が登場しています。
それはいいのですが、内容がなんとも中途半端。
まず食についてのインタビューとしては、それにまつわる話がわずかしかありません。
ではインタビュー集としてどうなのかといいますと、インタビューしている割には著者の推測やら見解がメインです。
なぜかといいますと、著者自らインタビューしていないんですね。
古川嘉一郎という人が取材し、著者がそれを文章にしておられる。
メモだか録音だかはわかりませんがそんなことで書いておられるので、会ったことのない人などは印象も書けないでしょう。
想像で書いておられるわけです。
人物の評論ならそれでもいいでしょう。
必ずしも本人に会う必要はありません。
俳優や芸人の仕事ぶりを客観的に評論する。
あるいは、この人は芸の上ではこうだが実際はこうではあるまいかと推測する。
かまいません。
しかし自ら取材していない人のことをこのような形で書くのはどうなのかと。
ちょっとこれは食というテーマについても登場しておられる人についても無責任ではないですかね。
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2019年11月27日

「面影」芝木好子

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久世龍彦は人形師。
一流の人形師であった父親を持つ、いわばエリートです。
そんな龍彦の前に現れたのが桂真子。
龍彦のように正統な血筋を持つわけではなく、突如現れた粗削りながらも天性の才能の持ち主です。
まったく違う個性を持つ二人がお互い男女として惹かれあいながらも、好敵手としてしのぎを削りあいます・・・・。
私は人形という世界に今まで全く目を向けたことがなかったのですが、当然その世界にも芸術としての美があり、技術があるということを認識しました。
今後は意識して人形というものを見ることになりそうです。
それにしても芝木作品に登場する人物たちの、芸術に打ち込むそのひたむきさ。
同時に男女の愛も描かれているのですが、それさえも凌駕するほどの情熱といいますか執念といいますか、激しさがあります。
やはり芝木好子の描く芸術の世界、職人の世界はいいですね。
まだまだ未読の作品が多くありますので、これからも楽しみに読んでいきたいと思います。
ラベル:小説
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2019年10月18日

「ゆで卵の丸かじり」東海林さだお

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いつもながらの痛快爆笑な丸かじりシリーズです。
今回はゆで卵の丸かじりということで、収録されている中の「茹で卵は正しく食べよう」という章が表題作といえましょうか。
ゆで卵のいろんな食べ方を検証し、何口で食べ終えるのが正しいか、という話になります。
四口だと。
しかし。
著者は革新的な食べ方を提案します。
一口です。
蛇のように一口でパクリ。
これが想像以上に美味しいとのこと。
口中で咀嚼し変化していくゆで卵の描写に自分も試してみたいという思いにかられます。
口に入れてから飲み込むまでにまるまる一分かかるとのことですが。
しかしそんなことよりも誤って喉に詰めてしまう怖さがあるので私にはできません。(笑)
よい子はまねしないように。
さて、このシリーズ、これで第33弾とのこと。
すごいですね。
このレベルで33冊もいきますか。
(しかも現時点で41弾まで刊行されています)
週刊朝日に連載されているエッセイなわけですが、始まったのが1987年。
30年以上も週刊で連載しておられるのだから、こりゃもうとんでもない偉業です。
まさに食エッセイの金字塔。
これからもますますのご活躍、非常に楽しみにしております。
ラベル:グルメ本
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2019年07月18日

「優しいサヨクのための嬉遊曲」島田雅彦


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大学のサークルでサヨク活動をする千鳥姫彦。
オーケストラ団員であるみどりという少女に恋をし、なんとかモノにしてやろうと企んでいます。
しかしなかなか思うようには進捗せず。
サークルの他の連中もまともにサヨク活動というものをしてるんだかしてないんだかよくわからない毎日の中、姫彦が考えるのはみどりのことばかり・・・・。
左翼と漢字で書くとなかなか厳めしいのですが、この作品ではサヨクです。
これが主人公のキャラと相まってなかなかに軽い印象があります。
おまけに頭には「優しい」という言葉も付きますし。
で、なんなのかというと特に何もないんですね、これが。(笑)
「赤頭巾ちゃん気をつけて」に軽くサヨクをふりかけたような印象。
おそらく私が読んだよりも深い内容があるのでしょうが、私にとっては「で?」という印象しかなかったですね。
ラベル:小説
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2019年03月20日

「赤頭巾ちゃん気をつけて」庄司薫

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主人公は日比谷高校3年生の庄司薫。
作者が主人公ということなんでしょうか。
東大紛争のため入試が中止になり、大学に行くのを諦めます。
由美というガールフレンドがいますが、電話でのちょっとしたやりとりから絶交状態に。
薫は左足親指の爪をはがしており、銀座で小さな女子にその足を踏まれ悶絶。
なんとか持ち直して女の子が本屋で「あかずきんちゃん」の本を買うのを手伝ってあげます・・・・。
う~ん。
これ、いったいなんなんですか。(笑)
当時(1969年)としてはけっこう斬新だったのかもしれないですね。
高校生が一人称でひたすら日常や心情を語り続けます。
読み始めてすぐに思ったのが、失礼ながら「『ライ麦畑でつかまえて』のパクリ?」と。
今から読むと古臭くもあり、かえって新鮮でもあります。
古臭く感じたのは最後のほうでひたすら心情を主張するあたり。
この熱さはやはり時代でしょう。
逆にそれが新鮮にも感じられました。
今どきこんな高校生を主人公にした小説を書く作家なんていませんから。(笑)
ちなみにこの作品は芥川賞を受賞しています。
よくも悪くもこの時代の少年が鮮烈に描かれているということなんでしょう。
ラベル:小説
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