2018年01月05日

「梅干しを極める」都築佐美子

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梅干しといえば日本のソウルフードといえましょうか。
最近はそうでもないかもしれませんけど。
著者は梅干しを作り続けて約40年という筋金入りのウメボシストです。(笑)
この本では梅干しの作り方はもちろん、梅干しの効用、梅干しを使った料理、梅干しの歴史など至れり尽くせり。
中でもやはり梅干しの作り方がメインとなりますかね。
梅の種類、大きさ、買う時期、塩、赤じそ、容器、アイデア小物、土用干し、困ったときのQ&A・・・・。
手取り足取り解説しておられます。
梅干しというのは漬物に比べるとちょっと手間ですよね。
私も以前から挑戦したいと思いつつ、いまだ実行できていません。
でも本物の梅干しを食べたいですよね。
本来梅干しというのは塩と赤じそだけで作るべきものなのに(白梅干しは赤じそ不使用)、スーパーで売っているのはたいがい添加物まみれ。
化学調味料、甘味料、香料、色素・・・・。
そして本来保存食であるはずの梅干しに保存料が入っていたり、減塩のせいですぐに腐ってしまったり。
本末転倒です。
味もすっぱくてしょっぱいのが持ち味なわけですが、最近はかつお梅だとかはちみつ梅だとか食べやすいのが好まれているようです。
まあそれは味のバリエーションとしてあってもいいと思いますが。
でもやっぱり梅干しはしっかり塩が効いて顔がくしゃくしゃになるほどすっぱくありませんとね。
この本を読んでいるとひたすら口の中に唾が湧き出てきて困りました。(笑)
ラベル:グルメ本
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2017年10月19日

「ミュージック・ブレス・ユー!!」津村記久子

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数学が苦手で勉強のできないオケタニアザミは高校3年生。
髪は赤く背が高く、歯には派手な色の歯列矯正器。
パンクが大好きでつねにヘッドフォンが欠かせません。
バンドをやっていましたが解散、進学も危なく追試や補講の日々。
だらだらとした日常ですが、音楽と友達に支えられた高校生活です・・・・。
リアルな高校生、という気がします。
といっても私には現代の高校生のリアリティーはよくわかりませんけども。(笑)
私の地元である大阪を舞台にし、会話が大阪弁というのもそう感じさせる一因かもしれません。
なによりカッチリと型にはまったストーリーでないのがいいですね。
主人公にはつねに音楽があるのですが、バンドをやっていたもののプロを目指すとか全国大会優勝を目指して熱く燃えるとかの話はなくあっけなく解散。
もちろん男子も出てきますがときめく恋愛話になるでもなく。
顔を合わせてはさほど盛り上がることもなくだらだらと会話するだけ。
こんなものですよね、現実って。
日々そんなにドラマなんてあるもんじゃない。
でも身近には大好きな音楽があって友達がいて。
少しずつ変化があって自分ではわからないほどの成長があって。
そんな時期が何年か後に振り返ってみると貴重で眩しかったりするんですよね。
ラベル:小説
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2017年09月25日

「夜露死苦現代詩」都築響一

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詩というのが私にはいまいちわからないんですよね。
なにをもって詩というのか。
どのようなのが優れた詩なのか。
といいつつ、私も詩を書いてブログも持っているのですが、とりあえず自分の思いを言葉に込めて表現すれば詩なのかなと。
技術的なことはいろいろとあるんでしょうけども。
さて、本書ではいろんな“詩”を取り上げておられます。
それは餓死した老母と中年男性が残した日記であったり、死刑囚の俳句であったり。
なるほど、このようなものも受け取りようによっては“詩”となるんですね。
ネットの出会い系メールも紹介されています。
こういうのも“詩”であるならば、まだまだ日本の詩人も捨てたものではありません。(笑)
ヤンキーのフレーズなんて、これ日本独特のものではないでしょうか。
タイトルもここから来ています。
『夜露死苦』って言葉のセンスがもう。
あとは『喧嘩上等』だとか『命を張って』とか『愛した女はおまえだけ』とか、どう考えても一生モノではないその場限りの悦に入った言葉。
こんなこっ恥ずかしく赤面するような言葉を堂々と特攻服に刺繍で主張するあたり、ここまでくるとあっぱれといえましょう。
わけわからん詩人なんかよりよっぽどパワーがありますよね。
文学の詩よりも歌の詞やこのようなオタク的な言葉のほうがよほど現代にふさわしい。
・・・・と私は思います。
ラベル:エッセイ
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2017年09月21日

「光の領分」津島佑子

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夫と離婚しようとしている私は4階建ての古いビルの最上階に部屋を見つけます。
四方に窓のある光に満たされた部屋。
ビルの名前は偶然にも夫の姓と同じです。
夫に頼りたくなく、新しい生活に一歩たりとも踏み込ませたくなく、私は幼い娘と暮らしはじめます・・・・。
これから幼い娘を抱えて生活していく不安と光に満たされた部屋というのが対照的に思えます。
といっても途中で窓には金網が貼られてしまうのですが。
離婚のための調停にも現れない夫。
しかし私は本当に夫と別れたいのか。
調停に姿を現してほしいのか。
私の戸惑いが描かれています。
このあたりの不安定さというのはなんだかいかにも津島佑子の書く女性だなという気がしました。
夫の姓と同じ名前のビル。
最上階の光満ちる部屋。
そこで1年間を過ごした私は夫との離婚も決まり部屋を出る決心をします。
新しい部屋も見つけますが、決して以前のような明るい部屋ではありません。
今後母娘にはどのような生活が待っているのでしょう。
ラベル:小説
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2017年08月04日

「聖痕」筒井康隆

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葉月貴夫は誰もがうっとりとなってしまうほどの美男子。
しかしその美貌ゆえ5歳のときに暴漢に襲われ、性器を切断されてしまいます。
家族の協力を得ながら周りにそれを隠し続ける生活を送る貴夫。
やがて成長しても性欲のない貴夫が興味を持ったのが料理の世界。
学生時代から料理を勉強し美食を追い求め、やがて自分のレストランを持つことになります。
貴夫の美貌はもちろんスタッフにも美女が集まり、料理も申し分なく店は繁盛します。
しかし通常の営業を続けつつも、だんだんと男と女が会員制の特別室や2階の従業員宿泊室で濃密な時間を過ごすような店になっていきます・・・・。
時代は1970年前後あたりから東日本大震災まで。
オイルショックやオウム真理教事件、リーマンショックなど実際の出来事も話の中に出てきます。
それらを時代背景としながら主人公の半生を描いているわけですが、幼いころに性器を失くしそのために性欲も失ってしまったことにより主人公の貴夫がまるで聖人のようになっていきます。
レストランが出会い茶屋のような存在になっていくことも貴夫の公認なわけで、それは貴夫にとって未知な世界への好奇心なのか達観した大きな心の故なのか。
料理という味覚、男と女による愛欲、どちらも悦楽な世界ではありますが、主人公のキャラクターもありそれらの描写は淡々としています。
貴夫というフィルターを通すとなんだかすべてが浄化されるような。
最後にホルマリン漬けされた自身のペニスを貴夫は「ぼくの贖罪羊(スケープゴート)」だと言います。
それは何に対してのスケープゴートだったのでしょう。
ラベル:小説 グルメ本
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