2019年09月08日

「味覚旬月」辰巳芳子

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重鎮の料理研究家によるエッセイです。
重鎮と書きましたけども、これはお世辞でも比喩でもない。
現在料理研究家を名乗る人は多数いらっしゃいます。
もちろんそれぞれご活躍なさっておられます。
でもほとんどの人が創作料理紹介家じゃないですかね。
昔ながらの日本の家庭料理をきっちり伝えようとしておられる人なんてほとんどいませんよ。
もちろん研究した結果の創作を披露しておられるんでしょうけど。
時代により料理も変わりますけど。
でも私はそんな創作料理よりも、昔の仕事を知りたい。
昔のごく普通の家庭料理です。
季節に応じた素材を使った料理。
旬を意識した料理ですよね。
意識したといいますか、昔は意識なんてしていなかったはずです。
その季節になればこの素材が出回る、なのでそれを使ってこのような料理を作る。
当たり前のことだったはずです。
特に和食というのは旬を取り入れた非常に理にかなった料理です。
でもなんで日本人の食事はこんなボロボロになってしまったのでしょう。
この本で著者はごく普通に食材の旬を語っておられます。
その素材の魅力、それを生かした料理法。
昔から伝えられた味。
こういうことをきっちりと後世に伝えようとしておられるから重鎮なんです。
食というのは突き詰めますと命ということになります。
自分の命をつなぐために食べる。
食べるというのは他の命をいただくということ。
だから「いただきます」という言葉がある。
武田鉄矢のウンチクみたいですね。(笑)
それはともかく。
でも、そこまで伝えようと仕事しておられる料理研究家さんなんてどれだけいます?
料理人にしても、それを伝えるマスコミにしても。
ましてや食べ手においてはミーハーなネットのグルメ連中。
昔、バブルと呼ばれた時代がありました。
当時は誰もそんな自覚はありませんでした。
今からすればなんで気付かなかったのと思います。
その真っただ中にいれば気付かないんですよね。
食に関しては今がそうです。
グルメとかなんとか、もうだめですって。
いいかげん、昔の価値に気付きましょうよ。
この本を読んで心を洗ってください。
ラベル:グルメ本
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2019年08月27日

「東京都大学の人びと」谷俊彦

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表題作はカンニングに情熱を燃やす大学生と、それを見破ることに生きがいを感じているような助教授の攻防。
さて、軍配はどちらに上がるのか。
学生は様々な罠を仕掛け、試験に挑みます・・・・。
タイトルは「とうきょうとだいがく」ではなく、「ひがしきょうとだいがく」と読みます。
別にどちらでもいいんですけどね。(笑)
カンニングのテクニック的なことだけでなく、助教授にいろんな罠を仕掛けるあたりが読ませどころでしょうか。
「駱駝市役所の人びと」はバカミスですね。
誰が犯人だとかどうやって殺しただとか、私にとっていちばんつまらない内容です。
勤務規定をずる賢く利用する設定は面白いのに、なんで殺人とか取り入れたんだか。
「木村家の人びと」は、ひたすら金を儲ける家族の話。
とにかくあらゆることを金儲けのタネにします。
「東京都大学の人びと」では大学、「駱駝市役所の人びと」は役所、「木村家の人びと」は民間企業が舞台となっていますが、それぞれの組織を思いっきり馬鹿にしているような主人公たちです。
それぞれの組織のルールを逆手に取り、自分の利益に結びつけて世渡りする人たち。
世の中の常識や良識を嘲笑したような作品集ですね。
ラベル:小説
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2019年08月25日

