2019年12月09日

「潜入ルポ ヤクザの修羅場」鈴木智彦

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つい最近、山口組若頭である高山清司氏が出所したというニュースがありました。
この本はその高山氏が逮捕されるところから始まります。
こういうのにも警察とマスコミとの駆け引きといいますか、台本があったりするんですね。
さて、ヤクザ。
ここでいうヤクザとは暴力団のことですが、一般の人たちにとっては関わり合いになりたくない存在ですよね。
ですがこの著者は興味を持ち、ヤクザ専門誌の「実話時代」編集部に入社します。
その後は「実話時代 BULL」の編集長を経て、フリーライターに。
どっぷりと(?)その世界に浸り、その世界を描いたのがこの一冊です。
タイトルに「潜入ルポ」とあるのですが、そんなこっそり取材したというような内容ではありません。
新宿で有名な『ヤクザマンション』に事務所を構え、毎日のようにヤクザと顔を合わせコネを作ります。
あるときなど上からヤクザが“降ってきて”、なんとバルコニーの鉄柵に突き刺さっていたとか。
もちろん119、110に通報して大騒ぎ。
しかしそんな中でも著者は警察官の対応をきっちりと観察しておられます。
愚連隊の帝王と呼ばれた加納貢と懇意にしていた、というより生活の面倒を見ていた話なども書かれています。
大阪は西成の盆中に潜り込んだり、飛田にマンションを借りてちょんの間に上がってみたり覚醒剤の売人に接触してみたり。
私も西成はよくうろつきましたが、実際この界隈覚醒剤に接触するのは非常にたやすい。
ま、私はそういうのに興味はなく朝から飲み歩くだけでしたが。
とにかく体を張って経験してきたその内容は生々しく迫力に満ちています。
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2019年12月07日

「ごくらくちんみ」杉浦日向子

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珍味をネタに酒を絡め、様々な人間模様を描いた68編の掌編小説。
それぞれにイラストが添えられていますが、もちろんそれは漫画家である著者の手によるものです。
小説の内容はさほどのものでもないのですが、1編1300字、文庫本で約2ページほどですからまあやむを得ないでしょう。
ですが珍味の描写はなかなか魅力的。
そして珍味といえばやはり酒。
きっちりと酒が添えられているのが酒飲みにとっては嬉しいじゃないですか。
しかしほんといろんな珍味を紹介しておられますねぇ。
初めて知る物も多数。
ただ単に私が勉強不足なだけかもしれませんが。
この本と同じアテというわけにはいきませんが、思わず酒に手が伸びてしまいます。(笑)
ラベル:グルメ本 小説
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2019年02月18日

「江戸へようこそ」杉浦日向子

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前口上として著者が語りたい江戸についての説明があるのですが、いまいちよくわかりません。(笑)
著者は歴史の知識がある「歴史好き」でもなく、チャンバラなどが好きな「時代劇好き」でもないといいます。
日本で「時代もの」といえばおおむねそれら2種類に支えられており、専門的な研究以外ではどうしてもそういう人たちを対象として書かれることになるので従来のイメージを抜けられないと。
そして江戸趣味を否定し、ノスタルジーも否定しておられます。
で、「江戸はどこにあるのか」という問いに対しては、「いまここにあります」と答えるそうです。
なんだかなぁ、ちょっとイタイなぁ、という気がします。
まあ江戸について一般の人たちが安易に浮かべるイメージに対して物申したいのだとは思いますが。
たしかに江戸時代といっても毎日歴史に残るような出来事があったわけではなく、また時代劇のようなドラマが日常茶飯事に起きていたわけではありません。
現代も同じですが、皆ごくごく平凡に毎日を過ごしていたはずです。
そしてその延長にいまの東京もある、と。
もっと日常の江戸を知ってほしいということなんでしょう。
私もそのあたりは知りたい。
私は大阪の人間なので江戸ではありませんが、例えば自分のご先祖様は江戸時代どのような生活をしていたのか。
なにを生業にしてどのような人物だったのか。
住んでいたあたりはどのような風景で周りにはどのような人たちがいたのか。
日々どのような日常を過ごしていたのか。
教科書に出てくる出来事よりもよほど興味があります。
この本ではゲストを招いての対談も掲載されています。
中島梓氏とは吉原について。
高橋克彦氏とは春画について。
これらは私も興味ありますので、へぇなるほどと読ませていただきました。
でもテーマとしてはベタですよね。
もちろんそれらから庶民の生活を見ることはできるのでしょうけど。
著者の鼻息が荒い割には結局この本も従来のイメージからは脱却できていないのではと思いました。
ラベル:エッセイ
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2018年08月21日

