2020年04月03日

「人もいない春」西村賢太

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短編集です。
6編収録。
主人公はおなじみ北町貫多。
名前からもわかるように作者の分身ですね。
表題作では貫多は製本所に勤めています。
中学を出て2年ほど。
日払い週払いの仕事で凌ぐその日暮らし。
ろくでもないくせにプライドだけは高い貫多は、仕事でミスを注意された職工に恨みを持ちます。
ある日の昼休みに気の短い貫多は、その職工に「能なし」などの啖呵を切ります。
その結果はもちろん仕事の契約打ち切りで。
こんな調子で、しかし自分を正当化して日々暮らしていく貫多です・・・・。
いつものごとく作者をモデルとした北町貫多のシリーズです。
小心者のくせにプライドだけは高くキレやすい。
なのでモテないくせに奇蹟的に同棲してくれている秋恵にはボロクソです。
毎度同じパターンなんですけどね。
マンネリといえばそうなんですけど、でも読ませられてしまいます。
今回、「悪夢 ― 或いは「閉鎖されたレストランの話」」というのがありまして、これは擬人化したネズミを主人公とした話です。
いつもの私小説とは違い、なんでこんなのを書かれたのかわかりませんけど。
寓話的な雰囲気の話ですね。
まあいつまでも北町貫多というわけにはいかないでしょうから、このような試みもいいかと思います。
あまりらしくないですけどね。(笑)
ラベル:小説
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2019年09月26日

「あおい」西加奈子

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カザマ君という3歳年下の大学生と付き合っている『あたし』は27歳。
スナックでアルバイトをしています。
スナックのママ、常連客の森さん、近くの書店で働いているみいちゃん。
そんな人たちと日々接しつつ、ある日、妊娠していることが判明します。
もちろんカザマ君の子です。
動揺するあたし。
スナックのママとは喧嘩別れのような形で店を辞め、その原因となった森さんはアフリカへ行くという。
では自分も旅に出ようと長野のペンションで働くことにするのですが、到着したその日のうちに脱走。
足を怪我し、ガラガラ付きの鞄も壊れ、途方に暮れたあたしは真夜中の山中でごろりと横になるのですが・・・・。
「あおい」というタイトルをこういう形で持ってきたのかと、まず思いました。
なるほど。
手法としてはまあ定型ですね。
話に関しましては、なんでそこまでカザマ君なんだろうと思ったのですが。
それほど一生のパートナーとして魅力ある人物なのでしょうか、カザマ君。
まあ他人の恋に口は挟めませんが。
って、これ小説ですから、口を挟みますけど。(笑)
合わせて収録されている「サムのこと」や「空心町24時」を読みますと、ああこういう系統なのかと。
他の作品も順を追って読んでみたいと思います。
ラベル:小説
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2019年04月17日

「イタリア半島「食」の彷徨」西川治

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毎年のようにイタリアを旅し、また住んでいたこともある著者がふんだんなカラー写真で現地の料理とレシピを紹介した一冊です。
日本のイタリア料理はまずい、と著者は言います。
日本のイタリア料理、そんなにまずいですかね。
フランス料理にしてもむしろ現地より美味しいのではないかと私は思うのですが。
もし日本人の味覚に合わせた料理という意味ならたしかにそうでしょうね。
著者は「食べ物は現地主義」だと言います。
これはまったくおっしゃる通り。
やはりその国、その土地の素材を使い、その空気の中で食べるのが本物の味と言えるでしょう。
たしかに日本のイタリア料理というのは小じんまりとして見た目は美しいものの、野趣に欠けます。
コトレッタ・アッラ・ミラネーゼなんて日本で現地サイズを出す店なんてなかなかないのでは。
まああちらの人たちとは胃袋のサイズが違いますけども。
気取らず飾らずボリューム満点がイタリア料理の魅力であるのは確かで、そういう意味では本場の料理に慣れた人にとっては日本のイタリア料理に満足できないというのはあるでしょうね。
ラベル:グルメ本
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2019年01月23日

「常識の世界地図」21世紀研究会編

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国によって常識というのは様々です。
挨拶だったり食べ物だったり服装だったり。
それぞれにおいて違いがあります。
それによって法律も違ってきたりしますね。
日本人にとってピンとこないのは宗教からくる風習かもしれません。
特定の食材は食べてはいけない、肌を露出してはいけないなどなど。
日本人にとっては何でもない言動がとんでもなく非常識だったりするかもしれませんので、海外に行くときは要注意です。
もし海外に行くときは前もってその国の風習といいますか、ルールを予習しておく必要はあるでしょうね。
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2018年09月04日

「時の旅」西村寿行

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南アルプスに近い山麓に所有林を持ちながら相続税が払えず、自分の山に火を放ち失踪した佐竹恒春。
妻は首つり自殺をし、11歳の息子である樹里は失踪した父を探すために山に入ります。
樹里の捜索を開始したのが特別環境警備監の戸部新介。
しかし樹里の失踪だけではなく、森林をめぐって政治家たちがいろんな思惑を持って動いており、戸部はそれに立ち向かうことになります・・・・。
西村寿行らしい非常にストレートなメッセージのある作品です。
自然破壊。
リゾート地などを作ることによる森林の伐採が結局どのようなことになるのか。
山林事業者を締め上げてその結果どのようなことになっているのか。
この作品では土石流が町を壊滅させてしまいます。
現実でも最近は各地で大雨による被害が発生しています。
土砂崩れで家屋が崩壊したり。
それらがすべて森林伐採が原因というわけではないでしょうけども。
人間はちょっと自然を軽く見過ぎているのではないですかね。
まあそれはそれとしまして。
読みましてさすがの寿行さんだなと思ったのですが、やはりそこにいろいろ殺人だの失踪だののエピソードが絡むわけで、しかしこのあたりちょっとテーマに上手く乳化していないと思いました。
テーマやメッセージについてはさすがの感がありましたが、作品の出来としましては寿行作品の中では中の下といったところでしょうか。
タイトルである「時の旅」やそれにともなう「時の海」のエピソードについても浮いているように思えました。
全盛期の傑作からすればややもの足りない印象です。
ラベル:小説
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