2019年03月20日

「赤ずきんちゃん気をつけて」庄司薫

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主人公は日比谷高校3年生の庄司薫。
作者が主人公ということなんでしょうか。
東大紛争のため入試が中止になり、大学に行くのを諦めます。
由美というガールフレンドがいますが、電話でのちょっとしたやりとりから絶交状態に。
薫は左足親指の爪をはがしており、銀座で小さな女子にその足を踏まれ悶絶。
なんとか持ち直して女の子が本屋で「あかずきんちゃん」の本を買うのを手伝ってあげます・・・・。
う~ん。
これ、いったいなんなんですか。(笑)
当時(1969年)としてはけっこう斬新だったのかもしれないですね。
高校生が一人称でひたすら日常や心情を語り続けます。
読み始めてすぐに思ったのが、失礼ながら「『ライ麦畑でつかまえて』のパクリ?」と。
今から読むと古臭くもあり、かえって新鮮でもあります。
古臭く感じたのは最後のほうでひたすら心情を主張するあたり。
この熱さはやはり時代でしょう。
逆にそれが新鮮にも感じられました。
今どきこんな高校生を主人公にした小説を書く作家なんていませんから。(笑)
ちなみにこの作品は芥川賞を受賞しています。
よくも悪くもこの時代の少年が鮮烈に描かれているということなんでしょう。
ラベル:小説
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2019年02月24日

「明日を知らず」芝木好子

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昭和十八年、春。
結婚して三か月目に出征した良人は戦死し、津川麻子は二十二歳で未亡人となります。
それからいくらも経たないうちに良人の弟との再婚話が持ち上がり、周囲が二人を結び付けようとします。
いたたまれなくなった麻子は叔母のいる満州へ逃げ出します。
そこで出会ったのが妻子ある緒方。
二人はいつの間にか愛し合うようになるのですが・・・・。
仕事に一途な男を愛し追いかけるというのは、芝木作品のひとつのパターンですね。
過去にも何作かそのようなシチュエーションの作品を読んだように思います。
この作品では満州が舞台となっており、緒方は開拓団の指導者であり、理想の土地を作る夢に燃えています。
しかしソ連の条約違反による侵攻により、満州の人たちは今まで築き上げてきた土地を一夜にして手放し死に物狂いて逃げ出す羽目になるのですね。
夢破れ、立場上責任を感じて憔悴する緒方。
出会った当時の精悍さは見る影もありません。
それでも思い続ける麻子ですが、悲惨なその出来事が二人の愛にも影を落とすことになります。
戦時の満州という歴史を描き、男女の愛を描いた作品です。
ですがどうもいつもの芝木作品のように入り込めませんでした。
私には話の展開が唐突で不親切に感じられましたもので。
重い背景を扱っておられますが、芝木作品の中では小説としての出来はどうなのかなという印象です。
ラベル:小説
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2019年01月07日

「〈ジャイアント白田〉 最強の飲食店づくり」ジャイアント白田

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ジャイアント白田といえばたぶんたいがいの人が知っていると思われる、テレビでもお馴染みの大食いの人です。
現在は大食い選手としては引退され、飲食店のオーナーをしておられます。
大阪は道頓堀で串カツ屋を経営。
昔から飲食店を経営することが夢だったということで、決してタレントの店という類にはしたくなかったとのこと。
そうやって真剣に立ち上げた店について、そのいきさつを紹介しつつ、将来飲食店をやりたいという人たちの参考にもなるようにと書かれた本です。
丁寧に真摯に書いておられるという印象ですね。
すでに飲食店を経営しておられる人たちからすれば青く感じられる部分もあるかと思いますが。
店舗の契約や仕入れなどの裏事情、原価率なんかも公表しておられます。
もちろんすべてを曝け出しておられるわけではないでしょうが、自身のノウハウをオープンにしてメッセージを伝えようとしておられるところに好感が持てます。
私は大阪在住ですが店には行ったことがなく、しかし店が入っているビルの前で呼びこみをしておられる著者を何度か見ました。
ミーハーにも写真を撮らせてもらったりもしました。(笑)
まあ飲食店というのは実際に訪問して飲食してなんぼ。
この本で語られていることがどれほど店に活かされているのか。
ぜひ訪問したいという気持ちになりました。
ラベル:グルメ本
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2018年12月19日

「私の食べ歩き」獅子文六

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作家による食エッセイです。
エッセイというよりも随筆といったほうがぴったりしますか。
日頃の日本での食べ物からパリで生活していたときに食べ歩いたフランスのレストランまで、幅広く書かれています。
相当な経験と知識をお持ちですが、魯山人などと違って(笑)文章に嫌味がないんですよね。
するすると気持ちよく読めます。
戦中戦後の食事情や、解説で山本益博氏も書いておられるようにパリの今は無き名料亭の名前がずらりと出てくるあたりも貴重な資料でしょう。
それらの話にいろいろエピソードを絡ませているあたりはさすがに作家の随筆というべきでしょうね。
ラベル:グルメ本
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2018年11月19日

「活字の海に寝ころんで」椎名誠

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「活字のサーカス」「活字博物誌」に続いてシリーズ第3弾。
サーカスと博物誌のあとは海に寝ころがりました。(笑)
今回は『食』について書かれた本を多く取り上げておられます。
最初に「辺境の食卓」ということで『極限地帯や極限状況に置かれた人間が何をどうやって食って生きてきたか』ということに興味があり、そのようなものをまとめたとあります。
アマゾンやチベットではどのようなものを食べているのか。
そしてオーストラリアやアフリカの砂漠では。
中国では。
極限状況ということであれば漂流があります。
船が難破して脱出し、漂流、あるいは無人島に流れ着いてどのような食生活を送ってきたのか。
いろんな人が「漂流記」を書いておられるようで、南極では17ヶ月の中でペンギンを食べ、アザラシを食べ、やがては役に立たなくなったソリ牽き用の犬まで食べます。
アザラシの肉ばかり食べていた皆にとって犬肉は御馳走だったとか。
海を漂流した人たちはやはり魚になるわけですが、けっこうウミガメが食料として役に立ったようです。
特に卵は美味で、雌亀は肝臓がとりわけおいしいとか。
しかしまあ人間、極限状況になるとなんでも食べざるを得ないわけで、あーだこーだと顔をしかめてなんかいられないわけです。
これは戦時中の日本人もそうですよね。
戦地の兵隊さんもそうでしたし、日本で戦火から逃れた人たちもそうでした。
「火垂るの墓」の幼い兄妹なんか見ましたら、食べ物にあーだこーだなんて言えたものではありません。
なので私はグルメごっこから卒業してずいぶんとなります。
食べられることがありがたい。
そして何を食べても美味しいと思えるのがいちばんです。
著者はあとがきに『平素我々はいかに無意識のうちにうまいものを食って堕落しているか、ということも同時に分かり、しばらく気持ちがぐったりした』と書いておられます。
まさしくですね。
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