2009年10月12日

「睡魔」梁石日

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主人公の趙泰三は元タクシーの運転手。

交通事故で重症を負い運転手を辞め、その後は本を2冊出版したものの失業中の身。

何とか貧乏生活から脱出したいという思いで、マルチ商法とわかっていながらも健康マットの訪問販売に手を出すことになります。

危機感を感じながらも研修会では思わず感動させられ、店子を抱え所長になり、ある程度の金を稼ぐまでにはなるのですが・・・・。

文庫本で約550ページほどの読み応えある長編です。

他の作品と同じく、やはりこれも作者の経験から生まれた小説のようです。

マルチ商法など胡散臭いとみんなわかっているはずなのですが、いまだに騙されて被害を訴える人があとを絶ちません。

これはマルチ商法ではない、ねずみ講ではないというお決まりのセリフ。

年収何千万とか何億という美味しすぎる話・・・・。

研修会のシーンにもかなりのページを割いていますが、なかなか圧巻です。

いかにこの健康マットがすぐれているか。

そして商品説明だけではなく、講師による芝居ががった大袈裟な自己啓発研修。

集まった人たちは一種独特な雰囲気に飲まれ、感動し、涙を流すのです。

これは一種の洗脳ですね。

後のインタビューで作者はその時の経験を「あのときはまいったよ。気持ちは白けているのに、涙が出てくるんだよなぁ」と笑っておられたとか。

会員になったあとは死に物狂いのノルマが待っています。

月額800万円以上の売り上げ。

そうそう上手くいくわけがありません。

待っているのは破綻です。

多額の借金が残り、友情も壊れ、家庭も崩壊し、金に狂った1年間のなんと虚しかったことでしょうか。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 09:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 『す』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月19日

「食わずに死ねるか」鈴木ヒロミツ

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タレントの鈴木ヒロミツ氏(故人)の本です。

タイトルからわかるように食べ歩きのグルメ本。

しかし鈴木氏が本を出すほど食にこだわりのある人とは知りませんでした。

テレビでもあまりそのようなお仕事を拝見したことがなかっただけに。

私が知らなかっただけなんでしょうね。

どうやら内容はライターではなくご本人がお書きになったようですが、とても食べることに対しての情熱を感じさせますね。

決して食通ぶることなく、とにかく美味しいものを貪欲に追われるその姿勢。

共感しました。

お人柄もよく滲み出ている文章でした。

去年、鈴木氏は他界されています。

「食わずに死ねるか」というタイトルや、あとがきの「最後の晩餐」についての文章が今となっては心に滲みます。

望んでおられたとおり、愛するご家族と最後の晩餐を過ごされたのでしょうか。

ご冥福をお祈りいたします。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 19:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 『す』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする