2018年05月23日

「廃疾かかえて」西村賢太

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短編3編収録。
どれもお馴染みの北町貫多が主人公です。
そしてパターンはいつもながら同じなんですけどね。
女と同棲している貫多。
短気で暴力的で自分勝手で貧乏で小心者。
同棲している秋恵が貫多と知り合う前に友人に貸したお金について、グジグジとこだわり絡み続ける表題作。
自分は没後弟子だと自認する尊敬する作家藤澤清造の希少雑誌を古書即売展の目録に発見し、金もないのに岐阜に行って購入を決意する貫多。
店主に土下座までしたものの、購入できる手応えを感じられませんでした。
女に当たり散らす貫多ですが、しかし帰宅して古書店から当選のファックスが届いたとたん上機嫌になります。
呆れてものも言えない女は、3か月後パート先で知り合った男の所へ逃げ去ります。(瘡瘢旅行)
秋恵の祖母が具合が悪くなり入院することになったと実家から連絡があります。
心配なので実家に帰るという秋恵に貫多はたかがそれくらいでといい顔をしません。
そんな薄情な貫多に腹を立てる秋恵。
自分がいない間の生活費としてキャッシュカードを貫多に渡しとにかく実家に帰った秋恵ですが、これ幸いと貫多はそのお金で飲み歩くわストリップに行くわ風俗に行くわと使い果たします。
その間に秋恵の祖母は危篤となり、そして亡くなってしまいます。
遊び惚けて連絡も取れなかった貫多に怒る秋恵。
いったん逆ギレしたものの機嫌を取る貫多の頭の中には、ストリップ嬢が身につけていた金色ビキニのコスチュームを秋恵に穿いてもらうことしか頭にないのでした。(膿汁の流れ)
最低な男ですね。(笑)
毎回毎回このワンパターンではあるのですが、面白くて読んでしまいます。
ろくでなしもここまでくるとあっぱれと言えましょう。
さすがにもうちょっと別の話が読みたい気もするのですが。
ラベル:小説
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2018年03月20日

「ガリバー・パニック」楡周平

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九十九里浜の夜明けに突如現れた巨人。
横たわるその大きさはおよそ身長100メートル。
発見した漁師の通報に警察が駆け付け、マスコミも嗅ぎ付け、自衛隊出動の大騒ぎとなります。
どうやら我々と同じ日本人らしく言葉は通じますし、危害を加える様子もありません。
しかし困ったのは巨人の処置です。
官僚たちはこの厄介者に関わりたくないので管轄を押し付け合うのですが、金儲けになるとわかったとたん首相をはじめとして民間も便乗してお祭り騒ぎです。
さて、巨人やこの国の行く末は・・・・。
読む前はパニック小説かなと思ったのですが、パニックには違いありませんけどコメディなノリの作品です。
政治家や官僚に対しての痛烈な皮肉も描かれています。
バブルに浮かれた時代を嘲笑しているとも読めますね。
それに対して土木作業員である虎之助(巨人)の純朴な人柄が対照的に描かれているわけですが、ちょっとわかりやす過ぎといいますかステレオタイプ過ぎといいますか。
その分メッセージはストレートに伝わってくるのですが。
笑いあり涙ありでエンターテイメントとしては楽しめる一冊でした。
ラベル:小説
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2017年08月06日

「世界ぐるっと肉食紀行」西川治

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世界ぐるっとシリーズ第3弾。
第1弾は朝食第2弾はほろ酔い
今回は肉食です。
いつものように世界各地で食べておられます。
韓国、インド、イタリア、スペイン、メキシコ、アメリカ、トルコ、モロッコ、中国、モンゴル、ベトナム、日本・・・・。
やはり肉食というのは魅力的ですね。
私も肉は好きなのですが、最近はむしろ魚です。
そして野菜。
意識してそのようにしていますし、体もそれに馴染んできています。
しかし時折無性に食べたくなるのはやはり肉ですね。
魚にこのような引力はありません。
なんなんですかね、この肉の魅力というのは。
この本では著者が訪れて食べた各国の肉料理が紹介されています。
白黒とカラーで料理に限らず写真もいろいろと。
読んでいるとすぐにでも肉に食らいつきたくなります。(笑)
日本人の体はそもそも肉食に向いていないといわれています。
ですが食生活の移行はそんなのおかまいなしに肉食で突っ走ってきました。
体の変化が追い付いていないので弊害もあるといいます。
魚を食べるという日本人の食文化をないがしろにしてはなりませんが、しかしこの本を読んでみますと肉というのは世界中で愛されています。
日本でもいまや食事に欠かせないものですよね。
なので肉食おおいに楽しむべし、と思います。
が、やはりバランスは大切。
昔ながらの日本の食事を中心にしつつ、肉もそこそこに。
気を抜くと毎日がっつりと肉食になりがちですから。
今日のメシは肉でいくかと思わせる、罪な一冊です。(笑)
ラベル:グルメ本
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2017年03月27日

