2019年08月29日

「よしもと血風録 吉本興業社長・大崎洋物語」常松裕明

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吉本興行の社長(当時)が綴る半生記です。
まだまだローカルな一企業だった吉本興行に入社し、わけもわからないままあれよこれよと仕事をさせられ、吉本とともに成長してきた著者(代筆)。
本人の半生記でありながら、吉本興行という会社の社史でもあります。
ミスター吉本といわれたあの木村政雄氏の部下として鍛えられたんですよね。
なんやかんやと走り回り、やがて二人の若者と出会います。
ダウンタウンです。
彼らとともに吉本の東京進出が始まります・・・・。
さすがといいますかなんといいますか、この本を読みますと吉本興行というのはなんともざっくばらんな会社だったんですねぇ。(笑)
やはり芸人を有してお笑いを興行する会社ですから、そりゃカチカチなサラリーマン会社ではなかったでしょうけど。
なのでなんやかんやと著者も好き勝手にやってこられた部分があります。
もちろん相当なご苦労があったのは言うまでもありませんが。
といってもこれはあくまで吉本の一社員である著者の視点からの物語です。
また別の視点ももちろんあるでしょう。
つい最近、吉本の芸人が反社会的な連中に闇営業したとして大きな話題となりまして、経営の在り方が問題視されました。
現会長である著者や社長に対して某芸人が責任を追及し、ダウンタウンの松本人志を批判するなんてこともありました。
経営を刷新しろと。
松本は大崎会長や岡本社長が辞めるなら自分も吉本を辞めるといいました。
それに対しての批判ももちろんあったわけですが、しかしこの本を読むとそりゃ松本の主張ももっともだなと思えます。
東京に進出し全国区となったダウンタウンにすれば、著者あっての自分たちです。
義理と人情を秤にかけりゃじゃありませんけど、ビジネスライクに経営陣(大崎会長、岡本社長)の退陣に賛成などできるわけがありません。
そのような苦労を知らない吉本が大きくなってから入ってきた某芸人の批判は結局空回りに終わりましたけどね。
もともとヤクザと芸能界なんて出自は一緒なんです。
かといっていつまでもそのような昔の体質を引きずっていていいわけはありませんが、しかし芸人の世界もサラリーマン化されてきたようですね。
こんなことでは昔のような破天荒な芸人や社員など出てこないでしょう。
それでいいのかもしれませんけど。
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2019年06月11日

「それマジ!? 話のネタに困ったとき読む本」綱島理友

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一種の雑学本になるんでしょうけど、ちょっと違うのはそういう類の豆知識本というのではなく、著者が疑問に思ったことを実際に取材して検証しておられるということです。
こういうことを疑問に思ったのでメーカーの○○の広報室を訪問して部長の××さんにお話を伺ったと。
そういう過程が書かれているわけです。
もちろん他の雑学本も取材しての結果なんでしょうけど、こうなんだというソースがなく根拠もわからないままの断定だったりするんですよね。
昔ながらの俗説をそのまま記載している本も多いです。
この本では明確に根拠を示しておられます。
突撃レポート的な面白さもあるということです。
例えばこれは有名な話だと思うのですが、味の素容器の穴の話。
どうしたら売り上げが伸びるかという会議で、穴を大きくすればいいんじゃないかとOLが提案。
その結果見事に売り上げが倍増したと。
なるほど、味の素をふりかける回数なんてだいたい皆決まっています。
わずかに穴を大きくすればいつもの回数でより多く消費することになる。
これって当たり前のようですごい発想ですよね。
そのOLは社長から功績を表彰されたそうです。
さて、この話は本当なのかどうなのか。
著者は実際に味の素本社に出向き、広報室に取材するわけです。
他にはガソリンが北海道や沖縄という地方、季節によっても中身が違うとか。
著者は出光興産の広報室に話を伺います。
緊急時の保存食として重宝されているカンパンには陸軍式と海軍式があるとか。
一般的に出回っているのはどうやら陸軍式のようで、海軍式は4センチ×7センチの大きさで、昔ながらの製法で作られておりかなり硬いとか。
私は見たことがないですね。
これも発売元の三立製菓に話を伺っておられます。
その他、テレビショッピングの通販商品はなぜどんどん値段据え置きでおまけが増えていくのかなど、誰もが疑問に思いつつもわざわざ調査などしない疑問についてのコラムが満載。
お見事です。
ラベル:エッセイ
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2019年06月10日

「葎の母」津島佑子

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母と葛藤があり家を出て男と同棲している私。
私は男の子供を宿しています。
ある日男は私に母に電話するように言います。
戸惑う私に代わって母と会話した男は母に会いに行くのですが・・・・。
短編集です。
6編収録。
いや、すみません、私には無理でした。
どれも私の読解力では理解できませんでした。
表題作は娘と母の葛藤、そしてラストにはさりげない歩み寄りがあります。
しかし表題作他、どれもシュールでよくわかりません。
夢を物語として組み直さずそのまま書いたらこのような感じになるのかなという気がしましたが。
しかし津島佑子ほどの作家がそのような垂れ流しはしないでしょう。
小説としてしっかりと練られた上での作品のはずです。
表題作は田村俊子賞受賞作とのことですし。
私ごときが及ぶところではありませんでした・・・・。
ラベル:小説
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2019年04月27日

「ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗」円谷英明

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著者は円谷プロ六代目の社長だった人です。
ウルトラマンを作った円谷英二の孫にあたります。
円谷プロといえば特撮で知られ、ウルトラマンを始めとしてテレビ界に一時代を築いた会社です。
当初は円谷一族の経営だったわけですが、現在は名前だけが残り役員も資本も一切関わりがなくなってしまったそうです。
原因はずさんな経営や金銭管理。
そしてタイの会社にキャラクターの使用権まで持っていかれます。
社内の人事のごたごた、テレビ局との軋轢、行き詰る資金繰り。
まさに火の車です。
子供たちに夢を与える作品を作りつつ、その裏での生々しい会社経営の実態が描かれています。
まさに光と影、栄光と挫折というやつですね。
posted by たろちゃん at 02:31| Comment(0) | 『つ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月28日

「愛のひだりがわ」筒井康隆

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舞台は近未来のようです。
ずいぶんと治安が悪くなり、警察も役に立っていないような世の中。
月岡愛は小学6年生。
幼いころ犬にかまれて左腕が不自由な少女です。
母を亡くし、ひとりぼっちになった愛は、二人を置いて家を出た父を探す旅に出ます。
ぶっそうな世界でいろんな事件に巻き込まれ、またいろんな人と出会います・・・・。
なんだかロールプレイングゲームのような小説だな、という印象です。
淡々としていて平面的。
それぞれの人物についても浅く掬っている程度の描写です。
そして文章もいかにもジュブナイル的。
わざとらしいほどですが、もちろんこれは計算されてのことでしょう。
それらの設定が荒廃した世界と重なり、なんとも灰色な印象を受けます。
そんな中での少女の成長と冒険の物語ですが、素直にそれを喜べるという読後感ではないですね。
ラベル:小説
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