2018年03月12日

「知識的大衆諸君、これもマンガだ」関川夏央

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この本はマンガを憎む人に向けて書かれたとのこと。
電車の中でマンガを読みふける人は珍しくありませんが、それを嘆く人もまた多い。
いまやマンガは日本が誇る文化です。
それを嘆いてもしょうがないではないかと。
このような文化もあるのだということを認識してもらえたらとの趣旨だそうです。
たしかにマンガというと映画や文学に比べると下に位置するというイメージを持つ人は多い。
しかしマンガは決してそれらに劣るものではなく、むしろ最近ではマンガで育ち影響を受けた人たちが映画や文学で活躍していたりします。
海外で高く評価されている作品やマンガ家もいます。
この本では著者が評価するマンガ、時代を敏感に切り取ったマンガなどを紹介しておられます。
32作品。
「マンガ日本経済入門」石ノ森章太郎、「テレクラの秘密」成田アキラ、「美味しんぼ」雁屋哲・花咲アキラ、「ゴルゴ13」さいとう・たかお、「課長・島耕作」弘兼憲史、「沈黙の艦隊」かわぐちかいじ、など。
1988年から1990年にかけて書かれたものなので、時代を感じさせますね。
著者は決してすべてのマンガをいいとはおっしゃっておられません。
どうしようもないマンガについてはバッサリと切り捨てておられます。
そこなんですよね。
映画や文学に比べると裾野が広いだけにどうしようもない作品もまた多い。
もしかしたらそれがマンガが下に見られる一因かもしれません。
この本が書かれた時代は少年ジャンプの黄金期といえる時期です。
マンガに怒涛の勢いがあった時代ですね。
なので著者もメディアとしてのマンガをやや過大評価していた感がないでもない。
ただ一部のマンガ家や作品にはやはり注目に値するものがあります。
さて、今後のマンガはどのようになっていくのでしょうか。
ラベル:漫画本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『せ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月17日

「先崎学の浮いたり沈んだり」先崎学

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著者は現役の棋士です。

現在は九段でB級2組。

失礼ながらトップレベルの棋士というわけではありません。

ですがエッセイはそこそこ面白い。

将棋の世界の裏側や棋士の本音というのはなかなか一般人が知ることのないものですが、それを軽妙に綴っておられます。

まあ将棋に興味のない人にとってはさほど食指の動く内容ではないかもしれませんが。

解説で酒井順子氏が『プロ棋士より将棋の上手いエッセイストは絶対にいないと思いますが、プロエッセイストよりエッセイが上手い棋士はここにいる』と書いておられます。

なるほど。

そして著者は将棋というネタ元を持っておられるわけで。

しかしエッセイストとして棋士の泣き笑いを描くのもけっこうですが、先崎さん、本職のほうでもぜひもうひとふんばりを。(笑)

ラベル:エッセイ
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2013年09月05日

「食べたつもりで」千宗之

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著者は裏千家の若宗匠とのこと。

タイトルからすればまさに食エッセイ。

食についていろいろと書いておられるんですけども、全体で見ればまあ食に限らない随筆集というところで。

しかし、う~ん、どれに関しましてもパッとしない。

といいますか、構成がまずいですね。

食に関してのエッセイがありーの、普通のがありーの。

小説までありーの。

著者があちこちに書いたのを1冊にまとめたわけですが、ちょっと内容にまとまり無さすぎです。

書かれている内容自体は別に悪くないんですけどね。

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2013年06月06日

「去年ルノアールで 完全版」せきしろ

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『ルノアール』という喫茶店で毎日のように時間をつぶす「私」。

個性的な客たちを観察し、妄想を膨らませます。

今日もまた『ルノアール』にてどのような出来事があるのか・・・・。

妄想エッセイという新ジャンルを生み出したとありますが。

別に嘘か本当かわからないネタでエッセイを書いているというだけで、新ジャンルでもなんでもないように思いますが。

むしろ小説としてはとても成り立たないのでエッセイということにして誤魔化しているような気もします。

ちょこっと読むぶんにはいいですけど、丸ごと1冊読むのに耐えるほどのレベルではないですね。

退屈でした。

ラベル:エッセイ
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2012年08月28日

「幸福な食卓」瀬尾まいこ

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「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」

いきなりこんなセリフで始まります。

主人公は女子中学生、父親はその学校で教師をしています。

同居する家族はもうひとり、勉強ができるにもかかわらず大学に進学せず無農薬野菜を作る農業団体で働いている兄がいます。

母親は別居。

といっても行き来はあるのですが。

朝食は必ず家族揃って食べるという習慣があり、冒頭のセリフはそんな朝食時での発言です。

さてこの家族、どのようになっていくのか・・・・。

家族という絆を中心に、それぞれ個人の生活が描かれています。

主人公は心の支えのボーイフレンドや学校生活に懸命。

勉強もスポーツも万能な兄は恋愛には不器用。

教師を辞めた父親は薬学部を目指し受験勉強。

別居の母はマイペース。

でもやはり皆しっかりとつながっているんですね。

誰もがいろんな問題を抱えつつ、いろんな人に支えられつつ、毎日の生活を営んでいるのだなぁとそんな当たり前のことを思ったりしました。

以前に読んだ「卵の緒」もそうですが、丸く柔らかく温かい作風ですね。

内容はちょっと平安寿子の「グッドラックららばい」に似ているなという気もしました。

ラベル:小説
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