「小銭をかぞえる」西村賢太

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女と同棲している「私」に印刷所への支払いが迫っているのですが、金がありません。
古本屋のオヤジや昔の友人に嘘をついて金を借りようとしますが、断られてブチ切れます。
ではと同棲している女に実家から借りてもらうよう頼むのですが、もうすでに300万円もの借金があります。
下手に出て機嫌を取りつつ、しかし埒が明かないとなると逆ギレし、元来小心者ゆえにまた下手に出つつ。
そんなことを繰り返しながら女との同棲生活はどのようになっていくのか・・・・。
相変わらず自分勝手で短気な主人公です。
まったくろくでもない。(笑)
表題作の他「焼却炉行き赤ん坊」という作品も収録されています。
これもやはり基本的なパターンはまったく同じ。
というか、この作者のパターンはたいがい皆いっしょなんですけどね。
貧乏で我儘ですぐに逆ギレする主人公。
そして同棲している女に暴言や暴力をふるうどうしようもない男です。
マンネリといえばマンネリなのですが、微妙に設定が変わっていてどれもそれなりに面白く読めてしまいます。
しかし私小説(?)とはいえ、さすがにそうそういつまでもこのパターンといわけにはいかんでしょう。
さて、今後もひたすらこれを貫いていくのか。
どこかで新境地を開くのか。
これからも追いかけていきたいと思います。
ラベル:小説
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2016年12月29日

「マスタードをお取りねがえますか。」西川治

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カメラマンであり料理研究家でもある著者が、豊富な海外での食体験を綴ったエッセイです。
イギリスやオーストラリアで食べた、新聞紙に包んでくれる胸焼けするようなフィッシュ・アンド・チップス。
オランダで食べた生ニシンや酢漬けニシン。
ドイツでたたき売りされているの鰻の燻製。
ニューヨークで食べる絶妙な焼き加減のステーキ・・・・。
職業柄いろんな国に行かれるようで、しかしその土地で食べるのはもちろん観光者向けのレストランなどではなく。
地元の人たちで賑わうような店だったりするんですね。
これが読んでいて実に味わい深い。
例えばポルトガルのナザレで目の前に海があるレストランの外のテーブルに座り、手でつまんで食べる獲れたての鰯の塩焼きの旨そうなこと。
赤ワインを飲みながら1ダースをペロリとか。
ワインが白ではなく赤というところがいいですね。
やはりその国の料理を楽しもうと思ったら、街角の屋台や庶民的な食堂がいちばんでしょう。
せっかく他所の国に行っておきながら和食を食べるほど馬鹿馬鹿しいことはありません。
ただローカルな食堂となると入るのに勇気が要りますけどね。
むしろ観光客向けの高級店のほうが入りやすかったりします。
タイトルの「マスタードをお取りねがえますか。(Pass me the mustard,please.)」というのは、イギリスの英国王室御用達マスタードメーカーのキャンペーンから来ているのだとか。
コールマンズ社が「マスタード・クラブ」というクラブを設立し、彼ら会員の符丁としたのだそうです。
「Pass me」というのは欧米人と食事をすれば必ず一度や二度耳にする言葉だそうで、手を伸ばせば取れそうなところにある調味料でも必ずそう言って取ってもらうとのこと。
食事している人の目の前にいきなりなにも断らずに手を伸ばすのは失礼だと。
なるほど、礼儀であり、それもまた同じ食卓に着く者どうしのコミュニケーションでありましょう。
ただ会員どうし街中で出会ってそのような会話をかわしていたら頭が少々おかしいと思われてもしかたあるまい、と著者は書いておられますが。
ごもっとも。(笑)
ラベル:グルメ本
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