「匂いのエロティシズム」鈴木隆

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嗅覚は視覚、聴覚、味覚などに比べて、論じられたり教育されたりすることは少ないといわれています。
なるほど視覚なら絵画、聴覚なら音楽、味覚なら料理、それぞれ芸術として立派な1ジャンルですよね。
ところが嗅覚にはそれらしきものがない。
日本には香道というものがありますが、あまり知られておらず一般的ではないですね。
そんな匂い(嗅覚)について、タイトルにもあるようにエロティシズムという観点から論じたのがこの本です。
体臭というのは本来その人の個性なわけですが、最近ではそれが嫌われ抑えられる傾向にあります。
デオドラント商品などがそれですね。
だからといって匂いは必要ないのかといえばそんなことはなく、体臭を消して香水をつけたりしている。
面白い傾向です。
動物でいえば匂いはセックスアピールです。
発情期になると匂いで異性を惹きつけたりします。
しかし人間はその匂いを消してしまっている。
動物から離れるほどに人間は匂いを消してしまうようになりました。
ですがそれを取り戻すかのように異性を惹きつける媚薬だのフェロモン入り香水だのをせっせと開発していたりします。
矛盾した面白い現象です。
動物にとっては生殖のための本能である匂いが、人間にとっては意識を伴うエロスに移り変わったと。
匂いにエロティシズムを感じるのは間違いなく、ただどのような匂いにそれを感じるかは人それぞれ。
もしかしたら視覚や聴覚よりも根本的なところに訴えかけてくる感覚かもしれません。
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2018年05月21日

「飛田の子 遊郭の街に働く女たちの人生」杉坂圭介

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大阪の飛田新地で遊郭を経営していた著者。
現在は店の名義を知人に譲ってスカウトマンをしておられるそうです。
前著「飛田で生きる 遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白」ではそんな経営者時代の話を書いておられました。
店を始めるには、女の子はどうやって集めるのか、収入は、経営の実態は、など。
今回は実際に自分の店で働いていた女の子にスポットを当て、飛田で働く女の子たちの実情を紹介しておられます。
いろんな女性がおり、いろんな事情を抱えています。
やはり女性を使うのは難しいですね。(笑)
新しい女の子が入ってきたせいで自分の売り上げが落ちたら、その嫉妬の凄まじいこと。
それまで自分がエースだったというプライドもあるでしょうし、ストレートに収入に響きますからね。
修羅場になったりもするようです。
女の子たちをうまくコントロールしつつ、急に飛んでしまう(辞めてしまう)子の代わりを必死に補充しつつ、店の売り上げは乱高下。
そんな仕事を10年もやってこられたのですから、まさにお疲れ様です。
最近の飛田ですが、全体の売り上げも下降し、だんだんと寂れつつあるようです。
世間体が悪いだのと反対する人たちがいますし、他の風俗に客が流れているというのもあります。
確かに飛田はコスパはよくありません。(笑)
15分で11000円くらいですか。
でも正味の時間はその半分くらいということで、女の子によってはタッチもなしなんですから客にとってこんなアホな話はない。
同じ値段で60分のホテヘルに行けます。
ただ女の子からすれば15分でその半分ほどを手取りとしてもらえるわけで、時間単価にすると非常に割がいい。
60分のコースだと手取りで20000円です。
エースともなるとロングやショートのコースも含めてですが、1日30本上げるというのですからたいしたものです。
ですが最近はシャワーあり本番なしのデリヘル・ホテヘルに女の子が集まっているようで。(飛田はシャワーなし、本番あり)
飛田も正念場です。
でもこの独特な街は存続してもらいたいと私は思うのですけどね。
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