2017年09月25日

「夜露死苦現代詩」都築響一

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詩というのが私にはいまいちわからないんですよね。
なにをもって詩というのか。
どのようなのが優れた詩なのか。
といいつつ、私も詩を書いてブログも持っているのですが、とりあえず自分の思いを言葉に込めて表現すれば詩なのかなと。
技術的なことはいろいろとあるんでしょうけども。
さて、本書ではいろんな“詩”を取り上げておられます。
それは餓死した老母と中年男性が残した日記であったり、死刑囚の俳句であったり。
なるほど、このようなものも受け取りようによっては“詩”となるんですね。
ネットの出会い系メールも紹介されています。
こういうのも“詩”であるならば、まだまだ日本の詩人も捨てたものではありません。(笑)
ヤンキーのフレーズなんて、これ日本独特のものではないでしょうか。
タイトルもここから来ています。
『夜露死苦』って言葉のセンスがもう。
あとは『喧嘩上等』だとか『命を張って』とか『愛した女はおまえだけ』とか、どう考えても一生モノではないその場限りの悦に入った言葉。
こんなこっ恥ずかしく赤面するような言葉を堂々と特攻服に刺繍で主張するあたり、ここまでくるとあっぱれといえましょう。
わけわからん詩人なんかよりよっぽどパワーがありますよね。
文学の詩よりも歌の詞やこのようなオタク的な言葉のほうがよほど現代にふさわしい。
・・・・と私は思います。
ラベル:エッセイ
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2017年09月21日

「光の領分」津島佑子

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夫と離婚しようとしている私は4階建ての古いビルの最上階に部屋を見つけます。
四方に窓のある光に満たされた部屋。
ビルの名前は偶然にも夫の姓と同じです。
夫に頼りたくなく、新しい生活に一歩たりとも踏み込ませたくなく、私は幼い娘と暮らしはじめます・・・・。
これから幼い娘を抱えて生活していく不安と光に満たされた部屋というのが対照的に思えます。
といっても途中で窓には金網が貼られてしまうのですが。
離婚のための調停にも現れない夫。
しかし私は本当に夫と別れたいのか。
調停に姿を現してほしいのか。
私の戸惑いが描かれています。
このあたりの不安定さというのはなんだかいかにも津島佑子の書く女性だなという気がしました。
夫の姓と同じ名前のビル。
最上階の光満ちる部屋。
そこで1年間を過ごした私は夫との離婚も決まり部屋を出る決心をします。
新しい部屋も見つけますが、決して以前のような明るい部屋ではありません。
今後母娘にはどのような生活が待っているのでしょう。
ラベル:小説
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2017年08月04日

「聖痕」筒井康隆

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葉月貴夫は誰もがうっとりとなってしまうほどの美男子。
しかしその美貌ゆえ5歳のときに暴漢に襲われ、性器を切断されてしまいます。
家族の協力を得ながら周りにそれを隠し続ける生活を送る貴夫。
やがて成長しても性欲のない貴夫が興味を持ったのが料理の世界。
学生時代から料理を勉強し美食を追い求め、やがて自分のレストランを持つことになります。
貴夫の美貌はもちろんスタッフにも美女が集まり、料理も申し分なく店は繁盛します。
しかし通常の営業を続けつつも、だんだんと男と女が会員制の特別室や2階の従業員宿泊室で濃密な時間を過ごすような店になっていきます・・・・。
時代は1970年前後あたりから東日本大震災まで。
オイルショックやオウム真理教事件、リーマンショックなど実際の出来事も話の中に出てきます。
それらを時代背景としながら主人公の半生を描いているわけですが、幼いころに性器を失くしそのために性欲も失ってしまったことにより主人公の貴夫がまるで聖人のようになっていきます。
レストランが出会い茶屋のような存在になっていくことも貴夫の公認なわけで、それは貴夫にとって未知な世界への好奇心なのか達観した大きな心の故なのか。
料理という味覚、男と女による愛欲、どちらも悦楽な世界ではありますが、主人公のキャラクターもありそれらの描写は淡々としています。
貴夫というフィルターを通すとなんだかすべてが浄化されるような。
最後にホルマリン漬けされた自身のペニスを貴夫は「ぼくの贖罪羊(スケープゴート)」だと言います。
それは何に対してのスケープゴートだったのでしょう。
ラベル:小説 グルメ本
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2017年08月02日

「街のイマイチ君」綱島理友

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街にあるいろんなヘンなもの。
看板だったりポスターだったり。
チラシや商品のパッケージなんかもありますね。
そんなヘンなものを著者を始めとして読者からも募り、写真で紹介した一冊です。
まえがきにも書かれていますが、こういう類のネタといえば「VOW」ですよね。
別にこの本がパクリというわけではありません。
ただあちらのほうがメジャーというだけで。
ま、そういう意味では目新しい企画ではないのですが、しかしこういうネタはいつ見ても笑えます。
自分でも見つけてやろうなんて思ったりもするのですが、ありそうで意外と身近にないんですよねぇ。
なのでこういう本で楽しませてもらっています。
ラベル:エッセイ
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2017年06月07日

「すごい! 日本の食の底力 新しい料理人像を訪ねて」辻芳樹

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まず第一部では『地域を「愛する」力』として、食で活躍する日本の料理人たちを取材しておられます。
北海道で地域ならではの魅力を生かし、食文化をプロデュースする食ジャーナリストとシェフ。
東日本大震災後、より一層地元の生産者とのつながりを深め、地域と生産者を繋げるシェフ。
生産者と消費者を“かき混ぜ”て刺激を与えコミュニケーションを図るメディア誌編集長。
第二部では『日本を「再発見」する力』として、日本の食文化を世界に誇り見せる料理人たちを紹介。
フランスはリヨンで開かれた料理コンクールに出場した日本人シェフ、フランスで身に着けた技術を日本の四季と素材で生かすシェフなど。
第三部は『人と「繋がる」力』。
異業種の人たちが集まりシンポジウムを行い、地球規模で食を考えてみたり・・・・。
皆さん料理人だからといってただ料理だけを考えているわけではありません。
そのような狭い範囲だけで考える時代ではありませんしね。
未来の食糧事情や食文化、農業、地域、環境問題など、いまやガストロノミーはそこまで考えるべきでしょう。
日本の若い料理人たちが、力強く活動しておられるのを知ることができる一冊です。
ラベル:グルメ本
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