2021年02月12日

「ユーミン・陽水からみゆきまで」富澤一誠

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音楽の世界で今はフォークなんて言葉はないんですかね。
ニューミュージックという言葉さえも古さを感じさせます。
現在はJ-POPといったところですか?
でも頭にJを付けるのなんて、もう30年以上も前からですしねぇ。
浜田省吾のアルバム「J.BOY」あたりが最初だったように記憶しています。
そのあとサッカーのJリーグなんかが発足しましたしね。
最近のことはよくわかりませんけども。
この本では60年代後半から70年代後半にかけて、フォークからニューミュージックのミュージシャンたちを取り上げ、当時の音楽の変遷についても書かれています。
まず最初にユーミンを取り上げておられるんですよね。
歴史からすれば第二章の岡林信康からになるはずなんですけど。
それだけ著者にとっても、また日本の音楽シーンにおいても、ユーミンの登場は画期的だったんでしょうね。
で、他に登場するミュージシャンは、吉田拓郎、井上陽水、かぐや姫、さだまさし、アリス、松山千春、小田和正、中島みゆき。
まさに現在において日本の音楽界の重鎮な人たちです。
岡林、拓郎といったあたりが登場してきたあの時代、熱気がありました。
現在のアイドルに熱を上げる熱気ではなく学生運動に音楽がかぶさる時代でしたから、それは一種スリリングな熱気でしたね。
そういうのを塗り替えてしまったのがユーミンだったりするわけです。
でも中島みゆきなんかがそれをまたフォークの世界に引き戻したりして。
この頃、ほんと濃い時代だったなぁと読みながら思いました。
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2020年11月27日

「あの日のあなた」遠田潤子

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大学生の片瀬在は2年前に母を亡くしてから父と二人暮らし。
他に肉親はいません。
そんな唯一の肉親である父が突如交通事故で亡くなってしまいます。
生前に弁護士が預かっていた遺言書には「葬式不要、戒名不要、弔いごと一切不要」とあり、戸惑う在。
そして子供のころから立ち入り禁止だった父の書斎で遺品の整理をしていると、母ではない女性の名前と自分の名前が書かれた母子手帳を見つけてしまいます。
この女性は誰なのか。
なぜ知らない女性の母子手帳に自分の名前が書かれているのか。
しかも日付は自分が生まれる6年前。
混乱する在。
父は“聖域”だった書斎にいったい何を隠していたのか・・・・。
この作者は以前に「雪の鉄樹」という作品を読みまして、ぜひ他の作品も読みたいと思っていました。
本作を読みまして、ちょっとパターンがダブっているなと。
どちらも父と子の話でもありますし、主人公や登場人物たちが背負っている「過去」がなんであるのかという謎を引っぱるというのも同じくです。
言い訳もせず黙って業を背負いながら生きていく男。
そしてそれらの謎が明らかにされたとき、それまでの曇天の毎日に陽が差すような再生のラスト。
どちらも単独で読めば非常に読みごたえがありカタルシスもあるのですが、ちょっと似通ってしまいましたね。
これがこの作者のテーマといわれればまあそうなんでしょうけど。
それはそれとしまして、父の行動は賛否両論あるでしょうね。
ひたすら一途とは言えますが、取りようによっては虫が良すぎる。
女性読者の感想も知りたいと思いました。
ラベル:小説
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2020年03月26日

