2020年10月26日

「感覚の倫理学」田中康夫

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著者が「なんとなく、クリスタル」でデビューしたのが1980年。
ベストセラーとなり社会にも大きな影響を与えました。
その勢いを借りて(?)1983年から「anan」に連載されたのがこのエッセイです。
当時の風俗、流行、世相をなよっぽい文体でありながら鋭く切り込んでいるのはさすがです。
ただちょっとシニカル過ぎて鼻についたりもするのですが。
また青さもありますね。
この当時は20代半ばくらいでしょうか。
ちょっと余裕をかましながら世の中にツッパッてみました感もないではない。
しかしこういう視点とスタイルで世相を論じておられたのはやはり田中康夫だなと思います。
ラベル:エッセイ
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2020年10月20日

「たべたいの」壇蜜

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タレントの壇蜜が食べ物についてあれこれ語ったエッセイです。
壇蜜という人については私は名前と顔しか知らず、テレビでも観たことがありません。
というか、テレビ自体ほとんど観ないんで当然すけど。(笑)
それでもどこかで名前や顔は刷り込まれるものなんですね。
経歴や日頃どのような活動をしておられるのか知らないのですが、この本を読みまして「あ、知的な人だな」と。
この文章はそれなりの教養がないと書けないでしょう。
辛苦も舐めてこられたなという気もしましたね。
取り上げておられる題材(食材)はごく身近なものばかり。
牛乳であるとか納豆であるとか。
魚肉ソーセージだの、のど飴だの、ラムネ菓子だの。
で、こういう身近なモチーフはやはり独特の切り口でないと読み物にならないんですよね。
例えば納豆をごはんのおかずとして食べる場合、ほとんどの人はごはんにかけると思います。
しかしこの人はパックの納豆に少しずつごはんを入れて食べる。
こうすると茶碗がねばつかず、パックの隅まで納豆を満喫できて無駄がないと。
こういう逆の発想は私にはありませんでした。(笑)
非常に庶民的な行為をインテリっぽいようなそうでないような独特の文体で書いておられます。
それは食癖食遍歴の御開帳であり懺悔であり挑発でもあります。
ラベル:グルメ本
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2020年10月18日

「江戸前で笑いたい 志ん生からビートたけしへ」高田文夫 編

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お笑いといえば大阪というイメージがありますが、やはり東京生まれ東京育ちの編者からしてみれば「いいや江戸前だ!」と言いたいところでしょう。
私も漫才は大阪かなと思いますが、落語は東京ですね。
好きな落語家も東京に多い。
ま、これはどちらが優れているとかではなく好みの問題でしょう。
さて本書では第一部に「やっぱし落語だ!」として落語を取り上げておられます。
といいましてもこの本はいろんな人たちが東京の芸人について書かれた文章を編集したアンソロジーですので、編者一人で書かれたものではありません。
イラストレーターの山藤章二氏が「志ん朝と談志」、アナウンサーの玉置宏氏が「志ん生と文楽」について書いておられます。
落語ファンならぜひとも読みたくなりますよね。
演芸評論家の吉川潮氏は「小朝、志の輔とそれに続く若手たち」として市馬、花緑、三木助、志らく、談春などを挙げておられます。
もう25年前の文章なので、いまや皆さんベテランですが。
第二部は「中入り」として対談です。
篠山紀信や二世タレント(東貴博、三波伸一、柳家花緑)、弁天山美家古の内田榮一氏まで登場。
馬生が毎日のように通っていたとか。
第三章ではいろんな喜劇人を取り上げておられます。
永六輔が三木のり平を、長部日出雄が渥美清を、ラサール石井が萩本欽一を、などなど。
大瀧詠一がコミックソングセレクションとして寄稿されているのは貴重でしょう。
巻末には「東京芸人ギャグ・フレーズ年表」なんてのも掲載されており、これもまた貴重な資料といえましょうか。(?)
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2020年08月25日

「いのちの食卓」辰巳芳子

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「いのちの食卓」。
なかなか重いタイトルです。
なので私の日々の食事はこんなのですよ、というような内容ではありません。
著者は『崩食』の時代を危惧しておられるのです。
『崩食』。
いろんな意味がありますよね。
食材そのものの安全性、毎日3食というリズムの崩壊、家族そろっての食事の減少、インスタントやコンビニ食の普及・・・・。
つまりいろんな面で食が崩壊している。
「食というのは呼吸と等しく、いのちの仕組みにくみこまれている」と著者は言います。
まったくその通りですよね。
でもその食がこれほどおろそかにされている時代は過去になかったでしょう。
飽食ゆえの崩食だと私は思っています。
本書ではレシピもいろいろ紹介されています。
昔ながらのちゃんとした材料を使ったレシピです。
派手ではありませんが滋味ありそうな料理です。
グルメだのなんだの、いつから食はこんなチャラいものになってしまったのでしょう。
ほんと食とは何か、真剣に考える時期にすでに入っています。
添加物まみれの料理もそうですし、日本の食料の自給率にしてもそう。
これらを真剣に考えている“自称グルメさん”はどれだけいらっしゃることやら。
インスタ映えなんていいながら料理の写真撮ってる場合じゃないですよ。
ラベル:グルメ本
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2020年08月02日

「週刊誌風雲録」高橋呉郎

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週刊誌って現在どれくらいあるんでしょうね。
それぞれ部数を競い合っています。
で、テレビのワイドショーなんかもこれをネタ元にしている場合が多いです。
昨日発売の週刊〇〇の記事によると・・・・なんて。
政治だったり社会だったり芸能界だったり。
あらゆるジャンルを網羅しています。
さて、この週刊誌、どのように発足したのか。
そしてどういう変遷があったのか。
週刊誌勃興期を知る著者が語ります・・・・。
週刊誌と聞いてどれを思い浮かべますかね?
「週刊文春」、「週刊新潮」、「週刊現代」・・・・。
それらはすべて出版社系の週刊誌です。
もともとは朝日新聞が出した「週刊朝日」が最初なんですね。
つまり新聞社系です。
当然最初はノウハウなんかないわけですから、それをどう売るか。
記事を書くライターが重要なカギとなります。
そして当時は連載小説なんかが売り上げに大きなウェイトを占めていたようです。
今は小説目当てに週刊誌を買う人なんかいないでしょうけど。(笑)
編集者、ライター、作家。
週刊誌というメディアからいろんな人たちが名を馳せました。
だんだんと昔を知る人がいなくなってきます。
こういう歴史を文献として残しておくのは実に貴重なことだと思います。
ラベル:本・書店
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