2016年12月11日

「町でいちばんの美女」チャールズ・ブコウスキー

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30編の作品が収められた短編集。
けっこうお下品ですねぇ。(笑)
内容はどうといって説明のしようがないんですけど。
主人公が作者自身だったりするのですが、だらしなくて、まともに仕事もせず、酔っぱらっていたり、女にだらしなかったり。
ですがどこか憎めない。
人生に対して刹那的といいますか行き当たりばったり的なのですが、別の言い方をすれば自分に正直に生きているともいえます。
一般的な感覚からすればアウトローなわけですが、しかし毎日糞真面目に生きているよりもよほど人生を謳歌しているのではないかという気もしてきます。
いつも酒飲んで酔っぱらって、女の尻を追いかけ、気に入らない仕事はすぐに辞める。
ある意味理想ですよね。(笑)
ただそんなことをやっていて生活が成り立つのかという現実がありますけども。
しかしこの主人公たちの投げやりさ無気力さには人生に対しての達観を感じさせます。
怒り、悲しさ、寂しさ、そのようなものがベースにあるのは間違いない。
それらを突き抜け、生に対してもう何も求めなくなる境地。
そうなるともう何も怖いものはありません。
思うがままにただ毎日を生きるのみです。
ラベル:海外小説
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2015年10月13日

「相続人の憂鬱」知念みづき

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30歳を迎えた二本柳響子、独身。

二本柳の本家として代々受け継いできた屋敷と土地を継ぐため、一人娘の響子は婿を取るようにと言われ続けてきました。

ですがなかなかそのような相手は見つからず。

自身もホテルのブライダル部門で働いていることもあり、結婚の現実を目の当たりにしています。

おかげで結婚に夢見ることもなくなり、恋愛にも積極的になれず。

職場には神楽坂翼という上司がいるのですが、響子にとっては天敵のような存在です。

ある日、職場に母親から電話がかかってきます。

父親が事故にあったと。

パニクる響子を天敵の翼がバイクの後ろに乗せ、都内から響子の実家がある新潟まで真夜中に飛ばします。

幸い父親の命に別状はありませんでした。

集まった親戚たちに翼を恋人と勘違いされ、実家の響子の部屋で翼と一夜を共にすることになってしまうのですが・・・・。

この件で神楽坂に借りを作った響子は、その借りを返すために婚約者のふりをして一緒に実家に行ってくれと翼に頼まれます。

響子は田舎の地主の跡継ぎですが、翼も実は祖父が民間警備会社を経営しており実家は大豪邸でした。

翼には兄と弟がいるのですが、どうやら祖父の会社の相続のことで揉めているようなのです。

それに巻き込まれることになってしまった響子は・・・・。

最初は上司と部下として反発しあっていたものの、いつの間にかいい感じになってというパターン。

そして相手の男はひとり息子ではありませんが御曹司ですか。

しかし響子も実家の跡を継がねばならない立場。

翼はどうするのか。

ここで男気(?)を見せるところに女性はシビレるんですかね。

でも今後の生活はほんとに大丈夫なのかなと老婆心ながら思ったりもしました。

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2015年08月24日

「陳家の秘伝」陳建一

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テレビでもお馴染みの料理人、陳建一。

料理の鉄人・・・・なんて言葉はもう古すぎますか。

でもこの番組で一躍脚光を浴び、一般の人にも知られるようになったのは確かだと思います。

父は日本に四川料理を紹介した陳建民

そんな料理人の著者が秘伝のレシピを伝えます・・・・。

って、そんな大げさな本ではありません。

著者の家庭に伝わるレシピですから、いわゆる家庭料理ですね。

まあ秘伝といえば秘伝かもしれませんが。

父親がこんな料理を作ってくれたとかのエピソードやレシピを紹介したり。

著者自身が普段どんな料理を作っているのかを紹介したり。

気取ってないのがいいんですよね。

インスタントラーメンはこうやって手を加えればもっと美味しくなるとか、市販のドレッシングを使ってこんな料理ができますよとか。

『サトウのごはん』でパラパラのチャーハンを作るとか。

著者の家のキッチンもごく普通の家庭用のガスコンロだそうで、だから普段は店とは違った家庭用の作り方になるわけで、そのあたりのコツも紹介しておられます。

この本はおそらく陳氏が自ら書いておられるわけではないと思いますが、氏の人柄や料理に対する思い、経営についての考えがしっかりと伝わってきます。

料理人のエッセイとしてもレシピ集としてもいい一冊だと思いました。

ラベル:グルメ本
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2014年10月01日

「ステップアップ」知念みづき

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モバイル機器の開発会社でOLをしている七瀬ひより、入社2年目の夏。

ひよりのいる企画部の隣にあるデザイン開発部の松浦に給湯室で声をかけられます。

やたら積極的にアプローチしてくる松浦ですが、失恋のトラウマがあるひよりはなかなか素直に受け入れることができません・・・・。

まあなんといいますか、お決まりのパターンではあります。

「背が高くて社内でも人気のあるカッコイイ人がなんで私なんか」という自虐的ナルシズムの世界です。

「他に素敵な人はいっぱいいるのになんで私なの」と。

そして社内での設定は企画部にデザイン開発部ですか。

いやはや。

まあそれはそれとしまして、最後の展開は強引というかちょっと異常ですね。

こんなことが社内であるかと思いますし、そのあとでそういう展開になるかと。

表題作の他にもう1編収録されている「降っても晴れても」は続編です。

お互い相手に嫉妬しつつ素直になれず誤解からピンチを招きますが、最後は素直になって和解し愛を確かめ合う。

これもまたパターンですが、表題作よりはこちらのほうがよかったと思います。

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2014年06月05日

「魚神」千早茜

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舞台は本土から隔離されたような遊郭のある島です。

ヘドロの匂いに満ち溢れたそんな島に暮らす白亜とスケキヨという姉弟。

2人は相手の存在が自分のすべてのように感じながら寄り添って生きています。

しかし年頃になった2人は別々に売られて離れ離れになってしまうのです。

白亜は遊女に、スケキヨは裏華町に売られ陰間に。

離れてしまってもつねにスケキヨのことを思う白亜。

客に体をゆだねて無機的に毎日を過ごそうとしますが、どうしてもスケキヨのことを思ってしまいます。

スケキヨについてのいろんな話が耳に入ってきて、もうスケキヨは自分のことなどなんとも思っていないのだろうとできるだけスケキヨのことは忘れようとするのですが・・・・。

時代ははっきりと示されていません。

明治や大正の雰囲気がありますね。

国はおそらく日本でしょうが、どの地方とも書かれていません。

もしかしたら日本ではないかもしれない。

そして島に伝わる伝説なども絡み、退廃的で閉鎖的な空間で独特な世界を構築しています。

白亜とスケキヨが実際に血の繋がった姉弟かどうかは定かでないのですが、姉弟の愛と異性の愛の狭間を揺れ動くような描写は耽美的でもあります。

この作品は第21回小説すばる新人賞を受賞したデビュー作。

そりゃこんな作品が応募されて読まされれば授賞させないわけにはいかないでしょう。

すごいなと思いました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ち』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする