2019年06月11日

「それマジ!? 話のネタに困ったとき読む本」綱島理友

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一種の雑学本になるんでしょうけど、ちょっと違うのはそういう類の豆知識本というのではなく、著者が疑問に思ったことを実際に取材して検証しておられるということです。
こういうことを疑問に思ったのでメーカーの○○の広報室を訪問して部長の××さんにお話を伺ったと。
そういう過程が書かれているわけです。
もちろん他の雑学本も取材しての結果なんでしょうけど、こうなんだというソースがなく根拠もわからないままの断定だったりするんですよね。
昔ながらの俗説をそのまま記載している本も多いです。
この本では明確に根拠を示しておられます。
突撃レポート的な面白さもあるということです。
例えばこれは有名な話だと思うのですが、味の素容器の穴の話。
どうしたら売り上げが伸びるかという会議で、穴を大きくすればいいんじゃないかとOLが提案。
その結果見事に売り上げが倍増したと。
なるほど、味の素をふりかける回数なんてだいたい皆決まっています。
わずかに穴を大きくすればいつもの回数でより多く消費することになる。
これって当たり前のようですごい発想ですよね。
そのOLは社長から功績を表彰されたそうです。
さて、この話は本当なのかどうなのか。
著者は実際に味の素本社に出向き、広報室に取材するわけです。
他にはガソリンが北海道や沖縄という地方、季節によっても中身が違うとか。
著者は出光興産の広報室に話を伺います。
緊急時の保存食として重宝されているカンパンには陸軍式と海軍式があるとか。
一般的に出回っているのはどうやら陸軍式のようで、海軍式は4センチ×7センチの大きさで、昔ながらの製法で作られておりかなり硬いとか。
私は見たことがないですね。
これも発売元の三立製菓に話を伺っておられます。
その他、テレビショッピングの通販商品はなぜどんどん値段据え置きでおまけが増えていくのかなど、誰もが疑問に思いつつもわざわざ調査などしない疑問についてのコラムが満載。
お見事です。
ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 17:02| Comment(0) | 『つ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月10日

「葎の母」津島佑子

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母と葛藤があり家を出て男と同棲している私。
私は男の子供を宿しています。
ある日男は私に母に電話するように言います。
戸惑う私に代わって母と会話した男は母に会いに行くのですが・・・・。
短編集です。
6編収録。
いや、すみません、私には無理でした。
どれも私の読解力では理解できませんでした。
表題作は娘と母の葛藤、そしてラストにはさりげない歩み寄りがあります。
しかし表題作他、どれもシュールでよくわかりません。
夢を物語として組み直さずそのまま書いたらこのような感じになるのかなという気がしましたが。
しかし津島佑子ほどの作家がそのような垂れ流しはしないでしょう。
小説としてしっかりと練られた上での作品のはずです。
表題作は田村俊子賞受賞作とのことですし。
私ごときが及ぶところではありませんでした・・・・。
ラベル:小説
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2019年04月27日

「ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗」円谷英明

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著者は円谷プロ六代目の社長だった人です。
ウルトラマンを作った円谷英二の孫にあたります。
円谷プロといえば特撮で知られ、ウルトラマンを始めとしてテレビ界に一時代を築いた会社です。
当初は円谷一族の経営だったわけですが、現在は名前だけが残り役員も資本も一切関わりがなくなってしまったそうです。
原因はずさんな経営や金銭管理。
そしてタイの会社にキャラクターの使用権まで持っていかれます。
社内の人事のごたごた、テレビ局との軋轢、行き詰る資金繰り。
まさに火の車です。
子供たちに夢を与える作品を作りつつ、その裏での生々しい会社経営の実態が描かれています。
まさに光と影、栄光と挫折というやつですね。
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2019年03月28日