「牛乳アンタッチャブル」戸梶圭太

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雲印乳業西日本支社お客様相談センターの電話があちこちのデスクで鳴り始めます。
低脂肪乳を飲んだ人たちが食中毒をおこしたのです。
相談センターはパニックに陥りますが、上層部は暢気に構えています。
やがてただ事ではないとなり、ようやく社長をはじめとした幹部たちが記者会見を開くのですが、のらりくらりと言い訳ばかり。
しかし役員の中にはまともな人物もいて、このままでは会社がつぶれてしまうと立ち上がります。
現在のろくでもない幹部連中や食中毒事件に関わった連中の首を片っ端から切るための特別調査チームを作ったのです。
まずチームは食中毒を出した大阪工場に乗り込むのですが・・・・。
元ネタは平成12年の雪印集団食中毒事件です。
社長の迷セリフ「私は寝てないんですよ!」もきっちりと挿入されています。(笑)
笑える箇所もいろいろありそれなりに楽しめましたが、話自体は別にどうということもなく。
大まかな筋はオリジナルじゃありませんしね。
そして登場人物が多すぎ。
話の筋にあまり関係のない人物やら、特別調査チームにしても米倉や萩尾なんてキャラ的にたいして仕事をしていません。
まあチームというからにはある程度人物を用意する必要があったのでしょうけど。
役員たちのキャラはまずまず面白かったですけどね。
最後もなんだか拡げた風呂敷をむりやり畳んだような印象。
カタルシスがありませんでした。
ちょっと散漫すぎましたかね。
ラベル:小説
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2019年11月19日

「東京・地震・たんぽぽ」豊島ミホ

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東京で震度6強の大地震が発生。
被災したさまざまな人たちを描いた連作短編集です。
東京で大地震というとSFやパニック小説を想像しがちですが、作者は豊島ミホ。
もちろんそのような話にはなりません。
極限状況でありながら、しかしそれぞれの人にとってはあくまで日常なんですね。
ヒーローやヒロインが活躍するようなドラマなんかではないわけです。
例えば最初の話に出てくる主人公。
地学科の大学院に進んだ友人が何気なく言います。
「十六日に東京に大地震が来るらしい」
重要機密だが、政府関係者にはもう伝わっているらしい。
その間、田舎に帰ったらと友人はアドバイスします。
まさかと思いながらも、まあ話に乗ってみてもいいかと帰省する主人公。
実際に大地震はやって来て東京は壊滅状態。
結果的に自分は友人を東京に残して逃げてきたことになります。
愕然とする主人公。
だからといって彼が突然ヒーローになりなにか大活躍するわけではありません。
現実としてただ受け入れるしかないわけです。
子供と公園にいて生き埋めになってしまった主婦の話も痛々しくつらい。
ただ淡々とした一犠牲者です。
その他、このような状況の中でも人々は日常をこなしていかなければならないんだなという話です。
つらい現実を受け入れつつ。
へたなパニック小説なんかよりも、よほど被災の辛さや痛みを感じさせる小説集だと思います。
ラベル:小説
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2019年09月28日

「笑福亭鶴瓶論」戸部田誠(てれびのスキマ)

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笑福亭鶴瓶こそが最強の芸人であると主張する著者。
大物とも対等に渡り合うかと思えば後輩にボロクソいじられる。
あちこち地方を訪ねて地元の人たちと交流したかと思えば、翌日には大ホールで落語をやっていたりする。
鶴瓶というのはいったいどのような人間なのか・・・・。
なるほど笑福亭鶴瓶という芸人はトップレベルというほど抜きんでた存在ではありません。
しかしつねにトップのすぐ下におられますよね。
人気も安定しています。
著者は鶴瓶はスケベだといいます。
これは終始一貫してこの本の中で何度も使われており、各章のタイトルにも使っておられる言葉です。
もちろん性的な意味で使っておられるのではなく、芸人としての色気であったり、なによりいろんなことに対しての貪欲さを表現しておられるんですよね。
しかし私は読んでいるあいだずっとこの言葉に違和感を持っていました。
著者としては鶴瓶を表現するのに的確な言葉だと思っておられるのでしょうが、私にはどうも最後まで馴染めませんでしたね。
もうちょっと別の言葉で表現できなかったものかと。
いろんなエピソードや鶴瓶の魅力を読めたのは楽しかったですが、ひたすらスケベというキーワードでまとめようとしておられるのがどうも好きになれませんでした。
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