2019年04月03日

「ホンのひととき 終らない読書」中江有里

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読書好きで知られる女優の中江有里による読書エッセイ&書評集です。
第一章はエッセイ。
毎日新聞の生活欄に連載していたのを収録しています。
子供の頃の本との出会いとか近況など。
第二章は読書日記。
これはエッセイであり書評でもあります。
そして第三章が書評。
読書好きにとって本に関するエッセイや読書日記、書評を読むのはとても楽しいものです。
こういうので新しい作家や本と出会ったということが何度もあります。
こんな本も読んでおられるのか、と感心することが多いですね。
自分の幅が非常に狭いですから。
既読の本の紹介にしても、なるほどそういうことだったのかと気付かされたり。
この本も今後の読書の参考にさせていただこうと思います。
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2019年03月24日

「やくざと芸能界」なべおさみ

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著者の幼少の頃からの経歴を綴りつつ、いろんなやくざと知り合い交友を持ち、そして芸能界に進んだ半生が書かれています。
花形敬なんてとんでもない人とも接点があったそうです。
それにしてもタイトルが「やくざと芸能界」って。
ミもフタもありませんがな。(笑)
著者はこの本を出したおかげで出演予定だったNHKの時代劇が出演不可となったとか。
そりゃまあそうでしょう。
現在はやくざと繋がりのある芸能人はとことん排除の姿勢ですから。
そのために活動自粛や廃業に追い込まれた人もいますもんね。
でもこの本によりますと、元々はやくざも芸能人もルーツは同じというようなことが書かれています。
大昔の話、畑で収穫したり山で猟をしたりしていましたが、そういうことに興味を持たない人間が現れてくると。
そのような人たちが土器を作ったり衣料を作ったりといった生産的ことに従事してくれればまだいいのですが、絵を描いたり歌ったり踊ったりが得意ではなんの役にも立たない。
つまりアウトローです。
それでも生きていく上で何かをしなければならない。
というわけで自分の得意な芸をなんとか生業にしたのが芸人(芸能人)です。
太鼓を叩いたり、笛を吹いたり、歌ったり、踊ったり。
それら売り物がない人たちはどうしたか。
男を売りました。
男伊達を売ったのがやくざです。
なので芸人や水商売の人たちがトラブルを避けたり解決したりするためにやくざを後ろ盾にする。
そういう流れがあったわけです。
しかし現在はそんなの公には認められませんよね。
なぜかといいますと“現在のそれらの人たち”は著者のいう“やくざ”ではなく“暴力団”や“チンピラ”だからではないでしょうか。
著者が出会ってこられた男気のある“やくざ”ならいいのですが、理不尽な因縁をつけたり庶民を脅かすだけの“チンピラ”ならお断りでしょう。
ま、それはそれとしまして、よくまあ書かれたと思います。
ただ文章にしろ構成にしろ思いつくままに書かれた感がありまして、ちょっと乱雑かなと。
そのあたりもっと内容を絞ってすっきりしていただければよかったのにと思いました。
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2019年03月08日

「怖い絵 泣く女篇」中野京子

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シリーズ第2弾です。
今回紹介されているのは22作品。
正直なにが「泣く女篇」かいまいちよくわからないんですけどね。
紹介されている作品すべてが女の悲しさを描いているわけではないもので。
最後にピカソの『泣く女』を紹介しており、それをサブタイトルにしたのか。
表紙になっているドラローシュの『レディ・ジェーン・グレイの処刑』が怖いのは確かです。
今から斬首されるわけですから。
ジェーン・グレイはイングランド最初の女王。
しかしその期間はわずか9日間で、追われて半年後には処刑されてしまったそうです。
当時の年齢はなんと16歳。
ですがこの絵を見る限り取り乱した様子はうかがえません。
左手薬指の指輪、純白のドレスが清楚な花嫁を思わせ、このあと首を斬られ血まみれな現場になることを想像すると、絵を見る側のほうがうろたえてしまいそうです。
ミレーの『晩鐘』も紹介されています。
誰もが知る有名な絵ですね。
農夫婦が畑で日暮れに鐘の音を聴きながら、1日の終わりに祈っている姿です。
しかしこの絵を亡き子を土に埋め祈りを捧げている絵だと指摘したのはダリ。
そういうふうに見ると怖く悲しい絵といえます。
まさに「泣く女」でしょう。
ピカソの『泣く女』はキュビズムな絵なのでパッと見は滑稽です。
しかしよく見るとあられもなく号泣しているイメージが伝わってきます。
モデルは当時の愛人だったそうですが、他にも付き合っている女性がいたピカソ。
女同士の修羅場もあったようで、ずいぶんと女性を泣かせたようです。
でもこれ、「泣く男」ではまさしく絵にならないんですよね。(笑)
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2019年01月29日

「東京すみっこごはん 雷親父とオムライス」成田名璃子

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昭和の雰囲気を残す昔ながらの商店街から路地を入ったところにある『共同台所 すみっこごはん』。
さまざまな年齢や職業の人たちが集まり、くじ引きでその日の料理を作って食べるという素人料理の食堂です。
シリーズ第2弾の今回はどのような人物が訪れるのか・・・・。
連作で4編収録。
表題作は「雷親父とオムライス」ということで、会社を定年退職したガンコ親父と小学生の交流が描かれています。
で、全体としましては駅前が再開発されるということで、『すみっこごはん』のある地域もその範囲に入っているということです。
つまり『すみっこごはん』立ち退きのピンチ。
いきなり保健所の立ち入り検査が入ったりとか、どうも誰かがこの店の立ち退きに向けて工作しているようなのです。
しかも『すみっこごはん』の身内に再開発業者と手を組んでいる人物がいるような気配。
いったい誰が・・・・。
グルメ小説ではありますが、料理に対しての知識披露的なウンチクがないのがいいですね。
料理がどうこうよりも店を舞台とした人々の交流をメインとしているからでしょう。
ほのぼのとした雰囲気が心地よい。
立ち退きに対しては本作ではまだ結論は出ていません。
さて、どうなるのか。
次作も楽しみに読ませていただきましょう。
ラベル:グルメ本 小説
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2018年12月23日

「てんのじ村」難波利三

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大阪は西成。
「てんのじ村」と呼ばれる売れない芸人たちが住む一郭がありました。
そこに住む花田シゲルは村のリーダー格。
夫婦で漫才をしています。
戦時中は慰問であちこち訪れましたが、決して売れっ子の芸人というわけではありません。
やがて戦争も終わり、ぼちぼちとテレビも普及し始めます。
仲間はどんどん売れてテレビにも出るようになるのに、自分にはまったく声がかかりません。
複雑な気分のシゲルです。
なんだかんだと時は流れ、自分はもう82歳。
このまま一花咲かせることもなく終わってしまうのか。
不貞腐れ諦めかけていましたが、しかし一度だけ東京のテレビ局から声がかかります・・・・。
下町の人情話ということになるんでしょうか。
売れない芸人たちの喜怒哀楽。
戦中戦後、そして高度経済成長といった時代の変遷の中で、通天閣を望む西成という町での芸人たちのしみじみとした生活や生き様が描かれています。
この作品は第91回直木賞受賞作。
味わいのある作品だとは思いますが、直木賞ということになると「はて?」という印象でしたね。
ラベル:小説
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