2015年12月13日

「壊れかた指南」筒井康隆

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ショートショートも含め30編が収められた短編集。

ですが不出来と思える作品も多数。

筒井氏ならではの毒気はあまりありません。

やはり夢からヒントを得たであろうと思われる作品が多いですね。

「漫画の行方」なんてまさにそう。

人格が1分周期で入れ替わるという「鬼仏交替」なんかは筒井節です。

「耽読者の家」と「店じまい」が地味ですけど読ませました。

前者は本好きの二人がひたすら本を読み続けるという話。

文学についての薀蓄が語られていますが、特にドラマといえるような出来事はありません。

後者は閉店するレストランにオーナーの身内らが集まって最後の食事をするという話。

ドタバタもなくしみじみと話が進んでいきます。

最後の「逃げ道」なんてのもじんわりと滲み込んでくるような話です。

それらはどれも奇抜な仕掛けのない静寂な作品なのですが、なんといいますか扉1枚向こう側、ふすま1枚向こう側になにか潜んでいるような不気味さもあります。

筒井作品であるからこその感想かもしれませんが。

ラベル:小説
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2015年04月15日

「和食の知られざる世界」辻芳樹

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現在は海外でも和食が人気のようです。

その理由にヘルシーというのがまず挙げられますが、しかし最近はラーメンなんかも人気のようですね。

ただラーメンはともかくとしまして、和食がはたしてちゃんとした形で海外に広まっているのかという問題があります。

日本人からすれば「こんなのは和食じゃない」というような料理が平気で和食としてまかり通っていたりする。

著者はそこに懸念を持っておられるんですね。

じゃあどこからどこまでが和食なんだという話になります。

ただ日本人自体、外国の料理を取り入れて自分の国の料理とするのが得意な民族です。

一般的なカレーライスやとんかつなんて完全に日本流にアレンジされた料理ですよね。

外国人からすれば和食でしょう。

そして本格的な和食店にも外国料理の技術や素材が取り込まれています。

線引きは難しい。

本書では海外における和食事情や日本国内の和食店の現状を取り上げ、これから和食はどういう方向に進んでいくのかということを検証しておられます。

そして辻調グループの代表としてなにができるのか。

そのひとつのベクトルとしてデイヴィッド・ブーレイというニューヨークのトップシェフと手を組んで、「Brushstroke(ブラッシュストローク)」という和食店を2011年にニューヨークにオープンさせました。

今後、和食はどのように進化していくのでしょう。

伝統的な和食が海外からの脚色された和食に席巻されてしまう可能性もあります。

寿司でいえばカリフォルニアロール的な。

回転寿司ではすでに昔ながらの寿司の面影なんてないですからね。

寿司飯の上に焼肉やハンバーグが乗っていたりします。

日常的に本格的な和食(高級という意味ではありません)を知らない世代が料理人になっていくわけですから、数十年後には一部の料理でずいぶんと違ったものになっているかもしれません。

なので著者が代表をしておられる料理学校で、きっちりと昔ながらの和食を教育して伝統を維持していただきたいと願います。

ラベル:グルメ本
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2014年12月24日

「カソウスキの行方」津村記久子

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後輩から課長のセクハラに関する悩みを聞いた28歳で独身、彼氏なしのイリエ。

正義感を出して課長に訴え出たところその後輩に「それはあなたの勘違いだ」とその場で否定され、恥をかいたどころか本社から倉庫に飛ばされてしまいます。

実は課長と後輩は不倫の関係で、それを言えないけど言いたいという後輩の女心を読めなかったイリエの負けという結果になりました。

倉庫では2つ年下の藤村という男の下で雑用をしています。

イリエはしおりという友人の家に居候しているのですが、しおりが結婚することになり新しい住居を見つけなければならなくなります。

幸せそうなしおりの報告とやる気のない毎日の中で、イリエは恋愛に乗り気ではないにも関わらず好きな相手でも見つけてみるかと思い立ちます。

消去法で候補になったのが同僚で同い年の森川。

イリエは森川を好きになったと仮想してみます。

仮想で好きになるからカソウスキ。

その行方は・・・・。

特に興味のなかった森川や細かい上司の藤村たちのよさにじわじわと気付いていく過程が味わいあります。

どこかあっけらかんと開き直ったような主人公の生活もなんだかリアル。

リアルというか飾っていないOLの姿がいいんですね。

オフィス街に勤めるパンストハイヒールでキャリア志向の女とかいう設定でないのがいい。

ちょっとダメ女が入っているあたりに親近感を覚えます。(笑)

絲山秋子に似た雰囲気も感じました。

表題作の他2編収録。

どちらもよかったです。

ラベル:小説
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2014年10月27日

「全日本荒唐無稽観光団 こんな迷所知っていますか?」綱島理友

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著者が編集者たちと日本全国にあるヘンな場所を訪問し、レポート。

という企画なのですが・・・・。

どうもイマイチなんですよねぇ。

まず訪問する場所が小粒。

インパクトに欠けます。

それを著者の力量で面白おかしく仕上げていればいいのですが、あっさりとそのまんまという感じです。

突っ込みが浅いんですよね。

そして「ゲロ(下呂温泉)」を始めとして、「おおぼけ(大歩危)」、「なんじゃい(南蛇井)」、「のぞき(及位)」といった土地の名前シリーズ。

街中に「下呂牛乳」があるだの、「おおぼけタクシー」があるだのといってはしゃぐ。

「VOW」のノリですが、これって地元の人に失礼です。

時代もあるのでしょう、今なら無理かも。

悪ノリしているわりにはたいして面白くありませんしね。

読んでいてときどき東海林さだお的な言い回しがあったりしますが、その洞察力、表現力は天と地の差があります。

1発ネタの「VOW」を読んでいるほうがよっぽど面白い。

しかしこのような所があるのかという知識にはなりました。

ラベル:エッセイ
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2014年06月19日

「料理の仕事がしたい」辻芳樹 編

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今は料理人という職業が人気ありますね。

スターシェフとなりますと芸能人並にテレビや雑誌に引っ張りだこです。

そんな派手なイメージも若者を引き付けているのでしょう。

「料理の鉄人」なんて番組も大きな役割を果たしたと思います。

しかし理由はなんであれ、若い人が夢を持って憧れのジャンルに進むのはいいことです。

この本は高校生に向けて編まれた本です。

これから料理の仕事を目指す人たちに向けて16人の先輩たちがアドバイスしておられます。

フランス料理店やイタリア料理店のオーナーシェフ、料亭若主人、焼鳥店店主、串カツ店店主、ソムリエ、パティシエ、料理研究家・・・・。

さまざまなジャンルの人たちがご自分の体験を語り、アドバイスしておられます。

料理に興味ある者としては読み物としても楽しめる一冊です。

ラベル:グルメ本
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