2018年11月13日

「アダルト系」永江朗

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まえがきに「アダルト系といっても、十八歳未満禁止の、そっち方面という意味ではない」と書かれています。
「オトナじゃないとわからないことでありながら、いま一つオトナになりきれない人々の愛好すること」だそうです。
でも中身を読んでみますと、結局はやはり“そっち方面”がほとんどなんですけどね。(笑)
ひたすらパンチラを狙うカメラ小僧とか、ブルセラ、女装、ノーパン喫茶やSMクラブなどの風俗、AVやエロ本などのエロメディアなど。
しかしどのジャンルにおいても当然それに賭けている専門家やマニアがいるわけで、これはこれで立派なものです。
“そっち方面”以外のジャンルとしましては、刺青の彫師、興信所、死体洗い、など。
死体洗いのバイトなど都市伝説ですよね。
この本でも著者は何人もの医学部の教授たちに質問してきましたが「そんな噂は初耳ですね」とのこと。
でしょうね。
そもそも病院内や大学内にホルマリンのプールがあるなんて考えられませんし。
そんな仕事を一般の人間相手に募集なんかしないでしょうし。
しかし著者は実際にそのバイトをしたことがあるという人に会って話を聞いておられます。
いったいなんだったのだろうかと。
それが本当なら具体的にどこの病院どこの大学と答えられそうなものですが、そのような回答はなかったようです。
眉唾ですね。(笑)
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2018年08月13日

「解体新書ネオ」永井明

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タイトルが解体新書というくらいですから、体の各パーツについて書かれたメディカル・エッセイです。
頭髪から始まりまして、脳、頭蓋骨、目、歯、内臓、生殖器、血管、血液・・・・。
とにかく片っ端から体の各パーツを取り上げ、専門的な説明をし、しかしユーモラスな比喩を駆使して面白おかしく読ませてくれます。
こういうのを専門書で読めば素人にはちんぷんかんぷんなわけですが、楽しく勉強できるのはありがたいですね。
例えば子宮の大きさは親指ほどしかないなんて記述を読んでびっくりです。
赤ちゃんが育つ場所ですから、もっと大きなものかと思っていましたが。
まあ普段はそんな大きなスペースは必要ないですもんね。
それにしても人体の不思議といいますか、メカニズムには感心します。
よくもまあこんなに完璧なものを作り上げたものだなと。
それらを維持するためにもやはり体は労わらないとだめなんですね。(笑)
ラベル:エッセイ
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2018年07月12日

「小さいおうち」中島京子

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時代は昭和初期。
赤い屋根の小さなおうちで女中をしていたタキ。
タキは若くて綺麗な時子奥様を慕っていました。
そしてかわいらしかった恭一ぼっちゃん。
幸せな日々でした。
しかし主人の会社の部下で家に出入りする板倉という青年に、タキは時子が惹かれているような気配を感じます。
そしていよいよ戦争が激しくなってきて・・・・。
タキが晩年に過去の記憶をノートに綴っていくという形式で書かれています。
そのノートを時々盗み読む甥の次男坊の健史。
盗み読むといっても内容について意見しているのでこっそりというわけでもないんですけどね。
タキもまたわざと読ませているようなところもあります。
過去の話をメインにタキと健史の現在のやりとりが挟み込まれるわけですが、これは戦争経験者と学校で教わって知識としてしか戦争を知らない未経験者の二つの視線となっています。
戦争の時代はそんなに暗かったのか。
毎日が悲惨だったのか。
もちろん戦争なんてあってはいけなかった事なのですが、しかしそんな中で過ごした人たちの青春はなんの楽しみもない真っ暗なものだったのか。
そんな問いかけがあります。
時子と板倉の気持ちの行方は。
そしてタキが時子に抱いていた思いは女中から奥様への単なる憧れだけだったのか。
最終章ではそのあたりについて余韻を残すラストとなっています。
じんわりと心に染み入る作品でした。
タキと健史のやりとりがちょっと芝居じみていて白々しい気がしましたが。(笑)
ラベル:小説
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2018年07月04日

「三四郎」夏目漱石

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熊本の高校を出て東京の大学に入学した三四郎。
田舎とは違い都会は物珍しいものばかりです。
そんな中で三四郎は美禰子という女性と出会います。
だんだんと美禰子に惹かれていく三四郎です・・・・。
青春小説ですね。
大学生活で先生や先輩、学友と出会い、そして恋愛もあり。
それが夏目漱石独特のユーモラスな文体で描かれています。
恋愛に関しては淡いです。
まさに青春の一時期に通り過ぎたそよ風のような印象。
山あり谷ありの大きな物語ではないのですが、じんわりと染み入る味わいのある作品です。
ラベル:小説
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2018年06月26日

「ボランティア・スピリット」永井するみ

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K市にはある大手建設会社の本社があり、その傘下のさまざまな会社で外国人労働者が働いています。
そういった人たちのためにボランティアが始めた日本語教室が市民センターで開かれています。
講師はすべて日本人ですが、いろんな国籍や年齢の生徒たちが集まります。
そんな中で起こる些細な(?)事件・・・・。
連作短編集です。
外国人教師の下に日本人が通う英会話教室ではなく、外国人のための日本語教室というところがミソですね。
立場的に講師である日本人の上から目線的なニュアンスがあります。
生徒たちはアメリカ人やイギリス人フランス人とかではなく、中国人、韓国人、フィリピン人、イラン人といった国の人たち。
どうも彼らは外国人だからというだけで偏見を持たれているようです。
表題作の「ボランティア・スピリット」では李早雪という韓国人留学生が現金を盗んだ疑いを持たれます。
「冬枯れの木」ではナディームというパキスタン人が放火の疑いをかけられます。
「ジャスミンの花」でもやはりナディームがストーカーとして疑われます。
それぞれ疑わしいシチュエーションあってのことなのですが、結局は誤解であったことが判明します。
結局悪いのは日本人であり、はなっから彼らを疑ってしまうその心です。
かといって日本人のほうから親しく近付いたかと思えば打算があったり。
親切な外国人を陥れようとしたり。
なんだかなぁという感じですね。
日本人の外国人に対する偏見への皮肉が込められています。
ところで気になったことがひとつ。
「冬枯れの木」ではナディームが結婚していることになっているのに、その後の「ジャスミンの花」ではなぜか独身ということになっています。
はて。
ラベル:小説
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