2018年06月20日

「迷える空港 あぽやん3」新野剛志

CIMG3292.JPG

主人公の遠藤が勤める大航ツーリスト成田空港所がリストラの一環でいよいよ閉鎖となります。
そんな状況でも頑張る遠藤。
しかしどうも言動がおかしい。
やけにテンションが高いのです。
やがて遠藤に異変が訪れます。
出勤しようとすると体が前に進まないのです。
今後の業務のことなどを考えすぎるあまり、精神を病んでいたのでした・・・・。
シリーズ第3弾。
まず表紙のイラストが変わっていたので「あれ?」と。
で、読み始めますと、遠藤のキャラがなんだかおかしい。
こんなキャラだったかなぁと思いつつ読み進めまして、なるほどそういう話に持っていくのね、と。
今回は連作短編形式になっており、遠藤に代わりいろんな人物が主人公となっています。
なのでどうも今までとは勝手が違い、散漫な印象がありました。
遠藤に鬱的なシチュエーションを与えたのもどうなんでしょ。
あの遠藤でさえ的なインパクトはあるでしょうけど、キャラ的ストーリー進行的にどうなのかなと思いました。
それはそれでずっと遠藤にカメラを向け続けていればまたよかったんでしょうけど。
そもそも遠藤のお客様第一主義的な行動が私個人は好きになれないのですが、それを言ってしまうとお仕事小説の立場がないですよね。(笑)
でもこの仕事に限らずここまで客のことを考える店員がいるかなぁ。
なんだかこれでシリーズ完結みたいな雰囲気を感じたのですが、どうなんでしょ。
これが最終巻とするなら、ちょっとなんだかなぁという印象です。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(1) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月02日

「染彩」芝木好子

CIMG3210.JPG

和服の絵柄を染彩するのが生業の葉子。
画家の良人は若い女に惹かれて出ていき、中学生の息子と仕事場と兼用の住居で二人暮らしです。
そんな葉子のもとに週に2日大学生の典夫が仕事を手伝いに来ています。
彼を助手に作った作品を職人として呉服店に、芸術家として展覧会に出品し、少しずつ精進していく葉子。
一緒に仕事をしているうちにひと回り以上歳下の典夫に心惹かれますが、世間体もあり自分のそんな気持ちに戸惑ってしまいます・・・・。
染彩にひたむきな女性の姿がいいですね。
でも商売気がなく生きることにはちょっと不器用で。
それは恋愛に対しても。
この作品では仕事場のある鷺宮、そして隅田川や銀座といった芝木作品には馴染みのある土地が舞台となっています。
時代は昭和半ばころでしょうか。
それらの設定と芸術がいつもながらに味わい深く趣のある世界を醸しています。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月02日

「安井かずみがいた時代」島崎今日子

CIMG3159.JPG

作詞家、安井かずみ。
といっても今の若い人はほとんど知らないでしょうね。
そもそも作詞家自体、そうそう名前が知られる存在じゃないですから。
ましてや現在は歌謡曲も廃れ、ミュージシャンが自分で作詞作曲して歌う時代です。
作詞家という職業も危うい。
1960年代にデビューした安井かずみは数々のヒット曲を連発し、時代の寵児となりました。
例えば郷ひろみの「よろしく哀愁」は彼女の作です。
その他、「わたしの城下町」、「危険な二人」、「赤い風船」、「不思議なピーチパイ」など、挙げていったらきりがないくらい。
そんな彼女の生涯を追ったノンフィクションです。
作詞で注目を浴びたばかりでなく、その生き様は当時の女性の憧れでもありました。
いまやもう廃れましたけど、一時期カリスマなんたらなんて表現が流行りましたよね。
現在の芸能人では安室奈美恵や浜崎あゆみなどが若い女性に大きな影響を与えたカリスマ的存在でしたが、当時はそれが安井かずみだったといえますか。
ファッションとかの見た目はもちろん、生き様でその存在感を示していたように思えます。
章によりいろんな著名人(26人)へのインタビューで安井かずみのエピソードや言動を紹介し、その人間性や魅力を浮き上がらせています。
独身時代、そして加藤和彦との結婚後。
なんともセレブなおしどり夫婦でした。
結婚後の安井の変化についても書かれています。
このあたり、経済的にはじゅうぶん自立した女性でありながら、決してフェミニズムを主張するわけではなく加藤に尽くす安井の姿が描かれています。
また加藤も安井に相当な神経を使って尽くしていたようです。
安井が亡くなってすぐの加藤の再婚にはいろんな意見がありますけども。
安井が逝去したのは1994年。
すでにピークは過ぎており、時代も作詞家ではないだろうという雰囲気。
でもご存命ならそのあとどのような仕事をされたのでしょう。
非常に興味あります。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月17日

「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」ジェーン・スー

CIMG3131.JPG

何年くらい前からでしょうか、やたら『女子』という言葉が目に付きだしたのは。
いや、『女子』という言葉自体にはなんら問題はありません。
中学生や高校生に対して使われているのならば。
目に付くのは30代や40代の中年女性なんかが使い始めたからなんですね。
『女子会』だの『女子力』だの。
「オバハンが集まってな~にが女子会じゃアホタレが」などと思わず毒づきたくなってしまいます。
かといって何歳以上は『女子』にあらずなどという規制はなく、使用するのは自由なわけですが。
しかし女子女子言っている女たちも自分が女子という年齢ではないことを十分自覚していると著者は書いています。
『女子』という言葉は年齢ではなく女子魂を象徴しているのだと。
ま、いくつになっても女は永遠に『女子』なのですね。
そのような心構えはなるほど見た目も気持ちも若々しく保つのに有効かもしれません。
一歩間違うと苦笑モノになってしまうのが要注意ですが。
表題の他、未婚女性の立場から恋愛や結婚、仕事、老後のことなど、さまざまなテーマを取り上げておられます。
これはやはり男性よりも女性が読んで共感を得る本でしょうね。
当たり前か。
ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月15日

「ホルモン焼きの丸かじり」東海林さだお

CIMG3126.JPG

丸かじりシリーズ第31弾。
今回のタイトルはホルモン焼きです。
内容では「ホルモン焼きを懐石で」が表題作となりましょうか。
ホルモン焼きといえばもちろん焼肉なのですが、ロースやカルビとかと違っていわゆる臓物ですよね。
普通の焼肉とはちと違う。
というわけで、『ホルモン料亭』といわれる店に出掛けていくのですが・・・・。
で、その店の実況なわけですが淡々としたメニューの紹介に終始しています。
んで最後は飲み物がどうだとか。
今後ホルモンの二極化がどうだとか。
どうした東海林さだお。
そこで本領を発揮してくださいませんと。
たぶんエッセイとして面白可笑しく紹介するには苦しかったんでしょうねぇ。
それまでに費やした枚数のせいでホルモン屋についての記述が足りなかったのかもしれませんが。
表題にするにはもひとつインパクトがありませんでした。
こういう不発はよくあります。
そりゃこれだけ書き続けていればねぇ。
他の作品でもやはり出来不出来はあります。
ですけども、その不出来さえあくまでも東海林さだおレベルであり、他の食べ物エッセイなどと比べると抜きん出ている。
やはり偉大な食エッセイストでありましょう。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 03:31| Comment(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする