2018年10月18日

「味覚日乗」辰巳芳子

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料理にもいろいろありまして、まあざっくり分けますと洗練された高級な料理か庶民的な料理か。
高級な料理といいますと料亭の料理であったり三ツ星レストランの料理であったり。
庶民的な料理といいますといわゆるB級グルメとかいわれる料理になるんですかね。
ラーメンであったり牛丼であったり。
いずれにせよ皆、というか若い人たちほど奇をてらった料理を喜ぶ傾向があるように思えます。
逆に言えば昔ながらの家庭料理なんかが軽くあしらわれがちです。
たしかに高級店の料理などは普段家庭では食べられないような料理でしょう。
じゃあ普段ちゃんとした家庭料理を食べているのかといえば、心許無い人がほとんどじゃないでしょうか。
昔ながらの基本的な家庭料理も知らずして、いきなり高級店の料理に飛びついてはしゃいでいる。
そのように思えてなりません。
日頃ちゃんとした味噌汁を食べずして高級和食の椀物を喜んでみたり。
そうじゃなく、毎日ごく当たり前の旬の素材を使って心を込めて作った家庭料理。
これこそが基礎になるべきではないでしょうか。
そんな当たり前のはずが今や貴重になってしまった料理を伝えておられるのが著者です。
旬の素材、まがいものでない食材、心を込めて手間暇かけた調理。
この本を読んでいますと心を洗われるような気がします。
家庭料理こそが原点ですよね。
それをおろそかにして何がグルメか食べ歩きか。
ガイドブックで人気の高級レストランに行くお金があれば、本物の食材を揃えることもできます。
そこの女性、いや男性もですが。
あちこちの店に出かけて食べ歩き自慢をする前に、まずは家でしっかりとした家庭料理を作ってみるべきではないですか?
そうすることにより食べ歩きも新たな意味を持ちますし、興味も広がります。
なにより料理や素材に対しての敬意がより深くなります。
昔ながらの家庭料理を身につけるなら今のうちです。
自分の祖母、そして著者のような人から少しでも受け継ぐべきではないでしょうか。
ラベル:グルメ本
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2018年09月18日

「銀二貫」高田郁

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大坂は天満で寒天問屋を営んでいる和助。
京都から帰る途中茶屋で休憩していたところ、父子が仇討ちにあうのに遭遇します。
父親は討たれてしまいましたが、銀二貫でその仇討ちを買い取り、討たれた武士の息子の鶴之助を引き取った和助。
鶴之助は名を松吉と改め、寒天問屋の丁稚として厳しい修業に耐えていきます。
そんな中で松吉は料理人の嘉平、その娘の真帆と出会うのですが、嘉平の店が大火で焼失し、嘉平も真帆も消息が知れなくなります。
ようやく再会できた真帆は、おてつと名を変えて知らない女の娘となり、顔半分にひどい火傷を負っていました・・・・。
松吉の人間としての成長、寒天造りに懸ける情熱、真帆への想い、和助や番頭の善次郎など周りの人たちの人情。
いろんな要素がバランスよく盛り込まれ、いや実に上手い。
読ませます。
さすがの高田郁だと思いました。
料理(寒天)についてとことん突き詰めていくあたりなど作者はご自身でも徹底的に実行しておられるようですし、これは「みをつくし料理帖」シリーズでも知られていましたね。
そしてタイトルの銀二貫。
これが背骨となってしっかりと全編を貫いているんですね。
最後の和助と善次郎のやりとりもホロリとさせるじゃないですか。
いい小説でした。
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2018年09月16日

「編集者放浪記」高田宏

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時代は昭和30年。
毎日新聞、NHK、新日本放送、朝日放送、松竹、東映、片っ端から入社試験に落ち、どうにか入ったのが光文社。
そこから著者の編集者人生が始まります・・・・。
「少女」という少女雑誌からスタートし、この時代は新米編集者としての苦労が描かれています。
そして酒と酒場。
やはり仕事を依頼する作家たちとはこれがないと務まらなかったようで。
酔っぱらって原稿を紛失したなんてエピソードもあります。
そして60年安保、労働組合。
時代ですねぇ。
その後は退社してアジア経済研究所やエッソ石油でPR誌の編集を。
といっても決して軽いものではなく、いろんな執筆者を招いての硬い内容です。
これでずいぶんと著者の人脈も広がり、また編集者としても大きく成長する肥やしになったようです。
長年編集者という仕事をやってきてそれを振り返った軽い感じのエッセイかなと思ったのですが、いやいや、なかなかに硬い内容でした。
あくまで私にとっては、ですけどね。(笑)
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2018年08月17日

「パイプのけむり選集 食」團伊玖磨

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本業は作曲家ですが、名エッセイストとしても知られた著者。
そんな著者が雑誌連載していた「パイプのけむり」シリーズから食に関するエッセイだけを厳選したのがこの本です。
連載のスタートが1964年とのことなので、初期の作品は今から50年以上も前になりますね。
ごく身近な料理から当時としてはまだまだ一般的になっていない料理、そして海外でなければ食べられない料理まで、幅広く取り上げて語っておられます。
今では猫も杓子も食べることに能書きを垂れているわけですが、やはり当時は事情が違う。
そのような時代の中で海外も含めて幅広くいろんな料理を食べ歩き、それについてどうこう言うなどなかなか一般的にはできることではありませんでした。
やはり本気で食に対しての興味を持ち、またそれなりの立場でありませんと。
なので連載初期にはもしかしたら当時としてはちょっとハイカラな内容であったかもしれません。
だからといってこの本の内容は決して大げさなものではなく、リラックスして楽しめる食エッセイとなっいます。
新しい記事は2000年代のようですしね。
それでもやはり流行りの店や料理を追いかけるような内容ではなく、きちんとした姿勢で食について語っておられるのは見識でしょう。
ラベル:グルメ本
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2018年06月12日

「うなぎでワインが飲めますか? そば、てんぷら、チョコレートまでのワイン相性術」田崎真也

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本屋に行けばワインの入門書のようなのは多数ありますが、たいがいどれもこれも同じような内容なんですよね。
産地がどうとかぶどうの種類がどう、ラベルの読み方、白と赤の違い、そしてワインの紹介。
何十年も変わりません。
もちろん知らないよりは知っているほうがより楽しめるわけですが、しかしこんなので入門しようとするとごく普通に楽しみたいだけの人は挫折するのです。
もしくはその逆に頭でっかちのウンチク垂れになるのです。
そんな中にあって著者は昔からワインをもっと身近な飲み物として楽しもうと提案し続けてきました。
普段のおかずでワインを飲んでいいじゃないか、普通のコップや湯飲みで飲んでもいいじゃないかと。
タイトルの「うなぎでワインが飲めますか?」というのは、そんな著者の提案でもあり皮肉を込めた挑発でもあります。
でもいまだに和食にワインは合わないなんて人がいるんですよね。
私はうなぎには喜んでワインを合わせますし、お好み焼きやたこ焼きなんてのも赤ワインにばっちりです。
もちろん寿司や刺身でもぜんぜん平気。
焼き鳥、餃子、すべてワインでいきます。
だって家で楽しむのですからフレンチやイタリアンな料理ばかり食べてられません。
醤油にワインは合わないなんてことをいまだに大真面目に言う人がいますけども、まあそういう人は理屈でワインに入った人たちでしょうね。
ということでこの本ではサブタイトルにもあるように、そば、てんぷら、チョコレート、ふぐ、松茸などいろんな料理と合わせるコツを紹介しておられます。
私などはそれさえもウザいウンチクに思えますけどね。
ビールや日本酒を飲むときにそこまで神経質になる人なんていません。
なぜワインだけ皆身構えて難しいことを言いたがるのか。
好きな料理を食べて好きなワインを飲めばそれでよし。
白だの赤だのシャルドネだのカベルネソーヴィニヨンだのどうでもいいじゃないですか。
ま、それらがワインの楽しさであり、わかってくると非常に面白くなる世界ではありますが。
ラベル:グルメ本
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