「バルセロナの厨房から」高森敏明

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著者は吉祥寺でスペイン料理のレストランを経営しておられます。
フランス料理やイタリア料理ほどメジャーではないスペイン料理。
「スペイン料理って、どういう料理ですか?」という質問をよく受けるという著者。
しかしこれは非常に難しい質問だといいます。
そりゃそうですよね。
たとえば日本料理ってどのような料理ですかと質問されて、和食の料理人でも一言で明快に答えられる人はなかなかいないでしょう。
というか、答えられるものでもないですよね。
まあスペイン料理と聞いて一般的にイメージするのは、まずパエリヤ(パエジャ)でしょうか。
あとはタパスとか。
日本でもスペインバルなんかがあちこちにでき始めてタパスなんて言葉も知られるようになってきました。
ガスパチョなんてのもスペイン料理ですね。
この本では様々なスペインの料理や素材が紹介されています。
いいですね、スペイン料理。
私はワインは毎日スペイン産を飲んでいますが、料理にはあまり縁がありません。
高級店の料理は肩ひじ張るので、ぜひ家庭料理を楽しんでみたいものです。
ラベル:グルメ本
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2019年06月08日

「涼宮ハルヒの陰謀」谷川流

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ハルヒの様子がどうもおかしい。
やけにおとなしいのです。
何かよくないことが起こるんじゃないかと思っていた矢先、キョンの前に8日後の未来からやって来た朝比奈さんが掃除用具入れから現れます。
キョンに8日前に行けと言われたとのこと。
まったく事情も聞かされずやってきた朝比奈さん。
なんのために8日後の自分はそんなことを言ったのかわけがわからないキョン。
ちょっと待てよ。
ということは現在に2人の朝比奈さんが存在するわけで。
現在の朝比奈さんはそんなこと知らないわけで、だとしたら知られるわけにはいかないわけで、知られたら未来と辻褄が合わなくなるわけで。
未来の朝比奈さんを必死に匿うキョン。
さてこれからなにが始まるのか・・・・。
シリーズ第7弾です。
現在と未来の辻褄がどうのこうのあってけっこうややこしい。
あ、私の頭が悪いだけですかね。
でもキョンもこんがらがってるし。(笑)
今回は朝比奈さんや長門、古泉たちの“組織”を説明するためのお話だったのでしょうか。
それだとハルヒが絡みにくいので、様子のおかしいハルヒに企みを持たせています。
その企みというのがなかなか健気で。(笑)
長門にもなんだか人間らしさというか、感情が出てきましたね。
作者もこの作品についていろいろと考えておられるようですが、持て余しておられるような気がしないでもない。
ま、次作も楽しみに読ませていただきましょう。
ラベル:小説
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2019年04月15日

「水曜日の恋人」龍田よしの

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柚池彩芽はごくごく普通の派遣社員OL。
4年付き合った彼氏と別れてしまい、落ち込んでいた日々。
それを見かねた職場の先輩が気晴らしにとホストクラブに誘ってくれます。
そこで知り合ったのがホストのユウ。
彩芽はユウにゲームに誘われます。
これから3か月間、毎週水曜日にユウを指名できる。
開店から閉店までタダで遊んで、閉店後翌日の開店前までは恋人でいられる。
その3ヶ月のあいだにどちらが相手に惚れるか。
相手に「好き」と言わせれば勝ち、というゲームです。
ただし彩芽が負ければ貯金の600万円を没収されます。
どうせ別れた彼との結婚資金のために貯めたお金です。
やけくそでゲームに応じる彩芽ですが・・・・。
ホストクラブを舞台にした小説ですが、経験のない私にはリアルなのかどうかわかりかねますが。
いやしかし、読んでいてなるほどふむふむとは思わされましたね。
何人も登場するホストのそれぞれのキャラがちゃんと書き分けられており、それに応じた役割が与えられているあたり、きっちりと押さえておられます。
ちょっと個性が浅いですけどね。
キングというオーナーの存在感もいい。
最後の『イミテーションナイト』というイベントもいいですね。
構成としてお見事です。
ただ主人公の彩芽がホスト達に好かれるというからには、もう少し持ち味の天然っぷりが欲しかったように思います。
ここが大事なとこなんで。
でもけっこう夢中になって読みました。
実力のある作家さんだと思います。
この作品のパート2も出ているようで。
他の作品もすでに購入済み。
ぜひ今後も読ませていただきたいと思います。
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