「愛のひだりがわ」筒井康隆

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舞台は近未来のようです。
ずいぶんと治安が悪くなり、警察も役に立っていないような世の中。
月岡愛は小学6年生。
幼いころ犬にかまれて左腕が不自由な少女です。
母を亡くし、ひとりぼっちになった愛は、二人を置いて家を出た父を探す旅に出ます。
ぶっそうな世界でいろんな事件に巻き込まれ、またいろんな人と出会います・・・・。
なんだかロールプレイングゲームのような小説だな、という印象です。
淡々としていて平面的。
それぞれの人物についても浅く掬っている程度の描写です。
そして文章もいかにもジュブナイル的。
わざとらしいほどですが、もちろんこれは計算されてのことでしょう。
それらの設定が荒廃した世界と重なり、なんとも灰色な印象を受けます。
そんな中での少女の成長と冒険の物語ですが、素直にそれを喜べるという読後感ではないですね。
ラベル:小説
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2019年02月04日

「ベジタリアンの文化誌」鶴田静

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ベジタリアンといえば一般的には菜食主義者、非肉食者のことをいいますが、今までの歴史の中にも大勢のベジタリアンがいました。
宮沢賢治、ガンジー、ジョン・レノン、トルストイ、ダ・ヴィンチ、ピタゴラス、ヒトラー・・・・。
彼らはなぜ肉食を否定したのか。
その思想や社会に与えた影響は・・・・。
ベジタリアンにもいろいろ理由がありまして、健康上の理由であったり宗教の戒律であったり動物保護であったり。
あるいは食料上の理由というのもあったりしますね。
肉を食べるための動物を飼育するのにどれだけの穀物や土地の面積が必要か。
それをそのまま人間が食べるために割り当てればどれだけの食料が確保できるか。
例えばこの本に書かれているデータでは、1ポンドの牛肉を得るためには16ポンドの大豆や穀類が必要だといいます。
1エーカーの土地に穀類を栽培すると肉の5倍、豆類だと10倍、野菜だと15倍のタンパク質が得られるとのこと。
限りある土地を動物の飼育に使うより、穀物や野菜を栽培したほうがずっと有効なのだと。
なので肉食反対という人たちもいるわけです。
歴史の偉人たちの思想や言動をここで紹介するには長すぎる話となるので割愛しまして(笑)、しかしまあベジタリアンのみなさんはけっこうそのようなことを考えて実行しておられるようです。
著者は「ベジタリアン」の訳語として「菜食主義者」という言葉を当てはめるのは適切だろうか、と提起しておられます。
つまりただ単に肉を食べずに野菜を食べる人というだけではなく、健康はもちろん、動物の生命や地球の環境についてまでも含んでいるのが「ベジタリアン」ではないかと。
ただ動物保護の観点から肉食すべきではないという意見に関しては当然反論があるわけですね。
肉食は動物の命を奪う残虐な行為であるというような主張に対しては、じゃあ植物に命はないのかと。
定番の議論ですね。
この本ではそのことについてはほとんど触れられていません。
頁数でいえばせいぜい1頁か2頁ほどでしょうか。
ちょっと煩いことは避けておられる感があります。
ベジタリアンを語る上で避けて通れない話だとは思いますが、まあこれはそのような議論をする本ではありませんので。
著者の意見として「私が植物を愛し育てることは食べてしまうことへの罪ほろぼしをしているつもり」と書いておられますが、わけがわかりません。
じゃあ犬や猫、小鳥などのペットを飼うことで肉を食べることへの罪滅ぼしになるのではないのか。
ちなみに著者はベジタリアンではありますが肉食を否定批判しておられるわけではありませんので念のため。
個人的には動物保護の観点からベジタリアンを主義とするのは無理があると思います。
植物の命をどう考えるのか、というのが付いて回りますので。
自分で黙って実行するぶんにはいいのですが、他人に強要するのはいけませんね。
先日、非肉食者の女性が肉屋の前で抗議しているフランスのニュースを観ました。
捕鯨に反対する連中と同じような人なのでしょう。(笑)
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『つ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする