2020年12月04日

「アンパンの丸かじり」東海林さだお

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シリーズ第34弾。
これ、すごいことですよ。
毎週「週刊朝日」に連載され、それがまとまって本になります。
この本をいま数えてみましたら35編収録されていますね。
なので35週分。
これを今まで34冊。
よくもまあ書き続けてこられたものだと。
このレベルで。
前人未踏です。
食エッセイ界の「こち亀」と呼びたい。(笑)
さて今回は「アンパンの丸かじり」。
表題作として該当するのは「アンパンのしみじみ」という章ですね。
まず、アンパンには芸がない、と。
パンとアンコでそっけない。
見た目も平凡。
クロワッサンのような細工がない。
というところから始まって、アンパンには裏表がありますね。
茶色いほうと白いほう。
十人中十人、茶色いほうを上にして食べます。
言われてみればそうですよねぇ。
で、食べ方がどうだという話になり、昔駅の売店でサラリーマンがとんでもない食べ方をしているのを見たと。
左手に牛乳ビンを持ち、右手でアンパンをギュッギュッと握りしめ、小さく固めたアンパンをウグと飲み込んで牛乳で流し込む。
立ち去るまで30秒の手練れの早技だったそうです。
著者は実行します。(笑)
直径8センチくらいだったアンパンをゴルフボールを一回り大きくしたくらいにまで固めます。
食べてみると、これがとびっきりおいしいとのこと。
ただし、アンコが飛び出さないように気を付けてとのことですが、ほんまか?(笑)
「鍋焼うどん、たぎる!」なんて思いっきり笑わせていただきました。
カニ缶やうずらの卵など、まさに「あるある」、「そうそう」と頷いてしまいます。
こういうのを一編のエッセイにきっちりと仕上げるところが著者の才なんですね。
それを30年近くもですよ。
お見事です。
ラベル:グルメ本
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2020年11月03日

「黄色い皇帝」芝木好子

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伊能隆一は蝶の収集家です。
カトマンズ・アゲハという世界に2頭の雄しか発見されていない蝶の存在を知ります。
興奮せずにはいられなかった隆一。
隆一は地質調査の会社に勤めているのですが、運よく仕事でインド出張の話が舞い込みます。
これはネパールに寄ってカトマンズ・アゲハを採集するチャンスです。
しかも雌を。
隆一は見事にカトマンズ・アゲハを採集します。
しかしそれ以上に隆一が心を奪われたのが、霞の濃い谷で見た1頭の蝶でした。
生まれて初めて見た王者の風格を備えた幻の蝶。
隆一は“黄色い皇帝”と名付け、この蝶を採集することにそれこそ命をかけます・・・・。
芸術の世界をいろいろと書いてこられた作者。
今回は蝶。
結婚も恋愛もせず、ひたすら蝶の採集に打ち込む男の話です。
蝶を取り上げた小説なんてちょっと珍しいんじゃないでしょうか。
私が知らないだけかもしれませんが。
ただやはり芝木作品、恋愛の要素が入ります。
主人公の隆一は近くの丘陵地で高校生の蝶マニア、洋と出会います。
この洋の存在が蝶採集というストーリーにおいてしっかりと脇を固めているのですが、同じく重要なのが洋の母である貴子の存在です。
人妻である貴子に隆一は恋愛感情を持つんですね。
この設定が蝶一辺倒ではなく、話に膨らみを持たせています。
ただラストはもっとはっきりと書ききってほしかったと思いました。
しかしよくまあ蝶のことを調べられたなぁと思いながら読んでいましたら、あとがきにて実際に作者は5年もの歳月蝶に深入りしてカトマンズまで行かれたとのこと。
でしょうねぇ。
でないと書けませんわ。
作家の執念、恐るべし。
ラベル:小説
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2020年11月01日

「活字たんけん隊 めざせ、面白本の大海」椎名誠

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椎名誠による面白本紹介のシリーズ第4弾です。
やはり面白本ということでノンフィクションとなりますね。
著者の趣味もあり、紀行物といいますか探検物が多い。
私はあまりこのようなジャンルを読みませんので、かえって参考になりますね。
なるほどそのような本があるのかと。
スリッパなどもやはり旅がらみで、海外に行くことが多い著者は飛行機内にスリッパを持ち込むといいます。
確かに楽ですよね。
で、どうやら外国にスリッパというものはないらしいと。
欧米人にとっては浴衣と同じくらいエキゾチックなものらしいと。
そういう話になっていきまして、そこから履物についての世界史や歴史という話になっていきます。
これまたスリッパについて書かれたいろんな本があるんですね。
それらを読み進めていきますと、なるほどそのような理由で日本にスリッパが普及したのかと腑に落ちる理由が見えてきます。
いやあ、本ってほんとに面白いですね。(シャレか 笑)
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2020年04月11日

「世界のへんな肉」白石あづさ

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肉。
料理としての肉。
日本人なら肉といえばやはり牛肉でしょう。
しかし海外ではいろんな肉を食しています。
はてさて、著者は世界各国でどのような肉を食べてこられたのか・・・・。
ところ変われば品変わるで、国によっていろんな肉を食べています。
著者は3年間の世界一周をはじめとして、あらゆる国の料理を食べてこられました。
この本では最初にインドでの牛カレーを紹介しておられます。
えっ、インドで牛肉? と思いますよね。
インドで牛といえば神聖な存在。
それをカレーで出している店があるとか。
また繁盛しているとか。
アフリカではラクダ。
ラクダは食べ物なんですね。
その他いろいろ、日本人にとっては「えっ、そんなの食べるの!?」というのが紹介されています。
でもその土地では昔からある当たり前の食文化。
それに対して果敢にチャレンジされる著者の好奇心と胃袋が実に頼もしくて面白い。
日本人からしたら、ある意味ゲテモノともいえます。
ヤギの脳みそだとか、カエルの卵だとか。
食べられない気持ち悪いといった印象はあるかもしれませんが、決してそれを否定してはなりません。
それもちゃんとしたその国の歴史ある食文化なんですよね。
なのに例えば日本が鯨を食べるというと批判し、妨害する外国人がいます。
まったく上辺だけで良いの悪いの言ってる浅はかな連中だと思います。
その国の文化を理解する頭のない感情的なヒステリック集団です。
どうしようもない。
あ、これは私の個人的な意見で、この本ではそんな批判的なことはいっさい書かれていません。
各国の肉料理事情。
現地の人たちとの出会い。
著者はちゃんとそれぞれの国の食文化を嬉々として受け入れておられる。(ウマイマズイは別ですが 笑)
食を語るなら、このように柔軟な姿勢でありませんとね。
ラベル:グルメ本
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2020年02月19日

「私の大好物 PART2」週刊文春 編

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シリーズ第2弾。
ちなみに第1弾はこちら。
週刊文春に連載されていたものを収録していますので、特に前作とコンセプトに違いがあるわけでなく。
(カバーのデザインはずいぶんあか抜けていますが 笑)
著名人がひたすら自身のお好きな店の料理を紹介しておられます。
今回もやはり皆さん、高級店の高級料理なんてのはほとんど紹介しておられません。
まあ本当はそうだとしても、そういうのを紹介しても鼻につきますしね。(笑)
誌の方針もあったでしょうし。
でもたった1回だけ行って大好物というのはおかしいですし、何回も食べるほど好きだから大好物なわけで。
そうなるとやはり値段が張る店や料理ではなく、日常通える範囲の店ということになるのでしょう。
いくら著名人といえども。
それでも私にとっては贅沢な値段だなと思える紹介も多数ですが(笑)
「ここはもう何十年も通ってます」というようなコメントもあります。
こういう紹介が本物ですよね。
時代や話題に左右されない。
あくまで自分の価値観で通い続ける。
店もまたそれに応えてくれている。
やはりこれでしょう。
ラベル:グルメ本
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